HOME 東京・東京周辺 東京 原宿 神社の裏側にビックリ!? 日本一の初詣者数を誇る明治神宮は正月準備に半年かかっていた…
神社の裏側にビックリ!? 日本一の初詣者数を誇る明治神宮は正月準備に半年かかっていた…

神社の裏側にビックリ!? 日本一の初詣者数を誇る明治神宮は正月準備に半年かかっていた…

更新日: 2020/01/24

東京メトロ「明治神宮前」駅または JR「原宿」駅が最寄り駅の都心に鎮座する明治神宮は、明治天皇とその皇后・昭憲皇太后の御霊を祭るために造営された神社です。うっそうとした森に囲まれたその荘厳さに加えて、アクセスのいい都会の中心地にあるため、日本全国ナンバーワンの初詣者数を誇ります。年間約1000万人の参拝者のうち、大晦日から1月3日まではおよそ300万人が初詣に訪れるそう。

これはかなりの想定や計画、準備があるに違いないと、明治神宮の広報調査課・福徳美樹さんに、「明治神宮のお正月仕度」について聞いてきました。

お正月仕度その1:正月参拝者の流れを想定した参道を100年前に作っていた!

およそ100年前、造営前の明治神宮(旧御苑南側垣)。こんな時代に、すでに人出の想定がされていた!
およそ100年前、造営前の明治神宮(旧御苑南側垣)。こんな時代に、すでに人出の想定がされていた!

「最初から参拝者は多いだろうと想定されていたので、人の流れがスムーズになるように参道の幅を工夫して造られています。原宿から入る南参道が8間(約14.5メートル)、次に広いのが北参道(代々木側)6間(約11 メートル)、西参道(参宮橋側)の入口は4間(約7.3メートル)です。北参道と南参道が合流する第二鳥居のところで正参道となり、幅は10間(約18メートル)になります。そのくらいの出入りがあろうという予想が当時されていて、実際そのとおりで、南参道からの入苑者が最も多いですね」

原宿駅側から入る南参道が、3つの参道のうち一番間口が広く、入苑者も多い
原宿駅側から入る南参道が、3つの参道のうち一番間口が広く、入苑者も多い

「明治神宮が鎮座し、一般の参拝が始まった日からすごい人出だったという記録が残っています。杜は植栽されたばかりでしたが、荘厳さが伝わるようにという意図があり、それが伝わったのかと思います」

お正月仕度その2:干支グッズの準備は夏から始める!

明治神宮 2017年の干支鈴と絵馬
明治神宮 2017年の干支鈴と絵馬

「毎年のお正月準備は、干支の縁起物の作成から始まります。お守りなどは通年同じものですが、年ごとに違う干支鈴、絵馬といったものは、早いものでは夏から準備を始めます。詳しくは明かせませんが、試作品を何度も作りながら練り直します」

お守りや守護矢(明治神宮では破魔矢のこと)は同じデザインとのこと
お守りや守護矢(明治神宮では破魔矢のこと)は同じデザインとのこと

「お守りはさまざまな色がありますが、性別で分けているわけではありませんから、お好きなものをお選びいただければ。基本的に有効期限のようなものはありませんが、お神札(ふだ)と共に新年にあたってあらためられるとよりよいと思います。遠く離れた神社やお寺でいただいたお守りを数年持っていても構わないと思いますし、何か願をかけているならば、成就するまでお持ちになっていてもよいと思います」

お正月仕度その3:12月に入ったら石の橋を滑らない仕様にする、足元の整備をする

紅葉の季節には撮影スポットとなる橋。
紅葉の季節には撮影スポットとなる橋。

「石造りの橋や階段は凍結したり、砂利で滑る可能性があるので、コモ(わら)などをかけて滑らないようにします。また、参道の脇には雨水を流す溝がありますが、それも全部塞ふさぎます。安全確保のための地ならしですね。境内が広いので、12月に入ったら徐々に進めていきます」

お正月仕度その4:12月下旬から登場、巨大絵馬と大きな守護矢

写真は元旦の歳旦祭の様子。南神門には大きな絵馬や守護矢が飾られている
写真は元旦の歳旦祭の様子。南神門には大きな絵馬や守護矢が飾られている

「12月下旬から1月中・下旬まで、南神門に新年の絵馬や大きな守護矢をとりつけます。文字のパネルのように見えるのは、『開運』『除災招福』『家内安全』といった守護矢、開運的に付いている札と同じです」

お正月仕度その5:「煤払(すすはらい)」を12月28日に行う

毎年12月28日に行われる「煤払」は、午前中10時ごろから。見学可能
毎年12月28日に行われる「煤払」は、午前中10時ごろから。見学可能

「明治神宮の杜の中で採れた竹笹を使い、ハタキをかけるような形でホコリを落とす、『煤払』をします。すがすがしく新年を迎えるための儀式です。手順は、まず神様に『これから煤払を行います』とご奉告をし、神職が御社殿やそのまわりを30~40分かけて清めます。もちろん、神職による社殿清掃、拭き掃除などは日常的にやっています」

お正月仕度その6:授与所やお賽銭箱の増設、誘導の整備

2016年の年明けの風景。手前の白い布がかかった部分が増設された賽物受け(賽銭箱)。上にかけられた縄は「紙垂(しで)」といい、一説によると縄が雲、下げられたワラが雨、白い紙が雷の象徴。自然への感謝や畏敬の念をもつという意味が込められている
2016年の年明けの風景。手前の白い布がかかった部分が増設された賽物受け(賽銭箱)。上にかけられた縄は「紙垂(しで)」といい、一説によると縄が雲、下げられたワラが雨、白い紙が雷の象徴。自然への感謝や畏敬の念をもつという意味が込められている

「木箱の賽物受け(賽銭箱)や授与所(お守りなどの売店)を特設します。閉門のあとでもお参りをされたいという方のために、門の前に祭物受けやお札を入れる箱を設けたりもしますね。混雑時はお参りがすんだら、第二鳥居までは逆流できないように、一方通行で出られるような流れになるように誘導します。また、人の混雑が激しいところは、左右に避難路を確保していますので、気分の悪くなった方はご利用いただけます。その他通常よりも警備や誘導を増やし、地元の警察にも協力をいただくなどしています」

お正月仕度その7:社殿の中では、新年初祈願祭で無病息災を祈っている

本殿前の広場。三が日は人で埋め尽くされる
本殿前の広場。三が日は人で埋め尽くされる

「大晦日の年越しのときは、明治神宮の総代さんや関係者などが社殿内に参列して、元旦新年初祈願祭が行われます。そして神職で最高の位の宮司が0時ぴったりに大太鼓を叩き、社殿前で待ちかねていた人たちが一斉にお参りを始めます。御社殿近くの神楽殿では、引き続き祈願祭が行われています。ご希望の方は有料(※三が日は1万円より)になりますが、その場の申込みで一年の無病息災を祈ることができます。三が日は特別に拝殿で、年明けを告げた大太鼓を叩けます」

参拝するとき心がけたい!お参りの心構え 神社は、あらたまった気持ちで、自分の誓いを立てるところ

「大晦日だと、カウントダウンのイベント的に、参拝の列に並びながらお酒を召し上がって大声で騒ぐ方々も見受けられます。でも神社へ初詣する意味は、一年の最初の日に、あらたまった気持ちで、自分が誓いを立てるのを見守っていただくということ。それが根本なので、羽目を外したり、遊ぶ、騒ぐ場所ではないんです。もっとも、お参りのあとに体が温まるような、飲食できる場所も境内にはあります。『直会(なおらい)』と言うのですが、神職はお祭りや厳粛なことをしたあとに、俗世に帰るという意味で、お神酒をいただくことになっているんです。お参りや祭事に臨むときは、来るときは心と体をきれいにしてあらたまった気持ちで、帰るときはゆったりと。それを心にとめていただければと思います」

初詣に限らず、訪れる人にとっても、気をつけたいポイントがいくつかあります。

「あくまでご神域であり、公園ではありません。たまにランニングする人がおられますが、参道なので心静かに歩いてお参りしていただきたいですね。夏の暑い時期は、森が深いので虫も多いですし、そもそも神様にお会いするのですから肌の露出が多い服装は控えたほうがいいです」

初詣と合わせて見ておきたい!パワースポット「清正井」、95年の歴史に幕を閉じる宝物殿

加藤清正が掘ったと伝えられる井戸は近年パワースポットとしても話題に。見学には写真の入口で御苑維持協力金500円が必要
加藤清正が掘ったと伝えられる井戸は近年パワースポットとしても話題に。見学には写真の入口で御苑維持協力金500円が必要

「もしいらっしゃるなら、冬は朝がおすすめです。湧水なので、通年15~6℃あり水蒸気が上がっていてとてもきれいですよ。夏は逆に水が冷たく感じられます」

国産ヒノキで最大の鳥居
国産ヒノキで最大の鳥居

「南神門前にある鳥居は2016年10月26日に完成したもので、国産ヒノキを使った素木(しらき)ものとしては最大です。輝いているように見えますが、色は塗っておらず、白木肌の色そのまま。このひとつ手前にある日本一の大鳥居は、高さ12メートル、柱間9.1メートル、笠木の長さは17メートルあり、台湾製ヒノキを使ったものです」

年末年始は混雑必須ですが、機会があればぜひ一度明治神宮を訪れてみてはいかがでしょうか。

※本記事は2016年12月公開記事を再編集して公開したものです

  • Personal Photographer~ Meiji Shrine Tokyo~
    Personal Photographer~ Meiji Shrine Tokyo~
    • 住所 156-0054 東京都世田谷区桜丘1-11-8
    • 最寄駅 経堂 駅 (小田急小田原線)
    • 電話 090-9371-4499

筆者:浅香来
ライター、編集者として活動。取材時の出来心で神職にあこがれをもつ(あの白い衣装がカッコいい)ものの、祭事の前日には嗜好品、肉食などはダメ、新聞ニュースもダメの精進潔斎を行うと聞き、学校で専門課程の履修も必要だそうで、たちまち高いハードルを感じています。

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