一昔前まで、ラーメンフリークの中で大阪は「ラーメン不毛の地」と呼ばれていました。それは古くからうどん文化や出汁文化、そして粉モン文化があったことも要因の一つだった、というのが持論です。しかしそれも、この10年で大きく激変!関西のラーメン文化の最先端に立つラーメン店主たちは、常に東の流行を見ていて学び、そしてついには独自の流行麺さえも生み出すに至ったのです。最近では、大阪から東京に進出するラーメン店もあるほど。
そんな、今勢いのある関西「大阪ラーメン」のうち、年間350杯以上のラーメンを食べ歩く筆者が特に注目したい人気店を5つご紹介します。
全粒粉麺の先駆け!常に大阪の最前線を走る「麩にかけろ 中崎壱丁 中崎商店會1-6-18号ラーメン」
今やよく耳にする「全粒粉麺」。全粒粉とは、小麦の胚乳、胚芽、表皮までをすべて挽き合わせたもの。胚乳のみの小麦粉に比べて、食物繊維や鉄分・ビタミンB1などを豊富に含んでいるのが特徴で、「スープとの相性や香りの高さとのラーメンのトレンドとマッチする」と、最近では関東をはじめ全国各地で全粒粉を使った麺が流行するようになりました。
小麦の表皮の内側にある外皮を「フスマ」と呼びますが、そんなフスマを使用していたのが、この「麩にかけろ」さん。全国でもいち早く「麺屋棣鄂」の全粒粉麺を使用したお店なんです。
麺以外にも注目したいのが、塩に使われる豚の肩ロース肉と醤油に使われる豚バラ肉の真空低温調理された「レアチャーシュー」。筆者の記憶では、レアチャーシューを用いたのは、関西のラーメン店の中でも早い方であったかと思います。
また、こちらのお店では提供時におもしろい工夫が。蓋の替わりに、出来上がったラーメンの上に海苔を乗せるんです。そのため食べるときには、海苔を取った瞬間、鶏、魚、貝の順番で香りや味がしっかり感じられます。
新鮮な若鶏から丁寧に抽出した鶏スープに魚・焼魚・貝などで取ったスープをブレンド、最後に風味豊かな鶏油が丼に加わります。この辺りのバランスがイタリアン出身の実藤店主のバランス感覚が生かされています。スープに使う具材は日によって変わり、楽しませてくれます。
麺・スープ・具材の三位一体が奏でる美味いラーメン、イケメンな店主、面白い屋号……。何かと目を引くラーメン店「フスマにかけろ」。大阪を訪れた際には、是非足を運んでみてくださいね!
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麩にかけろ 中崎壱丁 中崎商店會1-6-18号ラーメン
- 住所 大阪府大阪市北区中崎1-6-18
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最寄駅
OsakaMetro谷町線中崎駅から徒歩5分
- 電話 06-6371-3456
営業時間:平日11:30〜14:30(L.O)/18:45〜23:00(L.O)
金曜日11:30〜14:30(L.O)/18:45〜24:00(L.O)
土曜日11:30〜15:00(L.O)/18:45〜24:00(L.O)
日曜・祝日11:30〜15:00(L.O)/18:45〜23:00(L.O)
定休日:無休(臨時休業あり)
瞬く間に激戦区で人気店に「醤油と貝と麺 そして人と夢」
かつて大阪市内の人気店だった「麺や 西や」が、ラーメン激戦区・塚本に店舗を移し、店名も変更。目を引く店名が示す通り、貝の出汁を使ったラーメンが人気のお店です。「西や」時代に限定で提供していたメニューが、この機にスタメン入り!定番の中華そばや醤油ラーメンと並ぶほどの人気です。
特に人気なのが、「蛤生醤油らぁめん」。使用されている大ぶりなハマグリは、毎朝市場で仕入れています。スープは、ハマグリ・煮干し・昆布などの出汁に8種類の薄口醤油と選りすぐりの生醤油を合わせ、最後に香りづけで白ゴマ油で整えるという手の凝りよう。動物系をスープへ不使用なのに醤油の芳醇な香りと魚介の旨味をダイレクトに堪能できる一杯です。
「中華そば」は、東大阪市のご当地ラーメンである高井田系ラーメンをメニューかしたもの。濃いめの醤油と太麺が主張し、自慢のイベリコ豚のチャーシューが、完成度の高い一品へと昇華させています。
日本観光時には是非、定番醤油ラーメンのみならず、ラーメンに貝を使う日本の新スタイルのラーメンを味わって頂きたいです。
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醤油と貝と麺 そして人と夢
- 住所 大阪府大阪市西淀川区柏里3-12-22
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最寄駅
JR神戸線・宝塚線・福知山線各線塚本駅から徒歩5分
- 電話 06-6472-8186
営業時間:平日11:30〜14:30(L.O)/17:00〜22:30(L.O)
定休日:不定休
関西ラーメンを牽引する塩ラーメンの巨匠「龍旗信LEO」
関西の玄関口、新大阪駅に店舗を構える「龍旗信LEO」。アクセスがいいこともあり、日本人はもちろん、訪日観光客にも非常に人気のお店です。
この店の名物は、何といっても塩ラーメン。なぜなら日本で最初の塩ラーメン専門店を立ち上げたのがなんと、誰であろうこの店の店主・松原さんなんです!今やその塩ラーメンは、海さえも渡りフランスはパリで2店舗、スペインはヴァレンシアでも提供されているほど。
そんなこちらの塩ラーメンには、徹底した食材へのこだわりが凝縮されています。ムール貝を軸に、優しくも奥行きがあるスープを使用。そこにミネラル豊富で塩分や雑味が少ない徳島ヘルシオの天日干海塩を塩ダレに使い、輪郭を整えて完成です。
塩とんこつラーメンは、豚骨を好む外国の方々を狙い、訪日観光客が多い関西の玄関口新大阪店限定の人気メニューです。豚骨の背ガラで厚みと旨みを出し、三種類の香味野菜をプラス。スープはわざわざ堺本店で新大阪店のために豚骨を炊いて使用しているこだわりようです。
人気の秘密は、ラーメンだけにとどまりません。特に観光で訪れる人に人気なのが、サイドメニュー!全国丼ぶりグランプリで4年連続金賞の「和牛すじマヨ丼」「手作り餃子」などの豊富なメニューや、ビールをはじめとするアルコールの提供も「ちょい飲みにぴったり」などと喜ばれています。
新幹線を待つ間は、唯一無二の大阪を代表する塩ラーメンを広い店内で堪能してほしいです。但し、堪能しすぎて新幹線に乗り遅れないように!笑
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龍旗信 LEO
- 住所 大阪府大阪市淀川区西中島5-16-1 JR新大阪駅2F アルデ新大阪
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最寄駅
JR・新大阪駅、Osaka Metro御堂筋線・新大阪駅から徒歩5分
電話番号:06-6886-2272
営業時間:10:00〜22:30
定休日:なし
塩ラーメンの精鋭!ラーメンクリエイターが生み出す至極の味「JUNK STORY」
店名にあるJUNKとはむしろ真逆の、繊細で洗練されたラーメンが食べられるのがこの「JUNK STORY」。「ラーメンや店を作る喜びを働くみんなと共有したい」という店主の想いがお客さんにも伝わってか、連日行列ができる人気店です。
さて、その洗練されたラーメンの1つはこちら。丸鶏からとる鶏スープを軸に鶏ミンチと貝類を合わせ、タレには4種類の海塩・岩塩を合わせたミネラルたっぷりの透明度の高い清湯ラーメン。最後に地鶏の鶏油で仕上げます。スープから鶏の旨みがダイレクトに伝わってきて、最後まで飽きずに食べることができます。完成度の高いこの味はきっと日本人のみならず、外国の方々にも通用する味に違いありません。
もう一品おすすめなのが、塩と対をなす醤油ラーメンです。こちらは前述の鶏と貝のスープに香り豊かな生醤油を合わせた一品で、数種類の生醤油をブレンドし低温で火入れ、こうばしい醤油香を最大限に活かした気品に溢れた一品です。
店内には英語表記のメニューもあるので、外国人の方でも安心して料理を選ぶことができます。そして、完成度の高いラーメンは必ず貴方の舌を唸らせてくれるはず!ほかにもサイドメニューや限定メニューなど多数提供しているので、通いつめたくなる店の一つです。
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らーめんstyle JUNK STORY
- 住所 大阪府大阪市中央区高津1-2-11
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最寄駅
Osaka Metro 谷町線・長堀鶴見緑地線各線谷町九丁目駅から徒歩5分
- 電話 06-6763-5427
営業時間:平日11:00〜14:30(L.O)/18:00〜22:00(L.O)
土日祝11:00〜22:00(L.O)
※スープ切れ次第終了
定休日:なし
ラーメン激戦区・福島で人気を博す“異端児”「サバ6製麺所」
最後にご紹介するのは、あまり耳にしない「鯖」を使ったラーメンを提供するお店。大阪市内のラーメン屋で修行を重ね、充電期間を経た店主さんがラーメン店を天神橋筋六丁目に開業させました。「お客さんを行列で待たせないためには店舗の数を増やすしかない」という考えのもと、今では全国に18店舗を展開する人気店です。
こちらが一番人気の「サバ醤油そば」。3種類のサバから取ったエキスが入った醤油ダレと、サバオイル、鶏ガラ・手羽ガラのマリアージュが絶妙なスープ! 中太ストレートの自家製麺とのカラミも上々です。サバ節が更に旨みを引き出します。トッピングのサバ油と揚げネギの香ばしさが、とてもいいアクセントになっているのは言うまでもありません。鼻を香りが通る度、口に含む度、そして喉を通る度に鯖の旨みを感じずにはいられない逸品です。
始まりから終わりまで、口内がサバサバサバサバっ!本当にさばらしい(=すばらしい笑)。日本のサバ文化を是非ラーメンでお試しあれ!
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サバ6製麺所 福島本店
- 住所 大阪府大阪市福島区福島7-21-3
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最寄駅
JR大阪環状線福島駅から徒歩5分
- 電話 06-4256-8801
営業時間:平日11:00〜15:00/17:00〜23:00
定休日:なし
今回ご紹介した5店舗は、どれも関西屈指の人気店。行列をなすこともあるので、確実に&なるべく待たずに食べたければ、開店時間の少し前から足を運ぶことをおすすめします!
※状況により、営業時間変更や臨時休業、サービス内容の変更等されている場合がありますので、確認のうえお出かけください。
Text by: 木村拓
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