北海道最南端の松前は、北海道で唯一の城下町として栄えた街。天守閣があるお城やお寺が並ぶ街並など日本らしい文化や景観に数多く触れられます。北海道の人気観光都市、函館から車で約2時間、バスなら約3時間でアクセスできるため、函館観光とともに松前への旅行もおすすめです。
この記事では、トラベルクリエイターのnobukaが、松前の見どころや名物グルメなどを紹介します。nobukaは15年以上北海道各地を旅して全市町村へ訪れ、雑誌やwebサイトで旅行記事や北海道のグルメ記事を1,000本以上書いてきた北海道の観光情報のプロ。松前のアクセス情報や見どころなど、おすすめの立ち寄りスポットとグルメ、温泉を紹介します。
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松前はどんな街?街の特徴とアクセスを紹介
松前は日本最北にある城下町
松前は津軽海峡に面した海沿いにあり、江戸時代(1600〜1868年)に日本最北にある城下町として栄えました。現在も松前城など当時の面影を感じる史跡や名所が数多く残っており、日本の伝統的な文化に興味がある旅行者の方に特におすすめの街です。北海道は大平原や牧場など牧歌的な風景をイメージすることが多いかもしれませんが、松前は北海道の中では珍しく日本古来の伝統的な建物や文化を随所で感じられます。特に、江戸時代末期に築城された松前城とその北側に広がる寺町は必見です。
松前は桜の名所、春が一年で一番賑わう
松前は桜の名所としても有名です。松前城などがある松前公園には開花が早い品種や遅い品種など250品種の桜が約1万本もあり、例年4月中旬から5月中旬まで約一カ月間お花見を楽しめます。特に4月下旬から5月上旬は数多くの品種が見頃を迎えるため、よりいっそう華やかな雰囲気になります。
桜の季節は一年で一番賑わいますが、桜の花がない時期もおすすめです。初夏の新緑や夏の紫陽花、秋に色づく木々など、季節ごとにさまざまな魅力があります。また、津軽海峡沿岸にあるため、天気がよい日は対岸に青森県の津軽半島が見え、夏は真っ青な海を、秋から冬にかけては渡り鳥が無数に飛来する様子を眺められます。
松前の名物グルメは松前漬とマグロなどの海産物
松前の名物グルメは、「松前漬」と津軽海峡で水揚げされる本マグロなどの海産物です。松前漬とは北海道の郷土料理のうちの一つで、スルメ(イカの身を乾燥させたもの)と昆布を細切りにし、醤油ベースのタレで漬け込んだ保存食です。北海道内をはじめ国内各地で目にする機会がありますが、発祥は松前だと言われています。各家庭やお店ごとに味わいが異なり、食べ比べてみるのもおすすめです。
マグロは通年食べられますが、例年水揚げされる時期は7月頃から秋にかけてで、この時期に松前へ訪れると冷凍ではない生のマグロを味わえることが多いです。街中の飲食店や温泉旅館の食事などで楽しみましょう。
函館や木古内から行きやすい、松前までのアクセス情報
松前へのアクセスは、一般的には車かバスを利用します。観光都市の函館から訪れる場合は、約2時間のドライブです。バスの場合は約3時間かかります。なお、函館から松前へ向かう中間にある木古内(きこない)は北海道新幹線の駅があり、ここからなら車で約1時間、バスなら約1時間30分で行くことができます。
木古内には駅前にバス乗り場があるほか、駅前にある「道の駅 みそぎの郷(みそぎのさと) きこない」でレンタカーの貸出(要事前予約)もあるので、比較的アクセスしやすいです。ただし、バスの本数は日に数本と少ないので、事前に時間を調べてから訪れましょう。
松前城や寺町などがある松前公園は必見の観光スポット
再建されたお城を生かした「松前城資料館」
松前の観光で絶対外せないところは松前公園。公園内には松前城をはじめ、松前神社や寺町、松前藩屋敷など見どころが多数あります。公園はかなり広いので、松前城周辺は徒歩で、少し離れた場所にある松前藩屋敷は車で行くのがおすすめです。
松前公園で一番目を引く建物は、なんといっても松前城。現在の正確な名称は松前城資料館と言います。松前城は、国防のため1854年に竣工した、日本最北にある日本式城郭。築城当時は福山城と呼ばれていました。その後、国内の統治体制が江戸幕府から明治政府へと変わり1875年に施設の多くが取り壊されますが、三層建ての木造天守閣と本丸御門、東塀はそのまま残り、1941年に国宝に指定されました。しかし、1949年に近隣にある役場での火災の飛び火により天守閣と東塀が消失。再建運動が起こり、1961年に鉄筋コンクリート製の天守閣が建てられ、現在は松前城資料館として活用されています。
天守閣の隣は広々とした芝生が広がり、絶好の記念撮影スポットです。この空間の一角には「耳塚」や「闇の夜の井戸」という伝承の場もあります。
耳塚は、1669年に起きた「シャクシャインの戦い」でアイヌと戦った松前藩が、アイヌの首謀者の耳をそぎおとして埋めたと言われているところ。闇の夜の井戸も耳塚と概ね同時代の伝承で、松前藩の中で疎まれていた家臣が他の家臣に謀られて井戸内で惨殺され、その後家中で不幸が続いたため祟りだと考え井戸を埋めようとしたがなかなか埋まらなかったという言い伝えがあります。
ただ、松前城資料館の方の話によると、元々はこの場所ではなく移設されたと言われている上、そもそもこれらの言い伝え自体も史実として明確には証明されていないそうです。噂話が好きな方は行かれてみては!?
- メニュー表記:日本語、英語
スタッフ対応:日本語
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松前城資料館
- 住所 〒049-1511 北海道松前郡松前町松城144
- 電話 0139-42-3060
営業時間: 9:00~17:00(最終入館16:30)
定休日:12月11日~4月9日(冬期閉館)
料金:大人360円、中学生以下240円
再建されたお城を生かした松前城資料館
北の丸の向かいには松前神社があります。かつて松前周辺を統治していた松前藩の始祖である武田信廣を祀る神社です。神社の裏手には寺町が広がり、樹齢300年と言われる名木「血脈桜」がある光善寺など、5つのお寺が隣接して立地します。一般的に想像される北海道の牧歌的イメージとは異なる、江戸時代の面影を残した景色を楽しめます。
血脈桜は「南殿(なでん)」という品種の桜で、この木の精が乙女の姿になって現れたという伝説があります。また、松前公園内に咲く南殿はすべて血脈桜が親木と言われています。
松前公園には桜の木が多数ありますが、なかでも寺町や松前城は街並や建物が絵になることもあり、桜がひときわ映えます。いかにも日本らしい風景写真を撮りたい方にぜひおすすめしたいエリアです。
血脈桜の例年の開花時期は4月下旬頃で、5月上旬まで見頃です。桜の花がない時期でも、緑の木々に囲まれた寺町の風情は素敵ですよ。なお、神社もお寺も宗教施設にて、施設内を訪問する時は静かに見学しましょう。
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寺町
- 住所 〒049-1511 北海道松前郡松前町松城
電話番号:0139-42-2726(北海道まつまえ観光物産協会)
営業時間: なし
定休日:なし
侍やお姫様になれる!「松前藩屋敷」
松前城付近から車で約5分の松前藩屋敷もぜひ訪れてみましょう。松前藩屋敷は、幕末と呼ばれる江戸時代末期(19世紀前半)の松前の街の様子を再現した施設。藩主の屋敷のほか、「商家」という商売人の家や「旅籠」と呼ばれる宿泊施設、今でいう美容院のような「髪結」など、14棟の建物が並びます。
ここでは施設内見学をするだけで江戸時代の風情を存分に楽しめますが、より満喫したい方には「甲冑着付け体験」が絶対おすすめ。侍やお姫様、町娘など多数ある着物の中から一つ借りて着用し、施設内を散策できます。
江戸時代の街並を模した施設内での侍やお姫様の姿は、タイムマシンに乗って200年前を旅したかのような気分。写真映えすること間違いありません。なお、甲冑着付け体験は、当日の混雑状況やスタッフ人数の都合があるため、事前に予約をしましょう。
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松前藩屋敷
- 住所 〒049-1511 北海道松前郡松前町西館68
- 電話 0139-42-2726
営業時間: 9:00~17:00(最終入館16:30)
定休日: 11月1日~4月9日(冬期閉館)※11月は臨時開館あり
料金:大人360円、中学生以下240円
津軽海峡の本マグロなど松前のグルメを味わおう
本マグロなど松前のご当地グルメを味わえる「レストラン矢野」
松前の地元グルメを堪能するなら「レストラン矢野」へ行くのがベスト。松前城の近くにある「温泉旅館矢野」に併設している食事処で、宿泊客以外も利用できます。松前産を中心に極力近海産にこだわる本マグロやエゾアワビをはじめ、地元の旬の食材を生かした料理が数多く揃います。
メニューは、本マグロを使った丼料理や刺身料理のほか、自家製松前漬を使ったパスタやチャーハン、松前産の手摘み岩海苔を使った「松前海苔だんだん」という海苔弁当、松前の郷土料理で塩漬けにしたクジラの皮と野菜と一緒に煮た「クジラ汁」をアレンジした「クジラ汁ラーメン」などがあります。
そのほか自家製ハンバーグやカツカレーなどもあり、地元客に人気があります。メニュー表にはほとんどのメニューで写真も出ているのでわかりやすいですよ。詳しい説明を知りたい時は、スタッフが翻訳アプリを使って紹介してくれます。
温泉旅館矢野の女将は、「松前にきてマグロ食べない人もったいない」と言います。数多くのメニューがありつつも、極上な本マグロはぜひとも味わいましょう。本マグロは極力冷凍ではなく生にこだわり、概ね7月頃から12月頃まではほぼ松前産、それ以外の時期も極力津軽海峡など近海産を仕入れています。
本マグロの料理で人気があるのは「本マグロの漬丼」。本マグロを醤油漬けにして、ご飯を盛った丼に海苔とともに盛り付けた料理で、ワサビをつけて食べるタイプと、山ワサビ(ホールラディッシュ)とウズラの卵を混ぜて食べるタイプがあります。
nobukaの個人的な好みは、ビリっとくる辛さと卵のまろやかさが絡み合う山ワサビのタイプ。本マグロは口にすると、じわじわと脂のうま味が広がり、次のひと口に行く前にしばらく余韻に浸っていたくなる美味しさです。
本マグロとともに自家製松前漬もぜひ堪能したい逸品です。松前漬はそのまま食べても美味しいですし、ごはんにのせて食べても美味しいです。辛さはなく、適度な塩気があり食欲をそそられます。昆布のぬるりとした食感とスルメのコリっとした食感が不思議と合います。松前のご当地グルメを堪能してみてください。
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レストラン矢野
- 住所 〒049-1512 北海道松前郡松前町福山123
電話番号:0139-42-2525(温泉旅館矢野)
営業時間: 11:00~20:30(20:00 LO)10月~3月は14:00~17:00休憩
定休日: 10月~3月の毎週木曜日と12月31日
北海道最古の土蔵と豆乳がインパクト大のカフェ「居見世 茶蔵」
もう一軒、おすすめのお店を紹介します。レストラン矢野から歩いて1分程度で行ける「居見世 茶蔵(いみせ さくら)」です。1831年に建てられた北海道最古の土蔵をリノベーションしたカフェで、道南の畑で育った大豆をメインに松前産食材などを生かした料理とスイーツを楽しめます。
建物内外の雰囲気と佇まいは圧巻です。店内に入ると「わお!」と思わず声が出てしまうほど素敵な空間。長年刻んできた歴史を感じられる佇まいで、100年以上前の備品なども数多く残っています。博物館か資料館にやってきたかのような感覚になる、素敵なカフェです。
食事は、ローストビーフ丼やパスタなどに豆乳と寄せ豆腐がついてくるのが特徴です。ごはんを盛った丼にローストビーフと温泉卵をのせたローストビーフ丼は、はじめは温泉卵を絡めて味わいますが、途中で豆乳をかけて“味変”をして食べるのが居見世 茶蔵流の食べ方。
北海道産牛モモ肉を低温調理で3時間じっくり火入れをして特製ソースをかけたローストビーフは軟らかくて絶品!濃厚な豆乳をかけるとまるで冷製リゾットを食べているかのような感覚で、まろやかな味わいになります。ローストビーフとごはんに豆乳、これがまた意外と合います。ぜひお試しを。
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居見世 茶蔵
- 住所 〒049-1512 北海道松前郡松前町福山142
- 電話 0139-46-7800
営業時間: 11:00~17:00
定休日:木曜
温泉とグルメをじっくり堪能できる宿「温泉旅館矢野」
1951年に創業した松前の老舗旅館。松前名産の本マグロやエゾアワビ、岩海苔など地元の食材を生かした料理と温泉を存分に堪能できます。松前城や寺町など徒歩圏なので、松前観光の拠点にもベストです。
客室は大きく4タイプあり、和室の大と小、室内から松前城が見える部屋、かなり広々とした客室と木製の浴槽が印象的な和モダンの特別客室です。和室はバスもしくはシャワーブースとトイレ付の部屋とない部屋、ベッドルーム付の部屋など複数のバリエーションがあります。
男女別の大浴場には内湯とともに露天風呂とサウナがあります。浴槽の湯は自家源泉の茶褐色の温泉。入浴するとお肌がすべすべになると言われている泉質なので、美肌が期待できるかも。リラックスしながら身も心も綺麗に、そして美しくなりましょう。
温泉旅館の楽しみの一つは食事。夕食も朝食も建物1階にあるレストラン矢野で楽しみます。料理はランチなどレストランで提供している内容とは異なり、宿泊者専用メニューが用意されています。地元の旬の食材にこだわり、本マグロの刺身をはじめ、エゾアワビの刺身や陶板焼き、松前産昆布で出汁をとった鍋や味噌汁、ウニの茶碗蒸しなどを味わえます。
夕食はコース料理のように順々に手の込んだできたての料理が出てきます。nobukaが利用した時は、数多くの料理を食べてだいぶ満足感に満たされたなと感じてきた最後に、松前や江差など道南の日本海側などでの名物グルメ「ニシンそば」がシメで登場しました。幸せいっぱい、胸いっぱい、お腹もいっぱい、「美味しすぎて大満足!」の一言に尽きました。もちろん、すべて美味しく完食しました。みなさんもぜひ、松前グルメを存分に満喫してみてくださいね。
松前で歴史とグルメを思う存分体感しよう
松前は北海道の中では日本古来の風情を感じやすい街。函館から車で2時間もあれば行けますし、新幹線の駅からバスで訪れることができるのも魅力です。本マグロなど松前のグルメも絶品です。松前で歴史とグルメを思う存分体感してみませんか?
北海道の絶景とご当地グルメを求めてくまなく巡ったトラベルクリエイター。2009年に東京都から北海道へ移住。それ以来、LIVE JAPANをはじめ観光WEBサイトや旅行雑誌などで、北海道旅行やグルメ記事の取材撮影や執筆を続けている。北海道商工会議所が主催する北海道観光の達人に贈られる称号「北海道観光マスター」に認定されているほか、「国内旅行業務取扱管理者」「旅程管理主任者資格」所有。自身がトランスジェンダーであることから、LGBTQの方々が旅行をしやすくなる環境作りのための支援団体を主宰しているほか、大学や企業などでの講演や講義なども行う。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
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