外国語を勉強していると、定番のフレーズというものは必ず出てきます。ただ、そうした基本のフレーズ以外に、日本で生活していると「これは覚えておくと便利!よく使う!」という言葉があるはず。
そこで、筆者の周りの日本で暮らしている外国人に、覚えておくと便利な日本語について聞いてみました。
なにかと使う万能フレーズ「すみません」「すいません」
「これは日本では一番重要かもしれない(笑)。だって、ありがとうでもあるし、ごめんなさいでもあるし、人を呼ぶときにも使うしね」(アメリカ/男性30代)
海外の人からは、日本人はよく謝っているというイメージがあるようですが、この言葉が理由のひとつでもあるようです。
日本語の「すみません」は、単純に英語のExcuse meでは訳せない複雑なニュアンスが含まれています。なかでも「ありがとう=すみません」というのは、来日直後の外国人にとって、すぐには理解できなかった言葉だそう。
「ありがとうって言う場面なのに謝ってるって意味がよくわからなかったけど、それがありがとうっていうことだってやっと理解できるようになったよ。日本人はシャイだし、『謙遜』っていう文化があるんでしょ?」。
日本での生活が長いからとのことですが、そこまでしっかり理解してもらえているとは……おっしゃる通り、どうしても日本人はシャイなところがあるのです。
断るときも、受け入れるときも「大丈夫です」
「日本人がよく使う『大丈夫です』。これもはじめは混乱した言葉。いいの?ダメなの?どっちなのって!? でも慣れてきたら、だいたい日本人はこれで断ってるってわかったよ」(アメリカ/男性30代)
「ストレートに断らないときに使うんですよね。英語ならNo, Thank youだけど。これは日本では便利な言葉だと思いますね」(オーストラリア/男性/40代)
これも日本語ならでは、日本の国民性が表れているフレーズかもしれません。良くてもダメでも「大丈夫です」と使うため、紛らわしい表現ではありますが、どちらかというと断るときの婉曲表現として使うと便利という意見でした。
英語で話してもらうための「日本語ができません。英語を話せますか?」
「このフレーズを言うと、日本の人はたとえ英語ができなくても“ジャパンイングリッシュ”で一生懸命話してくれるんですよ」(スペイン/男性/40代)
こう話してくれた彼は、日本語を絶賛勉強中。そのため、いろいろと話したい気持ちはあるのですが、逆に知ってるフレーズを流ちょうに使ってしまうと、早い日本語で話されて太刀打ちできないのだそうです。
ただ、日本人は英語が少し話せても「できない」と話してくれないので、日本語ができないと言うだけではなく、あえて「英語を話せますか?」というところまで言うのがポイントなのだとか。結構なテクニシャンですね!
買い物や観光で役立つ「おすすめはなんですか?」「おすすめです!」
「オススメっていうのは、買い物でよく使う便利な言葉だし、よく見る文字です!観光地に行くと、その土地の名物とかもわからないし、なんだかよくわからないときはとりあえず『オススメはなんですか?』と聞けば安心。自分のお気に入りを伝えたいときも、オススメって使います」(イギリス/女性/20代)
観光や買い物で、迷ったらこのフレーズ。日本人でもよく使いますよね。買い物や食事でも、お店のおすすめを選んでおけば間違いありません。
また自分が気に入ってるものや好きなものも、ひと言「オススメ!」と言えばいろいろ細かく説明しなくてもOKですよね。
コンビニで必須!「袋はいりません」
「よくコンビニにいくんですが、日本は小さいおにぎり1個買っても袋に入れようとしてくれるから、いつもこれを言うんです。だって入れてもらうと家に袋がいっぱいになっちゃうし、自分のカバンにいれればいいし。本当に日本は丁寧ですよね」(アメリカ/女性/30代)
日本ではジュース1つ、おにぎり1つでも袋に入れてもらうのは当たり前。
「自分の鞄が十分大きいから、袋はいらないんです」という彼女ですが、日本人は持ち歩くために袋に入れてほしいというより、そのあとにゴミを捨てたり、他のものに匂いなどが付かないように商品を守っておきたい、分けておきたいという気持ちのほうが強いように思います。
うっかりしてたことを伝えたい時に言いたい「あ!忘れてました!」
「コンビニでアイスコーヒーを買うときに、自分で冷蔵庫から氷が入ったカップをレジに持って行かなきゃいけないのにいつも忘れちゃって……店員さんが取りに行ってくれるんです。その時に、『ごめんなさい。忘れてた』っていうのを伝えたくて覚えたんです。わざとじゃなくって、忘れてたんですって(笑)」(アメリカ/女性/30代)
とても限定的なシーンですが、うっかりしていて悪気はなかったということ伝えるには、場が和む便利なひと言かもしれません。
「それに『忘れました』と『忘れてました』は、ちょっと違うでしょ?『忘れてた』っていうとうっかりしてて、今急に思い出したっていうイメージなんですよね」
まさにその通り!たしかにどちらも同じようですが、「忘れてた!」と言うほうが日本語としては自然です。
これを加えるとなにかと便利!高度な「ちょっと~」
「言葉のはじめに『ちょっと~』ってつけるようになりました。日本人の同僚がよく使ってるのを聞いてて、癖になった気がします。ちょっとすみません、ちょっといいですか、ちょっと大変です、ちょっと好きではないですね、とか」(マレーシア/男性/30代)
これはかなり高度な表現かもしれませんが、日本人はとてもよく使う、表現が柔らかくなる便利なフレーズであることは確かです。観察する力がとても鋭い意見ですね!
直接的な表現を好まない日本語では、「ちょっと」や「あまり」など、表現の印象を弱める言葉をいろいろな単語に付け加えているのですね。
さまざまな意味がある日本語ならではの表現!でも使えると便利!
同じ表現でも、状況によって意味が変わったり、単に印象を柔らかくするための言葉であったり……なかなか難しいものがたくさんあります。
あまり考えずに使っている日本人としては説明がかなり難しいですが、こうした言葉はコミュニケーションが円滑にすすむキーワードにもなります。ぜひ、海外の方にも使ってほしいですね。もし間違えても何の問題もナシ、大丈夫です(=この場合はNo problem)!
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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