日本を代表する料理のひとつ「寿司」。最近では寿司といえば日本だけでなく世界各地にある「回転寿司」が一般的になってきましたが、「回転寿司」発祥の地でもある大阪には、リーズナブルな価格で大きなネタのにぎり寿司が食べられる店があり、地元の人はもちろん海外をはじめ多くの観光客からも注目を集めています。
今回は、JR大阪駅にも近い大阪・梅田を代表する繁華街の阪急東通りにある大きなネタで有名な「元祖ぶっち切り寿司 魚心」の本店に訪れ、話題の寿司を試食しながら大きさや味、人気メニューなどをレポートします。
「元祖ぶっち切り寿司 魚心」とは?
「元祖ぶっち切り寿司 本店」は、大阪梅田からホワイティ地下街を進み、泉の広場へ。そこから地上へ出て、たくさんの飲食店で賑わう繁華街・阪急東通りへ。新御堂筋側から入るとすぐ左側に見えてくるお店です。約50年前の創業時からネタの大きい寿司として話題でした。店名にある「ぶっち切り」とは、もともと「ぶつぎり」という言葉が由来。
漁師さんが賄いをつくるようにおおまかにネタを切り、通常の約3倍の大きさのネタをのせた寿司を提供したところ、大きさのわりにリーズナブルで食べやすいと人気になりました。創業時からネタの大きさは変わらず、今ではここ本店をはじめ、梅田店、南店、三宮店、福島店、心斎橋店と、京阪神で6店舗を展開しています。
入店~寿司のオーダーまでのシステムと気になる料金は?
店の入口には多言語で「Welcome」のサインがあります。外国人にも人気の店ということが分かり、とても入りやすい雰囲気です。
入口のショーウインドウには、実際の寿司のサンプルが陳列されています。ネタの大きさがひと目で分かるので、注文するときの参考になります。どれだけ食べられるか、挑戦しましょう。
店内には、カウンター席25席と4人掛けのテーブル席が4卓あります。1~2人で訪れるなら、寿司職人のにぎり技を目の前で見たり、話もできたりするカウンター席のほうが、ライブ感もあっておすすめです。
グループで訪れるなら、料理もシェアしやすい4人掛けのテーブル席がおすすめです。
料理やドリンクの注文は口頭でもできますが、基本はタブレットからの注文です。まずトップメニューから言語(日本語、英語、中国語<簡体字/繁体字>)を選びます。日により英語で応対できる寿司職人もいます。
にぎり(ぶっち切り寿司)は一皿2貫単位での注文です。タブレットに写真があるのでネタの内容や大きさも分かり、合計の税込み料金も随時表示されるので、予算に合わせて注文できます。
初めて来店した場合は、つい最初にまとめて注文しがちですが、一度に多く注文するとスタッフから「本当にネタが大きいので、食べられないかもしれませんよ」と、アドバイスされますので、まずは控えめに注文しましょう。鮮度のよい状態で食べるためにも、少しずつ注文するのがおすすめです。
元祖ぶっち切り寿司 4大作法とは?
壁には「元祖ぶっち切り寿司」の作法と、料理のメニュー表が掲示されています。4大作法とは、全国各地で仕入れた鮮魚を、味・見た目・ボリュームに反して食べやすさを極めた魚心オリジナルのこだわりにぎりのことで、「垂れにぎり」「重ねにぎり」「こぼれにぎり」「巴にぎり」の4つがあります。大きさだけでなくその食べやすさ、美味しさも評判です。
それぞれの代表ネタを注文してみました。壁に掲示してあるメニュー表は日本語のみで、各にぎりの1貫の料金が表示されていますが、注文は1皿2貫単位です。
作法① 「垂れにぎり」をオーダー(はまち・サーモン・うなぎ・玉子)
【垂れにぎり】とはシャリから大きくネタが垂れ下がるにぎりで、シャリがほとんど見えず、そのネタの大きさにまずびっくりします。ぶっち切り寿司を代表する作法です。
写真は、はまち2貫780円(写真手前)。通常サイズ(写真奥)の1貫のネタが、長さ65ミリ×幅25ミリ×厚み10ミリに対し、垂れにぎりは長さ120ミリ×幅50ミリ×厚み10ミリと、通常サイズのなんと4倍ぐらいの量があります。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
サーモン2貫700円(写真手前)。1貫のネタは長さ100ミリ×幅40ミリで、こちらも通常サイズ(写真奥)に比べ約3倍以上の大きさです。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
うなぎ2貫980円。一貫の長さ155ミリ×幅45ミリで、この2貫だけでもボリュームがあります。シャリがほとんど隠れています。
玉子2貫180円。にぎり寿司というより大きな玉子焼きのようです。中にシャリが挟まっています。大きさは長さ60ミリ×幅35ミリ×厚み20ミリです。「垂れにぎり」には、ほかにも紋甲いか明太2貫360円、真だこ2貫500円、生ほたて貝2貫560円、えび2貫660円、真鯛2貫780円、など、たくさんの種類のネタが用意されています。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
※価格は変更になっている場合があります
作法② 「重ねにぎり」をオーダー(生まぐろ)
「重ねにぎり」は、その名のごとくネタが2重に重ねられてあり、好きなネタを心ゆくまで楽しむことができます。
生まぐろ2貫440円。写真奥にある通常サイズの寿司ネタが長さ70ミリ×幅15ミリ×厚み5ミリなのに、ぶっち切り寿司は長さ100ミリ×幅70ミリ×厚み15ミリと、なんとまぐろのネタ部分だけで20倍の大きさ! さらに上にまぐろが重ねられているので、食べ応えがあり、しかもリーズナブルです。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
※価格は変更になっている場合があります
作法③ 「こぼれにぎり」をオーダー(いくら・海老アボカド)
「こぼれにぎり」は、名のとおりネタがあふれてこぼれている寿司です。代表するにぎりは、いくら2貫980円。直径が43ミリもあり、こぼれているいくらがなんとも贅沢な感じです。いくらの数は写真奥の通常サイズと比べても5倍以上ありそうです。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
海老アボカド2貫440円は、サラダ感覚で食べやすいと特に外国人に人気の寿司です。アボカドが、海老の入った軍艦巻からこぼれてボリュームたっぷりです。【こぼれにぎり】はほかにも、月見とろろ2貫180円、とび子2貫380円などがあります。
※価格は変更になっている場合があります
作法④ 「巴にぎり」をオーダー(穴子)
「巴(ともえ)」とは、渦をまくような形の日本の伝統的な文様のひとつです。「巴にぎり」はシャリをネタでくるっと巻いた寿司で、一周巻いても余るほど長いのが特徴です。
穴子2貫740円。写真奥の皿の通常サイズは、長さ90ミリ×幅25ミリですが、ぶっち切り寿司は長さ180ミリ×幅45ミリと、なんと4倍の大きさもあります。
※通常サイズは大きさ比較のため特別に作ってもらいましたので、お店では提供されていません。
※価格は変更になっている場合があります
ぶっち切り寿司の試食にチャレンジ!
さっそくぶっち切り寿司を食べてみます。「にぎり寿司」はネタ(刺身)の部分にむらさき(醤油)をつけるのが基本です。むらさき(醤油)には魚の生臭さを消したり殺菌効果があったりしますが、何より醤油本来の旨味成分が刺身の美味しさをさらに引き立てると言われています。ただし醤油の付け過ぎやシャリ(ご飯)につかないよう注意しましょう。
箸で食べてもマナー違反ではありませんが、にぎりはもともと手でつまんで食べていたというので、手でつまんでみます。ですが、ネタがあまりにも大きくてつかみにくく、またむらさき(醤油)をつけるためネタをひっくり返すのもむずかしくて困ってしまいます。
すると村田店長からアドバイスが。「手でつまんでもいのですが、つかみにくいと思うので箸を使ってください。箸のほうが食べやすいですよ。必要でればフォークも用意します」とのこと。安心しました。国によりネタの好みは異なるそうですが、魚介類に馴染みがあるアジア系のお客さんは箸も使え、量も多く食べられるそうです。
むらさき(醤油)を皿に入れてネタを付ける通常の方法だと、さすがにネタが大きくひっくり返しにくいので、こちらではネタに直接かけるのが基本だそうです(コロナ禍前はハケを利用していました)。確かにこちらのほうが形崩れもせず美味しく食べられます。
本まぐろをいただきます。ネタは大きいけれど、口当たりもやさしく新鮮なことが分かります。1貫を3口くらいで食べられました。これならけっこうな量を食べられるかも。
うなぎに挑戦。取り皿の上で広げてみたら、皿からはみだしました。1貫でもボリュームがあり、これだけでもお腹が膨れてきます。
皿の上にあるピンクのものは「ガリ」といって、魚の生臭さを消す消臭や殺菌消毒効果があり、さわやかな甘みと辛みがあるショウガです。
「ガリ」はテーブルの上の器に用意されているので、好きなだけ食べられますが、ネタを変えるときにひと口食べると、次のネタがより美味しく食べられます。付属のミニトングで食べる分だけ自分の皿に取り分けるのがマナーです。
結局、5貫ほど食べたところでお腹がちょうどよい状態になってきました。平均で一人5皿(10貫)くらいは食べられるそうです。いろんな種類のネタを食べたい場合は、シェアできるグループで来店したほうがよさそうです。
ほか人気メニューを紹介
中に細巻が6個入っていて、周りに海鮮、まぐろ、サーモン、はまち、イカ、いくら、とび子が重なりながら積み上げられている、多宝塔スペシャル960円です。海鮮サラダ感覚で食べられるので、外国人にも人気のメニューです。
七種の海鮮お造り盛り合わせ1,980円。旬のネタが2個ずつ盛り付けられた人気メニューです。運ばれてくると日本庭園のような彩りと豪華さに驚きの歓声があがるそう。ネタは仕入れ状況など日により異なります。
その日のネタによって入る具と料金も変わるという、具だくさん赤だし(味噌汁)です。この日はあさりの赤だし640円でした。あさりもいっぱい入っていてボリュームがあり、身体も温まります。
食べきれなかった場合は?
食べきれなかった寿司は、持ち帰ることができます。早めにスタッフに声をかけ折り箱(持ち帰り用のケース)にいれてもらいましょう。やはり少しずつ注文して、食べてから次の皿を注文していくほうが無難なようです。
デカ盛りおみやげもおすすめ
お土産には名物の魚心巻1,620円がおすすめです。海老、タコ、うなぎ、きゅうり、玉子、高野、とび子の7種の具が入った太巻で、1本の重さはなんと1キロ。直径は9センチ、約3センチ単位で7個に切り分けられているので、そのままで食べやすいと好評です。お土産専用なので、店内では食べられません。これが目当てのお客さんも多いようです。
※写真は撮影のため、特別に盛り付けてもらいました。
約50年前から提供している美味しさをぜひ味わって
最近では、大きなネタを出すお寿司屋さんも増えてきましたが、こちらの店は約50年前の創業時からの提供。長きにわたって確立したにぎりのノウハウとその美味しさは別格ものです。食べる前は1貫の単価をみると一般の寿司より高いのかなと思っていましたが、通常のネタの3~4倍のネタの大きさと、またその美味しさを味わうと、逆に「この大きさでこの値段!」とコストパフォーマンスのよさを実感します。
一人では食べる量も限られるので、いろんな種類のネタを食べたい場合は友人や家族を誘い、グループでその大きさに驚き、シェアしながら楽しく食べるのがおすすめです。また、ぶっち切り寿司の盛り合わせなどがあるランチ限定メニューもあるので、まずはランチタイムに訪れてネタの大きさや味などを確認してみてはいかがでしょう。
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元祖ぶっちぎり寿司 魚心 本店
- 住所 〒530-0027 大阪府大阪市北区堂山町5-4
- 電話 06-6313-0135
営業時間:11:30~24:00(料理・ドリンクL.O. 24:00)
定休日:なし
※本記事の情報は2022年4月取材時点のものです。価格や営業情報が変更になっている場合があります。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
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