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俳句──研ぎ澄まれたな詩の世界

俳句──研ぎ澄まれたな詩の世界

公開日: 2016/11/25

シンプルな
五七五の
句の世界

ここ10年ほど、俳句が世界的なブームとなっている。俳句には一応の決まったルールはあるものの、ごくシンプル。また内容もなんでもアリなので、理論上は誰でも簡単に俳句を作ることができる。俳句のルールは以下の通り。
・5文字、7文字、5文字の全17文字で構成されていること
・季語を一つ含んでいること

切れの美学

切れの美学

ルールを厳格に守ることより、むしろ切れの美学が重んじられるのが俳句。「切れ」とはまさに、極限まで短い言葉で、無限に広がる世界を表現する俳句独特の様式を物語っている。短い言葉だからこそ、受け取る人がそれぞれに解釈したり、行間を読んだりできるのが俳句の醍醐味だ。またこうした意図した短さ「=切れ」こそが、俳句を詠む難しさでもある。

俳句の創始者・松尾芭蕉

俳句の創始者・松尾芭蕉

俳句を語る上で欠かせない人物が松尾芭蕉だ。俳句を芸術として完成させた人物としてあまりにも有名な芭蕉だが、彼の生前には俳句はまだ単独の様式として確立はしていなかった。

カエルの飛び込みと富士山の風

カエルの飛び込みと富士山の風

芭蕉の俳句には古典的な季語が含まれているものが多い。以下に有名な句を紹介しよう。

古池や furuike ya old pond
蛙飛び込む kawazu tobikomu a frog leaps in
水の音 mizu no oto water’s sound

富士の風や fuji no kaze ya the wind of Mt. Fuji
扇にのせて ōgi ni nosete I've brought on my fan!
江戸土産 Edo miyage a gift from Edo

お気づきだろうか? 富士山の句は17文字ではなく、18文字で構成されている。つまり俳句の名人すらも、文字数のルールを厳格には守っていなかったのだ。短い詩の中でいかに世界観を表現するかが俳句の重要どころであり、ルールは二の次だと言っていい。

現代俳句──メッセージエラーの美学

現代俳句──メッセージエラーの美学

自転車乗りが脚本を書く
あらすじは自転車レーンでのドラマ
なんて歩行者なのか

車が歩道を横切る
ニューヨークで友達と出会う
最悪の紛争地域

車が自転車レーンの近くで止まる
自転車乗りがくじを引く
いらない当選賞品

20世紀以降、俳句は世界的な現象となり、日本語や英語のみならずさまざまな言語で詠まれるようになった。また現代俳句は自然を題材にしたものばかりでなく、スタイルは古典的であっても、21世紀的な日常を詠んだものが多い。以下は、なんとコンピューターのエラーメッセージが素晴らしい俳句になってしまった例だ。

混沌は内包する
向かい合い、悔やみ、リブートする
そして元通り

もう削除された
君の探す書類は
タイプし直さなきゃならない

プリンターは何処?
プリンターソフトが見つからない
横にあるのに

誰でも俳句は詠める!

誰でも俳句は詠める!

コンピューターがまさか俳句を詠むなんて、いったい誰か想像しただろうか。しかし前述した通り、俳句は人間であってもコンピューターであっても、誰でも詠めるものなのだ。またそれは、松尾芭蕉が生前に伝えたかったことでもあった。

俳句を詠んでみよう

俳句を詠んでみよう

初めて詠む俳句が意味深いものでなくても構わない。大切なのは俳句を楽しむこと。その証拠に松尾芭蕉ですら、おふざけで「松島」をテーマにこんな俳句を詠んでいる。

松島や matsushima ya Matsushima
ああ松島や aa matsushima ya Ah, Matsushima
松島や matsushima ya Matsushima

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