多くの日本の学生が参加しているクラブ活動。学生にとってクラブ活動はスポーツやアートを楽しむだけでなく、集団行動や対人関係を学ぶ場でもあります。そんなクラブ活動って海外にもあるのでしょうか。
今回は訪日中のイタリア人女性、イギリス人女性、フランス人男性に「そもそも海外にクラブ活動ってあるのか」「海外にはどんなクラブがあるのか」などについて聞いてみました!(以下は回答者の個人的な意見です)
そもそも海外の学校にはクラブ活動や部活ってあるの?
「基本的に放課後のクラブ活動というものはありません。自発的に近所のジムやプール、スポーツクラブに入るか、個人で先生に依頼して音楽(ピアノやヴァイオリンなど)や外国語を学びます。料理教室もありますが、大人がついて教えている場合でも、火やオーブン、包丁などのまわりに危険なものが多いので、子どもは通えません。唯一、みんながする放課後活動が、カテキズム(catechismo)です。カテキズムとは、カトリック系の学校で行われているカトリック教の基本や聖書についての学習です」(イタリア人女性)
「イギリスでは放課後のクラブ活動がいくつかあります。ボーイスカウトやガールスカウトなどのグループ活動を通じて、新しいことに挑戦したり学んだりします。多くの学校にスポーツの部活動があり、特に人気が高いのはサッカー、水泳、体操ですね! 乗馬も多くの女子から人気がありました」(イギリス人女性)
「放課後のクラブ活動はしていませんでしたが、週に1回なにかのスポーツをやっていました。柔道や卓球、ランニングやキックボクシングなどですね。フランスではサッカーが一番、人気です。週末にはクラブの大会があり、日曜日の午後は遊びます」(フランス人男性)
海外では日本のように放課後に参加するクラブ活動ではなく、授業の一環としてクラブ活動を位置付けているところがあります。例えばアメリカはその一例であり、クラブ活動をすることにより、単位が得られるのです。これは日本人からしたら意外ですね!
海外にはどんなクラブがあるの? 海外のクラブを紹介!
「私が通っていた高校は他と少し違っていました。学校には演劇クラブ、音楽クラブ、コンピュータクラブがあり、私はその全部のクラブに参加していました。とても楽しかったです。普通の学校で人気があるクラブは水泳、音楽(ピアノ・ヴァイオリン・ギターがほとんど)、テニス、バスケット、サッカー、語学(英語がほとんど)ですね」(イタリア人女性)
日本のクラブ活動は入部してから退部もしくは引退するまで、基本的に一つのグループに所属し続けます。しかし、アメリカのクラブ活動は1年を3シーズンと考えて、それぞれの期間中に都度、クラブ活動を選択するものになっています。例えば、1シーズン目は陸上、2シーズン目は野球、3シーズン目はバスケなどのように。たくさんのクラブ活動に参加することで、自分の適性を探せるのはいいことですね!インタビューに回答してくれたイタリア人女性も複数のクラブ活動に参加していたということですが、今後は日本でもシーズン制や複数のクラブ活動の掛け持ちが、普及して欲しいですね。
海外の登下校って日本と違うの?
「小学校はバス、中学校は車で登下校していました。中学校がかなり遠くスクールバスもなかったので、仲の良い知り合いの方が毎日、家の前まで迎えに来てくれました。高校は徒歩でしたね。高校の近くに引っ越したので遠くはなかったのですが、丘の上だったため毎日、大変でしたね」(イタリア人女性)
「毎日、車で学校に通っていました」(イギリス人女性)
「学校から1マイル(1.6km)以内に住んでいる生徒は徒歩か自転車、もしくは親が学校まで車で送ります。家が学校から1マイル以上離れている生徒はスクールバスに乗るか、親が送り迎えをします」(アメリカ人女性)
日本の特に都心では小学生が一人で電車に乗って登下校している様子をたびたび見かけます。これは海外からしたら驚くべきことです。海外ではある程度の年齢になるまでは親が一緒にいることが求められており、登下校についても子ども一人だけでさせることはほとんどありません。
このような理由の一つに治安の問題があります。日本は世界的に見ても治安が良い国だといわれています。海外には日本ほど治安が良くない国もあり、子どもを一人で登下校させられないのです。そういった点で海外と日本の登下校には違いがありそうですね。
外国人は放課後をどんな風に過ごしていたの?
多くの日本の学生は放課後をクラブ活動や習い事、塾で過ごしています。一方、海外の同年代はどういった放課後を過ごしているのでしょうか?
「私は水泳に週二回、ピアノに週二回通っていました。他には絵を描いたり、物語を書いたり。もちろん、友達ともたくさん遊んでいましたね」(イタリア人女性)
「7歳から18歳まで学校に行く前や放課後に毎日、水泳教室に通っていました。5歳から7歳まではガールスカウト。高校のときは学校の部活でラウンダーズという野球に似たスポーツをやっていました」(イギリス人女性)
「子どもたちは16:30頃に学校から帰ると、テレビを見たりビデオゲームで遊んだりして過ごします。19時頃に親が仕事から帰るとみんなで一緒に夕食を食べます。子どもたちは20:30頃には就寝し、親も23時頃までテレビを見たりしてから寝ます」(フランス人男性)
今回、回答してくれたイギリス人女性は、外で体を動かす活動を中心に取り組んでいたようですね! 海外では子どもたちが放課後の時間を有意義に過ごすための環境が、学校以外にも整っています。
例えばアメリカでは広大な野球場やテニスコート、プールを無料で使用できる施設があります。日本もこれからは海外のように部活動以外の有意義な放課後の過ごし方ができる施設が増えていくといいですよね!
海外にも学童や学習塾ってあるの?
「イタリアに学童というものはありません。しかし、よく友達の家に集まってテスト勉強をしていました。みんなそれぞれ得意分野があり、お互いに教え合っていました。私は文学・歴史・英語担当。友達は、数学・化学、他の子は物理でした。勉強が終わったら、自分たちへのご褒美にピザや映画、みんながそれぞれ違ったお菓子を持ち寄ったりしていましたね。習い事は、音楽(ピアノ・ヴァイオリン・ギター)と語学(英語が1番)が最も人気がありました」(イタリア人女性)
「イギリスに塾はありません。学校で私たちに必要なことは全て教えてくれるので、必要がないのだと思います」(イギリス人女性)
「学童はスクールガーデンのようなところがあり、低学年の子どもたちが利用します。親が仕事で家にいない場合は教室で待っていますが、最長でも18時までです。スクールガーデンでは、子どもたちが一緒に遊んだりして過ごします」(フランス人男性)
学童とは主に日中、両親が家にいない子どもに対して、授業終了後に遊ぶ場所を提供する教育事業のことをいいます。学童は日本以外にもイギリス、フランス、アメリカなどの欧米諸国にもあります。特にアメリカでは子どもが放課後、犯罪に巻きこまれるというリスクから守り、有益な活動ができる機関として理解されているそうです。
日本では小さいときから塾に通う子どもが増えていますが、海外では日本のような受験対策の塾は普及していないようですね。
まとめ
日本のクラブ活動については、外国人から「日本企業のジュニア版」といわれるくらいに多くの時間を割くことが求められるイメージがあります。しかし、クラブ活動はあくまで子どもの自発的な成長を目的に行われるべきです。これからの日本のクラブ活動には、海外のようにもう少し余裕を持ったクラブ活動が求められるかもしれませんね。
ライター
株式会社ダリコーポレーション
人事・労務・法務・キャリアジャンルなどの硬めのジャンルを中心に手がけているライター。コラム記事をメインに作成している。
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