「忠犬ハチ公」で知られる秋田犬。実は、ヨーロッパをはじめ、東南アジアで一大ブームになっているのをご存じでしょうか。秋田犬の全国品評会に訪れて、かわいいモフモフな秋田犬たちに癒されながら、海外ブームとなった理由を探ってみました。
そもそも秋田犬ってどんな犬?
秋田県の大館地方で伝承されている土着犬のことをいいます。大きくて骨太な体と忠誠心が強く温和な性格から、古くは狩猟犬として飼われていましたが、江戸時代から大正時代にかけては闘犬として人気を集め、日本犬ではじめて天然記念物に指定されました。
秋田犬の知名度があがったのは、誰もが知る「忠犬ハチ公」。昭和7年に新聞紙上で上野英三郎教授の帰りを待ち続けるハチの記事が掲載されると、ハチの従順な姿に日本全土が魅了されたのです。その人気ぶりは、日本一有名な待ち合わせスポットである渋谷駅前の忠犬ハチ公ができたことからも伺えます。
秋田犬の品評会は真剣そのもの
秋田犬の品評会は、全国から集まった秋田犬の中から、年齢と性別ごとに美しい一頭を決める、秋田犬ブリーダーにとっては重要なイベントです。評価の基準は、立ち姿、噛み合わせなどで、一頭につき一名の審査員がついてじっくり審査されます。秋田犬のぽーっとした表情とは裏腹に、飼い主たちは真剣そのもの。
そして、審査が終わった犬たちは、ブリーダーとともに会場近辺をお散歩しています。審査会場とは違う、愛らしい表情も見ることができ、見学者全員がメロメロに!
秋田犬を見に来る外国人が多いワケ
海外で秋田犬がブームになった大きなキッカケは、映画『HACHI』の公開。ハチ公がHACHIに変わっても、けなげに待つHACHIの姿は外国人の胸を打ち、秋田犬ファンが急増したのです。その結果、海外から買い付けを希望するブリーダーが後を絶たないそうです。
「海外からのお問い合わせはとても多いですよ。フランス、イタリア、ポーランドなどが多いですね。皆さん、本当に秋田犬に惚れこんでいるようで、日本のブリーダーをわざわざ探して連絡してくださるんですよ」(函館在住のブリーダー、多田さん)
東南アジア出身の秋田犬ファンを発見
人気は欧米だけではなく、アジアでも高いといえます。数年前から中国からの人気が高まっていますが、ここ1~2年で急増しているのが、東南アジアの秋田犬ファンとのこと。
「そういえば、今日も東南アジアの人が来てるよ」と、多田さんから紹介してもらったのが、シンガポール出身のジョーさん。現在はタイに暮らし、パートナーとともに、なんと8頭もの秋田犬を飼っているそうです。
「今日は新しく家族になる秋田犬をもらいにタイから来たんだ」
彼が手綱をひいているのが、今年1歳になったばかりの秋田犬・スミレ。目の輝きと綿毛のようなふわふわした薄茶色の体毛から若さを感じさせます。
「僕が秋田犬を好きになった理由は、やっぱり映画(『HACHI』)だね。けなげに主人を待つ姿に、何度も涙を流したよ……」
ジョーさん、心なしか目を潤ませている。
「こんなに純粋で愛らしい犬が日本にいるなんて、その時に初めて知ったんだ。それから、絶対に秋田犬を飼おうと決めたんだよ」
ジョーさんが住むシンガポールは暑そうだけど、北国生まれの秋田犬はバテちゃうのでは?
「犬用の部屋で空調管理しながらきちんと世話をしているよ。明け方の涼しい時間帯に、広い道路で散歩しているから彼らも気持ちよさそうだよ!朝日を浴びた凛々しい姿、夜に見る穏やかな目つき、どれも最高だよ……」
どうやら、話しながら悦に入ってしまったジョーさん。最後には、こんな迷言まで飛び出した。
「秋田犬は最高。やめられないよ!」
そういえば、あのロシアのプーチン大統領も、秋田県から進呈された「ゆめ」と笑顔でたわむれる姿が撮られていましたね。どんな人物をもメロメロにする秋田犬は、これからもっと世界中にファンを増やしていくことでしょう。
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