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都心から90分!奥多摩の大自然と銘酒が堪能できる『小澤酒造』見学に行ってきた

都心から90分!奥多摩の大自然と銘酒が堪能できる『小澤酒造』見学に行ってきた

更新日: 2020/09/09

お酒好きにとっては、日本酒は飲まずして日本旅行を満喫できないだろう。日本酒の魅力をフルに感じたいなら、奥多摩・沢井にある『小澤酒造』に訪れるのがオススメ。日本人は、米が原料の度数の強い日本酒を少しずつ飲み、今日まで約1300年の長きにわたって、楽しみながら味わってきた。世界中で知名度があがり、海外のレストランでも飲むことはできるが、その大半はどんな酒なのかはあまり関係なく提供される。しかし実際は、数え切れないほどの種類の日本酒があり、味も全て違う。さらには、酒を楽しむ温度によって、呼び方も変わるのだ!今回訪れた『小澤酒造』の酒蔵見学は、場所こそ都心からは少し離れているが、行く価値があると断言しよう。

▲沢井の美しい渓谷にかかる橋
▲沢井の美しい渓谷にかかる橋

新宿からおよそ80分。青梅市に近くに位置する奥多摩は、山並み、渓谷がたくさんあり、田園地帯の自然美を求めて訪れるハイカーに人気のエリアだ。澄んだ空気と、酒造りには欠かせない汚れの無い、透き通った天然水が流れている。ここで紹介する『小澤酒造』は、青梅市を出たすぐのところにある小さな村・沢井に、300年も前から存在し、醸造所のすぐ隣にあるオーナー所有の家は、300年前に建てられたものだそう!

▲小澤酒造で作られている酒の一部
▲小澤酒造で作られている酒の一部
▲小澤酒造の入り口に到着。わくわくする。
▲小澤酒造の入り口に到着。わくわくする。

小澤酒造―無料試飲つきの酒造見学ツアー

『小澤酒造』が歴史と伝統を後世に継承する醸造所であることは間違いない。過去そこで働き、今も働いている人々(蔵人)には、最高の酒を作り上げるために何百年にわたり磨きあげてきた技(わざ)がある。そんな職人が集まる酒蔵を、無料で見学させてくれるという。ツアーは公式サイトから事前申し込みが必要だが、当日その場での申し込みも可能。ツアーは1日4回あるが 数が限られているので、事前予約がおすすめだ。歴史を感じさせる旧家の奥にある蔵の入り口から、ツアーがスタート。さあ、文化と歴史に満ちあふれる酒の世界に浸ろう。

▲見学スタート。後ろには酒林(杉玉の別名)が。
▲見学スタート。後ろには酒林(杉玉の別名)が。
▲酒樽-残念ながら中身は入ってない!
▲酒樽-残念ながら中身は入ってない!

ツアーのスタート! 新酒ができるときの秘密とは

日本酒作りが本格的にスタートするのは、9月から5月中旬までで、毎年最初の酒ができる秋には、酒林(別名:杉玉 )が醸造所の軒下に吊される。酒林は杉の葉でできていて、その鮮やかな緑色で道行く人に新酒ができたことを知らせる。葉が茶色になってくると、新酒が好きな日本酒愛好者は新しい緑色の酒林が吊るされるまでまたじっと待たなければならない。
醸造所の大扉のすぐ脇には、新年会や結婚式でも見られる酒樽が。日本の伝統行事「鏡開き」の際に、樽のふたを割り、参加者みんなで樽のお酒をいただくのが習慣となっている。

▲酒のタンク-もちろん泳いではいけない
▲酒のタンク-もちろん泳いではいけない

醸造所の中に入ると、荘厳な光景が広がっていた。300年前に引き戻されるかのような建物の内観と、そこに佇む酒の巨大なタンクがなんとも印象的だ。残念ながら、タンクの中を見ることも飛び込むこともできないが、ここから毎日カップ一杯の酒を飲んだとしても、飲み終わるまで百年はかかりそうだ。
タンクの上部には何百年もの間、厚い土壁に沿って存在し続けている巨大な梁(はり)が複数あり、建物の内部の温度をコントロールしている。ずっと昔からこのような伝統的な建築技術があったこと、そしてそれによって建物の内部を夏でも冷涼に保てているという事実に、ただただ驚くばかりだ。

▲こんなにたくさんの酒瓶が。古酒。
▲こんなにたくさんの酒瓶が。古酒。
▲驚きの珍品-西暦2,000年という節目の年に醸造した特別な酒
▲驚きの珍品-西暦2,000年という節目の年に醸造した特別な酒

日本酒は通常、醸造した年に飲み干してしまうので、ワインと同じようには熟成するわけではないが、時として特別に貯蔵する酒も大当たりの年がある。先ほど見た巨大なタンクと同じ場所に、年代別にずらっと並んだ日本酒をみることができる。例えば西暦2000年の新世紀初年を祝うために作ったミレニアム記念酒。こちらは後ほど試飲することができる!

▲マジックが起きる場所。ここで米が酒になる
▲マジックが起きる場所。ここで米が酒になる
▲酒造り用の米について-食用米とは異なるのだ!
▲酒造り用の米について-食用米とは異なるのだ!

米磨き?家庭で簡単に酒が作れないワケ

次に案内されたのは、米が「磨かれる」場所。実は“米”とひと言で言っても、食用や醸造用の米など様々な種類があり、後者はあまり食べて美味しくない米である。
醸造用の米を「磨く」とは、米粒の外側を取り除くことを示す。回りを磨いて、残った部分の割合が低ければ低いほど、高品質の酒である。小澤酒造の最高級の酒の場合、米粒の精米割合の65%を磨き落とされている。

▲この洞窟においしい酒の秘密があると言う…
▲この洞窟においしい酒の秘密があると言う…
▲秘密、それはきれいな湧き水のことだった
▲秘密、それはきれいな湧き水のことだった

ほとんどの人が知らない・・酒造りに水がとても大切な訳

そして米と同様、酒造りに重要なのが「水」である。品質のよい水が手にはいる都心から離れた田舎に酒醸造所があることが多く、小澤酒造がこの奥多摩の地に創設されたのもうなずける。先ほどの醸造所の外に出て、長さ30メートル位の小さなトンネルに入ると、一番奥に“小澤酒造の宝”ともいうべき、きれいな湧き水の井戸がお目見え。この井戸は200年近く使われており、ここで取れるミネラル豊富な水は、日本酒を造るのにピッタリなのだとか。

▲ 待ちに待った日本酒の試飲タイム!
▲ 待ちに待った日本酒の試飲タイム!

いよいよ日本酒のテイスティング!

見学の締めは、待ちに待った日本酒テイスティング!季節の日本酒を試飲して、その複雑さを説明してもらえる。日本酒の味や香りは、どのようにして作ったか-例えば米がどの位磨かれたかや、水質はどうなのか等々によって異なってくる。
そんな日本酒はおおよそ次の4タイプに分けられる。まずは香りが強くまろやかな熟酒、深みのあるフルボデイの醇酒、まろやかな香りと軽い味のするライトスムーズな爽酒、そして花と果実の香り漂う甘口のフルーティな薫酒だ。

▲酒にはひと言で語れない深みがある。どんな酒なのか、しっかり吟味して選ぼう
▲酒にはひと言で語れない深みがある。どんな酒なのか、しっかり吟味して選ぼう

また、日本酒のタイプによって合う食事も変わってくるので、何を食べているのか、何を食べようとしているのかを考えながら日本酒を選ぶのが大事である。さらに、日本酒は5度から55度の熱い温度まで、様々な温度で味わうことができる。
この試飲の場で提供された日本酒に、心からおいしいと思った。

酒ツアーの後は酒バーを!

試飲だけでは物足りなくなるのは至極当然。でも心配無用。敷地内には、日本酒バーもあるのだ!入り口から醸造所へ行く途中に小さなトンネルに続く階段があり、川沿いの美しい庭に続いている。トンネル出口のそばには、さわやかな水を実際に飲むことができる湧き水も。歩き進めて右手の家並みの最初に日本酒バーがあり、とてもリーズナブルな値段で10種類の酒を味わうことができる。そして使ったカップは、そのままお土産に持ち帰ることができるのも嬉しい。

▲こちらの日本酒バーでは、色んな種類の酒を試すことができる
▲こちらの日本酒バーでは、色んな種類の酒を試すことができる
▲口に合ういろいろな色合いと味を楽しめる酒の数々
▲口に合ういろいろな色合いと味を楽しめる酒の数々
▲川沿いの店では食べ物、酒、いろいろなお土産を買うことができる
▲川沿いの店では食べ物、酒、いろいろなお土産を買うことができる

外にはテーブルがあり、ショップがいくつか並んでいる。そこでは、豆腐や、醸造所で酒造りのために圧搾した米の残りの酒かすなども購入可能。

▲川沿いの最高の場所でツアーの余韻を堪能
▲川沿いの最高の場所でツアーの余韻を堪能
▲左:豆腐 400円 右:もつ煮 450円
▲左:豆腐 400円 右:もつ煮 450円

もう一つの店では、小澤酒造の日本酒をボトルで販売しているので、友人や家族へのお土産や贈り物に最適だ。そして3つ目の店ではテラスのテーブルで楽しめる食べ物を販売。いろいろな日本酒を堪能し、よい具合にほろ酔いになったら、テーブルに座って、おいしい豆腐を食べ、沢井の美しい渓谷美を楽しむに限る。

澤乃井ガーデン 酒試飲:10:30 – 16:30
澤乃井ガーデンスナック店:11:00 – 16:00

  • 澤乃井-小澤酒造株式会社
    • 住所 2-770, Sawai, Oume-shi, Tokyo
    • 電話 0428-78-8215
    • 営業時間: 8:00a.m - 5:00p.m
      定休日: 月曜(月曜が祝日の場合、火曜)

      酒造見学ツアー:11時、13時、14時、15時
      ツアーは日本語のみ。ただし、英語のパンフレットとインフォメーション冊子あり。

ライター:Michael Sullivan
カメラマン:岩田 衣織

※記事掲載時の情報です。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。

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