日本人が外国人との交流で「避けるべき5つのタブー」世界を渡り歩いた日本語教師に聞いてみた

日本人が外国人との交流で「避けるべき5つのタブー」世界を渡り歩いた日本語教師に聞いてみた

Update: 2017/11/08

グローバル化が進む昨今、日本にも多くの外国人が留学や仕事などで訪れています。職場や友人の集まりなどで、外国人と接する機会も多くなって来ているのではないでしょうか。

しかし、世界にはさまざまな民族が存在しており、それぞれの文化や歴史的背景を知らないと、知らず知らずのうちにトラブルを起こしてしまうことがあるかもしれません。そこで、普段から多くの国や地域の外国人と接している日本語学校の教師の方に、外国人と接する際に気をつけるべきことなどを教えていただきました。

今回お話をうかがったのは、学校法人 新井学園 赤門会日本語学校の牧野久幸先生。1988年から日本語教師としてマレーシアや中国など活躍されており、現在では日本語教師養成講座主任として、日本語教師を目指す人に異文化コミュニケーションなどについても教えていらっしゃいます。そんな牧野先生が長年の経験で培った、外国人と接する際に気をつけるべきこととはどんなものでしょうか?

<ハンドサイン編>

ハンドサインが原因でトラブルに発展することも!?

・日本人の「OKサイン」はフランス人にとって「無価値」の意味

・日本人の「OKサイン」はフランス人にとって「無価値」の意味

「会話の途中でついつい使ってしまうハンドサイン。これは同じ動作でも国によってまったく違う意味になってしまうことがあるので、注意が必要です。ハンドサインを間違って理解したために、トラブルに発展してしまうこともあります。

たとえば、日本人が『OK!』という意味で使う親指と人差し指で丸を作るサイン。これは、フランスの南部などでは“ゼロ”という意味から“無価値”を意味します。そのため、フランスの南部で手料理を振舞われたりした場合、“おいしい”という意味でOKサインを出すと、「お前の料理は無価値だ」と言っているように思われることもあります」

・中国のハンドサイン「9」は、日本人にとっては意外な意味に

・中国のハンドサイン「9」は、日本人にとっては意外な意味に

「日本では、人差し指だけを立てて鍵のように曲げるのは『泥棒』のサインとして知られていますよね。これは中国では数字の9を表すサインです。中国人留学生には、あらぬ誤解を受けないよう、このサインには泥棒の意味があるんだということを教えたりしていますよ」

もし、中国からの観光客がお店で買った物の値段や数のことで、このサインをして話している光景を目の当たりにしたら、びっくりしてしまいますね。

・タイでNGなあの動作、ドイツでNGなあの動作に気をつけて

・タイでNGなあの動作、ドイツでNGなあの動作に気をつけて

「ハンドサインではないですが、タイに行った際に子どもの頭を撫でたりするのは絶対にNGです。頭は魂が宿る場所だと考えられているので、頭を他人に触られるなんてとんでもないことなんですよ。

他にも、ドイツ人の前で、片手をまっすぐに挙げたりはしないほうがいいですね。これは第二次世界大戦時のドイツ軍の敬礼をしていると誤解されることがあります。

実はこういったハンドサインや動作は、グローバルで共通しているものはほとんどありません。同じ国や同じ文化圏の人にしか通じないと思っていたほうがよいですね」

ハンドサインや動作というのは、コミュニケーションの最中に無意識にやってしまいがちなもの。同じ文化圏同士ではコミュニケーションの手助けになりますが、違う文化圏の相手とのコミュニケーションの時には気をつけた方がいいのですね。

<宗教・文化編>

イスラム教徒に豚、ヒンドゥー教徒に牛は絶対NG!

<宗教・文化編>

イスラム教徒に豚、ヒンドゥー教徒に牛は絶対NG!

「こういったサインの違いや行動様式の違いを知るには、何よりも相手を理解することが一番重要です。それぞれの国に歴史があり、文化があり、また宗教的な行動規範がある。それを理解して尊重しなければいけません」

・イスラム教では犬は不浄とされている…。犬を飼っている人は要注意

・イスラム教では犬は不浄とされている…。犬を飼っている人は要注意

「たとえば、イスラム教では犬は不浄な動物と考えられています。だからイスラム教徒の多くは基本的に犬を触りません。イスラム教徒と友だちになっても、犬を飼っている家に招待するのはやめた方がいいでしょうね。もし犬がはしゃいでイスラム教徒に飛びついてしまったりしたら、お互いに困ったことになるはずです」

・イスラム教徒、ヒンドゥー教徒、ユダヤ教徒、それぞれに食べられない食材が

・イスラム教徒、ヒンドゥー教徒、ユダヤ教徒、それぞれに食べられない食材が

「最近はハラルフードなども日本にも浸透してきていますが、各宗教によって食べられるもの、食べられないものなどもあります。イスラム教徒は豚を食べないし、ヒンドゥー教徒は牛を食べない。ユダヤ教徒は鱗のない魚は食べないのでなどが食べられない。もしこういった宗教を信じる人たちと食事をする機会があったとしたら、各メンバーの食べられるもの、食べられないものを確認して、お店や料理を選定した方がいいでしょう」

・必要であれば相手の宗教を事務的に確認すべし

・必要であれば相手の宗教を事務的に確認すべし

「意味もなく『あなたの宗教は何?』などと聞くのは避けた方がいいかもしれませんが、食事会などの準備のために必要なことを聞くのであれば、快く答えてくれるはずです。特に配慮する必要がなければ『なんでも食べるよ!』と言ってくれるでしょうし」

多神教的な宗教観が伝わる日本ではあまり宗教にこだわりのない人が多いですが、外国人にとって宗教は絶対的なものとして大切に考えられています。相手の信じる宗教を理解して尊重することが、円滑なコミュニケーションの秘訣と言えるのでしょう。

<会話編>

直接的で不躾な質問も嫌悪感からきているものではないと知っておこう

・「こんなこと聞いたら失礼かな」と気にするのは日本だけ

・「こんなこと聞いたら失礼かな」と気にするのは日本だけ

「日本人っていうのは、『外国の人にこんなこと言ったら失礼かな』とかよく勝手に悩んだりしていますが、わからないことで聞く必要のあることは、遠慮なく聞いちゃっていいんですよ」

・外国人からの不躾な質問にも、いちいち腹を立てないこと

・外国人からの不躾な質問にも、いちいち腹を立てないこと

「中国人の生徒なんかは僕に『先生のお給料はいくらですか?』なんて聞いてきますからね。そう聞かれたら僕はいつも『あなたに僕の給料を教えて僕にとっていいことがありますか?』って答えてます(笑)。答えたければ答えるし、答えたくなければ答えない、それでいいんです。日本人からすると不躾に思える質問をされても、いちいち腹を立てない方がいいです(笑)」

・韓国人は会話相手の年齢を気にするが、欧米人はまったく気にしない

・韓国人は会話相手の年齢を気にするが、欧米人はまったく気にしない

「韓国人は『あなたはいくつですか?既婚ですか?未婚ですか?なんで結婚してないの?』などと遠慮なく聞いてきますよね。なんで結婚できないかなんてほっといてあげてよ、なんて思いますけど、それは好意の表れだったり目上か目下かを確認する必要があるからで、彼らにとっては自然な質問です。なぜなら、韓国人は相手が年上か年下かによって敬語を使うのかタメ口を使うのかを使い分けていて、その辺は日本語よりも厳格なルールがあるからです。

そして、欧米人は全く逆ですね。年齢をきいても『その情報が何の役に立つの?』と不思議がられます。兄弟を表す言葉にも、基本的にブラザーやシスターという表現しかないように、欧米の人々は年齢をそんなに重視しません。だから、外国人と一口に言っても出身国や出身の地域によって考え方はまったく違ってくるので、彼らから何か不服を言われたとしても、『日本ではこういう習慣だから』と堂々としていれはいいと思いますよ」

文化圏が違う相手とは感覚なども違って当たり前なのだから、お互い様ということで気にしすぎる必要はないのですね。意図せずに相手の気分を害してしまった時は、教訓として次に活かせばいいということだそうです。

<コミュニケーション編>

「特別なプレゼント」を贈るアメリカ人、「つまらないもの」を贈る日本人

・日本は空気を読むことが求められる「高文脈文化」の国

・日本は空気を読むことが求められる「高文脈文化」の国

「日本は『高文脈文化(high-context cultures)』と言われているのを知っていますか。これは、空気を読んだり空気を察したりすることが求められる文化です。誰でもわかることは言葉にしないのが良しとされます。アラブなんかにあてはまります。

しかし、北米あたりは『低文脈文化(low-context cultures)』で、すべてを正確に表現することが求められます。たとえば、アメリカだと、卵はスクランブルなのか目玉焼きなのか、片面焼きなのか両面焼きなのか、パンにバターは塗るのか塗らないのか、など全部指定する場合がほとんどですけど、日本だとおでん屋なんかに行っても『オヤジ、適当にみつくろって』ですみますからね(笑)。

・相手に負担をかけまいとする「ネガティブ・ポライトネス」を選択しがちな日本人

・相手に負担をかけまいとする「ネガティブ・ポライトネス」を選択しがちな日本人

「また、日本は『ネガティブ・ポライトネス(negative politeness)』といって相手に負担をかけない、相手を束縛しない関係性が良しとされますが、北米などは『ポジティブ・ポライトネス(positive politeness)』という相手をほめたり、あなたは私にとって特別な人という表現をすることが好まれます。何かプレゼントを贈るときも、アメリカ人は『あなたのために特別な素晴らしいプレゼントを用意したわ!』などと言いますが、日本人は『つまらないものですが…』などと言いながら渡しますよね」

なるほど、アメリカの人に何か物をあげる場合、謙遜した言い方をすると、本当につまらないものとして受け取られてしまうということ。知っておくと便利ですね。

・外国人にとって最も接しやすい日本人は関西圏の人!?

・外国人にとって最も接しやすい日本人は関西圏の人!?

「そういえば、『大阪は思ったことを言ってくれるので、遠慮しなくていいので楽でいい』という外国人が多いです。大阪はどっちかというとポジティブ・ポライトネスが強いんですよね。彼らは東京の人は思ったことを言ってくれないけれど、大阪の人はなんでもあっけらかんと言ってくれると感じるらしいですね」

空気を読み、相手に負担をかけないことをよしとする日本流コミュニケーション。特に東京はその傾向が強いようです。外国人と接する時はなるべくその傾向を封印し、大阪人になったつもりで遠慮なくストレートなコミュニケーションをしてみると、より仲良くなれるかもしれません。

ハンドサイン、宗教・文化、コミュニケーションにおいていろいろご紹介してきましたが、想像以上に何かと日本と違うということを再確認できたのではないでしょうか?いつ外国の方と接する機会が来てもいいように、参考にしていただければと思います。

学校法人 新井学園 赤門会日本語学校
日本語教師養成講座 主任
牧野 久幸 氏

1988年に日本語教師となる。JICAの専門家としてマレーシアに2年間赴任するなど、外国での日本語教育や日本語教師養成に従事する。上海や香港など、世界各地で日本語教師として日本語教育に尽力。現在では学校法人 新井学園 赤門会日本語学校の日本語教師養成課程責任者として、教鞭を取っている。

Written by:

松村知恵美

松村知恵美

家と映画館(試写室)と取材先と酒場を往復する毎日を送る映画ライター、WEBディレクター。2001年から約8年、映画情報サイトの編集者をやってました。2009年に独立し、フリーランスに。ライターとしての仕事の他、Webディレクションなど、もろもろお仕事させていただいています。

※記事掲載時の情報です。

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