2017 年、訪日外国人観光客が過去最高の年間 2869万人を超えた日本。外国人が街を歩いている姿も当たり前の光景になってきました。そして、それと同時にこれまでなかったところで英語表記の看板なども増え、「英語が身近になってきた」なんて感じている人も多いのではないでしょうか?
身の回りに英語が増え、理解も進んでいくのはとてもよいことですよね。でも「カタカナのものの語源はだいたい英語でしょ」なんて思ってしまったら、それは間違い!当たり前のように話しても、外国人には伝わらない「ちょっと待って!?」な、いわゆる和製英語(カタカナ英語)もたくさん潜んでいるのです。
今回は、そんな「私たちの生活の身近にある、外国人には伝わらないカタカナ英語」をご紹介します。
外国人に伝わらないカタカナ英語1「サラリーマン」
「サラリーマン」も、日本人が間違える代表的な和製英語です。サラリーという言葉は、もともとローマ時代に給料として払われていた「塩」を表すSalariumからきたもので、そのサラリーをもらう人ということでサラリーマンという言葉ができたといわれています。なんとも昔の日本らしい語源ですね。サラリーマンは英語だとSalaried Man(給料を与えられる人)となり、意味としては合っているような気もしますが、仕事が何かを聞いているのに「お金もらっている人です」というのは、かなり違和感あります。
外国ではそもそも仕事は職業名や仕事内容で話すことがほとんどなので、会社員と言いたいときにはoffice workerが適切です。間違っても職業欄にサラリーマンとは書かないように気をつけましょう。
外国人に伝わらないカタカナ英語2「レンジ」
私たちの生活に、なくてはならない存在の(電子)レンジ。英語ではmicrowave、またはmicrowave ovenです。英語でのrangeは、gas range、つまり日本でいうガスコンロのことを指します。単に「レンジ」と言ってしまうと、ガスコンロと勘違いされてしまいます。ちなみにチン=Chin なんていったら、顎という意味になってしまうので気を付けてくださいね。
外国人に伝わらないカタカナ英語3「アルバイト」
さも英語のように聞こえますが、外国人に「私はアルバイトをしています」といっても通じません…。日本でいうアルバイト、実はこれ、ドイツ語で仕事・労働を意味するarbeit からきているんです。ただし、ドイツ語では、日本のように短期労働や一時的な就労ではなく、正規雇用のような形でしっかり働くことを意味しています。
アルバイトは、一般的には英語でpart-time-jobですが、これも1日5時間程度を週2~3回など、細切れに部分的な時間を働いている場合に使います。いわゆるフリーターのように、1日8時間以上、週に5日働いているといった場合には、full-time-jobでOK。「アルバイト」というのは日本独特の雇用形態による表現というわけです。
外国人に伝わらないカタカナ英語4「ノートパソコン」
日本ではおなじみのノートパソコン、こちらはキーボードと画面が一体になっていて、ノートのように開いたり閉じたりできるということで名づけられた名称です。これもまた外国人には通じません。ノートパーソナルコンピューターといっても「ノートなの?PCなの?どっち??」と混乱を招くこと間違いないでしょう。
英語ではLap Top。Lap=膝、Top=その上に置くという意味で、膝に置いて使える小さなパソコンということでラップトップです。PCと加えなくても通じます。
外国人に伝わらないカタカナ英語5「ペットボトル」
ペットボトルの素材であるポリエチレンテレフタレートをPETと表記することから、日本語ではペットボトルといわれるようになったようです。
ペットボトルと言ってしまうと、動物用(=ペット)のビンと思われてしまうことも。「ペットボトルいる?」なんて聞かれた際には、当然いらない!となってしまいますよね。
ペットボトルは、英語で「Plastic Bottle」です。
外国人に伝わらないカタカナ英語6「ビニール」
ビニールのことを、vinylという英語だと思っていませんか?これも実は和製英語。本来であれば、塩化ビニル樹脂などのビニル樹脂が原料のものに限って、ビニールという呼び名になるわけですが、日本では素材に関わらず、プラスチック系をまとめてビニールと表現するのが日常的です。しかも、実際にはナイロンやポリエチレンなどのプラスチックが原料であることがほとんどだそう。
英語では、ビニール袋ではなく、Plastic bagとなります。海外のお店やスーパーマーケットなどでは、単純にBagでも通じます。
外国人に伝わらないカタカナ英語7「コンセント」
家電のコードを指すためのコンセント。これは、もともとconcentric plugという英語を、「コンセント」と「プラグ」という言葉に分けて表現したことから始まったといわれています。詳しい構造は割愛しますが、“同心構造”というつくりを英語でconcentricというそうで、そこからコンセントプラグという日本的な名称になっていったのです。なかなか複雑です…。
英語でconcentは、「同意する、承諾する」という意味なので、一生懸命「コンセントはどこ!?」なんて言ってもまったく嚙み合いませんよね。ちなみに、よく「コンセントを差す」という表現を使ってしまいがちですが、そもそもこれ自体も間違い…。コンセントは壁にある差し込み口で、差すのは「プラグ」のほうです。
外国人に伝わらないカタカナ英語8「クーラー」
夏の暑い日には欠かせないクーラーも外国人には通じません。英語で正しくはair conditionerです。クーラーというと、キャンプの時に活躍するクーラーボックスと思われて、だいぶ違った解釈になってしまうのです。
外国人に伝わらないカタカナ英語9「デパート」
デパートは、そもそもdepartmentが短縮されたものです。ただしこのdepart、departmentは、英語では部署、部門といった意味。ビジネスのシーンで「営業部です」というときに、Sales department と使うイメージですね。日本語でいうデパートを表現したいときには、department store と言いましょう。
いかがでしょうか?「これ英語じゃなかったの!?」な意外なものもあったのではないでしょうか。最後に、筆者が実際に体験した、カタカナ英語の勘違いエピソードをひとつご紹介します。
学生時代、オーストラリアにホームステイした時のこと。ホストファミリーとファーストフード店に行ったとき、「何にする?」と注文を聞かれ、迷わず「ハンバーガー&フライドポテト」と言いました。するととても不思議な顔をされ、「チップス?」と聞き返されてしまったのです。いやいや、ポテトチップスが食べたいわけじゃないしと、再び「NO!フライドポテト」と強気に主張してみたものの、やはり困った顔は変わらず…。この際、ポテトチップスでも仕方がないと思い、「OK」と渋々承諾すると、なんとちゃんといつものフライドポテトが出てきたじゃありませんか!もうお気づきですよね。フライドポテトは、英語でChips(英)、またはFrench Fries(米)と言うのです。
日常生活には日本人にしか通じないカタカナ英語がたくさんあります。知らないと恥ずかしい思いをすることもないとは言い切れませんので、いろいろ調べてみるといいのではないでしょうか?
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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