日本ならではの風習の一つ「お賽銭」。大きなプロジェクトをどうしても成功させたい、年内に結婚したい、憧れの職業に転職したい……。そんな願いを神様に叶えてもらうため、神社に駆け込みお賽銭を投げ込む人、少なくないのでは?
だけど、「お賽銭=願掛けの際にお供えするもの」という認識は間違いなんだとか!試しにネットで調べてみると、どうやらお賽銭は“神様への感謝の気持ちを示すもの”という情報がチラホラ。そこで、日本でも有名な「明治神宮」と「伊勢神宮」に電話をして確認してみたところ、次のような回答が得られました
「そもそもお賽銭は、願掛けやお礼云々というものでもないんです。もともとは、神様へのお食事としてお米をお供えしていたものの名残。現在では農業に勤しむ人が減ってきたため、お米の代わりとしてお金をお供えするようになったんです」
「毎年、秋の稔りへの感謝を表すためお供えしていた“初穂料”というものが起源だといわれています。神様へ『今年もこんなに豊作でした。ありがとうございます』という感謝をこめてお供えしていたものです」
諸説あるものの、神様にお米をお供えしていたのがお賽銭の名残であることに間違いはないようです。ちなみに、神社本庁のホームページによると、お賽銭についてはこのように説明されています。
「お賽銭の意味や起源には諸説があります。現在では神社にお参りすると、お賽銭箱に金銭でお供えしますが、このように金銭を供えることが一般的となったのは、そう古いことではありません。
もともと、御神前には海や山の幸が供えられました。その中でも特に米を白紙で巻いて包み「おひねり」としてお供えしました。
私たちは祖先の時代から豊かな自然に育まれ暮らし、秋になるとお米の稔りに感謝をして刈り入れた米を神様にお供えしました。こうした信仰にもとづき、米を「おひねり」としてお供えするようになったのです。しかし、貨幣の普及とともに米の代わりに、金銭も供えるようになりました。」
つまり、お賽銭とは、秋の稔りへの感謝を表すお米の代替品。時代の流れとともにカタチは変わったものの、「神様に感謝をするため」という意図は変わっていないのです。ということは、やはりお賽銭は願いを叶えてもらうためのものではないらしい!それを知らず、欲を全開にして「神様、この願いをどうか叶えてください!」なんてお願いしていた人は、ここまで読んで焦っているのでは? もしかして神様も相当怒っているかも……!
でも、そんな心配は無用!伊勢神宮の方がこんな提案をしてくれました。
「お賽銭は、秋の稔りへの感謝を表すためお供えしていたものですが、ただし、その際に『また来年もよろしくお願いします』という期待もこめられていたのは事実でしょう。だから、願掛けの際にお賽銭をお供えするというのも、あながち間違いだとは言い切れないかもしれませんね。神様への感謝の気持ちを示すことは大前提、その上でお願いをすればいいと思いますよ」
つまり、願掛けをするのも決して悪いことではないよう。大事なのは、日頃の感謝の気持ちを示しつつ、新たなお願いをすることです。願いごとを聞き入れてくれるかどうかは、金額の大小ではなく、真摯に感謝する姿勢があるかどうかにかかわってくるのでしょう。
願いを叶えてもらいたいならば、これまで神様に守っていただいていたことを感謝することから始めてみましょう。これで神様にもすんなりお願いが届くかも。ただし、やり過ぎには注意ですよ!
※本記事は2016年取材記事を再編集して公開したものです
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