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日の出桟橋に入ると、すぐに目を引いたのは、とても大きい真っ赤な船! 「御座船」と聞いて、「隅田川の屋形船みたいな観光船かな?」と思っていたが、本体を見ると本当に驚いた。風に翻る大きい帆から甲板の伝統的な灯まで、船をぐるりと見渡すと、御座船は屋形船と同じではないと理解した。さすが徳川将軍の船! 御座船「安宅丸」に早速乗ってみよう。
ただの屋形船と思うなかれ
クルーズは楽しいが、歴史的な美しい安宅丸に乗ることを考えるとワクワクした。他の乗船者と一緒に桟橋を渡っていると、御座船の大きさや美しさについて話さなかった人は一人もいなかったと思う。「500人も乗れるんですよ」と広報の村上さんは、安宅丸を誇らしげに見ながら私に教えてくれた。
その言葉は誇張ではなかった。法被を着ているクルーに挨拶されて安宅丸の中に入ると、すぐに足が止まった。目の前に上品なロビーが広がり、最初の驚きからもっと大きい驚きに変わっていった。また、富士山の壁画がある階段も印象的。総じて、日本風のタイタニック号といえるだろう。
能面と無料Wi-Fi
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甲板に出る前に、一階を探索。階段の後ろに和室があり、小さい歌舞伎の舞台の前にテーブルや座布団が並んでいた。美しい絵が描かれている天井や壁は、私を惹きつけた。伝統的な装飾の中、「21世紀っぽい!」と思えたことはただひとつ。それは小さい「無料Wi-Fi」のステッカーだった。
夜のイベントを観るためにまた来たいと思いながら、いよいよ甲板へ。他の乗船客はもう甲板のベンチに着席して、暖かい日差しを感じていた。この日は梅雨なのに、本当にいい天気。座らずに、私はすぐ船の前に進んだ。東京湾の景色を見たかったから!
気になる将軍の髪型
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景色は本当に素敵だった。東京タワー、東京スカイツリー(R)、東京湾にかかっているレインボーブリッジ、そして遠くには羽田空港に着陸する飛行機も見えた。将軍や侍のような古い船に立ちながら現代の東京を見るのは、血湧き肉躍るような体験だった。伝統的な日本と現代的な日本の対比の妙はよく話題になるが、東京湾の御座船はその対比がしやすいと感じた。
甲板の手摺につかまりながら東京湾を見晴らすと、御座船に乗っていた昔の将軍は何を見て、何を感じていたのか・・・と考えてみた。将軍は私のように風に髪をかき乱されたまま、その場に立っていたのだろうか。いや、違うだろう。
クレーンと貨物が生み出す造形美
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「安宅丸を築かせたのは徳川家光」と村上さんが教えてくれた。家光の時代には東京スカイツリー(R)や東京タワーもなかったから、もし私と徳川家光が入れ替わったら、二人とも同じようにビックリするかもしれない。彼は飛行機を怖がるはずで、私は江戸の風景に驚くはず。
おしゃれなお台場が左側に、貨物船が右側に見えた。村上さんは甲板の手摺までに来て、東京湾の夜景の美しさを伝えてくれた。工場夜景がきれいなことはあまり知られていない。しかし、オレンジ色の照明と夕闇に浮かぶ船が波に映る情景の美しさを村上さんが静かに語ってくれたとき、次に安宅丸に乗るときは夜だ!と思った。
安宅丸で作る思い出
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江戸時代に海外から来た船は、長崎県の出島以外に到着できなかった。今の東京湾はとても忙しい所。昔の将軍は、ずっと鎖国してきた日本の国際的な状況についてどう思うだろう。安宅丸のゆったりとしたクルーズの時間は、東京の慌しさを忘れさせてくれる。
そんな静かなクルーズは、観光客に東京の真の姿を見つめさせるだけではなく、また忙しい東京の喧騒から離れさせてくれるはず。水の中にいるクラゲについて考えつつ、将軍についても考えたら、壮大な船のクルーズは絶対忘れない体験になるだろう。
料金)820円
所要時間)日の出-お台場 13:30~14:00
休)月曜
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御座船 安宅丸
- 住所 Address 2-7-104, Kaigan, Minato-ku, Tokyo, 105-0022, Japan
ドイツ・ベルリンの大学で日本学科を卒業し、2014年から再び日本で暮らしはじめました。日英翻訳をはじめ、日本の歴史、民俗、現代文化、社会問題などに関心があります。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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