日本科学未来館は、宇宙やロボットなど最先端の科学技術を紹介するミュージアムです。日本を代表する科学者たちが知恵を出し合い、子供から大人まで誰もが楽しめる展示物を数多く用意しています。見るだけではなく、体験できる展示物が多いので、長時間滞在しても飽きることがありません。帰るころには、近未来に対する想像力を養われていることでしょう。今回は、日本科学未来館の魅力を駆け足で紹介します。
人気観光エリアお台場にある「日本科学未来館」
日本科学未来館があるのは、外国人にも大人気の観光エリア「お台場」。新交通ゆりかもめ「東京国際クルーズターミナル駅」から徒歩5分、「テレコムセンター駅」から徒歩4分の場所にあります。
入館料は大人が630円、18歳以下が210円。一部コーナーや不定期開催の企画展への入場は別途料金が発生します。5月の「こどもの日」や9月の「敬老の日」など、常設展が無料で見られる「無料開放日」が年に数回あります。
世界初の地球ディスプレイ
入館すると、1階~6階の吹き抜け空間に地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」が天井からぶら下がっています。有機ELパネルを使った世界初の地球ディスプレイです。最先端の技術とデータを用いて、1000万画像を超える高解像度で宇宙に輝く地球の姿をリアルに映し出しています。
宇宙から見た地球の姿だけではなく、「日射量の季節変化」や「夜の地球」など、データを駆使していろいろな地球の姿を映し出すことができます。中でも、「未来の地層 Digging the Future」という特別映像は、ラップミュージックにのせて、私たち人間が地球の歴史に何を残そうとしているのかを考えさせてくれる作品で、とても興味深いものになっています。
人間が排出し続けるプラスチックやコンクリートなど、人間活動によってつくられる地層を“人新世(アントロポセン)”という新たな地質年代として位置付ける仮設をもとに制作されたコンテンツです。科学データだけではなく、研究者とアーティストがコラボした映像作品というのも「Geo-Cosmos」の楽しみ方の一つです。
パーソナルモビリティを試乗体験
1階には、HONDAが開発したパーソナルモビリティ「UNI-CUB(ユニカブ)」を体験できるブースがあります。UNI-CUBはHONDAのロボット技術を基にして開発されました。バランス制御技術に優れており、体重を傾けるだけで前後左右に動いてくれます。スピードや曲がる角度も自分でコントロールできるので、慣れると快適。両手を自由に使うことができるのも特長です。
UNI-CUBのブースでは、プチ体験と本格体験ができます。プチ体験(300円)では、ブース内を5分ほど走行して楽しめます。本格体験(600円)では、スタッフを先頭にして館内を15分ほどかけて走行します。
特別プログラムなので、入館料とは別に体験料金を支払います。プチ体験は英語と中国語、本格体験は英語に対応しています。利用条件は、身長145cm以上、体重100kg以内です。
ちょっと分かりづらい館内の仕組み
少し分かりづらいので、先に館内の仕組みを紹介しましょう。館内は、1階、3階、5階、6階、7階のフロアから成り立っています。1階を見学したら、メインフロアの5階までエスカレーターで上がります。そして、5階を見学してから3階へ下りるのがお勧めです。
6階にはドームシアター(要予約)があり、映像作品を見たい人だけ6階に上がります。レストランで食事したい人は7階に上がりましょう。※7階のレストランは2020年3月のリニューアルオープンに向けて工事中です
1階からメインフロアの5階に上がると、入口の前にカフェ「Miraikan Café」があります。天井が高いので開放感があり、テーブル席でゆっくりくつろげます。
人気のドリンク「実験ドリンク」(税込500円)は、ハーブティーとレモングラニタを用いたサッパリした味わいが特長で、混ぜると色が変わる不思議なドリンクです。「ホットドッグ」(税込400円~)や「ソフトクリーム」(税込380円~)など、メニューは軽食がメインです。
国際宇宙ステーションに潜入
それでは、メインフロアの5階を紹介しましょう。「宇宙と生命」をテーマにした展示物がたくさんあります。
地上から高度 400km上空に浮かぶ国際宇宙ステーション(ISS)で宇宙飛行士たちがどのような暮らしをしているのかを知りたければ、宇宙居住棟の模型の中に入ってみましょう!
模型では、宇宙での生活に必要な設備を再現しており、例えば、無重力のトイレがどのような仕組みなのかを知ることができます。いろいろな器具が用意され、宇宙のトイレは少し不便そうです。
展示物の外観には、日本科学未来館を訪れた宇宙飛行士の直筆サインが書かれていました。日本人の宇宙飛行士はもちろん、アメリカ人の宇宙飛行士の直筆サインもあります。2019年12月には、中国初の宇宙飛行士である楊利偉氏も日本科学未来館を訪れました。どこかに彼のサインが書かれているかもしれません。
ノーベル物理学賞を受賞した観測装置
「ニュートリノ」をご存知ですか?ニュートリノは中性の小さい粒子です。人間の体はもちろん、地球をも貫通してしまうほど、他の物質と反応しません。そのため、ニュートリノを観測することは非常に難しかったのです。
日本はニュートリノを観測する研究で世界をリードし、2002年と2015年に日本人科学者がノーベル物理学賞を受賞しました。その実験に使われたのが、地下1000mに作った「スーパーカミオカンデ」という、ニュートリノの観測装置です。5階フロアには、スーパーカミオカンデの10分の1の模型が展示されています。
脳の働きや仕組みを知ろう!
5階フロアの一画には、とても面白い実験装置があります。装置の中に右手を入れ、ディスプレイに映し出される偽物の手の映像を見ていると、実際には自分の手に何の刺激もあたえられていないのに、ディスプレイに映し出された偽物の手が刺激を受ける度に自分の脳が反応してしまうのです。これは、脳が感覚を作り出していることを教えてくれます。
チンパンジーの実験装置も興味深いものでした。ディスプレイに表示される数字をいくつ覚えられるのか、記憶力をチンパンジーと競うゲームです。実は、チンパンジーの記憶力は人間よりも優れているのです。自信を失ってしまいそうなゲームですが、面白いのでぜひ挑戦してみてください。
5階フロアを見終えたら、1階で見た地球ディスプレイ「Geo-Cosmos」の周囲を回る通路を下りながら3階フロアへ向かいます。この通路から見る地球も素晴らしい眺めですよ。
ロボットASIMOの実演
3階フロアには、「ロボット・情報科学技術」をテーマにした展示物がたくさんあります。目玉の展示物の一つは、HONDAが開発したヒューマノイドロボット「ASIMO」です。ASIMOは、人の歩く方向を予測してぶつからないように進むことができる自立型の最新ロボットです。3人が同時に発する言葉を聞き分ける能力も兼ね備えています。
定期的にフロアへ登場するASIMOは、ロボットと暮らす未来社会についてプレゼンテーションしてくれます。その自然な振る舞いに未来の可能性を感じずにはいられません。ASIMOのプレゼン時間は11:00~、13:00~、14:00~、16:00~の計4回。所要時間の目安は各回約10分です。
世界最先端のアンドロイドを体験
3階フロアのもう一つの目玉が、人間そっくりの見た目を持つアンドロイドの展示です。複雑な動きで生命らしさを表現する「オルタ」は、42の関節を持ち、あらかじめ決められたプログラムで動くのではなく、脳の神経細胞を模したニューラルネットワークや足元のセンサーのデータを駆使して不規則な動きを自ら作り出しています。
もう一つのアンドロイド「オトナロイド」は、表情や仕草を人間に似させることに特化したロボットです。平日は1日1回11:30~、土日祝日は11:30~と15:30~の2回(各回約10分)の実演が行われます。実演では、隣にある遠隔操作ルームから人がオトナロイドを操作することで人間との会話が実現する様子を紹介します。近未来のコミュニケーション手段の一つを垣間見たような気分にさせてくれます。
科学技術がもたらす近未来の生活
3階フロアには、まだまだ面白い展示物がたくさんあります。インターネットで情報が伝わる仕組みを白と黒のボールの動きで視覚化した展示物は、インターネットの仕組みを理解するのに役立ちます。
「近い未来、コンピューターと自然は融合する」という発想の下、近未来を予言するかのような面白い展示物もあります。「計算機と自然」という展示物では、本物の木の回りに、本物(標本)の蝶と機械の蝶が混在して存在しています。こうした展示物を目にすることで、発達するコンピューター技術が人間社会に与える未来について考える機会を与えてくれます。
立体映像を楽しめる立体視プラネタリウム「ドームシアターガイア」
6階には立体視プラネタリウム「ドームシアターガイア」があります。プロジェクター4台で高精細な映像を投影することでリアリティーを追求し、立体ゴーグルによって立体映像を楽しめます。1回あたり約30分、常時2~3種類のプログラムが上演されています。宇宙映像を楽しめるプログラムは迫力があって人気。その他、季節限定のスペシャルプログラムも話題になります。
料金:大人310円 18歳以下100円
※英語の音声ガイドが用意されています
※リニューアルに向けて2020年3月末まで改装工事中、上映を中止しています
ミュージアムショップの人気のお土産
日本科学未来館の1階にミュージアムショップがあります。実験キッドや文房具など、ミュージアムらしいグッズがたくさん揃っています。
一番人気のお土産はクッキーです。と言っても、ただのクッキーではありません。クッキー1枚に約2億匹のミドリムシが含まれているのです。ミドリムシは、昆虫のような虫ではなく、動物と植物の両方の性質を持ち合わせている極めて珍しい藻です。ミドリムシは、簡単に増やすことができ、人間が必要とする栄養をたっぷり持っているので、未来の食材として注目されています。とても美味しいクッキーに仕上がっています。
宇宙日本食もお土産にピッタリ!国際宇宙ステーションの食事として日本企業が開発した「宇宙おにぎり」は、80℃のお湯で美味しく復元できるおにぎりです。無重力環境の味覚の鈍化に対応するため、一般のお米よりも粘りが強く、冷めても美味しく食べられるように工夫されています。具材には鮭が用いられ、宇宙飛行士からも高い評価を受けているそうです。
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日本科学未来館
- 住所 東京都江東区青海2-3-6
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最寄駅
新交通ゆりかもめ「東京国際クルーズターミナル駅」から徒歩5分、「テレコムセンター駅」から徒歩4分、りんかい線「東京テレポート駅」から徒歩15分
- 電話 03-3570-9151
営業時間:10:00~17:00
定休日:火曜日(火曜日が祝日の場合は開館)、年末年始(12月28日~1月1日)
※春・夏・冬休み期間等は火曜日も開館する場合があります
料金:大人630円 18歳以下210円 ※不定期開催の企画展への入場は別途料金が発生します
ライターとカメラマンの仕事をしています。毎月、都内の飲食店を10店舗以上は取材しており、出される料理を全て平らげているので最近は太り気味。最近になって始めたランニングのダイエット効果はまだ表れてくれません。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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