大阪のトレンド発信エリアのひとつ、心斎橋・アメリカ村にある雑居ビル「三ッ寺会館」には、大小さまざまな飲食店が集まっています。実はここ、大阪で1、2を争うディープスポットとしても名高いビル。
1Fの道路に面する店舗は明るく入りやすい雰囲気ではあるものの、B1Fや2Fはなんとも薄暗く、思わず侵入をためらってしまうほど。怖い……でも冒険心がくすぐられる……! というわけで、勇気を振り絞って突撃してきました。
三ツ寺会館ってどんなところ?
大阪のキタとミナミを繋ぐ道路、御堂筋沿いにある交差点「御堂筋三津寺町」を西に曲がると見える雑居ビル「三ッ寺会館」(通称ミッテラ)。外からは1Fの路面店しか見えませんが、B1Fから4Fにも小さなバーや飲食店が約60店舗ひしめいています。
ただし、中の店舗のほとんどは営業中でも扉が閉ざされ、外から様子をうかがうことができません。このため実に入りづらく、「大阪で最大級のディープな飲食スポット」として名を馳せているのです。
日が暮れてから営業する店舗が多く、夜になるとネオンが灯ってより一層怪しげな雰囲気に。突入するには少々勇気が必要ですが、覚悟を決めて行ってみましょう!
まずはオープンな1Fから攻めてみる
1Fの店舗は外からでも中の様子がうかがえ、どの店も入りやすい雰囲気。「いらっしゃいませー!」という威勢の良い呼び込みもあります。というわけで三ッ寺会館初心者は、まずは1Fのグルメ店でお腹を満たすべし。
焼き鳥で一杯「グリルキッチン チャンポン」
最初にうかがったのは、炭火焼鳥とお酒が楽しめる「グリルキッチン チャンポン」。炭火で焼かれた鶏肉は、ほどよく脂が落ちて肉に旨味が凝縮。炭の香りも肉に移り、食欲をガツンと刺激します。
お店は縦長の作りで、手前にカウンター、奥にテーブル席という配置。洋食屋さんのような小洒落た雰囲気で、数人で訪れてワイワイお酒を飲むのにも良さそう。奥にはテレビがあり、世界的なスポーツイベントの開催時期にはテレビ観戦も楽しめます。写真付きの英語メニューもあるので外国人観光客にも安心!
ここでは、名物の「名古屋コーチン親鶏 もも炙り焼」(1,100円・税込)をいただきましょう。日本の有名なブランド鶏・名古屋コーチンの親鶏を、炭火で炙って香りをまとわせた一品。しっかりとした噛み応えの肉からは旨味がどんどん溢れ、ビールがすすむおいしさです!
最後はガーリックorバターライスを鉄板に投入し、肉汁と混ぜ合わせてパクリ。肉の旨味をまとったご飯、たまりません!
店主の米村さんはとっても朗らかな人柄で、「僕、おしゃべりが好きなんです(笑)。外国のお客様にも楽しかったなーって思ってもらいたいんで、英語はそんなに得意じゃないんですけど、身振り手振りで話しかけますよ〜!」とのこと。
ここが大阪イチのディープスポットだと忘れてしまうほど、気さくな店主に癒やされてしまいました。
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グリルキッチン チャンポン
- 住所 〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ッ寺会館9・12号 1F
- 電話 06-6211-3382
営業時間:18:00~翌5:00(4:00LO)
定休日:無休
治安がいいとは言えない…!? いよいよ2Fに突入
1F路面店の華やかな雰囲気とは打って変わって2Fへ繋がる階段は暗く、落書きもびっしり。お世辞にも治安がいいとは言えない雰囲気に満ちていますが、階段を上がってみましょう。
2Fフロアは暗さはないものの、蛍光灯ならではののっぺりとした明かりに照らされ、逆になんだかただならぬ雰囲気。
ビクつきながらも、目当てのバーに到着です。
不思議でかわいい「昭和ときめきサロン 桃色宇宙」
ぬいぐるみやお面、ドット柄など、不思議な装飾がなされたこのお店、三ッ寺会館の有名バー「昭和ときめきサロン 桃色宇宙」です。
「こんばんは〜」と扉を開いて中に入ると、びっくり! カウンターだけの小さな店内には、カラフルな球体がびっしりとぶら下がり、その間から人形やぬいぐるみがチラチラ。パステルカラーのライトや天井のレースも相まって、一気に不思議世界へと誘われます。
どこもかしこもカラフルで過剰。どこを見ても新鮮でフォトジェニック。過剰な装飾ゆえソワソワして落ち着かないのでは……と思いそうですが、全体的には薄暗くカラフルなアイテムに囲まれる楽しさもあって、妙に居心地がいいです。
この店のオーナーはじゅんこさん。もともと三ッ寺会館によく遊びに来ており、「いろんな人たちの出会いの場にしたい」と、ここをオープンしました。
「うちのお店は1人で来られる方がほとんどですが、私がみんなに話を振るので、気づいたら知らない人同士で仲良くなっていることが多いかな。だから、できるだけ協調性を持って場の雰囲気を楽しんでほしい。ベロベロに酔っ払った状態だと良好なコミュニケーションは育めないから、そういう人が来られた場合はお断りすることもあるんです」。
そんなじゅんこさんの姿勢に惹かれて、20〜30代の男女を中心に魅力的な人たちが夜な夜な集まり、おしゃべりを楽しんでいます。初来店時には24時までに訪れるのがこのバーのルール。平日の早い時間が狙い目です。
なお、2020年2月には現在の店内装飾を一新するのだそう。この店内で飲みたいなら、早めに訪れて!
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昭和ときめきサロン 桃色宇宙
- 住所 〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ッ寺会館2F
営業時間:18:00~翌3:00
料金:チャージあり、ドリンク700円(税込)〜
定休日:月曜
怪しげな雰囲気MAX!B1Fへ行ってみた
じゅんこさんとのトークに心がほぐれたところで、いよいよ最ディープゾーン、B1Fへ。2Fは通路からは外が見えるのでまだ開放的なのですが、B1Fは閉鎖された空間に扉を閉めきったお店がずらずらと並んでいて、さらに怪しげな雰囲気。
目的のお店は、この通路のいちばん奥にあるロックバーです。
マンガとロックを愛する「BARプカプカ」
アコースティックギターの看板が目印の「BARプカプカ」は、1995年創業。三ッ寺会館の中でもかなり古くからあるバーです。ロックバーとはいえ肩肘張らない雰囲気で、BGMはオールジャンル。普段は90年代の洋楽・邦楽が多いですが、リクエストも自由に行えてさまざまな音楽をつまみに、楽しくお酒が飲めます。
店内はアコースティックギターやマンガ、本、さまざまなジャンルのポスターなどが所狭しと並べられ、まるで大人のおもちゃ箱。マンガが多いのは、「完全な僕の趣味です(笑)」とオーナーの大吾郎さん。そんな話を聞きつけてか、著名なマンガ家さんがふらりと訪れることもあります。
過去にはフランスのロックバンド・Phoenixが来店したことも! 日本のロックフェス「SUMMER SONIC」にトリとして出演した後、お忍びで現れたそうです。
「いきなり大勢の外国人が飛び込みで来て、しかもそれがPhoenixのメンバーだとわかって、もうびっくり! リクエストされた曲をかけつつ、僕も選曲して流していたら“ヒュー!”って盛り上がってくれて。翌日、メンバーのひとりが店に来て“キミのDJよかったよ!”ってそれだけ言って去っていったんです。あれは嬉しかったなあ」。
外国人ミュージシャンも虜になる「BARプカプカ」。堅苦しくなくウェルカムな雰囲気で、さらに居心地もよく、とっても楽しい空間でした。
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Barプカプカ
- 住所 〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ッ寺会館B1F
- 電話 06-6212-3443
営業時間:18:00~翌5:00
料金:チャージ400円、ドリンク500円(ともに税込)〜
定休日:無休
三ッ寺会館のシメといえば「うのたけ」
たっぷり飲んだ後は2Fに戻り、朝6:00までオープンしているうどん屋さん「かすうどん うのたけ」でやわらかな大阪うどんに舌鼓。
アジア各国をバックパックひとつで旅していた宇野さん。いろんな料理を食べてみた中で、やっぱり「その土地ならではのローカルフードがいちばんうまい」と気付きます。日本に戻り、よく飲みに来ていた三ッ寺会館でお店を開こうと決め、大阪のソウルフードは何かと考えて「かすうどん」を選びました。
「“かす”とは、牛の小腸を脂が抜けるまでじっくり揚げたもののことです。僕自身よく食べていたし、馴染みがあった。これでいこうってすぐ思いましたね」。
厳選した鰹節と北海道産の昆布でとった旨味たっぷりのだしや、大阪ならではやわらか食感のうどんが、アルコールで疲れた胃にやさしく広がります。かすの風味もまた絶品で、コクもあって食べ応えも十分。シメに訪れる人がほとんどで、夜中2:00頃からがピークタイムなのだそうです。
かすうどんと宇野さんの気さくな人柄に癒やされ、三ッ寺会館での夜が更けていきます…。
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かすうどん うのたけ
- 住所 〒542-0086 大阪府大阪市中央区西心斎橋2-9-5 日宝三ッ寺会館2F
- 電話 06-6212-9011
営業時間:20:00~翌6:00(売り切れ次第終了)
定休日:水曜
ディープだけど楽しい三ッ寺会館
ほかにも、人気のオムライス店や沖縄料理が食べられるバー、渋いショットバーなど、魅力的なお店がずらり。初めて訪れる人は躊躇してしまうディープなビルですが、一度足を踏み入れてみればどのお店も楽しくて、離れがたい! 隣に座った人との会話が盛り上がれば、三ッ寺会館の別のバーで飲み直すのもまた一興です。日本のアングラカルチャーに触れてみたい人は、ぜひ訪れてみてはいかが?
Text by:株式会社ウエストプラン
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