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「みなさま、はじめまして。しがない執事でございます。さて、少しずつ暖かくなり、お出かけするのにうってつけの季節がやってまいりましたね。そんな時にぜひ足を運んでいただきたいのが、ここ、門前仲町でございます。門前仲町は東京駅の東に位置する街で、近くを隅田川が流れております。昔ながらのお店も多数立ち並び、下町の情緒はたっぷり。江戸時代に日本中を測量したことで知られる伊能忠敬もここから歩きはじめた、などと言われており、お散歩をはじめる、というにはぴったりなのでございます」
「そんな門前仲町からほど近いのが、こちらの富岡八幡宮なのですが…」
「おや、どうやらお困りのようですね…」
外国人女性(地図を頼りに神社に来てみたけれど…次はどこへ行けばいいんだろう…。あの日本人男性に聞いてみようかしら)
外国人女性「Excuse me.あの…ちょっと迷ってしまって。このあたりの道を教えてくれませんか?」
日本人男性「えっ!僕もたまたま用事があって来ただけで、このへんは初めてなんですよ」
外国人女性「そうなんですか…」
日本人男性「どこに行きたいんですか?」
外国人女性「下町っていろんなお店があるから、迷ってしまって。一箇所でいろんなものが楽しめるスポットがあるとうれしいんだけど」
日本人男性「う~ん…。そう言われると難しいなぁ…」
執事風の男性「お困りですか?」
外国人女性「きゃっ!」
日本人男性「うわ…って、こないだの執事さん!?」
執事風の男性「…はて?お会いしたことありましたっけ?」
日本人男性(覚えてないのかよ…!)
執事風の男性「そんなことよりも、もしかして、下町をどう楽しめばいいのか、困っていらっしゃるのではありませんか?」
外国人女性「イエス!」
日本人男性「そうなんです。でも、どこをどう案内してあげたらいいのか困っていて」
執事風の男性「おやおや…。前回に引き続き、あなた日本人なのに何も知らないんですねえ(クスクス)」
日本人男性(覚えてるじゃん…!)
執事風の男性「それでは、この名も無き執事が、お二人に下町の魅力をご案内して差し上げましょう」
外国人女性「really!?ぜひ!日本人ってとても親切ね」
日本人男性「いやいや、この人は特殊だから…」
外国人女性「私はオーストラリアから来たキーラです」
日本人男性「(あ~、完全にこの執事さんを信用しちゃってるよ…。怪しいとは思わないのかなぁ…。みんなこの笑顔に騙されちゃって…。仕方ないから、今回もついていこう)あの…僕もご一緒してもいいですか?」
キーラ「ええ、ぜひ一緒に行きましょう!」
日本人男性「ありがとうございます。僕は五十嵐です。よろしくお願いします」
執事「キーラさま、五十嵐さま、では行きましょうか」
執事「その前に、せっかく富岡八幡宮に来たんですからお参りしていきましょう」
キーラ「お参り?一度してみたかったの!」
執事「ここは『深川の八幡さま』という愛称で親しまれている神社なんです。寛永4年に創建され、江戸最大の八幡さまとして今も昔も下町のみなさまから愛されています。毎月1日、15日、28日には月次祭が行われていて、非常に賑わうんですよ」
五十嵐「月次祭ではどんなことを行うんですか?」
執事「御本殿にて、どなたでも参列できる祭典が執り行われます。また、縁日として門前仲町駅周辺には、約100軒の露天が立ち並ぶんです」
キーラ「縁日!ジャパニーズフェスティバルね」
執事「また、ここは相撲発祥の地としても知られていて、貞享元年より約100年間にわたって境内にて本場所が開催されました。境内にある横綱力士碑は、その名残ですね」
キーラ「相撲は海外でも人気が高い、ジャパニーズカルチャーのひとつです。私も大好き!」
執事「それは何より。それではお参りしてみましょう」
キーラ「はい。でも、マナーが分からないの…」
五十嵐「僕もきちんとしたマナーは知らないなぁ…」
執事「ではお教えいたしましょう。まずは、境内の入り口すぐにある『手水』にて手と口を清めます。その後、神前にて『二拝二拍手一拝』を行います」
キーラ「???」
執事「簡単に言うと、二回深いおじぎをして、二回拍手を、最後に一回おじぎをするというものです」
キーラ「これなら私でもできそう!」
執事「では、こちらの五円玉をお賽銭として入れて、祈願してみましょうか」
キーラ「ありがとう!じゃあ、みんなでお参りね(パンッ、パンッ)」
三人「…………」
五十嵐「いったい何をお願いしたんですか?」
キーラ「日本での旅が楽しめますように、って」
執事「私もキーラさんの旅路が豊かなものになるようにお願いしておきましたよ」
キーラ「センキュー!」
五十嵐(やっぱり、この人あざといな…)
執事「さて、お参りも済みましたし、そろそろ行きましょうか」
キーラ「いったいどこへ連れていってくれるんですか?」
執事「それは行ってみてからのお楽しみです」
執事「では、ここから都営バスに乗ります」
キーラ「バス?乗り方がわからないわ…」
執事「とても簡単なので大丈夫ですよ」
五十嵐「あ!早速バスが来ましたよ」
執事「お二人とも、足元にお気をつけください」
執事「都営バスは前払い制です。事前に運賃を用意しておいて、バスの入り口にある料金機に投入しましょう」
キーラ「そうなんですね。でも、小銭がない時はちょっと焦っちゃうかも…」
五十嵐「車内で両替もできますけど、混雑している時は日本人でも焦りますね」
執事「そんな時に便利なのがこちらです」
執事「じゃ~ん!電子マネーをチャージできる、ICカードです」
キーラ「WOW!」
執事「都営バスはICカードにも対応しているので、こちらをかざすだけで支払いは完了です。電車にも対応しているため、これ一枚にチャージしておけば、移動時は安心ですね」
キーラ「ワンタッチでOKなのね!日本旅行の必需品かも!」
執事「支払いが済みましたら、すみやかに着席しましょう。空いていなければ、手すりや吊革につかまって、転倒しないようお気をつけくださいね」
執事「バスの魅力は、街中を走りながら観光できることなんです。川沿いや公園に住宅地、ここでしか見られない風景はもちろん、その街に暮らす人たちの息遣いが感じられますよね」
キーラ「買い物帰りのお母さん、急いでいる学生、仕事中のビジネスマン…。日本で生活している人たちの姿も見られて、ガイドブックでは知ることができない意外な一面を垣間見ることができるんですね」
五十嵐「キーラさん、日本のバスがお気に入りになりましたか?」
キーラ「ええ!オーストラリアのバスは時間通りに来ないし、乗客もみんな並ばないんです。でも、日本のバスは定刻通りだし、みんなきちんと整列している。車内ではお年寄りに座席を譲ってあげる人もいて、日本人ならではの親切心にあふれている乗り物ですね!」
執事「喜んでいただけて何よりでございます。さて、そろそろ目的地に到着しますよ」
キーラ「降りる時はどうすればいいんですか?」
執事「車内の電光掲示板やアナウンスで目的地が近づいていることがわかったら、このボタンを押します。これで『次に降りる』意思表示ができるわけです」
執事「さて、無事到着しました。お足元にお気をつけくださいね」
執事「お二人をご案内したかったのが、ここ『砂町銀座商店街』です」
キーラ「商店街?」
五十嵐「魚屋さんや八百屋さん、パン屋さんに雑貨屋さんなど、いろんなお店が軒を連ねる通りのことです」
執事「この『砂町銀座商店街』は昭和33年に誕生した商店街で、現在は全長670メートル、約180店舗が並んでいるんです。毎月10日には『ばか値市』という大安売りが行われ、休日ともなると、約2万人のお客さまが訪れるんですよ」
キーラ「すごい!今もひっきりなしにお客さんが出入りしてますもんね」
執事「では、そのなかから私のオススメのお店を紹介いたします」
執事「まずはこちら、『ウナクリファイブ』さんです」
五十嵐「この看板…もしかして、ウナギのお店?」
キーラ「日本のウナギ!?オーストラリアでもウナギは食べる人がいるのよ。興味があるわ!」
執事「こちらでは『ウナギの串焼き』をいただくことができるんです」
キーラ「タレの甘いニオイが漂っていて、食欲がそそられますね!」
執事「日本のウナギ料理というと鰻重を想像しがちですが、こちらは串焼きを一本単位で販売されているので、一本300円で気軽に食べられるのが特徴。訪日外国人のお客さまも多く、みなさま何本も購入して食べ歩きされているんですよ」
五十嵐「早速食べましょうよ~」
執事「では、一本ずついただきましょうか」
五十嵐「うわっ!ウナギがとろける!二人も早く食べて食べて!」
キーラ「食感がやわらかい!香ばしくておいしいです。ウナギと甘辛いタレがこんなにマッチするなんて知らなかったわ」
五十嵐「執事さんも我慢してないで、焼き立てを食べないと損ですよ!」
執事「(ゴクリ)では、私も頂戴します」
執事「これは…!至極の味わいですね。歯がいらないくらい柔らかいウナギに甘めのタレがしっかりと絡んでいて、口に入れた瞬間消えてなくなってしまいます。食べてしまうのがもったいないような…。脂もくどくないですし、ご飯が欲しくなっちゃいますね(じ~ん…)」
五十嵐(饒舌すぎるんだけど)
執事「…おっと失礼。では、次のお店へ参りましょう」
執事「お次はこちら、『手づくりの店 さかい』さんです。なんとここは、あの『孤独のグルメ』にも取り上げられたお惣菜屋さんなんですよ」
キーラ「孤独…有名な何かですか?」
五十嵐「『孤独のグルメ』!?日本で大人気のグルメマンガですよ!ビジネスマンの主人公が、毎回実在する飲食店を訪れて、そこの名物を食べるという作品なんです。『聖地巡礼』といって、舞台となったお店を巡るファンも多いことで話題を集めています。まさかそんなお店があるなんて…!」
お店のお母さん「うちはこの手作りシューマイが名物なんですよ」
キーラ「蒸したてホカホカでおいしそう」
執事「せっかくですので、まずはこのシューマイからいただいてみましょうか」
キーラ「わあ、ふわっふわです!」
五十嵐「ジューシーな肉汁があふれ出すんだけど、口当たりはとっても軽い。名物なのも納得!白米と一緒に食べたら最高においしそう」
執事「喜んでいただけてよかったです。…では、私もひとつ」
執事「…うん!ふわっとしていて、最高ですね。熱々の肉汁が口中に広がるので、お肉そのものの旨味も味わえます。これも何個でもイケそうですねぇ」
五十嵐(この人、案外食いしん坊だな…)
執事「他にも気になるものはありますか?」
キーラ「ここに並んでいる揚げ物が気になるわ。『えびカツ』…Shrimp cutlets!?」
五十嵐「エビのすり身を揚げたカツですよ。日本のB級グルメですね」
キーラ「へえ!いいわね!オーストラリアでもエビやロブスターは定番の食材です。どんな味か気になるわ」
執事「では、そちらもいただいてみましょうか」
キーラ「外側がサクサクで、中はプリプリ!エビの甘みも際立っていますね。エビ料理はたくさん食べてきたけど、こんな風にカツにしたものは初めてかもしれません。とってもおいしいのに1枚200円なんて安い!この値段なら、毎日でも食べられますよね。日本人がうらやましい~!」
執事「お気に召したようで、私もうれしいです」
キーラ「日本の商店街って、いろんなお店がぎっしり並んでいて楽しいです。まるで探検しているみたい。何より、ここにいる人たちみんな温かいの!私みたいな観光客にもフランクに声をかけてくれたり、値引きしてくれたり。ガイドブックだときらびやかな名所ばかりが紹介されているけれど、下町の商店街は穴場の観光スポットかもしれませんね」
五十嵐「知らない街の商店街をわざわざ訪れようとは思わなかったけど、日本人でも想像以上に楽しめるものなんですね。お店の人ご自慢の格安グルメを食べ歩きできるのもいいですし。お土産にいろいろ買って帰ろっと!」
執事「たまには都営バスに揺られて、下町散策するのも楽しいものですよ。日本にはまだまだ知らない名所がたくさんあります。ぜひみなさま、今回紹介した富岡八幡宮と砂町銀座商店街にお越しくださいね」
※PASMOは株式会社パスモの登録商標です
今回まわった門前仲町観光 半日コース
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Tomioka-Hachimangu Shrine
- 住所 1-2-3, Tomioka, Taito-ku, Tokyo
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最寄駅
Monzen-nakacho station
- 電話 03-3642-1315
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Sunamachiginza shotengai
- 住所 3, Kitasuna, Taito-ku, Tokyo
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最寄駅
Kinshicho station
- 電話 03-3644-5854
都バスを利用した区間
都07系統(境川経由「錦糸町駅」行)
「門前仲町」(③のりば)乗車 「北砂二丁目」下車
乗車時間:約20分
運行間隔:日中5~7分間隔
運賃:大人1名 現金210円、ICカード206円
(注意)同じバス停から発車する東22系統(「錦糸町駅」行)と東20系統(「錦糸町駅」行)は、北砂二丁目には停車いたしませんのでご注意ください。
五十嵐が目撃した、怪しい執事のサービスショット(この人、自分のことかわいいと思ってない!?)
都営バス車内にて
都営バス車内にて
富岡八幡宮にて
砂町銀座商店街にて
砂町銀座商店街にて
Model:Keira Ashley
俳優・モデル・MC・作家 オリオンズベルト所属。主な出演作品にCM「楽天生命保険」、映画「進撃の巨人」、ドラマEX「Doctor-X 外科医・大門未知子」、舞台「~崩壊シリーズ~九条丸家の殺人事件」・「リメンバーミー」等がある。劇団「お座敷コブラ」は主宰・脚本・演出・出演を手掛ける自身の劇団。多才を生かし様々なジャンルで幅広く活躍中。
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