「富岡製糸場」とは?
江戸時代の末、外国との外交・貿易を開始した開国直後の日本における一番の輸出品は生糸。しかし、需要が高まる一方で粗悪品が出回り、政府は改善の必要に迫られた。そこで、生糸の生産量と品質アップのために、国策として建てられることになった模範器械製糸工場が「富岡製糸場」なのだ。経営母体が変わりつつも、昭和時代まで操業を続けたが、生糸の需要は減り、1987年に115年間の製糸工場としての歴史に幕を閉じた。現在は富岡市が保存・管理を行い、施設の一部が一般公開されている。
音声ガイドやツアーによる見学
現在内部を一般公開している施設は「東置繭所」と「繰糸所」の2ヶ所。見学方法は、外国語対応の音声ガイド(200円)を利用する方法や、自身のスマートフォンで看板に掲示されたQRコードを読み込み、音声ガイドを聞きながら巡る方法の他、ガイドさんによるツアーも開催されている。(ガイドツアーは日本語のみ)
カイコが展示されている「東置繭所」
「東置繭所」は、主に繭を貯蔵していた、2階建ての巨大倉庫。フランス人の指導の下、日本の職人が工事したこの建物は西洋建築の影響を受けた「木骨煉瓦造」に、日本の伝統建築を取り入れて建てられている。1階奥では、カイコが公開展示されている。展示室・売店もあり、富岡市の養蚕農家が育てた繭を使って国内で生産された「TOMIOKA SILK」のシルク製品も販売されている。
糸取りの実演
月~金曜は、ショップの近くで「フランス式繰糸器」の実演、土・日・祝日には器械製糸が導入される以前に主流だった「上州座繰り器」の実演と体験が実施されている。手回しのハンドルで糸取りする座繰りの実演を見ると、器械製糸によっていかに効率が上がったかが容易に想像ができるだろう。
当時のまま残っている「繰糸所」
最先端のフランス式繰糸器が導入され、糸繰りの作業を行っていた場所が、東置繭所に隣接して立つ「繰糸所」だ。屋内には、自動繰糸機が操業停止のまま残されている。
「診療所」「首長館」の周辺を散策
中には入れないものの、創業当時から当時としてはしっかりと診療体制が整っていた「診療所」やフランス人指導者のポール・ブリュナの宿舎として建設され、契約満了後も工女の宿舎や教育・娯楽の場として使われていた「首長館」の外部も見学することができる。また、現在2019年の完成に向けて「西置繭所」の保存修理工事を行っている。
ライター:長谷川浩史・梨紗(株式会社くらしさ)
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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