新型コロナウイルス感染症拡大に伴い、日本では入国者数の制限やツアー客以外の個人の外国人旅行者の受け入れを禁止していましたが、2022年10月に2年半ぶりに解禁されました。大きく落ち込んでいた訪日外国人客数ですが、円安の流れをうけ、今後、増加が見込まれています。
新型コロナウイルス感染症拡大前から、観光庁では、訪日外国人観光客の不慮のケガや病気に備えて「海外旅行保険」の加入を勧奨しています。今回は、訪日外国人向け海外旅行保険についてご紹介します。急なトラブルでせっかくの旅行を台無しにしないためにも、旅行前にぜひ知っておいてくださいね。また、万が一日本で新型コロナウイルス感染症に感染した場合についてもご説明します。
1.海外旅行保険に入っておくべき?その理由は?
・20人に1人が訪日旅行中に病気やケガ
観光庁の「訪日外国人旅行者の医療に関する実態調査(調査実施期間2019年8~12月)」によると、訪日中に病気やケガをした人は全体の約4%だったそうです。また、旅行中に不慮の怪我・病気になったとき、医療費をカバーする旅行保険の加入率は73.7%でした。
日頃は病気知らずであったとしても、自国との気温差や疲労などで、旅行中は体調を崩しやすい条件がそろっています。また、日本は自然災害も多い国です。大きな災害時には、旅行者も被災することが考えられます。普段以上に病気やケガをした場合の対策を考えておく必要がありそうです。
・医療機関にかかれば高額な治療費になることも
訪日外国人が日本の医療機関で治療を受ける場合、全て自由診療になり、全額自己負担となります。そのため、治療費が高額になってしまうことも。
夏に多い熱中症で治療を受けると数10万円、人込みで転んだりして骨折をすれば数100万円になることもある、と言われています。
こうした治療費を補償してくれるのが、海外旅行保険です。加入している場合には、治療費や薬代を補償してもらうことができ、商品によってはキャッシュアウトしなくてもいい場合があります。
・訪日外国人の病気やケガの対応に課題あり
旅行者が病気やケガをした時に、頼りたいのは宿泊施設や旅行業者です。先ほどの観光庁の実態調査でも、旅行業者と宿泊施設の約半数は、過去に外国人旅行者が滞在中に病気やケガをしたことがあると回答しています。そして、そこには課題も感じていることが分かりました。
旅行業者と宿泊施設が感じている課題で最も多いのは、「外国人対応ができる医療機関が分からない」「会話対応、通訳が十分できない」というものです。
訪日外国人向けの海外旅行保険では、こうした課題もカバーしています。外国人を受け入れられる医療機関の紹介や通訳サービスなどを提供しているため、スムーズに診療を受けることができるのです。
・海外旅行保険で万が一に備える
訪日外国人の約3割は、医療費をカバーする旅行保険に加入していないそうです。海外でトラブルにあってしまうと、慣れない土地で言葉も通じないため、不安になってしまいます。海外旅行保険は、特に病気やケガによる医療機関の受診をサポートし、治療費の補償を受けられるものです。商品によっては、レストランやショッピングでの通訳サービスや、ケガ人の帰国をサポートするサービスなども受けられます。
つまり、万が一に備えて海外旅行保険に加入しておくと、安心して旅行を楽しむことができるとも言えるのです。
2.訪日外国人向け海外旅行保険
それでは、訪日外国人向けの海外旅行保険について解説しましょう。
訪日した外国人旅行者が日本で病気やケガをした場合に、その治療にかかった費用を補償するのが、訪日外国人向け海外旅行保険です。
一般的には、出国前に自国の保険商品に加入することが多い海外旅行保険なのですが、その場合には、日本国内での医療機関の紹介がスムーズにできないことがあったり、精算方法などの対応に課題があるとして、日本国内の保険会社が商品化しました。
主に、個人旅行者向けの保険商品と、宿泊施設や旅行業者などの法人向け保険商品とがあります。今回は、個人旅行者向けの保険商品について、詳しくご紹介していきます。
・観光庁が紹介する個人向け海外旅行保険の内容
観光庁では、訪日外国人の海外旅行保険加入を推進するため、ホームページやチラシなどのコンテンツを作成しています。その中で、紹介している海外旅行保険は2つあります。東京海上日動の来日外国者旅行者向け海外旅行保険と、損保ジャパン日本興亜の訪日旅行保険(2022年10月現在、個人契約は販売停止中)です。
どちらも、訪日外国人旅行者が日本入国後にしたケガや病気の治療費を補償してくれます。コールセンターに電話をすると、適切な医療機関の紹介を受けることができ、提携医療機関を受診した場合には、保険会社が直接医療機関に治療費を支払いますので、キャッシュレス診療を受けることができます。
また、多くの医療現場で課題となっている「言葉」についても、電話による医師とのコミュニケーションを代行してもらえますので安心です。もしも通訳者が必要な場合には、その手配と費用の補償もしてもらえます。
・加入条件を確認しておこう
訪日外国人向け海外旅行保険は、30日以内の短期滞在をする旅行者向けの保険です。そのため、31日以上滞在予定の場合には加入することはできません。また、持病などで日本入国後に通院を予定している人や、危険を伴うスポーツ(ハンググライダーやスカイダイビング、道具を使う登山など)を行う予定のある人は加入することはできません。
・入国前30日から入国後もインターネットで加入可能
加入手続きは、インターネットで行うことができます。加入できる期間は、東京海上日動の場合には入国30日前から入国後4日目まで、損保ジャパン日本興亜の場合には入国後から30日以内であればいつでも加入可能です。
保険料はそれぞれ異なりますが、東京海上日動の場合には加入日数1日ごと、損保ジャパン日本興亜の場合には10日ごとに異なり、どちらもクレジットカード払いのみとなっています。
・クレジットカード付帯の旅行保険との違い
お持ちのクレジットカードにも、旅行先でのケガや病気による医療費をカバーする保険が付帯していることがあります。医療費そのものの補償は、クレジットカード付帯の保険でカバーできることもありますが、日本国内での適切な医療機関の紹介や、現地での通訳などのコミュニケーションサポートはありません。
また、クレジットカードに付帯する旅行保険は、基本的にいったん費用を立替える必要があるため、持ち合わせのお金が足りない場合に困ってしまうことも。
訪日外国人向け海外旅行保険なら、通訳サービスが含まれていて、キャッシュレスで治療を受けることができるため安心です。
※ 地域によっては、キャッシュレスで治療を受けることができる医療機関を手配できない場合があります。
※ 薬剤費などの費用は、キャッシュレス対応が出来ない場合があります。
・携行品やお土産の紛失や破損はカバーしている?
一般的な海外旅行保険には、携行品の紛失や、現地で購入したものの破損を補償するものもあります。訪日外国人向け海外旅行保険では、あくまでも医療費をメインにした補償内容のため、これらはカバーしていません。
ただ、商品によってはパスポートやクレジットカードの紛失の場合にサポートをしてくれるサービスが受けられますので、事前に確認しておくとよいでしょう。
・新型コロナウイルス感染症になった場合は?
東京海上日動の来日外国者旅行者向け海外旅行保険の場合、原則として保険対象期間中に感染し治療した場合の治療費については、ほかの疾病と同様、引受保険会社が妥当と判断した場合は補償対象となります。
ただし、医師による診断が必須であったり、入院したりする場合は様々な規定があるので、申込先の保険代理店に確認を(多言語対応しているかは保険代理店により異なります)。
病院を訪れる際のタクシー代や、療法施設の宿泊代などがカバーされるかについても、申込先の保険会社により、異なります。
また、自国で加入している保険においては、補償されていることもあるので、事前に確認を。
3.まとめ
海外旅行中の治療費負担を補償する、訪日外国人向け海外旅行保険。入国後も加入することができるのが特徴です。加入条件や細かい補償内容については、商品によって異なるため、加入前によく確認して選びましょう。
また、自国の出国前にある程度どの保険に加入したいのかを決めておき、日本入国と同じタイミングで加入しておくと、無補償の期間が無いのでより安心です。
※ 2019年7月時の情報をもとに作成しています
※ 情報は変更になる場合がありますので、ご自身で事前に確認されることをおすすめいたします。なお、掲載内容による損害等は、補償いたしかねますので、あらかじめご了承くださいますようお願いいたします。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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