日本の夏といえば、海水浴、蝉の鳴き声、夏祭り…そして欠かせないのは、怖ろしい亡霊の世界・お化け屋敷を体験すること!霊がよみがえるとされるお盆の到来とともに、日本の夏は恐怖や驚愕にスポットがあたる季節だ。ハロウィンと似たようなものだといえるかもしれない。
「お化け屋敷」は、日本の夏の風物詩だ。そこで得られる恐怖と驚愕は、暑気払いにぴったりである。そんな話を聞いていた私は、今回、著名なお化け屋敷プロデューサー・五味弘文氏が演出した新作のお化け屋敷『赤ん坊地獄』を体験できると知り、興奮を抑えられなかった。
暑さからの逃避行
私が日本を好きな理由に、恐怖を表現する方法の独特さがあげられる。グロテスクさや単調な怖ろしさに終始する西洋のものとは異なり、日本のお化け屋敷は、ストーリー性や、場面に応じた仕掛け、暗闇を進む恐怖感が特徴だ。
会場である東京ドームシティに到着したとき、気温は36度近くまで上がっていた。カラフルな子ども向けのアトラクションに囲まれているためか、外観からはそこまで怖ろしさは感じられなかった。だが入口のポスターに描かれた不気味に笑う亡霊は、これから待ちうけている体験を物語るかのように、眺めるにつれて不気味さを増していくのだった。
恐怖の世界へ飛び込む
順番を待っているときだ。中から時おり悲鳴が聞こえてきた。子どもだろうと笑っていたが、出てきたのは5人、しかも全員が30を超えた大人だった。私のグループはたった3人…私の気概は急速にしぼんでいった。そのとき突然順番を呼ばれ、とうとう中へ連れていかれた。
最初に入ったのは真っ暗な小部屋だった。扉が閉まると同時に、暗闇の中から声が聞こえはじめた。
それは20年前に霊界の男と人間の女の間に生まれた唱子(しょうこ)の物語。霊界を離れ、自ら子どもを授かった唱子だが、女の霊に赤ん坊をさらわれてしまったのだ。霊界をくぐり抜け、赤ん坊を唱子に届けること。 それが参加者に課せられた使命だった。
もう引き返せない…
前方のドアがゆっくり開き、真っ赤な壁と薄暗い通路が現れた。最後尾へまわろうとしたものの結局先頭に押し出された私は、鳴りひびく音に気持ちの高ぶりを感じ、前方から聞こえる悲鳴に、自分に降りかかるであろう恐怖を予想した。
部屋を注意深く見渡し、私は果敢に前進を始めた(正しくは、同行者に押され、進まざるを得なかったのだが)。しかし私が注意を向けていたのは別の方向だった。部屋に響きわたる悲鳴…ついに亡霊は私の目の前に現れた!
続いて出てきたのは、血まみれの亡霊たちの部屋であった。彼らと親しくなるつもりは毛頭なかった我々は、足早にそこを通りすぎた。そして次の部屋でついに、赤ん坊を奪った霊と対峙することになったのだ。
生きて戻れるか?
女はもつれた髪に青白い顔をしていた。時折、赤ん坊に顔を向けながら、我々に赤ん坊を抱くように促したため、恐る恐る応じた。驚いたのは、抱きあげた赤ん坊の感触が、まるで本物と違わなかったことだ。鼓動さえも伝わってくるようだった。
こうして赤ん坊を手にした我々であったが、この後も赤ん坊と共に亡霊の国を進まなければならず、それはまさに衝撃と恐怖の連続であった。悪霊は、我々を簡単に離してくれたのだろうか。…答えは簡単であろう。
終わりに
何度か危機を乗り越えて、我々はやっとのことで出口にたどり着いた。赤ん坊を放したとき、悪夢からの解放を感じた。安全な東京に戻ってきたのだ。
終わってみると、とても面白い体験だった。赤ん坊地獄は今回私が体験したもののほか、より恐怖の増したバージョンの演出もある。そちらも試してみたい。みなさんもこの夏に東京に訪れたら、東京ドームシティで、赤ん坊地獄をぜひ体験してみてほしい。無事の帰還を祈る!
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夏季限定お化け屋敷『赤ん坊地獄』
- 住所 1-3-61, Tokyo Dome City Attractions, Koraku, Bunkyo-ku, Tokyo, 112-8575, Japan
・期間:2016年7月15日(金)〜9月25日(日)
・時間:(絶叫篇)10:00~16:00、(超・絶叫篇)17:00~22:00
・料金:1030円
※6歳以上入場可能
※アナウンスは日本語・英語あり
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