海外を旅行している時、「分かりづらいな」と思うのが税金の仕組みです。お店でお会計をする時に「あれ?ちょっと高いな」と感じることがあるとすれば、消費税が関係しているかもしれません。日本にも消費税があります。今回は、「買い物を終えてレジで金額を見たらビックリした」ということが起きない様に、日本の消費税について解説します。
消費税の仕組み
消費税とは、商品やサービス等の価格に上乗せして広く徴収される税金です。1989年に日本で初めて消費税3%が導入されてから30年以上が経ちました。少しずつ上がってきた消費税の税率は、2019年10月にとうとう8%から10%になりました。
消費税を上げるということは、政府がその財源を活用して社会を良くしてくれる側面もありますが、国内の消費が落ち込み経済の足を引っ張る負の側面もあります。2019年10月に消費税を10%へ上げる時に日本政府は「消費が落ち込まないように」と、軽減税率という制度を作りました。日本人にとっても複雑で分かりづらい制度ですから、外国人旅行者にとっては迷惑な制度かもしれません。
スーパーで買い物する時に知っておきたい軽減税率
軽減税率とは、生活に必要な物について消費税を8%に据え置く制度です。対象となる物の代表例は、野菜や果物などの飲食料品です。ここで厄介な問題が生じました。政府が外食を軽減税率の対象から外したからです。
「スーパーで買ったお弁当をイートインコーナーで食べた場合、これは外食に該当するのかどうか」という疑問が出てきました。日本政府の見解は、「スーパーで買った弁当は軽減税率の対象になるので消費税は8%。しかし、イートインコーナーで食事をする場合は外食に該当するので消費税は10%」というものでした。レジでお金を払う時にお客は「イートインコーナーで食べます」といちいち伝えなければいけない面倒な仕組みなのです。
日本国内で賛否を巻き起こした軽減税率は、レジの電子化やアプリを用いたキャッシュレス決済も進んでいることなどから、幸い大きな混乱になりませんでした。この軽減税率はいつまで実施されるのか、まだ決まっていません。
1000円の物を買ったら消費税100円との合計1100円を払わなければいけないのが消費税の仕組みです。しかし、外国人旅行者には、一部の消費税を免除する仕組みも用意されています。
外国人旅行者の消費税が免税される仕組み
免税とは、外国人旅行者などの非居住者に対して「①特定の物品」を「②一定の方法」で販売する場合に限り消費税を免除する制度です。免税制度を利用したい外国人旅行者は、免税業者に指定されたお店で買い物する必要があります。お店の外に「Tax Free」や「免税」といった看板が出ているお店を探しましょう。
①特定の物品とは
特定の物品は、一般物品と消耗品の2つに分けて考えられています。例えば、家電製品や鞄、時計など贅沢品とみられるような物は「一般物品」に該当します。この場合、一人当たり同一店舗で5,000円(税抜き)以上を購入した場合にのみ免税の対象になります。一方、ティッシュペーパーや化粧品、医薬品など日用品とみられる物は「消耗品」に該当します。消耗品は、一般物品と違って「5,000円以上で50万円までの金額」という制限があります。
②一定の方法とは
一定の方法とは、指定された免税手続きにのっとって購入することです。例えば、商品を購入する時にパスポートの提示が義務付けられています。出国の際に税関で「購入記録」を提示する必要があります。
免税制度を利用する時のポイント!
免税制度を利用して「消耗品」を購入した場合、出国するまで袋や箱を開けてはいけません。空けると、日本国内で消費したと考えられ、免税の対象外になってしまう可能性があります。「一般物品」は開けても大丈夫です。日本を出国する時に税関で確認されるので、袋や箱を開けないように気を付けましょう。
2018年までは一般物品と消耗品を合算して計算することはできませんでした。その後、2019年に制度改正が行われてからは、一般物品が指定された方法で梱包されれば、一般物品を消耗品に合算することができるようになりました。次のような例で比較すると分かりやすいと思います。
<ケース①>
3,000円の鞄(一般物品)と2,500円の化粧品(消耗品)を購入した場合、両方とも金額が5,000円未満なので免税の対象外になってしまいます。
<ケース②(2019年以降)>
3,000円の鞄と2、500円の化粧品を購入した場合、両方とも消耗品として扱われ、購入金額が5,000円以上になるので免税の対象になります。
免税制度の電子化がスタート
2020年4月からは、免税店での手続きが電子化されます。商品を購入する時にパスポートを提示するところまでは同じですが、書面にサインしたり、購入記録表をパスポートに貼られたりすることが無くなります。
購入記録は電子データ化され関税に送られます。そのデータを基にして、出国手続きの時に税関チェックを受けることになります。2021年9月30日までは電子化の移行期間となり、しばらく従来の手続き方法を残す店舗もあります。
「duty-free」と「Tax Free」を勘違いしないで
外国人旅行者であっても、パスポートを見せればどのお店でも消費税を免除してもらえるわけではありません。免税制度を活用して商品を販売したいお店は、事前に国から許可を受ける必要があり、残念ながら日本国内の全てのお店が許可を得ているわけではないからです。
免税店の見分け方は、店頭に「Tax Free」や「免税」の看板が掲げられているかどうかです。デパートをはじめ、ユニクロやビックカメラなどの有名店はもちろん、コンビニエンスストアも免税店になっています。
ちなみに「duty-free」と「Tax Free」を間違えない様にしましょう。酒税やタバコ税、関税など幅広い免税を受けられるのが「duty-free」のお店です。購入するときにパスポートと航空券を提示する必要があり、購入した商品は空港で受け取ることになります。一方、消費税だけが免税される「Tax Free」のお店では、購入する時にパスポートを提示するだけでよく、商品をその場で受け取ります。
2019年1月から徴収が始まった出国税
出国税は、日本を出国する際に課せられる税金です。出国1回につき1000円が徴収されます。空港使用料などと同様に、航空券やツアー料金へ上乗せする形で徴収されますので、旅行者が個人でどこかに支払うことはありません。
2歳未満や、乗継旅客(入国後24時間以内に出国)、天候その他の理由により日本に緊急着陸した人は対象外になります。出国税は、中国やアメリカなど多くの国が導入している制度です。
ライターとカメラマンの仕事をしています。毎月、都内の飲食店を10店舗以上は取材しており、出される料理を全て平らげているので最近は太り気味。最近になって始めたランニングのダイエット効果はまだ表れてくれません。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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