東京ほど大都市ではないけれど、利便性が高く、かつ有名な観光地が点在する関西エリア。観光するのにぴったりなのはもちろん海外からの移住者も多く、皆さん関西での暮らしを楽しんでいます。
本記事では、そんな関西在住外国人4名にご登場いただき、「なぜ関西に住んだの?」「関西の魅力ってどんなところ?」と疑問をぶつけてみました。在住外国人を虜にする、関西エリアの魅力って?
「フレンドリーな人が多く、面白い出会いがある」サニー・フランシスさん(インド出身)
「日本は治安がよくて人もやさしい、安心して旅ができるのが魅力」というサニー・フランシスさん。タレントとして、テレビやラジオ番組にレギュラー出演する傍ら、インドからの観光客のコーディネートもしています。テレビの情報番組では日本の魅力をレポート、ラジオではパーソナリティとして80年代のポップスを流し、冗談を交えたトークにファンが多いのです。
サニーさんはインドの南ケララ生まれ。33年前、大学を卒業後、日本に留学中の先輩に誘われて関西にやってきました。初めて住んだ町は大阪の西成区。驚いたのは「どこの国の人?」とやたら話しかけてくることで、「なんてフレンドリー!」と親しみに変わりました。
YMCAで読み書きを勉強し、アルバイト先の飲食店で身につけたのは関西弁。関西のツッコミやボケといった会話の面白さを体感したことが、いまラジオでしゃべるのにとても役立っているそうです。
「台湾人の奥さんと結婚して子どもが生まれ、子どもたちの学校の都合で神戸へ。神戸は洗練された街で住むにはとても良い環境。テレビ出演などで東京にも行きますが、長年暮らした関西の方が好き。特に大阪は街を歩くだけで面白いネタが拾えます」とサニーさん。
日本については、「財布を落としても戻ってくる、だまそうと近寄ってくる人はいない、安心して街を歩ける、日本は気持ちよく過ごせる国です」と評価します。
「日本でもインド料理店に行くほどインド人は食べ物へのチャレンジが苦手です。ぜひ日本食を食べて、その美しさと味の良さを知ってほしい」と同郷の仲間にメッセージを送ります。
情報スタジアム 4時キャッチ(サンテレビ)
サニー・フランシスのマサララジオ(ABCラジオ)
FROM OVERSEAS -INDIA-(FM cocolo)
「関西の自然が大好き」松尾カニタさん(タイ出身)
タイ・バンコク出身で、大阪在住の松尾カニタさん。タイのタマサート大学政治学部を首席で卒業し、慶應義塾大学大学院に進んで博士課程を修了。京都大学の東南アジア研究センター故矢野暢教授の助手を務め、その後ラジオ局の多言語放送パーソナリティとして約24年間活躍し続けています。
ほかにも、ウェブサイトのプロデュースやタイ国政府観光庁制作物のコーディネーターなど、日本人とタイ人それぞれに双方の魅力を伝える活動を行っています。
「関西へ来るタイ人観光客の多くは、宿泊先は大阪でもそこに留まらず、京都や奈良など関西のいろんな場所に行く。関西一円を紹介できるサイトがあればニーズに応えられると思いました」。
そこで関西のいろんなスポットに出向き、自ら写真を撮って文化や背景を紹介するタイ人向けのFacebook「Japaninfo」をスタート。関西を中心に美しい風景や興味深い文化を紹介し、日本好きなタイ人に刺さる記事を配信しています。
「Japaninfo」を立ち上げて約3年、徐々に知名度を上げてフォロワーは現在1万5千人ほど。
そんなカニタさん、じつは大阪にきた当初は関西弁が苦手でした。というのも、留学中に下宿していた東京の家庭では、主人を「おじさま」、その妻を「おばさま」と呼ぶほど上品だったから。距離の近い関西の家庭にすんなり馴染めなかったのです。
けれども、「ゴホゴホと咳をしていたら、関西の人は“大丈夫?”と必ず声をかけて助けてくれる。気持ちの表し方がとてもストレートなんですね。そんな地域性に惹かれていきました」と、今では関西弁も難なく操るほど関西好きになりました。
「和歌山や奈良の山あいなど、関西には美しい自然がたくさんあります。ぜひ日本の原風景の美しさにも目を向けてほしい」。人の温かさや自然の尊さ。カニタさんにとって関西は、まだまだ底知れない魅力溢れる場所なのです。
Japaninfo
「大阪での人との触れ合いが楽しい」ケルヴィン・チョウさん(インドネシア出身)
インドネシアの北部、スマトラ島出身のケルヴィン・チョウさん。広告代理店でアートディレクターとして務めていましたが、海外移住を決意し、興味のあった日本を選びました。
移住先は最初東京を考えていましたが、先に住んでいた友人から「東京は大都会すぎて大変。街の雰囲気も冷たい感じがする」と聞き、大阪へ行くことに。日本語学校で2年間学んだのち、映像制作の専門学校に入学。卒業後にテレビ番組の動画制作とオリジナル動画コンテンツを手がける株式会社ピー・キューブに入社しました。
大阪では人と人との距離の近さが感じられ、地元の人との触れ合いの時間も楽しめているそうです。
「動画コンテンツ『ビックリ日本』のディレクターとして、企画、撮影、編集すべて行なっています。いろんな方に見ていただいているのですが、中でも私が出演・制作した、外国人観光客に“日本でガッカリしたことは何ですか?”とインタビューする動画は、国際間での文化の相違が学べると近畿大学の授業でも使われたそうです(笑)」
内容が充実しているのはもちろん、日本語を話しているときには繁体字の字幕、中国語を話しているときには日本語の字幕をつけているため、日本語・中国語の勉強にもなると人気に。2019年11月現在、YouTubeでのチャンネル登録者数は11万人を突破しています。
関西の好きなところは「京都や奈良などにすぐ行けること」。いちばん好きな場所は京都の北部・美山町の「かやぶきの里」。
大阪から車で約2時間の場所に、これほど歴史ある風景が現存しているのはとても興味深いと大絶賛です。車で関西の田舎街を巡る旅、なんとも楽しそうですね。
惊奇日本 【ビックリ日本】
大阪・道頓堀で外国人観光客に突撃インタビュー第3弾!日本でガッカリしたことは?【ビックリ日本】
「おもてなしの心や温かさのある関西が大好き」ヒューズ・ロジャー・マシューさん(アメリカ出身)
子どもの頃にテレビで浮世絵を見て衝撃を受けたことがきっかけで美術を専攻し、歌麿や北斎について勉強を続けてきたというニューヨーク生まれのヒューズ・ロジャー・マシューさん。
関西に来て16年、ホテルやレストランなどの壁や天井に巨大な絵を描く「インテリア壁画」をメインにアーティストとして活躍しています。マシューさんが描く浮世絵には独自の世界観があり、そのインパクトに思わず引き込まれてしまいます。
日本伝統のイメージは「着物・芸者・舞妓さん」だったというマシューさん。みんなが着物を着ていないことに最初は驚いたそうです。
「京都では、着物を着ていたら特典が受けられる店やタクシーがあるし、文化をキープしようという考えが素晴らしいですね」。京都が大好きで、「私からみると、東京だけじゃ、日本に行ってきたとは言えないですね」と話します。
自動販売機にホットとアイスがあること、タクシーの自動ドア、列車の女性専用車両など、日本での小さな驚きは数々あるのですが、印象的だったのは京都で見かけた無人販売のお店。
商品だけ並んでいるのが不思議でその様子を見ていたところ、次々と訪れるお客さんはちゃんとお金を置いて商品を持ち帰りました。この驚きも、「日本にずっと住みたいと思った理由の一つ」だったそうです。
「安全で自分らしく生活ができる日本」にすっかりなじみ、もはや「外国から来て日本に住んでいるのではなく、日本人として日本に住んでいるような感覚」とマシューさん。
おもてなしの心や温かさ、伝統文化のすばらしさなど、日本を旅行する外国人に体験してみてほしいことはたくさんあります。そして「必ず京都や大阪へ!」と、関西愛をたっぷり込めたメッセージも忘れません。
関西は歴史や文化が息づき、人も温かい
今回ご紹介した関西在住外国人4名に共通したのは、関西は歴史を感じる美しい街だということと、人が温かいということ。
たしかに観光スポットが点在し、電車や車で1時間程度行けば都会の喧騒から離れることができます。かつやさしい人が多くさまざまな面で助けてもらえるのは、観光客にとってありがたいところです。
ぜひ関西を旅し、大阪や京都はもちろん、奈良、兵庫、滋賀、和歌山も巡って魅力を再発見してみてください!
Text by:株式会社ウエストプラン
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