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箱根でハズせない名湯!一度は訪れるべき360年続く老舗旅館「松坂屋本店」

箱根でハズせない名湯!一度は訪れるべき360年続く老舗旅館「松坂屋本店」

更新日: 2024/02/08

日本建築で和の雰囲気やしつらえを施し、スタッフのおもてなし、和食温泉などが楽しめるのが、日本の旅館文化。単に泊まるだけの場所ではなく、くつろぎの時間、癒しの空間、おもてなしの心などが古くからの日本文化や価値観によって培われ、今の形へと進化してきました。

今回紹介するのは、創業360年以上という長い歴史を持ち、旅館ならではのおもなしの神髄が感じられる箱根の老舗旅館「松坂屋本店」です。

日本全国だけでなく、世界50カ国&150都市以上をめぐってきた現役添乗員の私・島田 みゆが、これまで数々のホテル旅館に泊まってきたからこそおすすめしたいポイント、海外との違いなどについても解説します。

極上のおもてなしが体験できる、箱根の「松坂屋本店」

極上のおもてなしが体験できる、箱根の「松坂屋本店」

都心から電車で約90分、温泉、グルメ、豊かな自然と観光スポットが盛りだくさんで人気の観光地である箱根箱根の玄関口「箱根湯本」駅前からバスで約25分、東芦の湯エリアにあるのが「松坂屋本店」です。

創業は1662年。2022年に360周年を迎えた、江戸時代の浮世絵師・歌川広重の作品にも描かれている老舗旅館。約4,000坪(約13000㎡)の広大な敷地のなかに、6つの館22の客室があり、そのうち10室は露天風呂付客室、そして5つの貸し切り露天風呂があります。

箱根の豊かな自然に囲まれた環境、三大美肌泉質のすべてを含有するめずらしい泉質が毎分200リットルもこんこんと湧き出るかけ流し温泉、心温まる上質なおもてなし、かつて宿場町だった頃に食されていた滋養に富む内容をイメージしつつ現代の職人の技と趣向を凝らした食事など、あらゆる面が評価され、2023年には「Japan Brand Collection2023神奈川版」で日本を代表する一流旅館のひとつに選出されました。

※ 「Japan Brand Collection」は、2005年の発行当初から各業界の専門家による厳格な選定基準を設け、「地方創生をテーマに日本のさまざまな業種の一流店」を雑誌とポータルサイトで紹介しています。

旅館文化体験したい方は必見!「松坂屋本店」をおすすめしたい理由

全国各地に多くの旅館があるなか、特に私が「松坂屋本店」をおすすめしたい理由は3つあります。

①外国では体験できない、日本の中でもトップレベルの「おもてなし」と「旅館文化体験」ができる
②約半数が外国人スタッフで、コミュニケーションの心配がない
③オールインクルーシブで滞在中の費用を気にせずゆっくりできる
それぞれについて、以下で詳しく紹介していきます。

旅のプロが見たおすすめポイント

●これぞ日本旅館という宿の雰囲気

●これぞ日本旅館という宿の雰囲気

松坂屋本店には、歴史を重ねてきたからこそ醸し出せる重厚で趣ある雰囲気が漂っています。まさに、多くの人が求める「日本の旅館の象徴」的イメージです。

門から入り口までのアプローチには、すでに温泉の香りが広がります。

館内は、いたるところで上質な和の空間が感じられる一方、戦時中にドイツ軍が寄宿舎として利用した名残から、玄関からすぐのロビーは一変して歴史を感じられる洋風な造り。使いやすさ、過ごしやすさを考えて定期的にメンテナンスをしているそうですが、手を加えながら昔ながらの雰囲気がしっかり残されています。

ラウンジにある暖炉。ゆらめく炎が温かさとともにより一層の癒しを届けてくれます。

これぞ日本旅館という純和室の客室。

客室へ続く長い廊下もシックで素敵な雰囲気。緑豊かな森の中を歩いているような気分になります。

館内や客室に広がるお香の香りが、さらに気持ちを穏やかにリラックスさせてくれます。お香は京都の香屋さんのもので、お土産に買っていかれる方も多いのだそう。

●和の心がこもった丁寧なウェルカムサービス

●和の心がこもった丁寧なウェルカムサービス

出入り口ではスタッフの方の丁寧な出迎えで一歩踏み入れます。今回、お出迎え・案内してくれたのはベトナム人スタッフのリンさんです。

チェックインは、おしゃれでモダンな雰囲気のロビースペースで。ゲストカードの記入、食事時間や貸切風呂の予約、館内の説明などをしてもらいます。建物は、明治時代の洋館をイメージして改装されており、ここはかつてダンスホールだったそうです。

ウェルカムサービスとして、明治時代に作られたお菓子とお茶やコーヒーなどの飲みものをセットで用意してくれます。これだけでも、まるで雰囲気のいい、レトロな老舗のカフェに来たような気分です。

こちらが全3種。羊羹は季節によって変わるそうで、この日は秋の紅葉をイメージした寒天が重なっているものでした。

好きなものを選べるとのことで、日本らしい桜湯と最中をチョイス。日本には、桜が咲く季節のお菓子や和食に使われる“桜の花の塩漬け”があり、桜湯はこれにお湯を注いだものです。

お菓子の最中(もなか)は外側の皮とあんこが別包装になっていて、食べる時に自分で挟むのでパリパリの食感を楽しめます。このひとときで、チェックインからすっかりリラックスしてしまいます。

客室に用意されているものとは別に、女性は好きな浴衣の柄を選ぶこともできます。

館内はとても広いため、客室までの行き方、食事処やラウンジ、お風呂といった各施設についてもスタッフの方が案内してくれます。「想像以上に広くて迷ってしまった!とおっしゃるお客様も多いんですよ」とリンさん。

●日本文化にゆったり浸れる充実の設備とスペース

ロビーや客室もゆったり過ごすことができますが、それ以外にも時間を忘れてリラックスできる設備やサービスがたくさんあります。

こちらがテラス。大きな窓から景色を眺めつつ、お茶やお酒を嗜んでゆっくり過ごしたい場所です。

大きな窓と外には和の庭園、立派な書、大きなソファで広々としたラウンジは、24時間誰でも使うことができます。日々の喧騒を忘れて、飲み物を片手にゆっくり本を読んだり、考え事にふけったりするのに最適です。

こちらは囲炉裏のあるラウンジ(フリースペース)。

「囲碁」や「けん玉」、「オセロ」など日本人にとっては昔なつかしいおもちゃ類も置いてあります。囲炉裏を眺めながら談笑するもよし、ゲームやおもちゃで遊ぶもよし。一昔前の日本にタイムスリップしたような気持ちになります。

長い歴史を歩んできた松坂屋本店には、今となっては貴重な家具や写真、資料、展示品、装飾品がいたるところに飾られています。まるで小さな博物館のようです。

明治天皇が使用されていたという貴重な姿見(鏡)もあります。

●おもてなしの心あふれるスタッフの接客サービス

●おもてなしの心あふれるスタッフの接客サービス

これまでたくさんの宿泊施設を経験してきたからこそ感じるのが、スタッフの方々の接客力の高さです。到着時の第一声、笑顔、ふるまい、きっと一瞬で心をつかまれてしまうはず。丁寧でありながら堅苦しさはまったく感じず、初めてでもなぜか懐かしい場所に帰ってきたかのような安心感、あたたかさがあるから不思議です。

「『松坂屋本店』は、当社が運営する宿泊施設のなかで、海外からのお客様にもっとも多く利用していただいています。特別なプロモーションはしていないのですが、実際に宿泊された方の口コミやレビューを見てくださっているようです。当館は約半分が外国人スタッフで、母国語以外に英語、日本語でご説明できます。日本で体験できるおもてなしを英語でお伝えできるという点は、外国のお客様に評価していただいているひとつではないかと思っています」そう話してくれたのは、女将の牧野文江さん。

「接客が楽しい!というスタッフばかりで本当に心強いですし、お客様のためにと自ら積極的に動いてくれて…女将である私自身が日々助けられています。スタッフと話せることを楽しみにリピートする方も多くいらっしゃって、とてもありがたいことです」
女将・牧野さんのお話の端々にスタッフの方との信頼関係や人間関係の良さが感じられ、それがそのままサービスの質やおもてなしの心に繋がっているのだと納得できました。

●費用を気にせず満喫できるオールインクルーシプ

松坂屋本店の宿泊プランは、旅館ではめずらしいオールインクルーシブスタイル。朝夕の食事を含め、ロビーラウンジや大浴場の湯上がり処、客室内のドリンク(アルコール含む)、貸し切り風呂の利用などは、全て料金に含まれています。

フロント横にあるフリードリンクバースペースには、ジュース、お茶やコーヒーなどのソフトドリンク、アルコール、スナックが揃っています。

神奈川の地酒(日本酒)やサワー、ビール、ワインなども好きなだけ飲んでOK。利用時間は15:00~22:00/7:00~12:00で、各ラウンジやテラス等での公共スペースで楽しむことができます(温泉エリア、客室への持ち込みは不可)。

全5タイプの貸し切り露天風呂は、チェックイン時に時間予約をすればOK。空いていれば滞在中は何度でも利用できます。

客室風呂、大浴場とはまた違って、大きな空や山の景色を味わいながらもプライベート空間を保ってリラックスできます。タトゥーがある方でも貸し切り風呂なら心配ありません(大浴場は不可)。

●必要なものはすべてそろっている客室設備&アメニティ

●必要なものはすべてそろっている客室設備&アメニティ

客室は広々としていて、和を基調とした落ち着いたデザイン。足元から温めてくれるこたつは、日本の冬の風物詩でもあります。最近は日本の家庭でも使用することが少なくなっており、日本人でも喜ぶ方が多いのだそうです。

ベッドルームは別にあるので、ゆっくりと過ごせます。(3名以上の場合は、和室で布団を用意)

海外と比較して間違いなく日本の宿泊施設で充実しているのが、アメニティ類。特にこちらのアメニティの充実度は完璧で、くし、カミソリ、歯ブラシ、コットン、綿棒等をはじめ、入浴時に便利な髪を結ぶシュシュもあり、手ぶらで行ってもまったく問題ありません。

ソープ類は、オーガニックコスメ「Sensatia Botanicals」のシャンプー、コンディショナー、ボディーソープ。持ち運びに便利なトラベルサイズです。

化粧水、乳液、ボディクリームなどの基礎化粧品・スキンケア用品もこの通り揃っています。

クローゼットには、パジャマにもなる浴衣と帯、靴下、そして“湯かご”と呼ばれるお風呂への移動に便利なかごバッグも用意されています。自分で用意していかなくてもまったく問題ありません。

自由に利用できるコーヒーマシンやお茶、冷蔵庫。

テーブルには、日本の旅館ならではのお着き菓子(ウェルカムスイーツ)の松坂屋本店オリジナルナッツとお茶が用意されています。

ウッドスピーカーも好評だそうで、好きな音楽をいい音響で聞くことができれば、よりくつろげます。

●開放的な空間でめずらしい泉質の温泉

お風呂の空間そのものと、温泉自体の泉質の良さもおすすめのポイント。客室の温泉(部屋タイプによる)を含めると、大浴場、貸し切り風呂と雰囲気の違った温泉が楽しめます。

大浴場「権現湯」は2023年2月にリニューアルされ、趣ある雰囲気は残しつつ、きれいでより心地よい空間へと生まれ変わりました。木目調の内装で落ち着きがあり、大きな窓からは太陽の日差しがたっぷり入る明るく開放的な空間です。また、大浴場は宿泊者だけが利用できる特権です。

また、貸し切り個室源泉風呂「万右衛門の湯」は2019年4月に完成しており、貸し切り風呂のみ宿泊者以外も日帰り温泉として利用もできます。

大浴場、貸し切り露天風呂、客室風呂など、松坂屋本店の温泉はすべて、100%源泉掛け流し(加温・加水・循環をしていない)。常に湧き出ている温泉成分をたっぷり味わえます。
※日帰り利用:1室8,800円 /1〜2名・120分[入浴60分+ラウンジでの休憩60分]

松坂屋本店がひいている温泉の源泉「芦之湯温泉」は、1,260年以上前に始まったと言われ、神奈川県内で唯一、国民保養温泉地(温泉の効果が期待され保養に優れていると指定された温泉地)に指定されているエリア。「三大美肌泉質」の成分すべてが入っている、とてもめずらしい温泉なのです。

イオウ成分が入っていると、濁りや香り、刺激が強く気になる場合もありますが、ほどよいイオウの香りとともに透明感のあるお湯。少し手を入れただけでしっとりすべすべに。

ちなみにお湯の中にある白い砂のようなものは“湯の花”といい、これこそが美肌成分の素。「知らないとゴミのように見えてしまうのですが(笑)、温泉の良い成分ですので安心してお入りください」とリンさん。

おすすめの温泉の入り方も教えてくれるので、ぜひ聞いてみてください。

●旅館ならではのお宿グルメ

●旅館ならではのお宿グルメ

温泉と並ぶ旅館の醍醐味と言えば、「食事」。明治の文明開化の頃、箱根宿がにぎわっていた頃にふるまわれていた料理をイメージした献立は滋養に満ち、旅の疲れを癒してくれます。

夕飯は旅人をもてなすための「宿場会席」。地元足柄牛の陶板焼、お米マイスターが厳選したお米を使用した釜炊きごはんは、特に好評だそう。

また特別料理として追加注文できる「季節の野菜天ぷら盛り合わせ」は、金乃竹グループの中で松阪屋本店だけで味わえるものです。

朝食は旅立ちをサポートする「旅人朝食」と、オリジナリティあふれるコンセプト。栄養に優れていて消化に良い麦ごはん、具沢山のけんちん汁、脂の乗った干物とボリュームたっぷりで、干物は近海で取れたアジの干物、金目の干物など数種類から選ぶことができます。

食事処は、半個室で周りを気にせずゆっくり楽しめる座席設計。

大人数のグループ、お子さん連れ、よりプライベートを重視したい場合には、完全個室の用意もあるのでリクエストしてみてください。

「時間いっぱいに滞在してたっぷり満喫する」のがおすすめの過ごし方

「時間いっぱいに滞在してたっぷり満喫する」のがおすすめの過ごし方

宿周辺、箱根エリアは観光スポットがたくさんありますが、松坂屋本店に宿泊する際は、ぜひチェックイン~チェックアウト時間ギリギリまでたっぷり滞在するのがおすすめです。

館内は、コンセプトの異なるラウンジ、湯上がり処、客室など、くつろげる空間がたくさんあるので、ぜひ時間に追われず味わってください。

知っておきたいポイント

知っておきたいポイント

松坂屋本店に宿泊する際に役立つ、ちょっとしたポイントも紹介します。

  • 現在箱根は訪日外国人、日本人観光客のどちらからも人気。紅葉や桜などの観光シーズンは、始発以外の途中の停留所からバスに乗車する際は、満員で乗れないことも。小田原駅や箱根湯本駅、または箱根港など、始発からの乗車がおすすめです。
  • 東芦之湯エリアは、箱根湯本駅周辺より7℃前後気温が低いので、気温差に注意!館内は暖かいですが、外は思った以上に冷えることがあります。
  • リクエストやお願いがあれば、スタッフの方にまず相談するのが得策。特に、食事のアレルギーや好みなどは事前の予約時に相談しておくのがベストです。

極上のおもてなし&旅館文化体験なら箱根にある「松坂屋本店」

和の雰囲気からサービス、温泉や食事…日本で体験してみたいと思う旅館ステイが叶うのが、松坂屋本店。それ以上に、日本においてもトップレベルのおもてなし、他では味わえない居心地の良さがあると感じました。「またここに来たい」と思わせてくれる旅館体験と思い出がきっと作れるはずです。ぜひ最高の旅館体験を味わってみてください。

施設情報
  • 部屋数:全22室
  • 営業時間:チェックイン 15:00/チェックアウト 11:00
  • 料金:34,250円~/1名 ※平日2名1室利用の場合あたり
  • 松坂屋本店
    • 住所 250-0523 神奈川県箱根町芦之湯 55
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    • 最寄駅 小涌谷 駅 (箱根登山鉄道)

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Written by:

島田みゆ

島田みゆ

旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。X(旧Twitter):@myuu_works

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