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実はこんなに奥深い!買う前に知っておきたい着物のあれこれ

実はこんなに奥深い!買う前に知っておきたい着物のあれこれ

公開日: 2018/12/18

外国人からも注目を集めている日本の「着物」。観光地では着物レンタルサービスも増え、誰でも気軽に着物姿で東京の街を歩くことができる。衣装としての着物が注目されがちだが、「着物」はもともと「着る物」。“衣装”としてだけでなく、風土豊かな日本の暮らしを反映するように発展してきた日常着もまた「着物」。
そんな着物を改めて見直してみると、季節の移り変わりを敏感に察知する感性の豊かさや、文様に思いを託すユーモアを発見したりと、着物の新しい魅力に気がつくはず。
今回は表参道に店を構える「オリエンタルバザー」の着物売り場に協力を得て、昔ながらの着物の魅力、さらにはファッションアイテムの一つとして着物を楽しむアイディアを紹介!

今昔きもの事情

今昔きもの事情

今から70年ほど前までは、日本の各地で日常的に着られていた着物。女性はもちろん、仕事は洋服で出かける男性も、家に帰れば着物に着替えてくつろぐ、そんな光景が当たり前だった。
洋装化が進んだのは戦後。女性の社会進出も手伝い、動きやすさ、利便性の点から急速に洋装化が進み、多くの日本人にとって着物はお正月や結婚式など特別な日の衣装になってしまった。

着物離れが進んで早数十年。着物の着付けを難しいと感じるのは、外国人だけでなく日本人も同じこと。まだまだ着付けのハードルはあるが、伝統的な着付けで着物を楽しむだけでなく、着物を洋服と組み合わせるなど、ファッションアイテムの一つとして自由な発想で着物を楽しむ外国人や若い日本人も増えてきている。

着物、帯、小物…。色と柄の重なりこそが着物の魅力

▲左は年代物の着物。「振袖」と呼ばれる袖が長く、格式の高い着物。右は現代物の着物で小紋と呼ばれる普段着の着物。
▲左は年代物の着物。「振袖」と呼ばれる袖が長く、格式の高い着物。右は現代物の着物で小紋と呼ばれる普段着の着物。

お店の方いわく、「着物は重ね着の文化」。長襦袢、着物、帯と、各アイテムを重ねるように着ていくと同時に、柄、そして色をも重ねていきながら着物姿は完成する。

■長襦袢:着物に近い形をした下着、完成した着姿では襟の部分のみ見える。

■着物:長着とも呼ばれる。体全体を覆うメインの衣服

■帯:前で重ね合わせるように着付けた着物を固定するアイテム。
もともとは着物を固定するためだけに紐のような状態のものだったが、江戸時代後期、装飾目的から幅も長さもボリュームのある現代の形に発展した。

■帯締め:写真手前は帯結びを固定するのに使用する「帯締め」と呼ばれる小物。奥は装飾的な役割を果たす「帯揚げ」。重ね着は着物と帯だけで完成するものではなく、色とりどりの小物たちも重要な役割を担っている。
またアイテム単体で見ても、職人による緻密な手仕事の素晴らしさを見ることができる。

帯締めはベルトのように、帯揚げはミニサイズのストールとして、自由な発想でこれらの小物をファッションに取り入れる人もいるのだとか。

着物にも洋服同様にそれぞれのシーン、例えばドレスアップしていくパーティ、はたまた友達と出かけるショッピングなど、それぞれに適した着物がある。例えば上の写真、左右を見比べるとぱっと見でも左側の着物姿の方が華やかなことが分かるはず。見た目の通り、左がフォーマルシーンの着物で、洋服で言うところのドレス。
右は日常生活における外出着で、洋服でならばワンピースといったところ。

礼装、普段着の別はあるけれど、どちらの着物姿も基本のフォルムは同じ。また柄・色を重ねて着姿が完成する点が同じというのも面白い。

四季折々のモチーフを纏うことこそオシャレ!日本人の着物のコーディネート術

重ね着を楽しむ着物のコーディネート。ここからはスタッフオススメのコーディネートから季節の装いを見ていこう。まずは夏の装い。

▲年代物の夏の振袖。袖の長い振袖は若い女性の第一礼装。現代では華やかな場で衣装としても好まれている。
▲年代物の夏の振袖。袖の長い振袖は若い女性の第一礼装。現代では華やかな場で衣装としても好まれている。

夏:涼しげに見えることが至上命題
写真は「絽」という透け感のある生地を使った夏の着物。夏物は透け感のある絹や清涼感のある麻など、体感はもちろん見た目にも涼やかなのが特徴。続いて注目したいのは、その柄ゆき。表情豊かな日本の四季をそのまま閉じ込めたのが着物。夏の花「朝顔」をメインに、日本の代表的な秋草とされる、萩、桔梗、撫子が描かれている。季節を先どりオシャレすることは万国共通。

このコーディネートでは、帯にも撫子が織り柄で描かれている。着物と帯で柄をリンクさせたコーディネートも季節を上手に演出するテクニック。

▲年代物の冬の振袖。一般に礼装の着物の柄は、1枚の絵の様に描かれることが多い。
▲年代物の冬の振袖。一般に礼装の着物の柄は、1枚の絵の様に描かれることが多い。

冬:凛とした冬景色を描いたシックなコーディネート
こちらは冬のコーディネート。生地に透け感はなく、色合いも深みのある瑠璃色。
冬場に着る着物は裏地をつけて仕立てられ、特に寒い時期や東北などの豪雪地帯では、防寒対策として表地と裏地の間に薄く伸ばした綿を入れて仕立てる。

柄は雪を被った松(着物の柄を表現するときに、これを「雪持松」と表現する)に鶴。吉祥柄(おめでたい柄)とされ、季節を問わず着物に描かれることの多い鶴だが、本来は冬になると日本にやってくる渡り鳥。凛とした冬景色をまるで一枚の絵画のように描いた着物に、落ち着いた金色の帯を合わせて着物が主役のコーディネート。

▲友達とのショッピングや美術館へ、日常生活で楽しむカジュアルな着物。
▲友達とのショッピングや美術館へ、日常生活で楽しむカジュアルな着物。

春:春の渡り鳥「ツバメ」の帯を主役にして、春待つ気持ちを表現
写真左のコーディネートは春のコーディネート。やわらかな日差しをイメージさせる明るいイエローに、春になると日本にやってくる渡り鳥のツバメを描いた帯が春を演出。このコーディネート、実は冬の終わりから楽しめる。まだツバメがやってくるには早い冬でも、冬の終わり頃なら、春を待つ気持ちを表していると捉えることができるから。

秋:山も街も色づく秋をイメージした、深みのある色合わせ
写真右のコーディネートは秋にオススメのコーディネート。温かみのあるオレンジの着物に、秋の花「菊」を織りだした帯を合わせて、しっとりとした秋のコーディネートが完成。着物のコーディネートは想像力でいかようにも広がっていく!

願掛け、吉祥紋に髑髏まで!?なんでもモチーフにしちゃう日本人の想像力

着物の柄は季節を表すものだけではない。結婚などのおめでたい出来事を祝う気持ち、厄除けや願掛け、さらには単純に日常の風景を切り取ったものまで様々。日本人の感性の豊かさが存分に発揮されているのが着物のデザイン。そこに描かれたモチーフの意味を、いくつか見てみよう。

吉祥文:鶴
長寿の象徴として亀とセットで描かれることが多い鶴はおめでたい柄とされている。鶴は夫婦仲の良い鳥でもあるので、結婚式に呼ばれたら、夫婦仲良く連れ添ってほしいと願いを込めて「鶴」の柄の着物を選ぶのも、気持ちを表現するひとつのアイディアだ。

街並み風景
外国人に人気なのが、風景を描いたデザイン。写実的な描写に当時の往来の賑わいが伝わってくるよう。
風景画の中には、日本の昔からの娯楽、落語や歌舞伎の演目に題を得て描かれているものもあり、落語・歌舞伎ファンにも人気の柄のひとつ。

厄除け:髑髏
男性の長襦袢(下着)や羽織(洋服でいうところのジャケット)によく見られるのがドクロ柄。
西洋文化では「死」や「悪」といったイメージのある「髑髏」だが、日本的解釈では厄除けの意味や、骸骨が動き回る姿から「再生」を意味する柄。

描かれる髑髏は、この写真のように扇子を持って踊っていたり、お酒を飲んで酔っ払っていたりと、どこかおどけた調子で描かれるものも多く、なんだか親近感が湧いてくる。

着物はアイデア次第でこんな楽しみ方も!

伝統的な着物姿ももちろん美しいけれど、大胆な意匠や色の組み合わせなど、単体でも魅力的な着物。既存のルールに囚われず、自由な発想で着物を楽しんでみるのも面白い。ここからは、そんな新しい楽しみ方のヒントを紹介していこう。

アイデア1:インテリアファブリック
まだ着物が身近な存在だった当時の着物や帯は手の込んだ作りのものも多く、衣類としてだけでなく、テキスタイルとしての評価も高い。特に帯はシンプルな長方形をしているので、テーブルランナーにしたり、タペストリーとして天井から吊るしたりと、インテリアとして楽しめる人気アイテム。

アイデア2:ベルト感覚で使えるオリジナル帯
続いて紹介するのはオリエンタルバザーのオリジナル商品。外国人観光客が多い同店。着物の着付けができなくてもガウン感覚で着物を楽しめるように、着物の古布を使って通常の帯より細くて短いオリジナルの帯を販売している。着物を羽織ったら、ベルト感覚でこの帯を締めれば簡単に着物姿の完成だ。

アイデア3:リバーシブルで楽しむメンズアイテム
男性の着物は女性のものに比べて色柄も少なく、一見地味。しかし前述の髑髏の長襦袢しかり、羽織の裏地など、実は見えない部分には大胆な柄ゆきのものが多いのだ。
写真は洋服で言うところのジャケットに当たる「羽織」。黒一色に家紋(各々の家の紋章)が入ったフォーマルな羽織は裏地を見てみると、繊細な筆致で描かれた子犬が3匹。

見えないところのオシャレこそが日本人の昔ながらの美学だが、こんなに緻密に描いた柄を見せないなんてもったいない!と、中にはあえて裏に返して柄を楽しむ人もいるのだそう。

着物を買いに行こう!

着物を買いに行こう!

着物は本来「反物」と呼ばれる幅37cm前後、長さ13m弱ほどの生地を購入し、自分のサイズに合わせて仕立てるオーダーメイド服。ただオーダメイドで仕立てる着物は、高価なことが多く、何より仕立てに時間を要するので観光のお土産にするには少し難しい。オススメはリサイクル、アンティークの着物を扱うショップや、骨董市。ほとんどが1点物なので、宝探し感覚で気に入る一枚を見つけてみてはどうだろう。

今回紹介したお店はこちら!

今回紹介したお店はこちら!

明治神宮前(原宿)駅から徒歩5分のところにある「オリエンタルバザー」は、2~3,000円代で購入出来るリサイクルの着物から、重厚な刺繍が入った貴重な年代物の着物まで常時1,000枚以上の着物、200本もの帯が並ぶ。女性物の他、男性物、子供用まで揃うのはもちろんのこと、帯周りの小物や、バッグなどもラインナップ。英語を話せるスタッフもいるので、買い物も安心!

また地下1階では、1年を通して浴衣を購入することができる。伝統的な浴衣の取り扱いはもちろん、外国人観光客向けに、より簡単に着付けができるような簡易的な浴衣の販売もしている。

▲外国人観光客に人気なのは桜や鶴など、伝統的な日本のモチーフを色鮮やかに描いたデザイン
▲外国人観光客に人気なのは桜や鶴など、伝統的な日本のモチーフを色鮮やかに描いたデザイン

伝統的な着付けで着物姿を楽しむもよし、着物をファッションアイテムの一つとして捉え、自由な着こなしで楽しむもよし、自分のスタイルで着物を楽しもう!

※記事掲載時の情報です。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。

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