「にじり口」から茶室に入る
慣例では、客人は着物や正装を求められるので、最初に着物に着替えた。着物は一人で容易に着られないので、スタッフの手伝いはとてもありがたい。着物を着た後、茶室「翠庵」の入り方について説明を受けた。16世紀後半の造りの茶室には、特徴的な「躙り口」がある。外の世界と静かな茶室を分けている象徴的な入り口で、かがんで入室する。
最初の印象
茶室に入った瞬間、優雅でありながらシンプルな室内装飾に気が付いた。広くはないが、もっと小さい茶室もあるらしい。茶の湯が始まる前、安島翠香先生は伝統的な茶室の性質を教えてくれた。茶室の芸術性に欠かせないのは、床の間にある掛け軸や茶花。茶花に使っている花は、季節や来客によって変わり、茶道の精神を表している。先生は茶道初心者である私にふさわしい茶花と掛け軸を選んでいてくれた。
まずは和菓子を頂く
お茶をいただく前に、先生は小さな和菓子をくれた。萌黄色と桃色の二つの乾菓子は、懐紙という紙に乗せられていた。乾菓子を食べると、懐紙を半分に折って、後に使うため自分の体の右側に置いた。
優美なお点前
お茶を点て始める先生の所作は、とても魅惑的に見えた。和やかで、優美な手振りは、まるで動きながら瞑想しているよう。茶碗も美しく、茶道を通してわびさびのコンセプトを学べるのだと感じた。
お茶の頂き方
客人は、茶碗を渡されたら、右手で受け取り、左の掌を添えるというのが正しい方法と、先生が教えてくれた。お茶を飲む前は、美しい茶碗の模様を愛でるひととき。続いて茶碗を2回、右に回して、茶碗の正面を避ける。一口飲むと、おいしいお茶を先生に感謝することも作法のひとつだ。最後の一飲みは音を立ててすする。亭主に飲み終わったことを知らせるためだ。先に折った懐紙を使うのは、飲んだ後の今。唇がふれた茶碗を、その懐紙で拭いて、一連の嗜みが完了。
生涯かけて日々練習
点前という、お茶を点てる動作は、見ている限りではさほど難しくない。抹茶を小さなお匙で茶碗に入れ、そこにひしゃくでお湯を注ぎ、茶せんでお茶を点て、客人に出すだけだ。しかし、その優雅で流れるような動きは、実際にやってみるとなると結構難しい。客人をもてなすためには動きだけでなく、所作や知識、気遣いが大切だ。達人になるには生涯かかり、その学びに終わりはない。振り返ってみると、私は茶道の世界の一部にしか触れていないと思えた。言葉だけでは表現できないこの世界、ぜひ体験してもらいたい。
体験方法
HiSUi TOKYOは東京の中心にあり、銀座駅から非常に近い。短期旅行者なら体験プランがおすすめで、、日本の伝統的な芸術である茶道、抜刀、書道、和装の4種類を体験できる。1人当たり1万円からで、20名まで予約可能。予約は電話またはメールで受け付けている。
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HiSUi TOKYO
- 住所 4-3-13, Ginza, Chuo-ku, Tokyo, 104-0061, Japan
2011年から日本に在住し、東京の足立区に住みながらジャーナリストとして活動しているQuentin Weinsantoです。日本の見どころや、興味深い話題をお届けできたらと思います。
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