
埼玉県川口市にある西川口駅周辺が、関東随一のチャイナタウン化していることを知っていますか? 駅前をはじめ、いたる所に中華料理店や中華系のスーパーが立ち並んでいます。そんなウワサを聞きつけ、本場の味を求めてわざわざ遠くから西川口まで来る人も増えているそう。
そこで今回は、中国出身の女性とともに西川口を訪れ、チャイナタウンのディープな食べ歩きツアーを敢行!本場中国出身の人でも体験したことのない、驚きの世界が繰り広げられていました。
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一緒に食べ歩きをしてくれるのは、中国・広州出身の秦(シン)さん。広州は、上海、北京に並ぶ大都市で、中国国内のあらゆる料理店が揃うことから「食の都」といわれる街です。広州で生まれ育った秦さんは、食の評価は人一倍辛口。さて、西川口の中華料理は秦さんを満足させてくれるのでしょうか?
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西川口駅前は、ロータリーこそありふれた風景ではあるものの、30秒も歩けば中国語だらけの街並みが広がります。
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中国料理店、中国物産店、中国語専門カラオケ……と、どこもかしこも中国語だらけの店舗ばかり。中国から移り住んだ方々の息遣いが感じられます。
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本格的なハラル対応の蘭州牛肉麺が食べられる「ザムザムの泉」
西川口駅から歩いて10分。一軒目に訪れるのは、蘭州ラーメン料理店「ザムザムの泉」。ただいまの時刻は午前9時、まだ朝ごはんの時間帯です。秦さん、朝からラーメンなんて重たいのでは?
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「まさか!むしろ“朝ラーメン”は中国で常識ですよ。中国では、朝ごはんとして出勤前にラーメンを食べるのが当たり前の光景です。むしろ、朝に白米を食べる人のほうが少ないんです」
日本でも“朝ラー”なんて言葉が流行りましたが、中国の常識だったとは……。
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ザムザムの泉は、2017年に中国・蘭州地域出身のご主人がオープン。都内では珍しい、本格的なハラル対応の蘭州牛肉麺が食べられるお店として、瞬く間に人気店になりました。開店前から行列ができ、今ではこの店の味を求めて県外から訪れるお客さんが半数以上を占めています。
地元の広州でも蘭州牛肉麺を食べたことがある秦さん。メニューの豊富さもさることながら、いくつもの麺を選べることに感激の様子。
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ザムザムの泉で提供する麺は全9種類。麺づくりは、こねる(揉面)、延ばす(溜面)、ひとつずつ形をつくる(剂面)の3工程が最も難しいそうで、熟練した技術が必要です。さらに同じ生地から形状の異なる麺を作るともなれば、並の職人では至難の業。
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ご主人があっという間に麺をこねてのばして茹でる手さばきに、「中国の本格的な麺料理店みたい!」と秦さん興奮。これは期待できそうですね!
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一品目は、ザムザムの泉の代表料理「蘭州牛肉麺」(1300円・税込)。秦さん、見るや否や味を確信したかのような満足げな表情です。
「蘭州牛肉麺は『一清二白三紅四緑五黄』と呼ばれる“5つの色”から構成される料理です。澄んだスープ、白い大根、赤いラー油、緑のパクチーやネギなど葉物野菜、黄色い麺、という意味です。この蘭州牛肉麺は、すべてを叶えていますね。本格的で本当においしい!」
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澄んだスープは約20種類以上の薬膳を使った秘伝の味。ラー油とスパイスが刺激となり、ほんのり汗をかきながらも箸が止まらなくなるおいしさです。冬はもちろん、暑い夏や季節の変わり目で弱ったときに食べたくなりそう。
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二品目は、夏季限定の「ザムザム涼麺」(1500円・税込)。ニンジンやブロッコリーなどの野菜たっぷりのあんかけが乗っていて、平打ち麺としっかり混ぜて食べます。もちもちの麺の歯ごたえとシャキシャキ野菜、やわらかい牛肉、そして香ばしいラー油とにんにく。どれもクセになるおいしさです!「ザムザム涼麺」は9月末ごろまでの提供です。
実は、ザムザムの泉は年内中に、東京の後楽園に移転予定。西川口で味わえるのは残りわずかのため、早めに行ってみましょう!
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ザムザムの泉
- 住所 〒332-0021 埼玉県川口市西川口3丁目32-9 メゾン里山東側 1階
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最寄駅
JR西川口駅
- 電話 048-299-4628
鴨肉のテイクアウト専門店「王道麻辣鸭脖」
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次に訪れるのは、「王道麻辣鸭脖」。店の入口にでかでかとある看板から分かるように、鴨のさまざまな部位の肉をテイクアウトできるお店です。「鸭脖」とは、鴨の首、という意味だそう。
「懐かしい~!中国のお店そのままですよ!」
感激する秦さん、中国では鴨肉はよく食べられるものなのでしょうか?
「はい!スナック代わりに食べますよ。おうちでテレビを見るときにつまんだり。あとは、映画館でテイクアウトした鴨首を食べたりする人もいますね」
映画館で!? 日本の映画館もチキンウイングとか売っていますが、似たような感覚なのでしょうか……。
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店内は、カウンターとキッチンのみの、奥行きがあるこじんまりしたつくり。店頭でほしい部位を注文すれば、紙袋に詰めてくれます。
秦さんがチョイスしたのは、鴨ハツ(8~16個/500円)と、鴨頭(2個/500円)。
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では、テイクアウトほやほやの鴨肉を早速、食べてみましょう!手が汚れないようにビニール手袋をつけてくれるので、食べ歩きしやすいですね。ハツは日本でも焼き鳥メニューですが、鴨ハツはあまり食べられることのない部位。しかし、コリコリとした食感とピリ辛な風味で、スナック感覚で食べられます。ビールが恋しくなる味だ……。
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次に秦さんが手にしたのは、鴨頭。満面の笑みで鴨の頭を手にする姿、ギャップがありすぎます。
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「鴨頭は食べる順番があります。まず頭を半分に割って、脳みその部分を食べます。次に、頭の後ろの肉の部分。目玉は食べません。最後にくちばしとかのあまりお肉がない部分です」
そう説明しながら、秦さんは作業のようにテキパキ食べていきます。言われたとおりに挑戦してみると、たっぷりのスパイスのおかげで、臭みやえぐみは全くなく、癖になりそうな味です。
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王道麻辣鸭脖 西川口店
- 住所 〒332-0021 埼玉県川口市西川口1丁目21-4
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最寄駅
JR西川口駅
- 電話 048-257-5885
中国食品店だけどバンコク……?西川口の今昔を知るおばあちゃんがいる「BANGKOK STORE」
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おなかいっぱい食べたので、街を散策することに。西口周辺を歩いてみると、「BANGKOK STORE」と大きく書かれたお店を発見。英語の下に書いてあるのはタイ語なので、タイの首都・バンコクのことに違いありません。チャイナタウン化している西川口で、異彩を放つ存在です。
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店内は、タイとは関係なく、むしろ中国食品がずらり。秦さんは「懐かしい!」と喜びながら、いろんな商品を手に取って眺めます。
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「調味料がたくさんありますね!これはラオガンマー(老干媽)というラー油。中国の家庭では必ずある調味料なんです」
見るからに辛そうですが、スープや麺料理に混ぜてみると意外と辛みは控えめで、風味がブレンドされて素材の味を引き立たせてくれます。中華料理以外に、野菜炒めや冷奴にも合いそうです。
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ラオガンマーのほか、刀削麺、冷凍餃子、火鍋の素など、プロ以外も使えそうな食材が所狭しと並んでいます。「私がいつも行く池袋西口の中華食材店より安い!」と、秦さんはラオガンマーはじめ、いくつかの食材をおみやげにゲットしました。
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さて、ここで気になるのが、「BANGKOK STORE」という店名。店番のおばあさんに尋ねると、興味深い話を聞けました。
実は30年くらい前まで、西川口はチャイナタウンではなく、タイ人が多い街でした。20数年前に物産店を開くとき、おばあさんはラオス出身ですが、タイ人に親しみを感じてもらえるよう、店名をタイの首都「バンコク」にしたそうです。
おばあさんの体感的に、西川口に中国人が増えてきたのは10年くらい前から。西川口は突然に中国人が増えた街ではなく、もともと外国人が多かったんですね。歴史の一端に触れられたおかげで、西川口のディープな魅力にますますハマりそうです。
後編では、今話題のタピオカ店&中国東北部の農家鍋専門店に訪れます。
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BANGKOK STORE
- 住所 〒332-0021 埼玉県川口市西川口1丁目5-12
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最寄駅
JR西川口駅
- 電話 048-259-3054
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最後に、秦さんが今回の食べ歩きで地味に一番ツボだったのが、蘭州ラーメン「ザムザムの泉」のつまようじ入れ。蘭州の郷土品だそうです。頭部を押すとつまようじが飛び出します。
旅行会社に勤める現役会社員の日本人ライター。大手ウェブサイトで編集者として従事した後、旅行会社に転職。そのため、旅行系・グルメ系のジャンルを得意とし、日本全国47都道府県で取材実績あり。旅行会社勤務だからこそ知れる秘境や絶景、旅の裏ワザを伝えながら日々取材に奔走している。
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