2013年、「ユネスコ」の無形文化遺産に日本の「和食」が登録され、国内で大きな話題となったのは記憶に新しいところ。和食といえば、「寿司」や「天ぷら」、「そば」などの代表的な日本料理がありますが、その中でも特に海外で人気となっているのは、やはり「寿司」なのだそうです。日本伝統のお寿司は「Sushi」として、各国の食文化に合わせたスタイルで、世界中の人々の舌を楽しませています。
そんな日本のお寿司ですが、“外国人が好きな寿司ネタ”と“嫌いな寿司ネタ”は一体どれなのでしょうか?今回は、日本に来て半年以内の外国人にアンケートを取り、「外国人のお寿司事情」について調査を行ってみました!
■外国人が好きなネタNo.1はやっぱりコレ!
堂々の一位に輝いた人気寿司ネタは、日本人も大好きな「サーモン」。回答者からは、以下のような声が挙げられました。
「サーモンはプリッとした食感と、自然な甘味を感じるから好きだよ。台湾の街中にもお寿司屋さんはたくさんあって、寿司は日本人と同じくらい馴染まれている食べ物なんだ。でも……日本のお寿司さんの方がおいしいね(笑)」(台湾/20代/男性)
「基本的に生魚は苦手なのだけれど、サーモンは食べ慣れているから好きよ。ほかの魚と違って味が濃くて、脂も多いじゃない?淡泊な魚は味がしないから、食べた気にならないの」(カナダ/20代/女性)
「サーモンの魅力といえば、やっぱり脂だね。食べた後、舌に脂が残る感じがたまらない!たくさん食べるとさすがに胃がもたれそうだけれど、そんな時は日本の“ガリ”をつまんでスッキリさせるの。濃厚なサーモンと甘酸っぱいガリのコンビネーションは最高!」(中国/女性/20代)
回答者全員がサーモンの「味」を気に入っている様子。濃厚な味わいをしっかりと感じられるほか、まろやかな脂がクセになるのだそうです。
それに加え、「母国で食べなれている食材」という“安心感”もポイント。初めて日本でお寿司を食べる人でも、まずは母国で食べていたサーモンやツナ(マグロ)から手を出す傾向にあります。
また、今となっては回転寿司屋の定番ネタとなっているサーモンですが、日本でサーモンのお寿司が食べられるようになったのは、ここ最近の話。1980年代、ノルウェーの水産業者が日本に訪れたことをきっかけに、サーモンを筆頭とする“ノルウェーシーフード”の輸入が始まりました。サーモン(鮭)を生食するという習慣が日本で浸透し始めたのは、この頃からだといわれています。
それ以前まで、日本は魚介類を輸入したことがなく、サーモンを寿司ネタにすることもなかったといいます。そのためか、江戸前寿司では、サーモンを寿司ネタとして提供していないところも少なくありません。日本人視点でいう、寿司ネタの王様といえばやはり「マグロ」ですが、外国人にといっては、サーモンの方が好まれる傾向にあるようです。
■「たまご」は生食が苦手な外国人から大好評!?
No.2にランクインしたのは「たまご」。日本の子どもたちも大好きな黄色と黒のお寿司は、外国人の目にどう映っているのでしょうか。
「たまごのお寿司が大好きよ!私は生魚が食べられないから、日本のお寿司屋さんに行った時は、決まってたまごやお稲荷さんを頼むの。一貫でお腹いっぱいになるし、ほかのお寿司に比べて安いから、ついつい頼み過ぎちゃう(笑)」(中国/10代/女性)
「たまごのほんのりとした甘さがちょっと酸っぱいご飯に良く合うと思う。あと、たまごのお寿司は『海苔』で巻くと思うのだけれど、あの海苔が良いアクセントになっているわね。海藻の香りが口の中に広がって、食欲が沸いてくるのよ」(イタリア/20代/女性)
「日本のたまごには驚かされたよ!そもそも母国では、「Fried egg(目玉焼き)」しか食べたことがなかったから、あれだけ厚く焼き上げたたまご焼きは初めてだった。しかも甘くておいしいし、意外にもライスと良く合うんだね。日本のお寿司の中では、一番好きな味だよ」(アメリカ/10代/男性)
「目玉焼き」、「オムレツ」、「スクランブルエッグ」など、さまざまな調理法が存在するたまご焼き。日本の寿司ネタでいう「たまご」とは、握った酢飯の上に、日本の伝統的な卵料理である「だし巻き卵」をトッピングし、海苔で巻いたものをいいます。
今回の調査では、食文化の違いから「生魚が食べられない・食べたことがない」という外国人が多く、そういった人は、「たまご」や「お稲荷さん」、「カッパ巻き」といった、生魚の切り身を使わないネタを好んで食べている様子。その中でも外国人に受け入れられたのが、日本の「だし巻きたまご」を使った寿司ネタだったという訳です。
ほかの寿司ネタに比べて安価であり、甘くてボリュームもあるので、自分の子どもが喜んでくれるという声も。たまごという寿司ネタが子どもたちに好かれているのは、きっと世界共通なのでしょう。
ここで、外国人が好きな寿司ネタに関して、少数派の回答もご紹介します。
「日本のお寿司屋さんでも、『カリフォルニアロール』ばかり食べているよ。アメリカ人だからそういうイメージがあるのかもしれないが、マスターに“おまかせ”といって頼むと、大体カリフォルニアロールが出てくる。でも、日本の方がおいしいね。マスターの腕が良いんだろうな」(アメリカ/30代/男性)
「インドネシアの現地では『フュージョン寿司』が大人気で、僕も大好きです。アボカドを使った巻き寿司があれば、お寿司に衣を付けてカラッと揚げるフライド寿司も。日本ではクラシカルなお寿司が殆どなので、フュージョン寿司が食べられるお店があったら、逆に教えてください(笑)」(インドネシア/20代/男性)
少数派の意見としては、日本の寿司よりも、母国で親しまれている「創作寿司」の方が好き、というもの。みなさんもご存じのように、海外では日本のトラディショナルな寿司をベースとする「創作寿司」が多数登場しており、「母国の食べ物」として浸透しつつあるようです。
日本生まれのお寿司が世界で親しまれているのは、日本人として嬉しい限りですが、「本家本元より母国のものが好き」と言われてしまうと、少し複雑な気持ちになってしまいますね……!
■見た目がNGという人も!?嫌いなネタNo.1は「いくら」
続いては、外国人が「嫌い」な寿司ネタのアンケート結果を発表。なんと海の宝石、「いくら」がワースト一位となってしまいました。
「サーモンは大好物だけど、いくらはダメだね。そもそも、いくらなんて食べるもんじゃないよ!だって、これは魚の卵じゃないか!」(ロシア/10代/男性)
「いくらは味と見た目が苦手です……口の中でプチッと弾ける食感は良いのだけれど、その後に広がる生臭い匂いがダメ。『魚の卵を食べている』って考えると気持ち悪いです」(中国/20代/女性)
「小さな粒々が密集しているのが少し気持ち悪い。味も生臭くて苦手ですね……」(台湾/10代/男性)
サーモン(鮭)が大人気の寿司ネタである一方、その卵であるいくらは、外国人の間でとにかく不評。味や食感だけでなく、見た目に抵抗がある人が多いようで、「粒々が密集している光景が気持ち悪い」という声も多々ありました。
加えて、「日本人は魚の卵を好んで食べるのか?」という意見が多かったことに驚きます。日本ではいくらをはじめ、「たらこ」や「数の子」といった魚卵を食べる習慣がありますが、海外ではあまり食べられないのだとか。
「キャビアだってチョウザメの卵じゃん!」という日本人の声が聞こえてくるようですが、いずれにしても、サーモン(鮭)の魚卵であるいくらは、あまり外国人には受け入れられないようです。
■日本人でも好みがわかれる「ウニ」が嫌いなネタNo.2に
ワースト二位にランクインしたのはお寿司の高級ネタ、「ウニ」。具体的に得られた回答は以下の通りです。
「ウニの生臭い匂いが大の苦手!食感もトロトロすぎて食べた気がしないし。日本人は本当にこんな味が好きなのかい?」(アメリカ/20代/男性)
「ウニは苦味が強くて苦手だよ。新鮮なウニならおいしいのかもしれないけれど、高級品だし、なかなか食べられないんだ。少なくとも、インドネシアで食べたウニはひどい味だった」(インドネシア/20代/男性)
「中国でウニのお寿司を食べたことがあるのですが、ガソリンみたいな匂いがして食べられませんでした。日本のウニはまだ食べていないので、もしかするとおいしいのかも……」(中国/20代/女性)
ウニは日本料理に欠かせない高級食材であると共に、日本人の間でも好みが分かれる食材の一つ。今回のアンケートでは、「味」と「匂い」が苦手という外国人が多かったですが、もしかすると「本当に新鮮なウニを食べたことがないのでは?」という疑問を持ったのが正直なところです。
「そもそも日本のウニは高すぎて食べられない……」という声もありましたが、もし懐に余裕があれば、国産の新鮮なウニを味わってもらいたいものですね!
■外国人は“生食”がネックか……?
今回のアンケート調査では、好きな寿司ネタとして「サーモン」がダントツの一位でランクイン。次いで、日本の子どもたちが愛してやまない「たまご」が挙がるなど、「マグロ」や「いか」といった定番ネタがランクインしなかったことに驚きました。
その一方、嫌いな寿司ネタは「いくら」と「ウニ」が大半を占め、生の魚卵を食べることに対し抵抗があり、「寿司自体が嫌い」という外国人も少なくないようです。
また、「日本の寿司より、母国の創作寿司の方が好き」という少数派の意見はとても印象的でした。海外の創作寿司に関しては、以前より賛否両論の声が挙がっているものの、結果的に日本の「和食文化」を広めるきっかけとなっている訳ですから、その功績は大きいといえます。ともあれ、日本のトラディショナルな寿司を世界中の人にもっと食べてもらいたい。そう思わせる、今回の寿司アンケートでした。
アンケート協力
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学校法人 新井学園 赤門会日本語学校 本校
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住所
116-0014 東京都荒川区東日暮里6-39-12
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最寄駅
日暮里 駅 (京浜東北線 / 山手線 / 常磐線 / 上野東京ライン / 日暮里・舎人ライナー / 京成本線 / 京成成田空港線(成田スカイアクセス))
徒歩10分
- 電話 03-3806-6102
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住所
116-0014 東京都荒川区東日暮里6-39-12
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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