2021年夏、世界中のアスリートが感動を与えてくれた国際大会の開会式で、ひときわ異彩を放って注目を浴びたのが、実写版スポーツ(競技)ピクトグラムのパフォーマンスではないでしょうか?
あれを見て、ピクトグラムの存在をあらためて意識したという人も多いのではと思います。
さらに最近では、ここからインスピレーションを得て作られた「育児ピクトグラム」なるものがSNS上に投稿され、日本で話題になっているんです。
そこで今回は、そもそもピクトグラムとはなにか?「育児ピクトグラム」とはどんなものなのかについて紹介していきます。
■そもそも、ピクトグラムとは?
「ピクトグラム」(pictogram)は「ピクトグラフ」(pictograph)ともいわれ、文字の代わりに絵を使って、何かの情報を伝えたり注意を示したりするサインのことです。一般に「絵文字」「絵単語」ともよばれます。
誰でもひと目見れば情報がわかる、それこそがピクトグラムの一番の目的です。世界中でもさまざまなピクトグラムが使われています。
日本でよく見かける代表的なものの例として、非常口マーク、トイレの男女マークや、禁煙マーク、お店のWi-Fiマーク、洗濯表示などがあります。ちなみに、日本でデザインされた非常口マークは、国際標準化機構(ISO)にも認証されている世界標準のものです。
その他にも、最近ではWebのデザインで当たり前のように使われています。ホーム画面の家マーク、設定の歯車マーク、検索の虫眼鏡マークなど、普段目にしているものばかりですよね。
■日常でよく使われているピクトグラム、広まったきっかけは日本から!?
いまでは、当たり前のように目にするピクトグラムですが、実は広まったきっかけは日本だと言われています。それは1964年に開催された前回の東京大会でした。
当時は、日本人が英語など他の言語でコミュニケーションをとることがまだ難しかった時代。そのため、あらゆる場所や場面で、言葉がわからない世界各国の人たちが、サインをみれば何かがわかるようにしなければなりませんでした。どこに何があるのか、どんな設備なのか、どんな競技なのか、文字がなくてもひと目でわかるようにと作られたのが、ピクトグラムだったのです。
この1964年の大会以降、1970年代頃から鉄道などの公共交通機関、公共施設、街中のさまざまな場所で積極的に使われるようになりました。
そして今年、新たなスポーツピクトグラムを実写で表現するというパフォーマンスが披露され、話題を集めました。
アイデアは革新的でありながら、やっていることは超アナログ。ある意味でアンバランスな斬新さが、世界中でウケているのだそう。これもまた、今回誕生した新しい「エンターテインメントとしてのピクトグラム」と言えるのかもしれません。
■共感しかない!話題の「育児ピクトグラム」
今回注目を集めた実写版スポーツピクトグラムのパフォーマンスを受け、SNSなどで続々と登場したのが「育児ピクトグラム」。その名の通り、育児のさまざまなシーンをひと目でみてわかるようにピクトグラムで表現したものです。
この育児ピクトグラムで話題になっている投稿が、こちらです。
【育児シーンを競技に見立てたピクトグラム】
まずこちらが、えぽさん(@aiuepo615)の投稿。
「ママリンピック(パパリンピック)2020競技種目一覧ピクトグラム」と題し、育児のさまざまなシーンを競技種目としてピクトグラムで描いています。
競技種目は、ベビーリフティング(いわゆる「高い高い」)、おきがえ、おむつがえ、ごはん投げ、ごはんキャッチの7種目。小さいお子さんがいる方なら、誰もが共感してしまうような育児の1シーンをユーモアたっぷりに表現しています。
さらに、フォロワーからのリクエストで英語バージョンもアップしています。
【2歳児あるあるを表現したピクトグラム】
こちらが、星田つまみさん(@Ririshiku_Uruou)の投稿。
「ぴくと2歳児」と題して、2歳児のよくある育児シーンをピクトグラムで描いています。
いや!、いやいや!、だっこ~、自分で‼、ねない!、はいらない!、たべない!、それたべたい!の8シーン。
まさに2歳児のイヤイヤ期を象徴するものばかり。
ちょうど少しずつ自我が発達してくる年齢のため、人が言う事にはなにをするにも「イヤ」だと訴えるのが時期。子育て経験のある人なら誰もが抱える悩みを癒してくれるようなピクトグラムです。
■ひと目でわかる面白さ!ピクトグラムに再注目
ピクトグラムの良さは、語らずともひと目でわかるわかりやすさと面白さ!言葉の壁を超えて理解できる重要なツールとして、これからますます活用されていくでしょう。
育児以外の新たなジャンルのピクトグラムも続々誕生しているので、今後も引き続き、注目を浴びそうです。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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