4月~6月の北海道は春から夏に向かって活気があふれる季節です。大地に色とりどりの花が咲き、動物たちの行動も活発になるなど、躍動感がみなぎっています。地元ライターが、この時期に訪れてほしいスポットを紹介します。
1)5~6月 芝ざくら滝上公園(滝上町)
札幌から高速道路で約4時間、道北の滝上町は、農業や林業など一次産業を基幹とする人口2,500人ほどの小さな町です。普段は静かな町ですが、丘一面が芝さくらでピンクに染まる季節は遠方からたくさんの人が訪れ、にぎわいを見せます。
芝ざくら滝上公園は、1957年に芝ざくらを中心とした花の観光地づくりとして、みかん箱ひとつの芝ざくらの苗を植えたことからスタート。毎年増殖を行い、今では10万平方メートルを誇る大群落になりました。開花の期間は、5月上旬から6月上旬までの1ヵ月間。ピンクの花は目に鮮やかで、甘い香りが街を包みます。芝ざくらの花びらは通常5枚ですが、それ以上の花びらを発見すると、ラッキーなことが訪れるそうですよ。
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芝ざくら滝上公園
- 住所 〒099-5604 紋別郡滝上町元町
料金:大人(高校生以上)500円 、小人(小・中学生):250円 (芝ざくら開花期間中)
アクセス:①滝上バス停から徒歩10分 ②オホーツク紋別空港から車で50分 ③JR旭川駅からバスで120分 ④札幌駅前ターミナルからバスで210分
2)5~6月 かみゆうべつチューリップ公園(湧別町)
札幌から高速道路で約4時間、オホーツク海沿岸の湧別町は「チョーリップの町」として知られています。その歴史は1975年に遡ります。「町に活気をもたらしたチューリップを後生に残そう」と、町の有志が小規模な面積にチューリップを植付けました。
花畑はその後「かみゆうべつチューリップ公園」として整備され、総面積12.5ヘクタール、作付面積約7ヘクタールに約200品種120万本のチューリップが植えられています。毎年5月上旬から6月上旬にかけて開花し、その時期に合わせて「チューリップフェア」が開催されます。
展望台にもなっているオランダ風の水車から公園を一望。彩り豊かな大地に目を奪われることでしょう。時間をかけずに公園内を巡りたいなら、「チューリップフェア」開催中のみ運行する電動バス「チューピット号(高校生以上300円、小・中学生100円、幼児は無料)」に乗車しましょう(運行日時は未定)。風車の正面やデザイン花壇だけでなく、風車裏側の公園奥からの雄大な眺めなど、たくさんのビューポイントが見つかりますよ。
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かみゆうべつチューリップ公園
- 住所 〒099-5604 北海道紋別郡滝上町元町
電話番号:01586-8-7356(かみゆうべつチューリップ公園総合案内所)
営業時間:8:00~18:00 最終入園は17:30
料金:大人(高校生以上)/1日券600円 、小人(小・中学生)/ 1日券300円
定休日:なし
アクセス:遠軽バスターミナルからバスで20分 チューリップ公園前下車
3)4月 宮島沼 7万羽のマガン(美唄市)
札幌から高速道路で約1時間20分、美唄市にある宮島沼は、わずか30ヘクタールの沼に最大7万羽以上ものマガンが集まる日本最大の寄留地です。
4月上旬に宮島沼に飛来してわずかな休憩をとり、下旬にはオホーツク海を越えて、繁殖地となる北極圏へ向かいます。その距離は約4,000km。気が遠くなるような長い旅です。以前は知る人ぞ知るスポットでしたが、今は野鳥の聖地として有名になりました。
餌場を求めて一斉に飛び立つ朝4時ごろの「ねぐら立ち」は絶景の瞬間です。地鳴りのような7万羽の羽ばたきに感動することでしょう。早起きが苦手な人には、夕方の「ねぐら入り」がおすすめ。編隊を組んで沼に戻るマガンが夕焼けの空を埋め尽くす光景は圧巻です。
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宮島沼(宮島沼水鳥・湿地センター)
- 住所 〒072-0057 北海道美唄市西美唄町大曲3区
電話番号:0126-66-5066(環境省 宮島沼水鳥・湿地センター)
営業時間:6:00~17:00
※マガン最盛期は開館時間を延長予定(春:18:30頃まで、秋:17:30頃まで)
料金:なし
定休日:月曜日
アクセス:美唄駅からバスで27分
4)4~5月 北海道神宮の桜(札幌市)
札幌市中心部に近い「北海道神宮」は、桜の名所として市民に親しまれています。境内にはエゾヤマザクラをはじめ約1,100本が植樹され、桜並木が表参道から本殿まで続いています。同時期に梅も見頃になり、濃淡の異なるピンクを楽しむことができます。例年開花は4月下旬、満開は5月上旬くらいまでが見頃です。
花見期間中は、境内にたくさんの出店が並び、お祭りのような雰囲気になります。桜の花びらが屋台の照明に照らされて飛び散る姿はとても幻想的。また、授与所で販売している湯茶「神宮の桜」は、お湯を注ぐとふんわりと桜の花が開き、お花見の気分を盛り上げてくれます。
5)5月 羊蹄山の春の風景 三島さんの芝ざくら庭園(倶知安町)
札幌から一般道で約130分、倶知安町在住の三島さんがご厚意で一般開放している自宅の庭園は 「三島さんの芝桜庭園」と呼ばれ、倶知安町に春を告げる名所となっています。
例年5月下旬~6月上旬に見頃となり、羊蹄山を背に約4,000平方メートルの花壇に、色とりどりの花々が鮮やかに咲き誇ります。公園と見間違うほど立派な庭園ですが、保守や管理はすべて三島さんがおこなっています。
また、私有地のため駐車スペースはありません。花畑に入らない、車で来た際は、くとさんパークまたは旭ケ丘総合公園に駐車するなど、マナーを守って楽しんでください。
※2021年の一般開放は未定
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三島さんの芝ざくら庭園
- 住所 〒044-0083 北海道虻田郡倶知安町旭51
アクセス:JR倶知安駅から徒歩15分
6)4~6月 知床ネイチャークルーズ(羅臼町)
オホーツク海に突き出した「知床半島」は、海から陸へとつながる生態系がわかりやすく見られること、希少な動植物の生息地となっていること、そしてこれらを保全していくための管理体制が整っていることが評価され、2005年に世界で3例目となる世界自然遺産に登録されました。
羅臼沖の根室海峡は、最深部の水深に大きな差があることから、多種多様な魚が集まる豊かな漁場です。そのため、イルカやクジラ、海鳥やオオワシなど、さまざまな生き物が集まるネイチャースポットでもあります。
4月~6月にかけて、エサを求めてシャチが姿を現します。とても活発な生き物で、海面へ自らの体を打ちつけるブリーチングや、頭部を海面に出して辺りを見渡すスパイホッピングなど、多彩な行動が観察できます。 好奇心が強いので、運が良ければクルーズ船に近寄ってくることも。世界中でもここでしか見ることができない光景が繰り広げられます。
<乗船にあたってのお願い事項>
1.乗船時は必ずマスクの着用(咳エチケット)をお願いします。
2.受付の際、ご乗船の際には必ずアルコール消毒をお願いします。
3.沖合に出ると風を受け体感温度が下がります。船に貸し出しのレインウェアがございますが、出来るだけご自身で防寒対策をお願い致します。
4.できるだけ手袋などの着用をお願いします。
5.しばらくの間、定員人数に関しては制限をし、三密を作らないよう務めます。
6.事務所での受付の際は、最少人数での受付にご協力ください。
7.船内への出入りは可能ですが、間隔をあけてのご利用をお願いします。
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知床ネイチャークルーズ
- 住所 〒086-1833 北海道目梨郡羅臼町本町27−1
- 電話 0153-874-001
営業時間:7:00から営業
料金:大人8,800円 4,400円(税込) ※未就学児無料
定休日:不定休
アクセス:①根室中標空港より車で約1時間30分 ②女満別空港より車で約3時間 ③釧路たんちょう空港より車で約3時間30分
7)5~10月 天空を覆う雲の海 星野リゾート トマム「雲海テラス」(勇払郡占冠村)
放射冷却によって霧や層雲が広域に発生する自然現象を「雲海」と呼びます。雲が海のようにひろがり、山々が島のように浮かんでいるように見えることから名付けられました。札幌と帯広の中間にある占冠村の「星野リゾート トマム・雲海テラス」では、天空を覆う雲海を見ることができます。
夏場にゴンドラを整備していたスタッフにとって、雲海は見慣れた光景に過ぎませんでしたが、「神々しい風景をお客様にも見てもらいたい」との想いから、2006年に雲海テラスが誕生しました。その狙いは的中し、たくさんの人が天国のような絶景を求めて雲海テラスを訪れています。
2021年8月には「雲海テラス」がリニューアルオープン。今までよりも前面にデッキがせり出して、展望の迫力が増しました。標高1,088mに繰り広げられる神秘の世界を体験してください。
※天候や気象条件によりゴンドラが運休する場合があります。
※時期により営業時間が異なります。
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星野リゾート トマム「雲海テラス」
- 住所 〒079-2204 北海道勇払郡占冠村中トマム
- 電話 0167-58-1111
営業期間:2023年5月11日(木)~10月16日(月)
ゴンドラ料金:大人 1,900円、小学生 1,200円
定休日:なし
アクセス:①札幌から道東自動車道利用で約120分 ②富良野から一般道利用で約70分 ③帯広から道東自動車道利用で約50分
8)6月 新緑の釧路湿原(釧路市)
初夏の釧路湿原は、貯えていたエナジーを一気に放出するかのように、一斉に緑が茂ります。東京都がすっぽり入る広大な大地には、確認されているだけでも、約700種の植物、39種の哺乳類、4種の両生類、5種の爬虫類、38種の魚類、200種の鳥類、1,150種の昆虫が生息。ラムサール条約にも登録されている貴重な湿原です。
釧路湿原には、たくさんの展望台があり、高い場所から湿原を見渡せます。また、いくつもの遊歩道が整備されており、バードウォッチングや植物観察をしながら、湿原の素晴らしさを堪能できます。カヌーやホーストレッキングなど、ネイチャーアクティビティーも充実していますので、自然の中に飛び込んでみてください。思いもよらない感動が待っていますよ。
9)6月 打瀬舟と北海シマエビ漁(野付半島)
釧路市から一般道で約140分、野付半島では、6月下旬から北海シマエビ漁が始まります。野付半島はオホーツク海に突き出した延長26キロメートルにわたる砂嘴で、一番狭い部分の幅はわずか50メートルしかありません。北海シマエビは海草の中に生息しており、打瀬舟は浅瀬の海藻を傷つけないよう、帆に風を受けて進みます。
水揚げされた北海シマエビはすぐに塩ゆでされます。生きているときは緑と褐色のストライプですが、ゆでると朱色に染まり、縞模様が浮き上がります。 一年間にわずか4週間ほどしか漁期がなく、漁獲量も少ないため、あまり市場に出回りません。この時期の道東旅行で必ず訪れたいスポットです。
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野付半島(別海町観光協会)
- 住所 〒086-1645 北海道野付郡別海町別海旭町67番地1 別海町交流館ぷらと内
電話番号:0153-74-9018(別海町観光協会)
アクセス:①釧路駅から阿寒バスで標津バスターミナルまで約2時間30分、標津バスターミナルから阿寒バスで 尾岱沼まで約20分 ②釧路市から車で約140分 ③中標津空港から車で約50分
10)6月~8月 丘を紫に染めはじめる「ファーム富田」のラベンダー畑(富良野町)
富良野エリアにはたくさんのラベンダー畑がありますが、その草分けとなったのが、札幌から高速道路で約2時間10分の中富良野町にある「ファーム富田」です。富良野では1952年に、香水用オイルとしてラベンダーが栽培されはじめましたが、オイル価格の下落により手を引く農家が後を絶ちませんでした。
ファーム富田も撤退を考えましたが、ラベンダーが愛おしくて、観賞用に畑の一部が残されることになりました。長い苦労の末、1976年に転機が訪れます。鉄道会社のカレンダーに起用されたことで、その美しさが日本全国に広まり、富良野やラベンダーが注目されるようになったのです。
6月下旬から8月上旬にかけてファーム富田の丘は、色とりどりの花が咲き誇ります。艶やかな光景はまるで夢のよう。今では富良野エリアのあちらこちらでラベンダー畑を見ることができますが、美しく花を見せる苗の植え方は、ファーム富田が抜きんでていると言っても過言ではないでしょう。初期のラベンダー畑は「トラディショナル・ファーム」と呼ばれ、大切にされています。ぜひ、富良野のラベンダーの歴史を感じ取ってください。
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ファーム富田
- 住所 〒071-0704 北海道空知郡中富良野町基線北15号
- 電話 0167-39-3939
営業時間:開園日程は公式ホームページにて告知。
料金:なし
定休日:なし(予定)
アクセス:JR富良野線・中富良野駅から徒歩20分、ラベンダー畑駅 (夏期のみ)より徒歩8分
絶景と一緒に美味しい食べ物を味わいましょう
ニシン、アスパラ、毛ガニなど、4月から6月の北海道は、旬の海産物や農作物が登場する季節です。その中には春から初夏にしか味わえない味覚も多数あります。絶景を見ながら、美味しい食べ物に舌鼓を打ってみてはいかがでしょうか。
Text by:Masakazu
※本記事の情報は2021年3月時点のものを2023年2月に更新しています。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
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