日本だけでなく、世界各国でも行動制限などが解かれ、ポストコロナ社会になりつつある今。日本では、2023年5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の分類が季節性インフルエンザ並みの「5類」に移行します。それに伴い、日本で大型連休が始まる前の4月29日に前倒しで水際措置を終了とすることが決定しました。当記事では、今まで、制限があった日本への入国条件、入国手続等をオンラインで行えるウェブサービス「Visit Japan Web」、日本でのマスク着用状況など、訪日に際し知っておきたい最新情報について、省庁発表などを元に説明します。
※2023年4月28日時点の情報です
main image:PIXTA
日本への入国状況①入国できる人は?入国条件は?
日本では、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い、日本への入国を希望する人に対する入国制限と検疫体制の強化を展開していました。しかし、2023年5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけが、今までのSARSや結核などと同様の「2類相当」から季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行します。それに伴い、4月29日より水際措置を終了する予定です。
4月15日現在、日本へ帰国・入国する人に義務付けている「3回以上のワクチン接種証明書」または「出国前72時間以内に行ったPCR検査による陰性証明書」の提示は、4月29日以降、不要となります。
しかし、今後も新たな感染症の流入に対する監視を目的として、「感染症ゲノムサーベイランス(仮称)」という仕組みを5月8日よりスタートする見込みです。羽田・成田空港など主要5つの空港で発熱や咳などの症状がある渡航者に対し、任意でゲノム解析を行うとしています。
また、これまで、中国本土から直行便で入国する場合には、出国前72時間以内の陰性証明の提示を求めていましたが、4月5日以降、出国前72時間以内の陰性証明の提示はワクチン3回接種証明の提示を条件に不要となり、他の全ての国への措置と同水準となりました。
現在の入国時の検疫措置(4月28日まで)
日本への入国状況②「検疫・入国審査・税関申告」の入国手続を行うことができるウェブサービス「Visit Japan Web」って?
2022年11月1日より利用スタートした「Visit Japan Web」。「検疫手続(ファストトラック)」、「入国審査」、「税関申告」をウェブで行うことができるサービスで、入国時の手続きをワンストップでスムーズに行うことができるようになりました。
そのうちの、「検疫手続(ファストトラック)」については、検査証明書またはワクチン接種証明書を手元に用意し、事前に登録・審査が必要でしたが、4月29日以降、水際対策の緩和に伴い、その手続きは不要になります。
4月29日以降は、コロナ以前のように、「Visit Japan Web」を利用しない形での入国・出国審査も可能です。しかし、「Visit Japan Web」で事前に登録をしておけば、日本到着後、検疫や入国審査の際、パスポートを見せずに、画面を見せるだけでよいので、手続きが手早く終わります。
登録に必要なもの
- インターネットにアクセスできるPCやスマホ、タブレットなど
- パスポート
- 日本政府が認めたワクチン接種証明書または陰性検査証明書(2023年4月29日以降は不要)
現在は、政府など公的な機関で発行された接種証明書であること、証明書には、「氏名、生年月日、ワクチン名またはメーカー名、ワクチン接種日、ワクチン接種回数」が日本語または英語で記載されていること、世界保健機構(WHO)の新型コロナワクチン緊急利用リスト に記載されているワクチンのうち、いずれかを3回接種していることが条件です。
また、有効なワクチン接種証明書を持っていない人は、出国前72時間以内に検査を受け医療機関等で発行された陰性検査証明書を検疫所で提出する必要があります。
ただし、これらは2023年4月29日からは不要になります。
登録申請の流れ
1)アカウント作成・ログイン…メールアドレス、パスワードなどを入力しアカウントを作成します。
※対応言語:日本語、英語、中国語(簡体字)、中国語(繁体字)、韓国語
2)利用者情報の登録…姓名、生年月日、国籍、旅券番号などを入力します。
3)入国・帰国の予定登録…入国・帰国予定日、航空会社名などを入力します。
4)各種手続きの登録
・検疫(ファストトラック)
画面の指示に従ってパスポートを読み込み、入国者情報、日本滞在情報、流行地域滞在情報を入力。5月7日までは体調情報などを記入する「質問票WEB」の登録、ワクチン接種証明書または出国前72時間以内の検査証明書を登録しましょう。登録内容の確認が完了すると、アプリ画面が赤色から青色になります。
申請期限は、搭乗便到着予定日時の6時間前まで(船の場合は、出航24時間前まで)。
・外国人入国記録の登録
姓名、生年月日など事前に入力したデータは自動で表示されます。加え、現住所、国名、渡航目的などを入力します。
・税関申告
携帯品・別送品申請書に必要な情報を登録し、空港にある電子申告端末で手続きをすれば、税関検査電子申告ゲートを通過することができます。
また、義務ではなく「推奨」として、海外旅行保険の加入状況を登録する欄もあります。加入済みの人は登録を。
5)日本到着後
検疫所や入国審査窓口で、4)で作成したQRコードを提示する必要があります。また、ワクチン接種証明書および出国前72時間以内の検査証明書を「無」として登録した場合、画面は黄色です。黄色の場合、入国時に紙などで出国前72時間以内の検査証明書を提示する必要があります(4月29日以降不要)。また、スマートフォンを持っていない場合などは、QRコード画面を印刷した紙を提示しましょう。
Visit Japan Webが免税購入時でも利用可能に
2023年4月1日より、Visit Japan Webに新しい機能「免税購入」が追加されました。日本の免税店で買い物をした際、事前に取り込んだ旅券情報(氏名、国籍、生年月日、在留資格、上陸年月日、旅券の種類及び番号等)が記録された二次元コードを日本の免税店で提示し、その二次元コードを免税店が読み取るだけでOK。お店でパスポートの提示が不要となり、免税手続きがスムーズになります。ただし、この方法は、二次元コードの読み取りに対応した店舗に限っており、すべての免税店で利用できるわけではありません。
日本国内の状況①日本の旅行政策は?
コロナ禍で大きな影響を受けた観光業界を支援するために2022年10月11日から「全国旅行支援」がスタート。旅行代金のうち、最大20%相当が割引され、さらに現地で使えるクーポン券(平日は2,000円分、休日1,000円分)が渡されるというもの。
ゴールデンウイークにあたる2023年4月29日~5月7日は対象外であったり、実施状況(実施有無・期間)、制度詳細・利用条件は、都道府県ごとに異なるので、各自治体に確認を。
当制度の実施期限については、当初は2023年3月末日まででしたが、2023年4月以降も全国旅行支援を延長すると発表がありました。
ただし、この制度は日本国内に居住する旅行者限定なので、海外からの旅行者は利用できません。
日本国内の状況②日本の現在のコロナ感染者数やワクチン接種状況は?
2023年4月12日現在、累計陽性者数は33,537,375 人、死亡者数は74,132人。ワクチン接種状況については、1回目接種を終えた人が全人口に占める割合は、1回目接種数は全人口の77.96%(9816万4964回)、2回目接種数は全人口の77.52%(9760万7711回)、3回目接種数は全人口の68. 64%(8642万9740回)、4回目接種完了者は5843万8038回。
生後6か月~11歳の子どもに対しては、オミクロン株流行下での一定の科学的知見が得られたことから、接種を受けるよう努めなければならないとする「努力義務」の適応をスタートしましたが、風疹などの定期接種のワクチンと同様、強制ではなく接種を受けるかどうかはあくまで保護者や本人が選ぶことができます。
2023年度も、引き続き、すべての人に自己負担なしでワクチン接種が可能に。2023年春からは、初回接種(1・2回接種)は完了していることを条件に、高齢者(65歳以上)、基礎疾患がある人(12~64歳)、医療従事者のいずれかの方を対象に、オミクロン株対応の追加ワクチンをスタート。それ以外の人は、秋以降、5歳以上すべての人に、ワクチン接種を実施する予定です。
また、5月8日、新型コロナウイルスの感染症法上の位置づけの移行に伴い、国が毎日取りまとめて公表する「感染者数の全数把握」をやめ、指定した医療機関に週1回報告してもらう「定点把握」にしたり、感染者に対する自粛要請などはなくなります。
日本国内の状況③日本ではマスク着用は必要?
日本では、屋外では、マスク着用は原則不要、屋内では距離が確保でき、会話をほとんど行わない場合をのぞき、原則着用としていましたが、2023年3月13日以降、マスクの着用は、個人の主体的な選択を尊重し、個人の判断が基本となりました。
緩和後の2023年4月現在、公園など屋外では、若者や子供を中心にマスクをしていない人が増えた印象があるものの、屋外や図書館での読書や芸術鑑賞など会話がほとんどない屋内であっても、日本ではマスクを着用している人が大半です。電車やバスなどの公共交通機関でも、同様に、日本では大半の人が、マスクを着用しています。感染対策だけでなく、花粉対策の一環としてマスクを着用している人も多いため依然としてマスク着用率は高いです。
また、政府は感染拡大防止対策として、医療機関や高齢者施設、通勤ラッシュ時など混雑した電車・バスに乗るときは、マスクの着用が効果的である場面などについては、マスク着用を推奨しています。
日本国内の状況④飲食店や施設はどう変化している?
政府により、まん延防止等重点措置が発令されている場合、飲食店や施設に対して営業短縮が求められますが、2022年3月21日、全面解除されて以降、営業短縮等は求められておらず、歓楽街などでも賑わいを取り戻しています。
コロナ禍では、入店時、入口にある除菌スプレーで手を消毒し、入店。着席後、メニューをオーダーし料理や飲み物がテーブルに届くと、マスクを外し、食事をいただくというのが一般的な流れでした。
2023年4月現在、従来通り、入口に除菌スプレーが設置されている飲食店が多いものの、飲食店側からは利用をお願いされず、除菌するかどうかは個人の判断に委ねられている場合が多い印象です。また、かつては各テーブルに飛沫防止のための透明の仕切りを設置しているお店が多くありましたが、店の判断で撤去しているお店も多くあるようです。
また、できるだけ少人数で、飛沫感染を防ぐために黙って食べる「黙食」を基本とすることが推奨されていましたが、現在は、飲食時は、マスクを外し、会話をしながら食事を楽しんでいる人が多い印象です。
日本国内の状況⑤日本人による国内の旅行状況は?予約がとりづらくなる?
新型コロナの行動制限や水際対策が徐々に緩和され、観光地を訪れると、外国人旅行者を多く見かけるようになりました。
JNTOの推計によると、2023年1月の日本への入国者数は前年同月比プラス8,327.9%の1,497,300人となり、2か月連続で100万人を超えました。
また、国内旅行に関して、大手旅行会社のJTBは、期間中に国内旅行をする人は、コロナ禍前の2019年と同じ水準、対前年153.1%、2450万人まで回復する見通しを発表しました。また、「行く(「行く」と「たぶん行く」の合計)」と回答した人は調査時点で26.5%と前年から9.3ポイント増加しました。コロナ禍前である2019年は26.3%で、旅行意欲はコロナ禍前と同等まで回復しているといえます。
今後、日本入国に対する水際対策の終了、円安の影響で、外国人旅行者の増加が予想されます。また、全国旅行支援制度に伴い、祝日や連休、バケーションシーズンには、人気観光地近くの宿泊施設や新幹線・飛行機などの交通機関では予約がとりづらくなっています。日本への旅行を考えている方は早めに予約しましょう。2023年4月現在、航空券については、急激に進む円安や世界的な原油高の影響で燃油サーチャージが急騰、高額傾向です。
日本国内の状況⑥イベントや祭りは開催しているの?
昨年までは、新型コロナウイルス感染症拡大防止のために、多くのイベントや行事が、中止もしくは規模を縮小しての開催を余儀なくされていました。しかし、2023年は、感染対策をとりながら、日本各地で、伝統行事や花まつり、大規模な屋外フェスなど通常通り開催される見込みです。
主な行事や祭りなどの開催について
(北海道)YOSAKOIソーラン祭り
2023年6月7日~11日
毎年初夏に札幌市大通公園など市内各所で開催されるイベント。カラフルな衣装を身にまとい、高知県のよさこい祭りの「鳴子」と北海道の民謡「ソーラン節」を掛け合わせて踊ります。
(京都)祇園祭
2023年7月1日~31日
京都・八坂神社の例祭で1か月にわたり多彩な祭事が開催されます。必見は、「動く美術館」とも言われる豪華絢爛な山鉾。7月17日の前祭では23基、7月24日に後祭では11基の山鉾が京都市内を練り歩きます。
(新潟)フジロックフェスティバル
2023年7月28~30日
新潟県湯沢町苗場スキー場で開催される日本最大級の野外フェス「フジロックフェスティバル」。2023年は、「超気持ちいい!FUJI ROCK」をテーマに、日本国内、国外200組以上のミュージシャンが出演します。
(東京)隅田川花火大会
2023年7月29日
日本最古の花火大会で、開催は4ぶり。合計約20,000発の花火が打ち上げられます。会場は桜橋下流~言問橋上流、駒形橋下流~厩橋上流の2か所。花火ゆかりの業者及び国内の代表的な花火大会で優秀な成績を収めた業者約10社が競う花火コンクールも開催。
(東北)東北三大祭り「青森ねぶた祭、秋田竿燈まつり、仙台七夕まつり」
青森ねぶた祭2023年8月2~7日、秋田竿燈まつり8月3~6日、仙台七夕まつり8月6~8日
2023年8月の1〜2週目に、東北地方で開催される東北三大祭り。巨大な灯籠(ねぶた)を山車に乗せて練り歩く「青森ねぶた祭」、たくさんの提灯を吊した竿燈(かんとう)を稲穂に見立てて練り歩く「秋田竿燈まつり」、手作りの笹飾りが飾られる「仙台七夕まつり」が開催されます。
世界を大きく揺るがしてきた新型コロナウイルス感染症。水際対策の終了やマスク着用は個人判断にゆだねるなど、ポストコロナの動きが加速し、海外からの渡航者も増加傾向にあります。
日本各地の観光地が賑わいを取り戻し、訪日観光客受け入れに向け、動き出している日本。引き続き感染に注意しながら、ぜひ訪日計画を立ててください。
※2023年年4月28日時点の情報です
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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