
国宝・文化財に一番多く指定されているものは日本刀であり、全世界で武器とされる刀剣類の中で、これほどの価値と芸術性を持ったものは他にありません。日本文化の真髄である「刀」の歴史は大変古く、1000年も前に作られたものが現存するといいます。最近では大河ドラマやゲームなどをきっかけに日本刀に興味を持つ若者が増えているそう。今回は、日本刀に興味を持つ留学生含む大学生が日本刀を専門に扱う「銀座 誠友堂」を見学。日本刀の種類や歴史について学びました。
初めて見る本物の日本刀に興奮!
東京・銀座。日本刀の販売・買取りを行う「銀座 誠友堂」。ピンと張り詰めた空気が漂う店内にはおよそ200振もの日本刀と、200点以上の鍔や目貫などの小道具が整然と並び、厳かな雰囲気と初めて目にする本物の美術品に学生たちも興奮を抑えられない様子です。

「すごい……これって何年前のものなんだろう」
「生で見ると刀って想像していたより長いし重そう」
この日お話してくださったのは、「銀座 誠友堂」社長で日本刀のプロである生野正さん。「現在、国内には数十万振りの日本刀が存在するといわれています。どれも昔の人が代々大切に受け継いできたもので、800年くらい前のものなら錆もなくキレイな状態で保存されているんですよ。日本刀の特色である姿や反り格好は、製作された歴史の中で、それぞれの必要性に応じて改良されて進化してきました。また、火の中で生まれる神秘的な日本刀は、古来より信仰と権威の象徴ともなり、さらに日本人の精神の拠りどころとして大きな役割を果たしてきました。人が生まれて死ぬまでの間、けがれから身体を守るという意味で御守り刀とも称され、中には千年の時を越えて大切に保存され現代にその姿を伝えているものもあるのですよ。」

また、歴史的価値のある美術品として保管される日本刀。かつて位の高い武士しか持つことが許されなかった美術刀剣の中には数千万円から数億円の値がつくものもあると聞いて、学生たちも驚きの表情を隠せません。
刀匠によって今も継承される日本精髄の美術品
「ところでみなさん、日本刀は何から作られるかご存知ですか」と生野さん。「日本刀の材料となるのは、砂鉄から取れるこの玉鋼(たまはがね)というものです」と説明しながら学生たちに玉鋼を触らせてくれました。
「ゴツゴツした石みたい」
「こんな塊から細長い日本刀が作られるなんて信じられない」
「これを熱しながら何度も叩いて鍛えていきます。製作期間は刀によってさまざまですが、様々な諸工作を経て3カ月ほどで完成します」。そして、この日本刀を作る職人が「刀匠(とうしょう)」と呼ばれる人々で、過去には人間国宝に選ばれた人物もいるといいます。刀の生産が大きく衰退した現在も国内に300名ほどの刀匠がいて、古来の伝統技法である「日本刀鍛錬」の技術が継承されています。

実際に日本刀を持ってみよう
最後に生野さんの粋な計らいで、学生たちに実際に日本刀を持たせてもらえることに。めったにない貴重な機会に学生たちからも喜びの声が上がります。


日本刀について学び、また実際に触れる体験をした学生たち。最後に学生たちの声を一部ご紹介します。
「刀を守るためにも多くの人の努力がある。こういった膨大な努力の詰まったものだからこそ価値があり、長い間大切にされているのだということを学びました」(国籍:日本)
「日本刀の価値観は値段ではなく、意義を持つことだと思う。それらは、お金があっても、買えない」(国籍:ベトナム)
「刀剣見学を通じて、日本刀の歴史価値と文化価値が分かった。日本刀は勇気や恭順や武道精神が表れる。刀は歴史価値を持っていること以外、もっぱら美術品としての価値で取引されているそうだ」(国籍:ベトナム)
「刀の製作者は苦心して日本刀を作りあげた。武器ではなく、工芸品である限り、真面目な製作過程を忠心に伝承することが一番感動したことです」(国籍:中国)
近年、女性を中心とする若い世代や外国人など興味を持つ人が徐々に増えている日本刀。我が国随一の伝統文化でありながら、風前の灯火といわれていた刀の世界を将来的に支えていくのはきっとこうした世代。見て、聞いて、触る。今回の体験授業は彼らが刀の魅力に触れる絶好の機会となったことでしょう。
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