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「みなさま、はじめまして。しがない執事でございます。日本を代表する都市、新宿。都庁をはじめとしたビルが林立し、ビジネスマンが行き交う。緑あふれる新宿御苑があり、歌舞伎町や新宿二丁目などは、24時間眠らない街として知られています。しかし、実は新宿で“サムライ文化”に触れることができることをご存じでしたか?……おっと、そんな話をしていたら、あんなところに外国人の方が」
日本人男性「あったあった!ここだよ!」
外国人男性「…本当にここなんですか、五十嵐さん」
五十嵐「そう。グリスキーくん、サムライ文化に触れてみたいって言ってたでしょ?」
グリスキー「ここでいったい何が体験できるんですか?」
五十嵐「それはね…(なんだか視線を感じる…)」
五十嵐「あーーーーーー!また出た!」
グリスキー「!?!?」
執事風の男性「お呼びでしょうか?」
五十嵐「いやいやいや、まったく呼んでません!これっぽっちも呼んでません!!」
グリスキー「五十嵐さん、この人は…?」
執事「おっと、失礼いたしました。私はしがない執事。みなさまに日本の魅力をお伝えしてまわっている者でございます」
グリスキー「日本の魅力を伝える?いろいろ教えてくれるんですか?」
執事「ええ、左様でございます」
五十嵐「グリスキーくん、食いついちゃったよ…。どうしていっつもこうなるんだろ」
執事「僭越ながら、おふたりの会話が聞こえてきましてね」
五十嵐「盗み聞き!」
執事「なにやらグリスキーさまは、サムライ文化に関心があるとか」
グリスキー「そうなんです。サムライに憧れがあって、初めて日本に来たんですけど、どこに行けばいいのかわからなくて…。それで知人の紹介で知り合った五十嵐さんに案内をお願いしたんです」
執事「おやおや…、それはそれは心もとないでしょうに」
五十嵐「ちょっと!失礼!」
執事「もしもよろしければ、私がここ新宿エリアで体験できるサムライ文化をご案内してさしあげますが」
グリスキー「本当ですか!?うれしいです」
五十嵐(あぁ…またこのパターンですよ…。み~んなこの執事のエセスマイルに騙されるんだから)
執事「では、早速ですが参りましょう」
グリスキー「はい!よろしくお願いします!」
五十嵐「今日は、ぼくが企画したのに!!」
執事「こちらは『戦国フォトスタジオ SAMURAI TOKYO』。戦国武将の本格甲冑を身にまとって、写真撮影ができるスタジオです」
グリスキー「サムライの甲冑を着用できるんですか!?」
五十嵐「それ、ぼくが言おうと思ってたのに!」
執事「五十嵐さま、少々お静かに。ここ最近は海外でも日本のテレビドラマが放送されていることもあって、外国からのお客さまが多いお店です。アジア圏のお客さまはお気に入りの武将目当てにご来店されることも多いそうですよ。日本のテレビドラマが放送されていない欧米のお客さまの場合は、とにかくサムライの格好ができるということに魅力を感じているようです。もちろん、日本人のお客さまもいらっしゃっていて、端午の節句をお祝いするお子さんや、還暦の記念、歴女さんや歴史好きな方など、幅広い層の方々が来店されています」
五十嵐「それもぼくが言おうと思ってたのに!いいとこ取りばっかりして!!」
五十嵐「グリスキーくん、こんな変な執事さんは無視して早速撮影しよう。えっとね、まずは撮影コースを選ぶんだよ」
店員「はい、コースは梅、竹、松、桐の4種類がベースで、さらにスペシャルプランもご用意しております。人気があるのは写真の乗馬加工もできる竹コースですね」
グリスキー「それじゃあ、竹コースでお願いします」
店員「かしこまりました。写真の背景はどうされますか?20種類以上あるんですが、外国の方に人気が高いのは“桜”ですね。それと、撮影したデータを使ってコースターやマグカップの制作もしております」
グリスキー「う~ん、いっぱいあって悩んじゃいますね…」
五十嵐「じゃあ、今回は店員さんにおまかせしてみようか」
店員「では、こちらでオススメのものをご用意いたしますね」
五十嵐「グリスキーくん、甲冑はどれにする?種類がたくさんあるね…」
店員「ここにあるのは、どれも戦国時代の甲冑と同じように国内で手作りしており、テレビドラマなどでも使用されるほどクオリティの高いものばかりです。一体30~100万ほどと少々値が張りますが、その完成度の高さから購入を希望されるお客さまもいらっしゃいます。ちなみに、体格のいい外国の方でもきちんと着られるような仕様になっているんですよ」
五十嵐「へぇ~」
グリスキー「決めました!ぼく、これにします」
五十嵐「これは伊達政宗だね!うん、かっこいいと思うよ」
店員「では、早速着付けに入りましょうか」
店員「アンダーウェアの上から、裁付袴と甲冑を身につけていただきます」
五十嵐「店員さんが手伝ってくれるからスムーズですね」
グリスキー「結構ずっしりする」
店員「1体、20キロほどの重さがあります」
五十嵐「そんなに!?でも、その分、サムライ感が味わえますね」
店員「お着替えが完了したら早速撮影です。ポージングは、映画『キル・ビル』の殺陣指導を行なった島口哲朗さん監修のものなので、どれも画になりますよ」
五十嵐「かっこいい~!!」
店員「お友達も撮影に立ち会うことができます」
五十嵐「じゃあ、撮影シーンを記念に…」
グリスキー「お~!自分じゃないみたい…」
五十嵐「ここから背景が合成されるから、仕上がりが楽しみだね」
五十嵐「…って、執事さん、なにやってんの!?」
執事「真田幸村です」
五十嵐「いや、回答になってないから!なんで執事さんまで着替えてるんですか!」
執事「はて?」
五十嵐「あのね、首を傾げてあざとかわいさを出したって、ぼくは騙されませんからね」
グリスキー「執事さん、すごく似合ってます」
執事「いやぁ、恐縮です」
五十嵐「そこ!褒めないの!!調子に乗るタイプなんだから!!!」
店員「みなさん、撮影が済みましたので着替えてお待ちください」
執事・グリスキー「は~い」
五十嵐「すっかり意気投合してる……」
執事「さて、早速ですが写真が仕上がりましたね」
五十嵐「早い!」
執事「外国のお客さまは滞在時間が限られているケースが多いので、撮影と同時に裏ではデザイナーさんが合成作業をかなりのスピードで行なってくださっているのですよ」
グリスキー「それはありがたいですね」
執事「話しているうちに…」
執事「じゃ~ん!ポスターも完成しました」
五十嵐「すごい!執事さんと一緒に馬に乗っている場面だよ!!」
グリスキー「これはうれしい!実はぼく、今日が誕生日だったので、最高の誕生日プレゼントになりました」
執事「それはなによりでございます。おふたりとも、この後のご予定はお決まりでしょうか?」
五十嵐「いや、特には…」
執事「五十嵐さまは相変わらずノープランでいらっしゃるのですね。では、私がとっておきのお店にご案内いたします」
グリスキー「ぜひ!」
執事「こちらは『戦国武勇伝 ―武将個室 新宿―』。戦国時代をテーマにした居酒屋で、ここでもサムライ文化を味わうことができるのです」
五十嵐「新宿にこんなお店があったとは…」
執事「こちらもやはり外国のお客さまが多く、それに加え最近では“歴女”の方たちのご来店も目立っているそうです」
執事「入り口では甲冑がお出迎えしていて、シューズロッカーには家紋も。非常に雰囲気満点ですね」
グリスキー「サムライ文化はもちろんですけど、日本の居酒屋にも来てみたかったので楽しみです」
執事「店内は“大阪夏の陣の間”“慶長出羽合戦の間”“関ヶ原大合戦・天下分け目の間”“本能寺地獄変の間”と4つのエリアにわけられています。廊下にはのぼりがはためいていたり、個室の壁には武将のイラストが描かれていたりと、至るところに趣向が凝らされています。今回は少人数にピッタリなカウンター席やテーブル席のある“本能寺地獄変の間”にしましょう」
五十嵐「目の前には家紋と日本酒、座席の背面には槍がかたどられていて、和の雰囲気がありますね~」
グリスキー「日本に来た!って感じがします」
執事「まずは、居酒屋の定番メニューを注文してみました。茹で上げ茶豆(420円)、前田慶次~天下一のかぶき者 洋風出汁巻き(620円)、秀吉の紀州征伐~備長炭炭火串焼き~(1本150円~)、それに生ビール(530円)です」
五十嵐「メニュー名も凝ってますね」
グリスキー「枝豆にビール、やってみたかったんです」
五十嵐「枝豆は蒸したてだからプリプリしていておいしい!」
グリスキー「日本の焼き鳥ってはじめて食べましたけど、香ばしくて肉汁があふれて最高ですね」
執事「出汁巻きたまごには家紋が焼印されているので、撮影したものをお友達に見せてあげると喜ばれると思いますよ」
執事「そして、こちらがお店イチオシのメニュー“【関ヶ原の戦い】合戦!東西入り乱れ彩りせいろ蒸し【黄金豚・宗像牛・伊達鶏】”(1人前1,880円 ※2人前から注文OK)です。入り乱れとあるように、さまざまな武将ゆかりの地の豚肉、牛肉、鶏肉の3種をせいろで蒸し上げます。それぞれに風味や食感、味わいが異なるので、日本のお肉のおいしさを一気に知ることができますよ。また、油を使わないため、非常にヘルシーでもありますね」
一同「お~!!!」
執事「さぁさぁ、蒸したてのお肉を“特製の和風ダシ”につけて召し上がってください。お店で手作りされている、非常にあっさりしたタレですよ」
グリスキー「本当だ、とってもさっぱりしてますね!」
五十嵐「一緒に蒸してある野菜はシャキシャキしていて、いくらでも食べられそう」
執事「鶏肉はしっとり、豚肉は脂が甘くて、牛肉はガツンとした肉の旨味が感じられますね。まさにお口の中で関ヶ原の戦いが繰り広げられているような…」
五十嵐(また自分の世界に浸ってる…)
執事「こちらのお料理に合わせるのは、やはり日本酒がオススメです。グリスキーさま、どうぞどうぞ」
グリスキー「ありがとうございます!…日本酒って、こんなに甘いんですね。スイスイ飲めそう」
執事「さて、お腹が膨れてしまう前に、私からのサプライズがございます」
グリスキー「???」
執事「じゃ~ん!こちらはバースデープレートです!」
グリスキー「バースデー!?ぼくのために!?」
五十嵐「!?!?!?」
執事「お城を模した容れ物に、プチシュー、ティラミス、アイスクリーム、フルーツなどが盛られていて見た目にも鮮やかですね」
五十嵐「全部で3段あって、それぞれにデザートが入ってる!」
グリスキー「これはうれしい…!」
執事「ささやかながら、グリスキーさまのお誕生日祝いとさせていただければと思います」
グリスキー「ぼく、日本に来て良かったです…」
五十嵐「…しんみりしちゃって、どうしたの?」
グリスキー「ぼく、元々気が弱くて、やりたいこともやれないし、言いたいことも言えない性格の自分が嫌いだったんです。そんな時に、日本の大河ドラマでサムライの姿を見て。志を持って闘う姿に感動したんです。ぼくもあんな風になれたらな…って」
執事「サムライたちは死を恐れずに闘いました。それが武士道と呼ばれる彼らの生き様。ただ、その死というものは生命が尽きることという意味ではないと思います。彼らにとっての死とは、自分の信念が折られてしまうこと。弱い自分に負けて、自身を裏切ってしまうことなのではないか、と。それは現代にも通ずるところがあります。周囲の顔色ばかりうかがって、自分を偽ってしまう。それはすなわち、サムライで言うところの死と同義。けれど、そんな自分を変えるために立ち上がったグリスキーさまは、まさに生きようとしている。その姿は、現代のサムライそのものです」
グリスキー「自分に負けちゃいけない…?」
執事「ええ。誰かと勝ち負けを争うのではなく、まずは自分自身に打ち勝つこと。その意味でいうと、グリスキーさまはそこに挑戦していらっしゃる。強くなるための第一歩を踏み出していますよ」
グリスキー「執事さん…ありがとうございます…!」
五十嵐「最後、おいしいところ持っていっちゃった!」
執事「なんだかお恥ずかしいことを申し上げてしまいましたが、本日は楽しめましたでしょうか?」
グリスキー「もちろん!甲冑を着てサムライになりきれましたし、和を感じられる雰囲気の中でお腹いっぱいにもなりました。最高の誕生日が過ごせたと思います」
五十嵐「新宿にこういうお店があるって、意外と知られていないですよね。サムライ文化に触れたい外国の人はもちろんだし、日本人でもあらためて楽しむことができると思います。ぼくもサムライのように強くなれた気がする~!」
執事「それはどうだかわかりませんが、楽しんでいただけてなによりです。みなさまも、ぜひ新宿でサムライ文化に触れてみてくださいね」
※料金はすべて税別です
今回まわった新宿 半日コース
-
戦国武勇伝 ―武将個室 新宿―
- 住所 T-wingビル4F, 1-6-2, Kabukichō, Shinjuku-ku, Tokyo
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最寄駅
新宿駅
- 電話 03-3209-2277
五十嵐が目撃した、怪しい執事のサービスショット(こんなサムライがいたら嫌です)
着替えの段階からワクワクが止まらない様子
甲冑姿に身を包み、ご満悦の表情
視線の先に、明日を見据えるサムライ
看板の裏からこんにちは
日本酒を舐めながら思案する表情
日本酒がおいしくて、内心「もう少し飲みたいな…」と思っている表情
現実はこちらです
Model:Grisky Dela Merced
俳優・モデル・MC・作家 オリオンズベルト所属。主な出演作品にCM「楽天生命保険」、映画「進撃の巨人」、ドラマEX「Doctor-X 外科医・大門未知子」、舞台「~崩壊シリーズ~九条丸家の殺人事件」・「リメンバーミー」等がある。劇団「お座敷コブラ」は主宰・脚本・演出・出演を手掛ける自身の劇団。多才を生かし様々なジャンルで幅広く活躍中。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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