近代的な建築にはない、歴史を重ねたからこその雰囲気や佇まいが魅力の歴史的建造物。東京の下町・根津に、100年以上前の石蔵を活かして店舗に改装した釜揚げうどんの名店「釜竹」があります。しかも手掛けたのは、新国立競技場の設計に携わり、あの世界的にも有名な日本の建築家・隈研吾氏。
今回は、そんな名建築×日本のグルメが堪能できる「釜竹」を紹介します。
TOP画像提供:釜竹
■歴史建築で味わえる釜揚げうどんの名店は、東京の下町・根津にある「釜竹」
東京の下町の中でも、特に昔ながらのノスタルジックな雰囲気が残る根津。近年では、谷中(やなか)、千駄木(せんだぎ)とともに谷根千エリア(やねせん)として、日本人のみならず外国人観光客からも注目されています。
そんな根津に、建築家・隈研吾氏が手掛けた歴史的建築で味わえる釜揚げうどんの名店「釜竹(かまちく)」があります。
もともと店主の父が大阪で始めた釜揚げうどん専門店を、2代目の現店主が東京で引き継いでいるお店。『ミシュランガイド東京 2015』からは3年連続でビブグルマンとして登場しています。
■店舗は、隈研吾氏が手掛けた築110年以上の煉瓦造りの石蔵
うどんはもちろんのこと、釜竹はお店の外観、内装も必見。新国立競技場のデザインに携わるなど、世界的に有名な日本の建築家・隈研吾氏によって手掛けられたもので、石蔵をそのまま活かして改造されたこの建物は、東京都選定歴史的建造物にも選定されています。
■石蔵のうどん店はなぜ誕生した?
この石蔵の歴史、そしてここでお店をオープンすることになった経緯について、店主の平岡さんにお聞きしました。
―この石蔵はいつ頃作られたものなのでしょうか?
「これは今から110年以上前の1910年に建てられたレンガの石蔵で、この地に移築・改装されました。この石蔵は、昔は倉庫や寝床として使われていたようです。」
―こちらでお店をオープンされた経緯を教えて下さい。
「大阪の父のお店の常連だった方が、東京に老人ホームを建てることになり、敷地内の隣接した場所でお店をやってほしいというお話をいただいたんです。隣は老人ホームになっていて、そこも含めてオーナーが隈研吾さんに建築を依頼したというのが経緯です。こうしたご縁があって、たまたまこの歴史ある石蔵を活かした内装のお店を出すことになりました」
―高い天井や梁がそのまま残されている様子は、趣がありますよね。
「もともと二階建て構造だった天井を抜いています。雰囲気があってとてもいいのですが、熱を吸収してしまうので、お店としては、夏は暑く、冬は寒いという難点もあるんです(笑)」
■本格的な釜揚げうどんと和食×お酒が楽しめる
―お店の特徴を教えて下さい。
「当店は、日本酒と釜揚げうどんの専門店です。釜揚げうどんのみで温か冷。お酒に合う一品料理といろいろな日本酒をそろえています」
―釜竹のうどんで、こだわっているのはどんなところですか?
「あまり手をかけ過ぎずに、素材の味を活かしているところでしょうか。高価で特別な材料を使っているというわけではなく、小麦粉、水、しょうゆ、すべて素材同士のバランスを考えていい味を出すようにしています」
―うどん作りにおいて、難しさを感じるのはどんな点でしょうか?
「お客様のことを想いながら作るところですね。技術は修行を重ねていけば高められますが、お客様にとっていいうどんをお出しするというのは常に難しさを感じます。
オーダーをいただいたらお客様を見て、提供するタイミング、麺の太さや茹で時間などは常に微調整しています。お酒とおつまみを食べている方なら、うどんは少し細めで食べやすくしたり、ランチ時の男性ならしっかり満足感を持っていただけるように太めにしたりなど、一番おいしく召し上がっていただけるように意識しています」
―日本酒や一品料理のメニューが豊富ですよね。
「日本酒は私自身が好きだからということもありますが、随時30種ほどをそろえていて、オリジナルのラベルのものも置いています。お酒好きの方にも楽しんでいただけると思います。
日本酒のおすすめも、お客様に合わせてご提案するようにしています。外国のお客様で、ビールをよく飲む方なら酸味と甘みがあるものや微炭酸のもの、ワインが好きな方ならフルーティーで芳醇な香りのものをおすすめするなど、できるだけ好みに合うものを楽しんでいただけたらと思っています」
■シンプルでおいしい!これが釜竹の釜揚げうどん
さっそく釜揚げうどん(温)をいただきます。
メニューには英語表記もあり。外国の方向けに、釜揚げうどんの食べ方説明(英語+イラスト)があるので初めての方でも安心です。
まずは、昆布、ウルメイワシ、サバ、かつお節(2種)、しょうゆ(薄口、濃い口)、砂糖で仕上げたオリジナルのだしにつけていただきましょう。つるっとした喉ごしで、うどん、つゆのおいしさがダイレクトにやってきます。
途中からは、だしにお好みで、ネギ→揚げ玉→七味唐辛子→しょうがを加えてみてください。また違ったおいしさが味わえます。これはいくらでも食べられてしまいそう。
■うどんのだしを活かした&専門店級の一品料理も
釜竹にきたら、ぜひ日本酒と一品料理も味わってみてください。こちらは、お店おすすめの鴨ロース。ジュレにはうどんのだしをアレンジして味を染み込ませており、まさに釜竹だからこそ味わえる一品です。
季節ごとに具材が変わる天ぷら。天ぷら専門店も使っているゴマ油で揚げている本格的な一品。衣は軽くサクサクで、素材の味がしっかり活かされています。
この日の内容は、エビに加え、モロッコインゲン、レンコン、ナス、サツマイモ、イカでした。
日本酒とともにおつまみになる一品料理、そして最後の締めは釜揚げうどん。うどん店のフルコースが完成です。
■雰囲気たっぷりで本格的な和のグルメが気軽に味わる
和の雰囲気たっぷりの歴史建築の中で、おいしい本格和食がリーズナブルに味わえる「釜竹」。それだけでも魅力的ですが、何よりお客様のことを一番に考えて、味やおもてなしに創意工夫を凝らす店主の温かさが光っていました。これこそが多くの人に愛される理由なのでしょう。ぜひこの日本らしい雰囲気と味を楽しんできてください。
※ 動画:釜竹制作 2020年動画作成時の情報です
- <実施中のコロナ対策>
- ・店内や設備等の消毒、除菌、洗浄
・除菌消毒液の設置
・お客様の入れ替わり都度の消毒
・店内換気の実施
・コイントレイの利用
・仕切り板の設置
・スタッフのマスク着用、手洗い、消毒、うがい、検温の実施
・入店人数や席間隔の調整
・体調不良のお客様の入店お断り
・お客様へのマスク着用のお願い・検温の実施
※ 2022年2月取材時の情報です
※ 新型コロナウィルス感染拡大の状況により、営業時間等は変更の可能性があります
※ 新型コロナウイルス感染症対策をしっかり行った上で撮影・インタビューを行い、撮影時のみマスクを外して撮影を実施しています
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根津 釜竹
- 住所 〒113−0031 東京都文京区根津2-14-18
- 電話 03-5815-4675
<営業時間>
【火~土】11:30~14:30/17:30~21:00
【日】11:30~14:30/17:30~20:00
※うどんがなくなり次第閉店
<定休日>
月曜日
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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