例年、開催期間の3日間で合わせて180万人もの人出が見込まれる「三社祭(さんじゃまつり)」。観光地としても有名な浅草神社・浅草寺を中心に、街全体がお祭りムードに包まれる中、約100基もの御神輿が練り歩きます。大迫力のお祭りの雰囲気に魅了され、何度も訪れる外国人観光客も多いそうですよ。
今回は、この三社祭を徹底解説!見どころや楽しみ方について、浅草神社の方や地元外国人の方に伺ってきました。
main image:画像提供:浅草神社
「三社祭」ってどういうお祭り?
「三社祭」は正式名称を「浅草神社例大祭」といい、その名の通り浅草神社の例大祭(神社で行われる最も重要な祭事)です。毎年5月第3週の金、土、日曜日の3日間かけて開催されます。(※)
始まりは鎌倉時代末期といわれ、そもそもは隅田川に浮かべた船に御神輿を載せる「舟渡行(ふなとぎょ)」を行う祭事でした。後世になって形を変えていき、現在のような御神輿を担ぐお祭りになっていったのだそうです。
※2020年は新型ロナウイルスの影響により、10月16日(金)~18日(日)への延期を予定しています 。8月31日に斎行の可否を確定します
三社祭の由来とは? 浅草神社と浅草寺
三社祭が行われる浅草神社は神道の施設ですが、仏教施設である浅草寺と隣接しています。
日本では「神仏習合(しんぶつしゅうごう)」といって、日本に元来ある神道と、後に外国から伝わった仏教とが融合したような宗教の考え方があり、お寺と神社が近くにあることはそれほど珍しいことではありません。とはいえ、浅草神社と浅草寺のように、これほど近くに隣接していることは、珍しいそうです。
その理由を知るには、浅草神社と浅草寺の由来を説明する必要があります。浅草寺の歴史は古く、7世紀にさかのぼります。
ある日、漁師の檜前浜成(ひのくまのはまなり)・武成(たけのり)の兄弟が隅田川で漁をしていると、魚はまったく獲れず、代わりに何度も仏像が網にかかったのだそう。不思議に思った兄弟が、その仏像を当時の文化人であった土師真中知(はじのまつち)に見せたところ、ありがたい観音像であることが分かりました。
兄弟は観音像に漁がうまくいくよう祈念したところ、翌日から大漁が続きます。それを見た土師真中知が観音像を自宅にお祀りしたのが「浅草寺」の始まりです。
その後、土師真中知の子供が、「土師真中知・檜前浜成・武成を神としてお祀りするように」とのお告げを受けて、この3人をお祀りしたのが「浅草神社」なのです。そして、この3人のことを「三社様」と呼ぶことから、「三社祭」の名前の由来となりました。
三社祭への行き方、アクセス方法
三社祭の開催エリアは広く、見どころスポットも多いのですが、まずは一度浅草神社に足を運んでみるのがよいでしょう。
浅草神社へは、東京メトロ銀座線、都営地下鉄浅草線、東武線が乗り入れる「浅草」駅から徒歩7分、つくばエクスプレス「浅草」駅から徒歩10分ほどです。駅から浅草神社への道中は下町情緒あふれる街並みが続き、少し歩けばすぐ雷門が目に入りますから、それほど距離を感じないでしょう。
三社祭の見どころ!オススメはいつ・何を観る?
三社祭は3日間開催されますが、日によって行われる内容は異なっています。そのため、初めて見学に行く方は「何を観たらいいの?」「いつ行けばいいの?」と迷ってしまうことでしょう。今回は浅草神社の方に、三社祭の楽しみ方について教えてもらいました!
オススメ1:例大祭式典で神事を体験
三社祭はといえば御神輿のイメージを持つ人が多いのですが、本来は祭祀がメインのお祭りです。2日目の午前中に社殿で行われる例大祭式典では、日ごろ滅多に観ることのできない重要な祭祀を最も間近に観ることができます。日本文化を体験したい方にはぜひオススメ!
オススメ2:気合いMAX!御神輿スタート地点
2日目の正午から行われる「町内神輿連合渡御(ちょうないみこしれんごうとぎょう)」では、御神輿がスタート地点から出発(渡御)する様子を見学できます。三社祭で担がれる御神輿は本社神輿と町内神輿の2種類があり、町内神輿はなんと約100基! 町会名を呼ばれた町会が御神輿を担ぎ、一基ずつお祓いを受けてから神社の鳥居をくぐり、路地を練り歩きながら各町会へ帰っていきます。
この時、御神輿に坐す神様の「魂振り(たまふり)」が行われます。魂振りとは、御神輿をわざと上下に降ったり、荒々しく揺らしたりすること。ここが御神輿のスタート地点ということもあり、気合いも体力も充分な担ぎ手たちの一番ボルテージが高い瞬間を観ることができるそうですよ。また「全ての町内神輿を観ることができる唯一の場所がココ」というのもポイントですね。
オススメ3:雷門と御神輿が一緒に見える!
浅草を訪れる観光客のほとんどが訪れるのではないかと思える「雷門」は、浅草のシンボルでもあります。
町内神輿連合渡御で浅草神社をスタートした町内神輿は、仲見世通りを通り、この雷門をくぐって出てきます。雷門と御神輿が両方いっぺんにそろうので、「三社祭に行ってきた!」と分かりやすい写真を撮影したいなら、最高のビューポイントともいえます。ただし、人気ポイントであるがゆえに、大変な混雑は覚悟していきましょう。
オススメ4:路地を練り歩く御神輿を追いかける!
最終日となるお祭りの3日目、早朝から行われる「本社神輿各町渡御(ほんしゃみこしかくちょうとぎょ)」では、3基ある本社神輿がそれぞれのコースをたどりながら浅草の街の路地に入り込んで進んでいきます。
この本社神輿の渡御コースは事前にHPなどで公開されるのですが、コースと共に「どのポイントに・どの本社神輿が・何時ごろ通過する」のかが分かるようになっています。つまり、渡御コースを事前にチェックして、自分の好みの場所で御神輿を待ちつつ見学ができるということ。
本社神輿の渡御は朝から夜まで一日中続いているので、1か所で観終わったら、次のポイントへ移動して見学することも可能です。好みの場所を移動しながら御神輿を追いかけ、時間の都合に合わせて見学ポイントを決められるので、計画的に見学したい人にはオススメです。
地元在住の外国人に聞いた!ここが三社祭の魅力
外国人旅行者にも人気の三社祭。日本在住の外国人から見ると、どのような点が魅力的なのでしょうか?生の声をいただきましたので、ちょっとご紹介しましょう。
「日によって見どころが違うから、3日間とも楽しめると思うよ。僕のオススメはやっぱり、盛り上がりが最高潮になる最終日かな。普段おとなしいイメージの日本人が荒々しく神輿を担ぐ様子を初めて見た時は、ちょっと怖いなと思ったけれど、迫力があって見応えがあると思うよ。町内会ごとに着用する服装が違うので、注目してみると面白いよ」(オーストラリア人/男性)
地元の人の中には、お祭り期間中やその前後には仕事を休んでお祭りに参加する人もいるほど。お祭りにかける情熱が最高潮に盛り上がる最終日は見応えたっぷりですよ。
「“大行列”といって様々な衣装を着た人々が町を練り歩くのですが、お囃子を聞けたり、踊りを見られたりするので、見ているだけで楽しめます。三社祭といえば、やっぱり神輿ですね。たくさんの神輿が広場に集まる様子には圧倒されます。グルメやお土産の屋台も出店されるので、一休みしながら見て回るのもオススメです。」(アメリカ人/女性)
お祭り初日の午後から行われる「大行列」。色とりどりの日本古来の衣装を身に着けた人々が街を歩きます。お囃子や舞を観ることもできるので、見ているだけでも楽しいのは納得ですね。
三社祭に初めていくならここに注意!
もしも三社祭に行きたい!と思ったら、初めての方は特に注意しておくとよい点がいくつかあります。
一つがトイレ。浅草神社には一般の見学者が使用可能なトイレはなく、近くの公衆トイレを使うことになります。また当日お祭り会場周辺のコンビニ等では、トイレの使用を禁止しているケースも多いです。時間に余裕をもって計画的にトイレをすませておくとよいでしょう。また、神社やお寺は神聖な場所。一般の方が立ち入ってはいけない場所もあります。そのような場所には、日本語と英語で注意書きがされていますので、気をつけるようにしましょう。
それ以外には、御神輿の担ぎ手の邪魔にならないよう注意しながら、マナーを守って楽しんでいただければと思います。
アクセスもよく、行くだけですぐにお祭り気分が味わえる三社祭。日本文化が色濃い下町で開催されるのも魅力的ですね。事前に御神輿のルートをチェックし、いつ・どこで・何を観るかを決めておくと、効率的に見学することができますよ。
※本記事の情報は2020年7月時点のものです。
※2020年7月現在は新型コロナの影響により営業は下記時間となっています
平日:10:00〜15:00
土日祝:9:00〜15:00
ライター
株式会社ダリコーポレーション
美味しい食べ物とお酒、旅、物語を愛するライター。心身は良質な食べ物と経験で作られると信じている。難しい話は分かりやすく、シンプルな話は楽しく読める文章作りがモットー。
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