「わんこそば」とは、つゆにくぐらせた一口ほどのそばを給仕さんの掛け声に合わせて次々とかっ込んでいく、岩手県に起こりを持つ食文化のこと。県内で開催される大会には毎年、全国から多数の挑戦者が参加し、過去には400杯、すなわち60人前(※15杯=1人前とする場合が多い)を平らげた者もいるとか。
そばといえば日本人の国民食ですが、はたしてどれだけ食べられるものなのか。一度は体験してみたいと思うのは、日本人だけでなく日本に興味のある外国人も同じはず。そこで「そばは大好きだが、わんこそばは未体験」のフランス人・クウエンテインと、私こと井上のわんこそば対決の様子をレポート。クウエンテインいわく、「最近フランスでもそば屋が増えているんだよね。でも、日本で初めてわんこそばのことを聞いたときにはクレイジーだと思ったよ」。
さあ、わんこそば初心者同士による対決、勝利の女神はどちらに微笑むのか!
100杯くらい余裕でいけるんじゃない?
東急東横線東白楽駅からすぐ、住宅街の一角にある「たち花」。創業は1976年、首都圏でわんこそばを体験できる数少ないそば店のひとつで、盛岡で開催されるわんこそばの大会に出場する人が“自主トレーニング“に訪れることもあるのだとか。
料金は1人2,750円(税込)。ルールはいたってシンプルで、「時間無制限でそばを食べ続け、ふたを閉めたら終了」というもの。女将によると、男性100杯・女性80杯くらいが「普通」だそう。ちなみに女将、歴代最高杯数は?「男性601杯(およそ40人前)、女性561杯(およそ37人前)です※2017年2月現在」……聞かなければよかった。ちなみに、先述の“自主トレーニング”に訪れる人の場合、5分で200杯のペースだという。なるほど、1分で40杯か……って、参考にならない。
呼吸を整え、対決スタート!さっそく、各自の椀につゆにくぐらせたひと口分のそばが投入され、あわてふためきながら胃に流し込みます。わあ、いい香り。東北産そば粉に力強い風味を持つそば殻を加えた田舎そばは黒みを帯び、食むと鼻腔に芳醇な香りが広がります。
ご存知、麺類は噛めば噛むほどお腹が膨らむもの。つまり、噛まずに啜るや飲み込むことで満腹中枢が刺激されずに杯数を稼げるはず!ズズッ次!ズズッ次!うん、けっこういける。「じゃんじゃん~」「よいしょ!」と女将の陽気なかけ声にも後押しされ、1秒1杯のペースでテンポよくそばを吸い込んでいく我ら。食べ終えた椀が目の前に重ねられていく様子もなんだか楽しいぞ。
「これなら100杯くらいいけちゃうかも」と不遜な発言をする私に、女将がにやり。
突然の吸引力ダウン!
さて、20杯30杯と順調にそば街道を走る2人ですが、50杯にさしかかろうというとき、私、井上が胃に違和感を覚えスピードダウン。吸い込む力が弱まり、最初の勢いはどこへやら。腹ぺこのハムスターのごとく両頬をそばで膨らませたまま、動作がストップしてしまいました。
一方、“そばアンドロイド”と化したクウエンテイン。顔色ひとつ変えず、またスピードも落とすことなく規則正しいテンポでそばを吸い込む様子に女将さんもびっくり!
しかし、トップスピードで走り続けてきたクウエンテインについに異変が!先ほどまでの威勢のいい「ズズッ」に代わり、「ふう……はあ……」と苦しそうな息遣いが漏れ始めます。
噂に聞きしわんこそば、実際にやってみたらそう甘くはありませんでした。井上は道半ばの66杯で戦線離脱。
両者の椀にふたが置かれ、こうして二人のわんこそば体験は無事終了したのでした。さて、初めてとは思えない健闘ぶりを見せてくれたクウエンテインが食べたのは……143杯!
男性100杯、女性80杯を達成した人にはすべからく記録ノートに名前を刻む権利がもらえるとのこと。クウエンテインもぱんぱんに膨れたお腹をさすりながら、名前を書き込んだのでした。それにしてもこのノート、小学生から70歳のお年を召した方、外国人の方まで多くの方が好成績を残しており、3カ月かからずに1冊が埋まるというから驚きもの!
岩手に伝わる伝統的な食文化、わんこそば。そば好きのあなたは腕試しに行ってみてはいかがだろう。
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wankosoba tatibana
- 住所 5-13, hakuraku, kanagawa-ku Yokohama-shi, kanagawa, 221-0065, Japan
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最寄駅
東急東横線 東白楽駅
JR 東神奈川駅
- 電話 045-431-9445
11:30~21:00L.O.
無休(1月1日、2日をのぞく)
井上こん
フリーライター。WEBメディアや雑誌で執筆。趣味はうどん打ち。「うどん手帖」も不定期更新中。twitter→@koninoue
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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