ART・EAT・MEET 安曇野モーニング旅!雄大な北アルプスや広大な田園風景、日本一のわさび田、豊かな自然環境で育まれた食に芸術…。長野県のほぼ真ん中に位置し、3,000m級の山々に抱かれた安曇野市は、関東や中京エリアなど都市圏からのアクセスが良好で、この土地にしかない景色やグルメ、地元の人との交流など、さまざまな“初体験”の出会いにあふれています。
さらに「朝が好きになる街」としても知られ、早朝にこそ安曇野市の素晴らしさに触れられます。朝が生き生きすれば、旅がさらに充実すること間違いなし。新しい自分に出会い、SNS映えも必至の安曇野の旅に出かけましょう!
〈AM6:00〉360°の大パノラマ!早朝の絶景広がる熱気球で一生の思い出づくりを
安曇野市の早朝の魅力として外せないのが、冷たく澄んだ空気と安定した風を利用した「熱気球体験」です。特に冬は、風まかせで高度500mから1,000mの自由飛行を楽しむ完全予約制の「フリーフライト」が挑戦できるのでオススメ。というのも、フリーフライトは広大な大地と冬の天気が安定した場所でしかできないからです。安曇野市は国内でも数少ない貴重なスポットのひとつ。パイロット歴30年以上となる代表の宮原毅(つよし)さんをはじめ、熟練のスタッフが揃う「安曇野气船」で、初めての熱気球体験に参加します。
集合は広い河川敷に朝6時。幻想的な朝焼けのグラデーションのなか、着々と離陸の準備が進む様子を眺めているだけで期待が高まります。
1時間ほどの準備を経て、いざ、バスケット状のゴンドラへ。「寒いのかな…」「揺れるかな…」「高所恐怖症で不安…」「写真撮影はできる…?」なんて心配はご無用。気付かぬうちに「ふわ~」っとゆっくり空中に浮き、いつの間にか上空にいるほどの安定感に驚きます。気温も、バーナーの炎で地上より暖かいくらい。そしてなにより、想像以上の絶景に感激です!
間近に冠雪の北アルプスが迫り、眼下には朝日に照らされた安曇野の田園風景が広がります。遠く八ヶ岳や南アルプスが望めるのも、空気が澄んだ冬だからこそ。また、東側には千曲川の渓谷に沿って雲海がたなびき、その向こうに、長野・新潟県境に位置する北信五岳の山々が続く独特の風景が連なります。
気象条件によっては、一面の雲海や、ブロッケン現象(太陽光が背後から差し込んで自分の影の周りに虹のような光の輪が現れる現象)やモルゲンロート(夜明けと共に昇り始めた太陽の光を浴びて山肌が赤く染まる様子)が見られることもあるのだとか。毎回、飛び立つごとに違う風景や空の様子が見られると思うと、今、目の前に広がる風景はこの瞬間しか楽しめないというロマンも感じます。
熱気球はハンドルなどが一切ないので、移動はパイロットが鳥の飛ぶ方向や地上の工場などから立ち上がる煙を見て、風の流れを読むのだそうです。その自然との一体感も興味深く、さらに北アルプスが迫る安曇野のフリーフライトは高い技術を要するそうで、着陸時は狙いを定めた場所にピンポイントで下降するテクニックに改めて驚きます。なにもかもが初体験の連続で、感動しっぱなし。1時間ほどのフライトが長いような短いような不思議な感覚にも包まれて、夢のような時間が終了しました。
なお、毎回、着陸場所が異なる熱気球ですが、地上で待機しているスタッフが車で追いかけてくれるので、着陸後の移動も安心です。スタッフの皆さんの息の合った片付けを見れば、より熱気球の仕組みがよくわかって、仲間との一体感も味わえます。
このフリーフライトは、誕生日や結婚祝い、卒業旅行や還暦祝い、プロポーズなど、記念日の思い出づくりとして体験する人が多いといいます。都市圏からのアクセスも良くてSNS映えも抜群なことから、最近は男女ともに20代の若者にも人気なのだとか。乗った人にしか味わえない特別な体験は、一生自慢できる思い出になることでしょう。悪天候等での中止の確率は3割ほどだそうですが、3月は天候が安定してフライトできる日が多いそうですよ。
早朝のフライトなので、終了後も十分、旅が満喫できるのも魅力。冬以外の季節は、熱気球と地上をロープでつないで上昇する「係留フライト」がおすすめ(予約不要・開催場所や日時はホームページで要確認)。より安全で、手頃な価格で楽しめます。
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安曇野气船
- 住所 長野県安曇野市穂高8207-2
- 電話 0263-87-9828
[料金] 安曇野熱気球フリーフライト28,000円(税込)、貸切(2~8人)200,000円~(税込)、
熱気球係留飛行15歳以上2,200円(税込)、3~14歳1,400円(税込)
〈AM8:30〉「L’ATELIER DES SENS」で五感が喜ぶ地元食材たっぷりモーニングを
熱気球の興奮をそのままに、今度は食の感動体験へ。熱気球乗り場から車で3分ほどの場所にある、安曇野の野菜がおいしいと評判のレストラン「L’ATELIER DES SENS」で朝食を楽しみましょう。
「L’ATELIER DES SENS(ラトリエ・デ・サンス)」とは「五感の仕事場」という意味のフランス語。地元食材や旬の素材をふんだんに使った本場仕込みの料理を肩肘張らずに楽しめる、地元の人にも愛されるフレンチスタイルのレストラン&カフェです。
特製の「モーニングセット」は、たっぷりの地元野菜と自家製の鶏ハム、採れたての地卵のスクランブルエッグがのった贅沢サラダプレート。フレンチならではのヴィネグレットソースが新鮮野菜のおいしさを引き立てる、まさに「野菜がごちそう」の一皿です。
飲み物は自家焙煎コーヒーや安曇野牛乳、オレンジジュースなどからセレクト。「優雅な朝の時間をゆっくりと過ごしてほしい」との思いから、なんとモーニングのコーヒーはおかわり自由です。
広い店内はのんびりと過ごせる雰囲気で、モーニングは一人客も多く、毎週訪れる常連客もいるのだとか。サラダの量と手頃な価格に驚く観光客も少なくないそうで、野菜を食べ慣れた地元客が足繁く通っていることからは、素材の確かさや料理のおいしさが伝わってきます。
オーナーシェフの足立史樹(ふみき)さんは安曇野市で生まれ育ち、都内の有名高級フレンチやワインバーのほか、公邸料理人としてアメリカや本場フランスの公館で舌の肥えた要人や賓客を料理でもてなし、腕を磨きました。その仕事ぶりが評価され、2008年には「優秀公邸料理長」として外務大臣表彰を受賞。
その後、地元に戻り、地産地消のスタイルを大切に「誰もが気軽にフランス料理を楽しめる店を」との思いで開業しました。2014年には原料に安曇野産ホップを使用した地ビール「穂高ビール」のブルワリーを併設する現在の場所に移転リニューアル。今はオーナーシェフの傍ら、大学院にも通い、日本一の生産量を誇る安曇野の特産品・わさびの機能性の研究にも取り組むなど、常に食材の地域性についてアンテナを張っています。
モーニングメニューは、そんな足立さんが、安曇野の朝の景色の美しさと「朝が好きになる街」という安曇野のキャッチフレーズに惹かれて提供を始めました。
「この空間で、ゆったりと朝食を食べる豊かな時間を楽しんでもらえたら」。
そんな足立さんの思いを感じつつ、心ゆくまで穏やかな時間を楽しみましょう。
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L’ATELIER DES SENS(ラトリエ・デ・サンス)
- 住所 長野県安曇野市穂高北穂高2845-7 地ビール穂高ブルワリー・ツインオークス内
- 電話 0263-88-2757
[営業時間] 水~金10:00~18:00、土・日・祝8:00~18:00
[定休日]月・火曜(祝日の場合は営業)
〈AM10:00〉安曇野のシンボル「碌山美術館」でアートと建築美に出会う
続いては安曇野の芸術文化に触れるスポットへ。「ラトリエ・デ・サンス」から車で7分ほど、JR大糸線穂高駅にもほど近い「碌山(ろくざん)美術館」は、安曇野市出身の彫刻家で、明治期に日本近代彫刻の扉を開いた夭折の天才・荻原守衛(おぎはらもりえ、号:碌山/ろくざん)の作品や資料が展示された美術館です。
ニューヨークやパリで芸術を学び、30年という短い生涯の中で碌山が生み出した数々の名作が一堂に並ぶ空間。コンパクトながらも愛と美があふれる碌山の作品世界を独り占めできるような、贅沢な気分に包まれます。
開館は1958年。碌山の作品を故郷に残そうと地元の教員たちが美術館設立の気運を高め、資金は長野県下の小中学生をはじめとする約30万人の寄附などで調達しました。建設地は隣接する穂高中学校地の一部を町が無償提供し、建設時も地元の中学生がレンガや玉石、瓦を運搬。地域初の美術館として、地元の人はもちろん、今や全国の人々からも愛されています。2022年には建物修繕工事のクラウドファンディングで、目標額の3倍以上を達成しました。
また、来館者のなかで密かな人気を集めているのが、錫(すず)の鋳造体験を楽しむワークショップ(2,500円)。わずか15分で、自分だけの特別なおみやげや旅行の記念品が作れると評判です。
このワークショップを体験できる施設「グズベリーハウス」や隣接のミュージアムショップの建物も個性的で、館庭では四季折々の植物を楽しむことも。季節ごとの風景を味わいながら、時間を忘れて思い思いにゆっくりと過ごせるのも「碌山美術館」の魅力です。
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碌山美術館
- 住所 長野県安曇野市穂高5095-1
- 電話 0263-82-2094
[営業時間]9:00~17:10(11月~2月は~16:10)※最終入館時間は閉館時間の30分前(ワークショップは10:00~11:45、13:30~15:30)
[定休日]月曜・祝日の翌日(5~10月無休)
[料金]700円(2023年4月から900円)、高校生300円、小中学生150円、鋳造体験ワークショップ2,500円(別途入場料が必要)※価格はすべて税込
〈PM0:30〉フランスの香り漂う「ブレ・ノワール」で絶品ガレット&アートを堪能
昼食は、カフェやギャラリーなどが多く立ち並ぶ山麓エリアへ。「碌山美術館」から車で10分ほどの「ブレ・ノワール」は、信州そばを提供する店が多い安曇野市の中でも、そば粉を使ったフランス・ブルターニュ地方の郷土料理「ガレット」が楽しめる地域初の専門店です。
オーナーの貫(ぬき)さんご夫妻は九州出身。かつて新婚旅行先だった安曇野の「碌山美術館」でアートに触れ、わさび田や田園が広がる風景と雪をまとった壮大な北アルプスの景観にも圧倒されて移住を決めたといいます。もともとフランスが好きだったこと、また、北アルプスの雪解け水による良質な水と新鮮食材がすぐに手に入る環境にも惹かれ、2010年に念願のガレット専門店をオープンしました。
ガレットのレシピは国内各所の専門店のほか、渡仏してパリや本場のブルターニュ地方で食べ歩いて勉強。最もおいしいと納得したブルターニュ出身者のレシピを、直伝で習いました。そば粉は県内産のなかでも一番適していると感じた八ヶ岳山麓のものを使い、風味を決定づけるバターはカルピス社製を使用。また、食事系のガレットにはスイス産グリュイエールチーズやパリ風ハムを使い、りんごや野菜は安曇野産にこだわるほか、スイーツ系のアイスクリームはベルギーから取り寄せも。以前に、来店したフランス人観光客からは「パリのガレットよりもおいしい」との言葉をもらえ、励みになったそうです。
最近は、そば粉に含まれる「ルチン」や食物繊維、ビタミンBにより、健康志向の女性の注目も集めるガレット。新鮮野菜がたっぷり取れるのもうれしいところです。
食事の待ち時間などにアートも楽しめるので、「お客さまからは『一粒で二度おいしい』と満足度が高く評判です」とマスター。その穏やかな人柄も心地よく、和やかなひとときを味わえます。
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ブレ・ノワール
- 住所 長野県安曇野市穂高有明7686-1
- 電話 0263-31-6969
[営業時間] 10:30~16:30(3月~11月の土・日・祝~17:00)
[定休日]火・水曜(祝日の場合は営業)
お土産COLUMN:
信州りんごをバラに見立てた芸術的な焼き菓子
早朝から活動して安曇野市の魅力をたっぷり味わった後、午後はゆったりおみやげ探しはいかがでしょうか。この地でしか出会えない食のおみやげスポットへ。
一軒目の「apple & roses(アップル&ローゼス)」は、山麓エリアの中心地に位置する、信州りんごと花を生かした人気の菓子店。りんごをバラの花のように見立てたフォトジェニックな「アップル&ローゼスタルト」(3個入税込3,888円)や、1本にりんご1個分の旨みを凝縮したオリジナルの「タタンサンド」(5本入税込1,994円)など、素材と独自の製法にこだわったオリジナルの焼き菓子や生菓子がずらりと並びます。
ともに長く海外で暮らし、店舗デザインやメニュー開発の分野で活躍してきた呉羽(くれは)英樹さんと、花屋兼輸入食器業を営んできた妻の依里さん夫妻が、これまでの経験とセンスを生かし、「長野の自然や食材の豊かさを多くの人に伝えたい」との思いで、大好きな北アルプスの麓で開業。クリエイティブな世界観が空間いっぱいに広がります。
どの商品も大切な人に贈る花束のように作り込まれていて、贈り物にも自分へのご褒美にも最適。賞味期限が長いものもあるので、ギフトとしても喜ばれそうです。イートインができる併設のサロンでは、アフターヌーンティーなどが楽しめるのも素敵。心ゆくまで安曇野の田園リゾートの風情を満喫できます。
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アップルアンドローゼス 安曇野本店
- 住所 長野県安曇野市穂高有明8161-1
- 電話 0263-31-0655
[営業時間]10:00~18:00(11月~3月は~17:00)
[定休日]火曜(8月は無休)
元フレンチのシェフが手がける、新感覚の信州ソウルフード!
二軒目の「儘に(ままに)」は山麓エリアの一角、「apple & roses」から車で3分ほどの小道を進んだ先にある、古民家をリノベーションした隠れ家のような佇まいの創作おやきの専門店。長くフレンチや欧州料理のシェフを務めてきた白澤岳士(たけし)さんが「お客さまに寄り添い、心の儘に」というコンセプトのもと、「誰もが気楽に来店してテイクアウトできるお店を開きたい」と2021年にオープンしました。自分だけのお気に入りや掘り出し物を見つけたような気分も味わえる店内で、「マルゲリータ」「レモンの香りのアーモンドクリーム」「ホタテと長芋のクリームソース」など、フランス料理の技法を生かした、ほかでは味わえない唯一無二の具材が楽しめます。種類ごとに、蒸す・焼く・揚げるなどの製法も分けて作られており、添加物や保存料不使用。長野の郷土食という概念を覆すような驚きのおいしさです。
食材の良さを引き出すことに努め、フランスと長野の伝統が融合した独創性は、これまでさまざまな製法のおやきを食べてきた“長野ツウ”のおみやげにもおすすめ。見た目も可愛く、20~30代にも人気というのも納得です。
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儘に
- 住所 長野県安曇野市穂高有明7640-2
- 電話 080-9513-8254
[営業時間] 10:00~15:00(売り切れ次第終了)
[定休日]木・金曜
見たことのない風景や初体験の経験を求めて訪れた安曇野の旅。この土地にしかない景色や味わい、芸術、人との出会いは刺激的で、早朝から動き出せば、1日の時間をたっぷりと使えるのもうれしいところです。その瞬間しか経験できない特別な思い出は、きっと人生がさらに輝くきっかけにもなります。
※本記事の情報は取材時点のものであり、情報の正確性を保証するものではございません。最新の情報は直接取材先へお問い合わせください。
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