日本ならではの文化として、広く世界にも浸透するようになった「おもてなし」。日本の考え方や心遣いを形に表したサービスや習慣として、日本を語るうえでは欠かせない要素にもなっています。
そんな日本のおもてなしですが、海外の人はどんなことに驚いているのでしょうか?今回、日本に初めて旅行に来たという20代のアメリカ人女性に「日本にきて衝撃を受けたおもてなし」について聞いてみました(以下は、インタビューに応じてくださった方の体験に基づいた意見です)。
どこに行っても、穏やかであたたかい接客を受けられること
「日本にきて一番感じたのは、どこに行っても優しくて丁寧なサービスをしてくれるということ!本当にいい印象しかないです。お気に入りは京都で、町の雰囲気もとてもいいし、全体的にpeacefulな空気が流れてるなぁと思いました」
どこにいってもとても気持ちがいい、日本人の接客がいいというのが、日本にしばらく滞在して感じたことだそう。特に、京都の昔ながらの街並みや、寺院や神社など日本ならではの観光地には、穏やかで落ち着く空気感があると、とっても詩的な感想でした。
日本に初めて来て、こうした印象を持ってもらえるのは、なによりも嬉しいことです。
チップがいらないのに、サービスがしっかりしている!
「日本にはチップの制度がないけど、払わなくてもサービスがしっかりしてますよね。アメリカのチップ文化は、正直私たちでもちょっと面倒だと感じることがありますよ。」
アメリカはチップ文化が根付いている国。接客業の方に対するチップは当たり前で、何か特別なことをお願いするときにはチップがかかるというのが一般的な認識です。
でも、日本はそういった習慣がほとんどなく、チップがなくてもしっかりとしたサービスが受けられることに驚いたそうです。日本のサービスレベルは高いと言われることも多いですが、「お客様は神様」という根強い感覚が浸透していることが理由でしょうか。それにしても、アメリカの人でもチップが面倒と思っているとは逆に驚きです!
コンビニがきれいで、まるでカフェみたい!
「アメリカにもコンビニがあるけど、イメージが全然違います。コンビニは長距離の車移動でちょっと飲み物を買うとかその程度で、あんまり長くいたいところじゃないです。トイレも使えるけどきれいじゃないし。日本のコンビニはきれいだし、おいしいものもたくさんあるし、コーヒーが飲めるところまであって、もうカフェみたいですね!」
日本に来て、コンビニエンスストアのクオリティの高さには驚いたそうです。アメリカにもある某有名コンビニエンスストアは、名前は同じでもまったく違うのだそう。
コンビニコーヒーのヒットをはじめ、イートインスペースの充実やオリジナルのコラボレーション商品の販売など、近年の日本のコンビニエンスストアの進化は、日本人にとっても目覚ましいものがあります。店舗数も多くいつでも開いているコンビニは、外国人観光客の利用頻度も高いところ。実は、一番おもてなしに触れやすいシーンなのかもしれません。
焼き肉食べたあとに、気配りのミントガム!
「日本の焼肉が大好き!お店でお会計の後、レシートと一緒にミントのガムをくれたんです。あれはすごく日本的っていうか、ちょっと嬉しい気配り」
言われてみれば、という焼肉店での食後の「ガム」のサービス。多くの焼肉店で目にするこの光景も、外国人からみれば驚くポイントのようです。
日本滞在中に何回か行ったというほど、日本の焼肉が気に入ったという彼女。ニオイがつきやすい食事だからケアしてくださいという、一見さりげない心遣いですが、これがなんとも日本らしいのでしょう。
お店を出たあと、ずっと外で見送ってくれるところがすごい!
「お店を出た後、店員さんが外まで出てきてお辞儀をして、しばらく外で見送ってくれました。すごく高級なところでもないのにすごいと思いましたね。ちょっと嬉しかったです」
お店によりますが、帰り際に店の外まででて挨拶をしてくれるお店は、居酒屋さんなどでもたまにあります。高級レストランならまだしも、カジュアルな居酒屋でもお見送りがあるのはすごいことだと感じたそうです。
お客さんの姿が見えなくなるまで見送ってくれたり、長い時間お辞儀をしたり、こうしたこともとても日本らしい習慣のひとつと言えますね。
執事カフェやメイドカフェの接客、ユニークだけど丁寧!
「執事カフェやメイドカフェっていうのが面白かったです。執事カフェっていうのに行ったんですけど、お嬢様、お姫様って呼び名が自分で選べて(笑)、接客もすごく丁寧でした。アメリカにはあぁいうのはないですからね」
こちらも日本ならでは、で間違いないでしょう。日本に来たら、一度は行ってみたかったというコンセプト型のカフェ。おもてなしというよりは、世界観を作るための接客スタイルではありますが、非常に丁寧で気分がよかったそうです。ユニークという意味で衝撃を受けたおもてなしのひとつだったと言います。
メニューに写真があるから、言葉がわからなくても注文しやすい!
「レストランのメニューに写真があるところが多くてすごくいい!日本語はあんまりできないし、特に漢字はほとんどわからないけど、写真があれば注文できるので、あまり困らなかったです」
日本では写真メニューのあるお店というはあまり珍しいものではありませんが、アメリカではさほど多くないそうです。英語のメニュー表記があるお店が少ないとか、英語が話せるスタッフがいないお店が多いなど、英語対応が遅れているといわれる日本ですが、彼女にとっては写真があったので全然困らず助かったということでした。
何もすべてを英語になくても、小さなことでもおもてなしはできるのだと気づかされる意見でした。
唯一、洗った手を拭くペーパーがないトイレがあることにびっくり!
「一つだけ、トイレに手を拭くペーパーがないところがあったのにはびっくりしました!」とのこと。
アメリカではほとんどのトイレは、手を洗った後に手を拭くペーパーがあるそうです。「ドライヤーもどちらもないところもあるから、ハンカチ持たないといけないですね!」と笑いながら話してくれました。
日本のトイレ設備は中々整っていると思いますが、手を拭く紙が用意されていないという基本的なところが抜けていることは、逆に衝撃的だったそうです。どんなところが当たり前なのか、どんなことが気になるのか、感覚や習慣というのは本当に国によって異なるのだと思い知らされた内容でした。
全体的なレベルが高い!日本のおもてなし
「アメリカに比べたら全体的にサービスがとってもいいから、大好きです」と言ってくれた彼女。初めての日本の旅行を存分に楽しんで気に入ったそうです。
おもてなしの基本は、相手が喜んでくれる心遣いや気配りを考えること。文化や習慣が異なると難しいところもありますが、多くの人に心が伝わるおもてなしを広めていきたいものです。
旅ライター×海外ツアーコンダクター。社会人向け教育コンテンツの企画開発・編集担当として11年従事。プライベートでは学生時代から旅に魅了され、これまで世界約50カ国150都市以上をめぐってきた大の旅好き。世界中、日本中のグルメを味わい、自然を感じ、世界遺産や歴史的建築を見て、温泉めぐりをするのが生きがい。そんな旅好きが高じて、会社員から旅ライター×海外添乗員へと転身。現在は、年間100日以上海外を飛び回りながら、旅ライターとしても活動。旅の楽しさ、日本の魅力、世界の多様な価値観をより多くの人に広めるべく、インバウンドの添乗や旅ライターの取材等で、日本各地を訪れて情報発信をしている。
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