新型コロナウイルスの感染拡大防止に、世界的にマスクの需要が高まっています。日本では以前からインフルエンザ予防や花粉症対策でマスクをする習慣があったのは知られているところですが、マスク不足や暑さ対策で日本国内のメーカーから独自のマスクが続々と誕生しています。そんな日本のマスクトレンドを紹介します。
2020年、日本のマスク事情はどう変わった?
日本では、冬から春にかけてインフルエンザ予防や花粉症対策でマスクを着用する習慣があります。その土台には、風邪予防=マスク・うがい手洗いという伝統的な風習があり、毎年秋頃になると、多種多様なマスクがドラッグストアの店頭に並びます。これまでの主流は不織布素材の使い捨てマスクで、機能性、フィット感、肌ざわりなどを重視したマスクが、主に医療品メーカーや日用品メーカーから販売されてきました。
ところが、新型コロナウイルス感染症の拡大によって、日本のマスク事情は一変。マスク不足は深刻化し、どの店でもマスクが買えない状況となりました。
そんな中、日本政府が打ち出したコロナ対策第一弾は、各家庭に2枚マスクを配布するというもの。各国が現金支給等の手厚い支援を行うなか、まさかのマスク配布、しかも一家に2枚だけ…。これには世界中が驚かされました。
なかなか届かない政府のマスク(アベノマスク)を待つよりはと、動画サイトやSNS上でマスクの作り方が拡散され、おしゃれで個性的な手作りマスクが次々と登場、今やファッションアイテムの一つと言える地位を確立しています。
もちろん、技術力を誇る日本の衣料品メーカー、スポーツ品メーカーなども黙ってはいません。優れたマスクが続々と誕生しています。
それぞれにこだわりを持った個性派マスク、さてどんなものがあるのでしょうか。
これぞメイドインジャパン!職人気質が生んだ粋なマスク
1.足袋職人が生み出す縫製の美しさと着用感にこだわった布製マスク
創業1882年、レッグ・インナーウエアブランド「福助」のこだわりは、見た目のよさと着け心地のよさ。日本人がまだ着物で生活していた頃、履き心地の良さとコスパで足袋(たび/着物を着る際の靴下)業界に革命を起こしたという『福助足袋』のこだわりを細部に活かしたマスクは、しわになりにくく丈夫、さらに乾きやすいオリジナル生地を使用。顔に直接触れる裏面には綿生地を付けた仕様で、福助足袋を製造する国内工場で作られています。
230年以上磨き続けてきた、裁断や縫製の技術を活かした、涼しげで着け心地のよい、とっておきのマスク。長く愛用できるマスクになりそうです。
2.岡山のデニムファクトリーが高度な技術で生み出した、サスティナブルマスク
日本製デニムは、品質の良さから海外でも高い評価を受け、人気が高まっています。そんな日本製デニムの聖地、岡山県井原市に本社をおくジーンズ縫製工場「青木被服」が、マスク不足に貢献したいと、3月からデニムマスクを製造開始しました。
デニムの素材は、すべて岡山県井原産。環境や循環に配慮し、持続可能な仕組みで作られた、まさにサスティナブルなデニムマスクは、色合いがなめらかで上品な質感が特徴。日常に欠かせないマスクだからこそ、ファッションとしても楽しんでほしいという願いが込められています。
機能が秀逸!スポーツやビジネスを快適にする高性能マスク
1.アクセス殺到で5万枚から87万枚に増産!「ミズノ」の水着素材マウスカバー
野球やゴルフ、陸上などあらゆるスポーツ用品を扱う創業1906年の老舗スポーツメーカー「ミズノ」。名だたる選手がミズノの高速水着を着用してタイムを伸ばし、世界中にミズノの名前を轟かせたことから、ご存じの方も多いのではないでしょうか。
そんなミズノの水着素材のマウスカバーは発売前から話題を呼び、第一弾・第二弾ともに販売サイトへのアクセス過多でシステムダウンするほど。第二弾は当初5万枚の販売予定から87万枚に増やしました。
また、第二弾では、アンダーウエアやスポーツウエアに1998年から使用しているミズノ独自の夏向け素材を使用した「アイスタッチ」も70万枚発売。熱放散がよいため、肌に触れたとき心地よい清涼感がある着け心地なんだそう。どちらも水着素材だけに、フィット感と速乾性は抜群!スポーツシーンに欠かせないマスクになりそうです。
※第二弾の販売予約受付は終了しています。
2.行列してでも買いたい!ユニクロ、オールシーズン用「エアリズム マスク」
衣料品メーカー大手のユニクロからは、「マスクとしての防御性能」「洗濯可能」「つけ心地」という3つの性能をあわせもつ「エアリズムマスク」が登場。
「エアリズム」は、ユニクロ独自のテクノロジー素材でさらりとした心地よい肌ざわりが特徴。内側のエアリズムと表側のUVカット機能が付いたメッシュ素材の中間に、「高性能フィルター」を内蔵し、マスクとしての高性能を実現しています。20回以上洗濯を繰り返しても、フィルター性能が持続することが実証されているんだとか。性能の高さと肌ざわりのよさを両立させた、オールシーズン用のハイブリッドマスクです。
1パック(3枚組)990円(税別)、S,M,Lの3サイズがあります。
3.発売前に完売!? キシリトール配合の涼感素材、ヨネックス・スポーツフェイスマスク
バドミントンやテニスラケットで有名なスポーツブランド「ヨネックス」の夏マスクは、発売前から話題を呼び、公式オンラインショップで予約抽選がスタートするや即完売。次回の販売は計画中という人気マスク。
人気の秘密は、汗に反応して熱を吸収する植物由来キシリトールを生地に配合した、独自開発の生地「ベリークール」を採用していること。同社のスポーツウェアにも使用されており、抗菌加工で匂いにくく、吸汗速乾が特徴。鼻部分の形にフィットする調整機能付きで、ずれにくいので、スポーツに最適です。
マスクまわりの空気を冷やすこんなアイデア商品も!
最後に、マスクではありませんが、マスクまわりの空気を冷やすという新発想のアイデア商品をご紹介します。
夏にマスクをつけることで高まる熱中症のリスクを緩和するために、熱中症予防の研究と製品開発を手掛ける「東京ファン」は、水の気化熱で冷却した空気をマスクの表面に沿わせて流すことで、マスクごしに吸い込まれる空気を冷やす技術を開発。「マスク冷風扇」として日常用と仕事用の2製品を販売開始しました。ある意味、どんなマスクにも対応する優れものです。
まだまだ進化中の日本のマスク市場から目が離せない!
いかがでしたか?ここで紹介したのはごく一部ですが、暑い夏に向け、さらに機能性あふれるマスクが次々と生まれています。ファッションか機能か、あるいは涼しさか。新しいアイデアが次々と生まれるジャパンマスク市場から目が離せません。
Text by クリンク
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