世界有数の透明度を誇る摩周湖は、アイヌ語で「カムイトー(神の湖)」と呼ばれる神秘的な湖です。その、独特の青色「摩周ブルー」と広大な自然が織りなす景色は、一度は見たい絶景です。摩周湖の透明度の秘密から、グリーンシーズン・スノーシーズンの見どころにアクティビティまで、1年を通した摩周湖周辺の観光の魅力をご紹介します。
摩周湖ってどんなところ?
摩周湖は、周囲約20キロメートル、面積が約19.6平方キロメートルあるカルデラ湖で、北海道の東部に位置する阿寒摩周国立公園の区域内にあります。摩周湖周辺は特別保護地区に指定され、急峻な崖に囲まれているため、湖へ降りることはできませんが、周辺に設置された展望台から絶景が楽しめます。
摩周湖はなぜ透明度が高いの?
摩周湖には流入、流出する川がなく、水源のほとんどが雨です。そのため、川からプランクトンや土砂などが運び込まれることがなく、透明度の高さが保たれていることが要因のひとつであるといわれています。
摩周湖の天候は?
摩周湖は「霧の摩周湖」という歌があるほど、霧の発生が多い場所として有名です。6月〜7月は特に発生率が高くなり、この時期はひと月の半分ほどしか湖を見ることができません。しかし時々、濃霧から晴天に一変することもあります。時間に余裕を持って訪れ、晴れるのをじっくり待ってみるのも楽しみ方の1つです。
よく晴れた日には、まるで鏡のように空や山々が湖面に映り込む絶景が楽しめます。
摩周湖にぽつんと浮かぶ島はなに?
摩周湖には1つだけ小さな島があります。実は、この島は火山の頂上部で、湖面から30メートルほど顔を出している状態なのです。この島は、アイヌ語で「カムイシュ島(神となった老婆)」と呼ばれており、「孫を探して摩周湖の畔までやってきた老婆が、悲しみと疲労で動くことができず、摩周湖の小島となってしまった」という伝説が残っています。
摩周湖までのアクセスは?
公共交通機関を利用する場合は、女満別空港、またはたんちょう釧路空港からが便利です。女満別空港からは、バスでJR網走駅へ向かい、釧網本線に乗りJR摩周駅へ。たんちょう釧路空港からは、バスでJR釧路駅へ向かい、釧網本線に乗ってJR摩周駅へ向かいます。
JR摩周駅からは、摩周湖第一展望台行きのバスに乗り、そこから約30分で到着します。合間の電車やバスでの移動時間を含めると、3時間半ほどで到着します。車の場合は、女満別空港、または中標津空港から約1時間半、たんちょう釧路空港から約2時間で到着します。
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摩周湖
- 住所 〒088-3200 北海道川上郡弟子屈町
電話番号: 015-482-2200(一般社団法人 摩周湖観光協会)
グリーンシーズンの見どころとおすすめ体験
(1)展望台
春から少しずつ緑が増していき、夏には1年で最も色鮮やかな景色が見られます。この時期は、「摩周第一展望台」「摩周第三展望台」「裏摩周展望台」の3カ所から摩周湖を眺めることができます。
■摩周第一展望台
摩周湖観光の定番スポットであり、多くの観光客が訪れます。JR摩周駅から一番近い場所にあります。レストハウスがあり、お土産や軽食を買うことができます。
■摩周第三展望台
摩周第三展望台では、第一展望台よりも近くでカムイシュ島を見ることができます。摩周湖と反対側の方向を見ると、硫黄山や屈斜路湖など周辺の絶景も楽しむことができます。駐車場は無料ですが、ここには売店やトイレはありません。また、冬期間(11月〜4月頃)は封鎖され利用できないので注意しましょう。
■裏摩周展望台
3つの展望台の中で最も湖面に近い展望台です。周囲に太い樹木があり、視界がやや狭いポイントではありますが、標高が低いため霧の影響を受けにくいという良さも。また、訪れる人が少ないため、静かにゆっくりと景色を楽しむことができます。冬季は封鎖されるため、利用できるのは4月〜11月頃のみ。駐車場は無料で、売店とトイレは夏季のみ利用することができます。
(2)登山
グリーンシーズンは、登山もおすすめ。摩周湖の東側に位置する摩周岳と西別岳からは、頂上から摩周湖周辺の景色を一望することができます。摩周岳は「摩周第一展望台」から、西別岳は「西別岳登山道入り口」から入山します。
摩周岳は標高857メートルの成層火山です。アイヌ語で「カムイヌプリ(神の山)」とも呼ばれています。登山道は、摩周湖を左側に眺めながら登れるルートになっており、道中には季節によってさまざまな花が咲いています。西別岳は標高800メートルと比較的低い山ですが、360度の眺望と季節ごとに咲く高山植物の花畑が人気の山です。登山道は幅が広く、きれいに整備されており、快適な登山が楽しめます。
登山前には、川湯温泉にある「川湯エコミュージアムセンター」に立ち寄るのがおすすめ。登山に関する英語版のガイドマップが置いてあるほか、レインウェアやハットなどを貸し出しているのでぜひ利用しましょう。
(3)雲海
6月〜10月の早朝は、雲海の発生率が高くなります。雲海を見るなら、展望台の中でも比較的高い場所にある津別峠展望台や摩周第三展望台から見るのがおすすめです。運が良ければ摩周湖と屈斜路カルデラの雲海を見ることができます。
摩周第三展望台から雲海を眺めるツアーもあります。湖一面に広がる雲海は、まるで雲を見下ろしているような感動的な光景です。条件が良ければ、外輪山から流れ込む滝霧を見られることもあります。展望台の滞在時間は約30分間ですが、季節にかかわらず早朝は寒くなるため、できる限り暖かい服装で行きましょう。
(4)星空観察
摩周湖周辺には大きな市街地がなく、自然豊かで空気が澄んでいるため星空観察にも最適です。観察時期は、晴天率が高い10月〜5月頃がおすすめです。
摩周第一展望台から星空を観察できるツアーは、ガイドがレーザーポインターを使いながら星空解説をしてくれます。風がない日には、その暗さから湖面に明るい星が映り込むこともあるそう。昼間とは違う幻想的な景色が楽しめます。春や夏でも夜は寒くなりますので、体温調節ができる服装が良いでしょう。
(5)サイクリング
摩周湖周辺の美しい大自然の中を爽快に下るダウンヒルサイクリングもおすすめ。サイクリングコースが示されている地図をお渡しした後はフリ摩周湖や神の子池の神秘的な美しさをたっぷりと楽しめます。
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摩周第一展望台
- 住所 〒088-3200 北海道川上郡弟子屈町弟子屈原野
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摩周第三展望台
- 住所 〒088-3200 北海道川上郡弟子屈町弟子屈原野
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裏摩周展望台
- 住所 〒099-4526 北海道斜里郡清里町清泉
- 電話 015-483-4100
開館時間:4〜10月/8:00〜17:00、11~3月/9:00〜16:00
休館日:水曜日(水曜が祝日の場合、翌日休館)※7月第3週〜8月31日は無休。年末年始(12月29日〜1月3日)休館
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川湯エコミュージアムセンター
- 住所 〒088-3465 北海道川上郡弟子屈町川湯温泉2-2-6
スノーシーズンの見どころとおすすめ体験
(1)霧氷
冬は、条件がそろえば、湖の結氷や霧氷が見られます。霧氷とは、過冷却された霧が氷となって木に付着する現象で、白い花が咲いているような美しい景色が広がります。極寒の摩周湖だからこそ見られる、白い雪と青い湖の大パノラマは圧巻です。冬は摩周第三展望台と裏摩周展望台が封鎖され、摩周第一展望台のみ利用できますが、車で行く場合は、路面の凍結などに十分注意しましょう。
摩周湖第一展望台から霧氷に包まれた摩周湖を鑑賞するツアーでは、真っ白な木々のほか、稀にダイヤモンドダストも見ることができます。ダイヤモンドダストは、水蒸気が急速に冷却されて氷の粒になる現象です。日光に反射して輝くダイヤモンドダストと霧氷が織りなす景色は、とても神秘的です。
真冬の早朝は最低気温がマイナス20度を下回る日もあります。スキーウェアを着用するなど、しっかりした防寒対策が必要です。ニット帽や耳あて、マフラーなどがあるとベストです。川湯温泉に宿泊している場合は、ツアー会社が車で送迎してくれます。
(2)スノーシューで摩周湖周辺散策
スノーシューで摩周湖の外輪山を散策できるツアーでは、いつもは見ることのできない場所から摩周湖の絶景を楽しめます。天気が良ければ広大な屈斜路カルデラや、遠くにそびえる阿寒や知床の山々もくっきりと見ることができます。寒い中を1時間30分ほど歩くため、肌が露出しないようスキーウェアや防寒具をしっかりと着て、暖かい服装で参加しましょう。
各ツアーで実施中の新型コロナ感染症対策
ガイド及び参加者全員マスクの着用、手指消毒/送迎車内でのソーシャルディスタンスの確保/送迎車内の換気/送迎車内及び資材の消毒
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株式会社ナショナルパークツーリズムてしかが
- 住所 〒088-3465北海道川上郡弟子屈町川湯温泉1-2-30 川湯観光ホテル内
- 電話 015-483-2101
グリーンシーズンもスノーシーズンも自然の魅力あふれる摩周湖。展望台から眺めたり、登山やスノーシューをしながら景色を楽しんだり、さまざまな楽しみ方ができます。北海道に訪れたらぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょう。
Text by:みんなのことば舎
※本記事の情報は2020年12月時点のものです。
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