HOME 東京・東京周辺 東京 浅草 風鈴の手作りに挑戦!夏の風物詩「江戸風鈴」を大学生が作ってみた
風鈴の手作りに挑戦!夏の風物詩「江戸風鈴」を大学生が作ってみた

風鈴の手作りに挑戦!夏の風物詩「江戸風鈴」を大学生が作ってみた

更新日: 2020/08/03

夏に日本を歩いていて、「チリン、チリン……」という、涼しげな音色を聞いたことがありませんか?それは住宅の軒先やマンションのバルコニーに吊り下げられ、風によって音を鳴らすことから風の鈴=「風鈴」と名付けられた日本の夏の風物詩である、涼を呼ぶ道具の音色です。今回は『江戸風鈴 篠原まるよし風鈴』にて、形を作るところから絵つけまでの風鈴作りを留学生ふくむ大学生19人が体験。その様子をレポートします!

エアコンや扇風機代わりだった風鈴

お手本を見せる正義さん。ここまで自分でできるようになるには3年の歳月が必要
お手本を見せる正義さん。ここまで自分でできるようになるには3年の歳月が必要

風鈴の起源は中国。占いの道具として使われていたそうですが、それが日本へ渡って変化していき、いまの形で定着しました。当初は大名や豪商などがお屋敷の中に下げる高価なものでしたが、庶民に広がったのは江戸時代末期から。現代のようにエアコンや扇風機がない時代、どうやって暑い季節をしのごうかと考えたときに、透明で涼しげな見た目や心地よい音色の風鈴が喜ばれたこと、また日本人は音に対する信仰が強く、「鈴」を魔除けとしていることも相まって広がりました。

『江戸風鈴 篠原まるよし風鈴』ご主人の篠原正義さんは、今年で風鈴作り46年の風鈴職人。日本語、英語を取り混ぜて、楽しく風鈴作りを教えてくれます。今回体験する風鈴作りの特徴は、金型や木型を使用せず、“宙吹き”といわれる、呼吸でガラスをふくらませること。まずは、真っ赤に燃える1300℃の窯の中から、溶けたガラスを巻き取ることから体験スタート。

ガラスを自分の息でふくらませてみよう

いざやってみると、うまくいかない……
いざやってみると、うまくいかない……

長い管の先に巻き取ったガラスを、吹いてまずは小さい玉にふくらませます。大きさは正義さんが横に立って見ていてくれるので「もっと」「これでOK」とアドバイス。正しい大きさにふくらませるまでには、3年の修行が必要だそう。

「チュウするときの口の形でね。そっとそっと」

ユーモラスな正義さんの説明にどっと笑い声があがります。

撮影に夢中になっていた学生たちも思わず笑顔
撮影に夢中になっていた学生たちも思わず笑顔

ほどよくふくらんだら、そのガラスを再度窯に入れてガラスを巻きつけ、上部に小さな穴を開けて、さらに大きくふくらませます。これは風鈴の音と形が決まる大事な行程で、吹いている間は正義さんが管をくるくると回してガラス玉がいびつにならないようにサポートしてくれます。この技術を一人でできるようになるまでには、さらに7年の歳月がかかるそうです。

ふくらんできたよ~
ふくらんできたよ~
あともう一息!
あともう一息!

「見ていると簡単に思えたのに、やってみると難しい。最初は息が強すぎて失敗したけど、2度目の挑戦で手伝ってもらい、うまくできました」

「竿を回しながら吹くので、唇が竿と離れて吹きにくい!」

右側手前に並んでいるのはできあがった風鈴本体
右側手前に並んでいるのはできあがった風鈴本体
吹きすぎて失敗したらやり直し
吹きすぎて失敗したらやり直し

ちょうどよい大きさにふくらんだら、正義さんがガラス玉の一部を切り落として本体は完成です。

絵の具で風鈴に好きな絵を描いてみよう

風鈴の本体ができたら、次は絵付けの作業です。ガラスのつやを活かすためと水彩絵の具を使うため、絵は内側に描いていきます。伝統的に描かれる絵には、それぞれの意味や縁起があり、たとえば「トンボ」なら前に向かってしか進まず、後ろには下がらないことから「勝ち虫」と呼ばれている「花火」はドンと打ちあがる音から魔除け。悪いものを払ってくれる、「花」心の癒やしなどなど。そういった意味を踏まえて描くのも、自分の好きなものを描くのももちろんOKです。

次は何を描こうか思案中
次は何を描こうか思案中

「夏だからやっぱり花火とかかな」

「ピンクが好きだから、ピンクで描けるお花を」

描けた!
描けた!

水彩絵の具だから、何度でも描き直しは自由。文字や絵など最初から内側に描くのは難しいため、表に描いたものを内側でなぞって、最後に表側を消します。絵ができたら「振り管」という、吊るすときに風鈴本体に触れて音を出す管を取り付ければ完成です。風鈴を手に持ち、優しく揺らすと、高い音、落ちついた音、優しい音など、ひとつひとつ違う音が響きます。

自分だけの風鈴が完成!職人の心に感動

完成した風鈴を手にポーズ
完成した風鈴を手にポーズ
開口部に荒いやすりをかけることで柔らかい音になる
開口部に荒いやすりをかけることで柔らかい音になる

風鈴を手作りするという、なかなかない体験をした19人。その感想は?
「ふくらます最後の作業で音が決まるそうですが、私のは低めの音でゆったりとできるいい音でした」(国籍:日本)

「伝統工芸品の体験を通して、その過程の楽しさが感じられました。経済の発展が速い世の中ですが、落ちついて心を込めて作る職人の誇りが感じられました」(国籍:中国)

「最初は不安だったけど『世界一良いものを作ろう』と励ましてくださったのが素敵でした」(国籍:日本)

「45年やり続けている職人精神に感動しました。自分の仕事の歴史に詳しいこともすごいですし、実際に技術もすごいです。絵付けの技も美しくて感動しました。こういう職人がいるからこそ、日本はモノ作りがすごいと認められているのではないかと考えました」(国籍:韓国)

「たったの数分で作れるものですが、実際に作ると想像以上に難しいと感じました。まともにふくらませるには3年、さらに7年とかかること、またその風鈴を買うために北海道から浅草まで来る客もいると聞いてびっくりしました」(国籍:中国)

「体験したお店がこじんまりとして江戸の雰囲気があるところがよかった。気楽に体験できたし、でき上がった風鈴を見てうれしかったです」(国籍:ベトナム)

お店の前で、ご主人の篠原正義さんと記念撮影
お店の前で、ご主人の篠原正義さんと記念撮影

完成した風鈴は割れないように梱包材に包んで、箱に入れて持ち帰れます。自分でガラスを吹いて作った形も絵も、音も世界にひとつしかない風鈴。自分の家に吊るして、その音を聞くたびに、浅草の工房で作ったことを思い出すに違いありません。

  • 江戸風鈴 篠原まるよし風鈴
    • 住所 4-25-10 Taito, Taito-ku, Tokyo-to 110-0016

体験は予約制・英語可(予約はホームページの予約フォーム、FAX、メールにて)
・ガラス吹きから絵付けまでの体験(約1時間半前後)
 2000円(税込)※小学校低学年以上から(それ以下のお子様は息を入れる感覚が難しいため)              
・絵付けのみの体験(約1時間)
 1500円(税込)

※ガラス吹きは期間限定
2017年の予定 3月中旬~7月初旬(前期)、9月中旬~12月初旬まで(後期)

・問い合わせ・予約
代表:TEL03-3832-0227
FAX:03-3832-0225
mail:maruyosi@sam.hi-ho.ne.jp

  • LIVE JAPANは、beyond2020プログラム認証事業です。
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