日本の春の代名詞と言えば、桜ではないでしょうか。桜を鑑賞する行事「お花見」は日本人にとっても特別で、春の訪れを感じて楽しむために欠かせないイベントのひとつです。そんな美しい桜を見たら、きれいに写真におさめておきたいものですが、ただカメラを向けて撮るよりも、ちょっとポイントを意識するだけで、いつもとは違った本格的な「いい写真」を撮ることができます。そこで今回は、様々な取材で写真撮影している現役の取材ライターであり、趣味は旅行&カメラで、世界中をめぐってきた海外添乗員でもある島田みゆが、誰でもすぐに実践できるきれいな桜の写真を撮るコツをいくつか紹介します。
TOP画像:PIXTA
桜を撮るためのカメラの基本設定&操作
スマホの場合
スマートフォンはあまり難しい設定をしなくてもいい写真が撮りやすく、何より手軽です。たいていのスマホは、画面上でピントを合わせたいものを指でタップすれば、しっかりピントが合うようになっています。露出補正機能が付いている場合は、画面を見ながら少し明るめに設定するといいでしょう。
スマホの場合は、カメラ以上に「構図」も大事。構図は正方形の場合や、縦長、横長など、カメラアプリや投稿するSNSによっても形が変わります。撮る時にただシャッターボタンを押すだけでなく、「何をどう撮りたいのか」、「画面の中でどこに桜や人物を置きたいのか」「どこを強調したいのか」をイメージしながら、フレームの中に何を入れるのかを考えて撮ってみてください。
デジタルカメラの場合
桜をはじめ、風景写真を撮る際は「絞り優先モード」(Aモード/Avモード)がおすすめです。ちなみに「絞り」とは、カメラが取り込む光の量を調節する設定のことで、F値とも言われます。この数値を変えると、明るさや背景のぼかし具合(強弱やぼかす範囲)が変化します。F値を小さくすると背景がぼけて、F値が大きくなると背景までくっきり映るようになります。「絞り優先モード」なら、写真の明るさを調節する露出(=レンズに取り込まれる光の量)は自動的に適正値になるので簡単です。
また、たいていのカメラにはシーンモードがついており、「風景」の設定があります。山と桜、川沿いの桜並木、桜の木全体など、桜を入れた広めの風景写真を撮りたいときには使いやすい設定です。人物と映る際などは、人+風景などの設定があるものもあります。
曇りの日に撮影する場合
曇りの日は、空が白かったりグレーがかったりして、どうしても全体が暗めの写真になってしまいます。まずは、できるだけ色の濃い桜の花を選んで撮ってみてください。アップで周りをぼかして撮ると、曇りでもきれいに撮れます。そしてできるだけ明るく撮るのもコツ。スマホでもカメラでも、露出補正機能が付いているので、明るさを調整しましょう。
夜間に撮影する場合
夜間の撮影で一番多いのが、手ブレです。自分では固定しているつもりでもシャッターを押す際にたいていカメラやスマホを動かしてしまっているからです。夜の撮影ではできれば三脚を使いましょう。ない場合はベンチやイスなどに置いて撮影をする、もしくはタイマーを使えば、手ブレを防ぐことができます。また、フラッシュは必ずオフにしておきます。
カメラの場合はISO感度を上げましょう。カメラでの撮影は少し難易度が上がるので、夜に撮る際はスマホが便利。特別なことをしなくても、手ブレと明るさにさえ注意すれば、むしろ実際に目で見るよりも明るくきれいに撮れます。さらに、夜景の撮影に特化したアプリもあるので、使ってみるのもおすすめです。
基本の設定や操作を覚えたら、実際に桜の写真を撮影してみましょう。続いて、桜の写真をより魅力的に撮影する方法やシチュエーションをご紹介します。
コツ①桜の花をアップにして、背景をぼかす
桜の花にピントを合わせて背景をぼかす、これだけで桜の美しさがぐっと際立って、一気にプロっぽい写真に仕上がります。
一眼レフがなくても「ぼかし」を簡単にできるのが、スマホのポートレートモード。その名の通り、人物を被写体にしたときによりきれいに撮るためのモードですが、周りをぼかして撮りたいときにはおすすめの設定です。iPhoneならポートレート、Androidなら機種によりますが人物撮影に特化したモードです。ぜひ活用してみましょう。
コツ②青い空をバックに桜を撮る
青い空と薄ピンクの桜のコントラストは最高です。日本で最もポピュラーでよく見る桜の品種のひとつが、ソメイヨシノ。桜と言うとピンクのイメージですが、ソメイヨシノの花の色はどちらかというと白寄りの薄いピンクです。そのため、晴れた日の青い空をバックに撮ると、白っぽい薄ピンクの花がパキっと映えてより美しい写真になります。
コツ③桜に太陽が当たっている方向から撮る
太陽光が桜に当たっている方向から写真を撮ると、より明るく華やかで、鮮やかな写真を撮ることができます。自分の背中に太陽が当たる角度から撮るのがポイントです。
基本的には、こうした“順光”の向きがきれいに撮れますが、あえて太陽に向けた逆光の方向でカメラやスマホを向けてみるのもアリです。太陽の光や桜の影が独特の雰囲気を醸し出して、個性的な一枚になります。
コツ④下から撮る
普段の目線とは違う角度から撮るのも、撮影ワザのひとつ。下から上に向かってカメラやスマホを向けてみましょう。桜の人気スポットは、どうしても人がたくさんいて混んでしまうもの。そんな時こそ、下からあおるようなアングルで、できるだけ人物や車、建物などをフレームから外して撮ると、スッキリとシンプルな写真を撮ることできます。
人物を入れる場合は、あえて下から見上げている後ろ姿を入れるのも風情があります。着物を着た時などは、特におすすめ。後ろ姿が美しい着物姿と桜の組み合わせは、とっておきの一枚になります。
コツ⑤一本道、川沿いなどに広がる桜並木を撮る
道の両端を桜の木が埋め尽くしている、桜並木。何十メートル、場所によっては何キロにもわたって道の先にずっと桜の木が続いている光景は、象徴的な日本の桜の景色のひとつです。特に、川沿いやまっすぐの一本道の桜のトンネルといった桜並木は絶景です。奥行が感じられるようにできるだけ広角に、かつ左右対称に撮ると迫力が出ます。
コツ⑥池や川に散った花びらが一面に広がる“桜の絨毯”を撮る
池や川などの水面に、散った桜の花びらが一面に広がって、まるで桜の絨毯のような景色。これもまた、桜の時季ならではの絶景です。この様子をイカダに見立てて、花筏(はないかだ)とも言います。ひらひらと落ちていく様も情緒的でとても美しいので、花が散っていく様子はぜひ動画でも収めておいてください。
コツ⑦桜+αで撮る
メインは桜ですが、あえてもう一つ別の被写体を入れて撮るとかえって桜が際立つようになります。例えば、春に咲く花や茂ってくる植物です。黄色い菜の花、真っ赤なポピーやチューリップ、緑の芝生など、色のあるものはコントラストが美しい写真になります。
より日本らしさが感じられる一枚にするには、お城、神社、お寺などの建物を一緒に撮るのがベスト。動きのある電車やSL、バスと一緒に撮るのも風情があります。都会的かつ日常に溶け込んだ桜の風景なら、「高層ビル+桜」というのもユニーク。
桜を写真の縁に沿わせてフレームのようにする、全体の3分の1を桜にする、など構図に工夫してカメラにおさめるといいでしょう。犬やネコ、鳥など、動物も一緒に撮ると、また違った桜の魅力が見られるはずです。
コツ⑧夜桜を撮る
多くの桜の名所では、夜になると桜がよりきれいに見られるようライトアップされます。暗闇の中で白く照らされた花は昼間とはまた違った美しさがあり、どこか幻想的です。
できるだけ枝がたくさんついていて、花が咲き誇っている場所や木を選びましょう。夜の撮影は少し難易度が上がりますが、フラッシュはたかずに、夜景モードや自動設定で撮影するのがよいでしょう。
夜景がきれいな高層ビルやタワー、商業施設の建物の明かりと桜を一緒に撮る、池や湖、川沿いなど、ライトに照らされて水面に映った桜を撮るのもおすすめ。こうした構図は、夜桜ならではです。
コツ⑨桜をバックに人物を入れて撮る
かわいらしさが特徴でありながら、大きな木からたくさんの枝が出て花が咲いている迫力があるのも桜の木の魅力。花だけでなく木の幹まで一緒に入れて撮ってみましょう。人物と一緒に撮ると、サイズ感がわかりやすくなります。あえて背景の桜をぼかすのもおすすめの設定です。
桜と一緒に撮る際は、服装も工夫すると〇。メインは桜、その優しい雰囲気を打ち消さないように、できるだけ白やベージュ、アースカラーの淡く優しい色味の洋服を選んでください。
コツ⑩低い桜の木で、花と顔をアップで撮る
木によっては、私たちの目線と同じくらいの高さに枝が伸びているものもあります。しだれ桜などは、枝が上から覆いかぶさるように生えているため、きれいな花が顔の近くに来ることも。
桜の花に顔を近づけてアップで撮ってみましょう。ピンクや白の花は、顔写りを明るくきれいに見せてくれるはず。あえてレンズからは目線を外して、桜を見上げたり、桜の花を見つめたりといった自然な表情がおすすめです。また、桜の雰囲気に合わせた優しげ、もしくは満面の笑顔もいいでしょう。周りをすべて桜の花に囲まれた空間は、幻想的で魅力的な写真になること間違いなしです。
究極のコツは、とにかく「たくさん撮る」こと!
写真はその瞬間、一瞬を切り取るもの。いいタイミングを撮り逃さないためには、常にシャッターチャンスを狙って、スタンバイしておくことが大事。また、ただシャッターボタンを押すのではなく、「どんな写真が撮りたいか」「何の写真を撮っているのか(桜の花だけなのか、人物+桜なのかなど)」を意識するだけで、写真のイメージはだいぶ変わります。
これ!という最高の一枚を撮るには、とにかく量を。そして色々な構図や設定で実際に撮ってみるのが一番です。カメラやスマホの設定やアプリを試して、どんな違いがあるか確認しながら、たくさん撮影してみてください。きっといつもよりも魅力的な桜の写真が撮れるはずです。
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※本記事の情報は2024年2月時点のものです。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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