では早速、裏仲見世通りにある、外国人に人気の卸問屋直売店に向かいましょう。見るからにおもしろいものがたくさん詰まっていそうで、ワクワク感が一気に高まります。2011年に浅草に店を構えたばかりという、いわば浅草の新しい顔である「Sparkle」には“ザ・浅草土産”のような定番物だけでなく、日本ならではのおもしろグッズが所狭しと並んでいます。

当初はクールな和柄物をメインに扱っていたそうなのですが、ひと癖あるタイプのほうが手に取ってもらえることに気づき、品揃えを変えてきたとのこと。そのなかのひとつが「日本語Tシャツ」です。

海外では今、日本語のプリントされたTシャツが流行中。言葉や漢字の意味はわからないものの、日本語独特のフォルムに心を打たれるようです。このお店でも、オリジナルで制作している「おもしろ日本語Tシャツ」を販売しています。

欧米やアジアなど世界各国の人が日本語Tシャツを買っていくようですが、果たしてどんな言葉の書かれたTシャツが世界中で着られているのか非常に興味深いですよね。では、「おもしろ日本語Tシャツ」の売れ行きベスト5をご紹介しましょう！

ドット風文字で書かれた、某巨大掲示板で見かけそうな投稿がデザインされたTシャツです。
「けしからん！」と怒りつつ、「もっとやれ！」と本音を見せるネットスラングで、ちょっぴりエッチな女性の画像が投稿されたときなどに「もっと見たい！」と盛り上げるために使われることがあります。日本の顔文字はバリエーションが多く、クリエイティブだと世界中で好評のようですよ。

日本人には見慣れた、どこか懐かしい匂いのする“のれん”や“のぼり”の数々。昭和の下町を彷彿させますよね。日本人はもちろん、日本に住んだことのある外国人はこのTシャツを見ると心がくすぐられるようで、クスクスと笑いながら買って帰るようです。来日したばかりの人は、この微妙なセンスの良さを理解するのは難しいかもしれません。このTシャツを見た瞬間に「おっ！」と思えるくらいに日本に長く滞在してほしいものです。

日本人ならほとんどの人が知っているであろう、このフレーズ。かの有名な国民的ガキ大将の名言です。世界中で愛されているアニメですし、好きな人には魅力的なTシャツですよね。これを着ていれば黙っていても、自己中心的な性格であることを周囲に知らしめることができます。

ところが、この言葉は実は“友達の物を強引に奪う”という意味ではないという説もあるのです。実際には、例の弱虫の友達が失くしたものを一緒に探してくれたときの感動的な言葉でもあることはあまり知られていません。こちらの意味で使われることはまれですけども、友を思いやるやさしいガキ大将精神がこのTシャツとともに世界各国へ広まることを願います。

これまたシンプルな言葉が、ドーンと目に飛び込んできます。この2文字に込められた破壊力はすさまじいですよね。外国人には“ゲス”の意味を説明しているようなのですが、それでも喜んで買っていくとのこと。ゲスな行いをしている自覚のある人は、堂々と開き直ってこのTシャツを着用して街を歩いてほしいものです。

と、そこへゲスとは程遠いと思われる紳士的な外国人観光客の男性が……。なんと、真っ先にゲスTシャツを手にとっているではありませんか！

彼がゲスなのかどうかを聞く勇気はありませんでしたが、無事にお買い上げです。

真っ白なTシャツに控えめに書かれたその文字は、「もやし。」
その下にはひょろひょろと頼りない1本のもやしが描かれています。このシンプルな斬新さ、たまりませんね。「もやし」という平仮名のやわらかな曲線が美しく、芸術的にも感じられます。外国人女性にも人気が高いのも、なんとなく納得できるのではないでしょうか。

このような「おもしろ日本語Tシャツ」は1枚999円（税込）で販売されており、5枚買うと1枚無料でもらえるシステム（ただし、「もやし。」と「のぼり」Tシャツは1枚1990円で対象外）ですから、ここでしか手に入らないおもしろTシャツをまとめ買いしていく人が多いそうです。

観光地である浅草で、あえて一風変わったTシャツを買っていくのは、どんな人なのでしょうか？営業主任の手島さんに聞いてみました。

「世界各国のお客様がいらっしゃいますが、このお店はインドネシア人の来店が多いのも特徴なんです。ムスリム（イスラム教徒）のための礼拝スペースを用意しているので。観光中でも礼拝は欠かせませんから、とても喜ばれています。そのためか、インドネシアのアーティストなど有名人も数多く訪れてくれて、みなさん20枚くらいのTシャツをまとめてお土産として買っていかれるんですよ」という貴重な情報も入手できました。

ちなみに、日本人の場合だと、「修学旅行生が買っていくことが多いですね」とのこと。「なんだこれ！ウケる！」と友達と爆笑しながら店内を物色する姿が想像できます。かなり大げさにいうならば“浅草版ディズニーランド”と化しているのかもしれません。

また、「留学先のホストファミリーへのお土産選びに来る日本人も多いです。お箸や折り紙といった定番土産ではつまらないという人は、ここであっと驚かせるようなグッズを入手できますよ」。たしかに、日本語Tシャツをお土産にするのはいいアイディアですね！

「Sparkle」には気になるグッズが数えきれないほどあるので、お気に入りが見つかるまで宝探し気分を味わえます。そのなかから、外国人に好評のグッズを本店主任の狩野さんに紹介してもらいました。

オタクの聖地「秋葉原」までわざわざ足を伸ばさなくても、浅草観光のついでに「萌え」Tシャツを入手できてしまいます。日本のアニメは外国人からも人気が高く、「萌」という漢字もかなり浸透しているようですよ。

「天才」「男神（おがみ）」という、自己顕示欲も甚だしい熟語が書かれたキャップ。自分を一回りも二回りも大きく見せたいと願っている人は勇気をだしてかぶってみましょう。

この下に隠された素顔が気になる怪しげなアイマスクの種類も豊富です。こんなアイマスクをしている人を見かけたら、いったい何を妄想しているのか気になって仕方ないですね。

日本の伝統を守って保守的な街だと思われがちな浅草にも、こんなにおもしろい日本語Tシャツがあるなんて驚いてしまいました。そして、外国人が選ぶ日本語のセンスにも脱帽です！

斬新な発想をとり入れつつも日本の良さを失わない浅草では、このようにあっと驚くようなお土産が見つかるでしょう。今回ご紹介した「Sparkle」もお客様のリクエストやアイディアを積極的にとり入れつつ常に新しいことにチャレンジしていくそうなので、お店に行くたびに新たなおもしろグッズや日本語Tシャツが増えているかもしれません。浅草を訪れる際には、どんな日本語Tシャツがあるのかチェックしてみてくださいね。

店名／Sparkle
住所／東京都台東区浅草1-37-2
電話番号／03-6802-7661
営業時間／10：00～19：00
定休日／無休