日本の伝統的な和食の一つ「天ぷら」。外国人が日本で食べたいメニューとしても人気がありますよね。熱々でサクサクの天ぷらは、塩や天つゆ、あるいは天丼と、いろいろな食べ方で楽しめます。今回は古都・京都で、具材、衣、油など、おいしさの秘密とともに、予約必須の高級店から気軽に立ち寄れる庶民的なお店まで、絶品天ぷら専門店を各店実施されているコロナ対策とともに幅広く紹介します。
京野菜のおいしさを実感できる「天宗」
今も昔も京都を代表する繁華街として知られる祇園。「ぎをん天婦羅 天宗(てんそう)」は、三条通りから建仁寺を結ぶ花見小路通のなかでも、四条通の南側、昔ながらのお茶屋が並ぶエリアの一角にあります。
お店は、雰囲気ある一軒家で、中に入ると意外と広く、1階はカウンター10席のみの開放感あふれる空間。2階にも5席のカウンター席があり、こちらはちょっと隠れ家風の個室です。
こちらの天ぷらは、具材に京野菜を必ず使っているのが特徴です。春はタケノコ、夏は伏見とうがらし、山科なす、秋は京かぶや京かんざし、冬は堀川ごぼうやエビイモなど、京の風土に育まれた、旬の京野菜を揚げたての天ぷらでいただくというのがコンセプト。野菜以外は、瀬戸内海産の魚介を主に使っています。淡路のハモや琵琶湖の稚鮎も季節の定番の具材です。
天宗では、昼(3,850円、税込)も夜(12,100円、税込)もコースで用意されます。夜のコース料理に必ず付くのが、先付と造りです。その後、金額によって天ぷらの品数やグレードが変わってきます。
まずは、天ぷらの王様のエビから。殻、そして本体をいただきます。目の前でサクッと揚げてすぐ器に運びます。衣のきめが細かく、中から湯気が出るという熱々がたまりません。そして、まったく油が口にまとわりつかないのも特徴。
油はさっくり黄金色に揚げ上がり、食材に独特の風味を与えるさっぱり系の綿実油(めんじつゆ)を使い、衣は薄力粉、冷水、卵黄で作っています。材料、温度、湿度によって、揚げる温度を微調整する温度管理がおいしさを左右するところです。
昆布とカツオでとった出汁を使った天つゆ、広島の藻塩と粟国島の塩を独自にブレンドしたオリジナル塩、レモンが用意され、自分の好みでいただきます。
山科なす、京かんざしと京野菜が続きます。山科なすも、京かんざしという間引いた人参も、味が濃く甘みがあり野菜の旨みが凝縮した感じ。シンプルな素材の旨みを天ぷらにすることで最大限引き出しており、京野菜のおいしさを実感できます。
キスは、身を天ぷらに骨を素揚げでせんべいにと、あますところなく食べられるのもうれしいところ。その後、トウモロコシの品種でゴールドラッシュ、ハモのイクラトッピング、鳴門金時と続きます。旬の素材をおいしく食べられるよう、出す順番も、きめ細やかに考えられています。
最後は、デザート的な一品、マスカットにクリームチーズがのっています。果実の甘みとクリームチーズの塩気が見事にマッチングして、こちらも絶品。デザートも旬の素材を使うので、来てからのお楽しみですね。
「お客さんから『おもしろかった』といわれるのが一番うれしい」と料理長の冨山晴雄(とみやまはるお)さん。カウンター席は、料理人との会話を楽しめるのも一番のごちそうです。
実施中の新型コロナウイルス感染症対策
スタッフはマスクを着用し、検温計、アルコール除菌液を常備しています。座席数を減らし、飛沫防止ガードのアクリル板を設置しています。
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ぎをん天婦羅 天宗
- 住所 〒605-0074 京都府京都市東山区祇園町南側570-119
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最寄駅
阪急京都河原町駅より徒歩7分、京阪祇園四条駅より徒歩5分
- 電話 075-561-0555
営業時間:11:00~13:30(L.O.)、17:30~20:00(L.O.)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、※7月12日(月)から8月1日(日)は、 LO19時、酒類の提供は~20:30分、閉店は21:00
※酒類は終日提供休止。 夜の営業は前日までにご予約いただいた方のみの営業
※祝祭日は昼のコース料理のみの営業
定休日:日曜
「京星」は天ぷらの常識を打ち破るサプライズがいっぱい
「京星(きょうぼし)」は、祇園の北側のブロックの末吉通り沿いで、京阪祇園四条駅、阪急京都河原町駅から徒歩6~8分のところにあるお店。ビルの1階にあるこぢんまりとした空間には、カウンターの9席のみ。1日3組程度の完全予約制の名店です。
オープンは1991年。2021年で30周年を迎えるという老舗天ぷら専門店です。店主・榊原俊徳(さかきばらとしのり)さんは「天ぷら以外は一切出しません。1から10まで天ぷらです」と胸を張ります。それもそのはず、『ミシュランガイド 京都・大阪+岡山2021』にも、12年連続選出された名店なのです。
料理は天ぷらのみで、おまかせ18品1コースのみ(13,200円)。魚介類と野菜を、毎日市場で仕入れ、その時々の上等な素材を天ぷらでだします。春はタケノコや山菜類、夏は稚鮎、秋はハモに松茸、冬はワカサギなどが定番の素材。「肉は天ぷらには適さない」との信条があり、肉は絶対揚げません。
レモンの搾り汁と自家製塩と大根おろしを用意し、天つゆはなし。揚げたてをレモンか塩、またはレモン+塩+大根おろしでいただきます。
一番大切にしているのは、揚げる温度と油から上げるタイミング。素材によっては芯まで火を通した方がいいもの、火を通さない方がおいしいものがあるので、そこをきっちり守って揚げています。
それでは天ぷらを紹介しましょう。「稚鮎」がなんと三つ編みに。泳ぐように揚げるとはこのこと。サクッと全く臭みなく揚がっています。次は三度豆です。串差しした三度豆を揚げながら放射線状に広げていって、こんな面白い形に仕上がりました。
そして、極めつけは、京かんざしという間引きした小さなニンジンです。これは「たずな抜き」という道具を使って、綱のようにくりぬいて揚げたもの。形状の楽しさだけでなく、素材の味がストレートに伝わるのも名人ならでは。衣には卵を使ってないので、アレルギーの人に喜ばれているそうです。
油も衣も塩も企業秘密ですが、いずれも上質なものだということは間違いなしです。
こちらは、松茸をハモで巻いた秋の定番の一つ。何とぜいたくな組み合わせでしょう。シメのごはんは、エビのかき揚げの天茶漬け。そしてデザート的な一品は、サツマイモの天ぷらをたっぷりのブランデーと砂糖に浸したもの。「一般的な天ぷらの常識を打ち破るような、よそにはない天ぷらづくりをしています」と榊原さん。ヒネリのきいた一品が、来る人の五感を刺激する名店です。
実施中の新型コロナウイルス感染症対策
スタッフはマスクを着用。アルコール除菌液を常備し、1時間おきに換気しています。座席はグループごとに1席分あけています。
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京星
- 住所 〒605-0073 京都府京都市東山区祇園町北側 双葉ビル1階
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最寄駅
阪急京都河原町駅より徒歩8分、京阪祇園四条駅より徒歩5分
- 電話 075-551-2303
営業時間:18:00~21:00 ※完全予約制
定休日:日曜
インパクト大!がっつり系の天丼なら「まきの」におまかせ
「天丼まきの」は、日本全国に展開するトリドールグループのチェーン店です。京都では、大公・豊臣秀吉が市中の寺社をこの地に集めたことに通り名を由来する、レトロで懐かしい雰囲気の「寺町通」の一角にあります。
店は1階にカウンター16席、2階にテーブル16席を備えています。コンセプトは「気軽に入れる店」。ごま油の香りに誘われて入店し、目の前で揚げて盛り付けまでする料理人の手元を楽しむことができます。
揚げ油は、ごま油とサラダ油を使っており、このごま油の香りが食欲をそそるのです。衣はオリジナルのてんぷら粉を水溶きして使っています。衣の温度も天ぷらのできを左右するので、調整には気を遣っているとか。オリジナルの天丼のタレを、熱々の天ぷらにかけたときの「じゅわっ」という音も、これまた食欲をそそるというわけです。油の温度は、いつも一定にしており、一日3回温度計ではかるそうです。
こちらが一番人気の「天丼 ロ」(1375円)です。天丼は、具材の数によってイ(1089円)、ロ、ハ(1595円)と3種類、天然エビが5尾のった「天然海老天丼」(1639円)、天ぷらの盛り合わせ「天盛」(1419円)の全5アイテムと季節のおすすめ商品があります。
天丼ロは、真ん中に身がぷりっぷりの大穴子、エビ、イカと小柱のかき揚げ、タマゴ、海苔、ししとうの7種類がのっています。具材で人気は、タマゴ。温泉卵を天ぷらにしていますが、中からトロリと黄味が出てくる半熟がおいしいと評判です。からっと揚がっているので、甘辛いタレと絡めて熱々をいただきます。
卓上には、黒七味、追いダレなどと一緒に、ゴボウ入りのガリが置かれています。この箸休めと天丼の相性が抜群なんです。テイクアウト用の「天丼弁当」(864円)も用意しています。
実施中の新型コロナウイルス感染症対策
スタッフはマスクを着用。アルコール除菌液を常備し、一定時間ごとに換気しています。
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天丼まきの京都寺町
- 住所 〒604-8047 京都府京都市中京区中筋町481-3
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最寄駅
阪急京都河原町駅より徒歩5分、京都市営地下鉄市役所前駅より徒歩6分
- 電話 075-222-5560
営業時間:11:00~21:30(21:00L.O.)
※新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、2021年7月現在、11:00~20:30L.O.
定休日:無休
今回は、高級店から庶民派のお店までバラエティ豊かに紹介しましたが、いずれのお店の天ぷらも専門店ならではのポリシーがあります。時間の有無や、一緒に行く人に合わせてなど、TPOに合わせてご利用くださいね。
※本記事の情報は2020年11月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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