歴史ある寺社仏閣や古都の風情を求めて、多くの観光客が集まる京都。中でも「京都三大祭」は、京都に来たならぜひ見ておきたいお祭りです。「葵祭(あおいまつり)」をはじめとして「祇園祭」「時代祭」など雅な雰囲気を楽しむことができます。また、京都には三大祭以外にも、季節ごとのお祭りがたくさん。京都三大祭の時期と見所とともに、三大祭以外にもぜひ見ておきたい京都のお祭りを紹介します。
メイン画像:Kobby Dagan / Shutterstock.com
雅な王朝絵巻に魅せられる「葵祭」
<5月15日>
「葵祭」は、毎年5月15日に行われる「賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)」(下鴨神社)と「賀茂別雷神社(かもわけいかづちじんじゃ)」(上賀茂神社)のお祭りです。平安貴族の装束に身を包んだ人々が、新緑の都大路を京都御所~下鴨神社~上賀茂神社と練り歩きます。その数総勢500名以上、平安絵巻さながらの優美な行列を見ることができます。
御簾をさげた牛車など行列が葵の葉で飾られることから「葵祭」と呼ばれていますが、正式名称は「賀茂祭」といって、その由来は賀茂大神を鎮める祭りを行ったこととされています。
行列は本列と「斎王代列(さいおうだいれつ)」に分かれ、華やかな斎王代列は特に人気。輿に乗った斎王代をはじめ、巫女や女官(にょかん)など、美しい装束の女性に楽器を持った文官などが続きます。
5月3日には前儀として下鴨神社で道中の無事を祈る「流鏑馬神事(やぶさめしんじ)」も行われます。流鏑馬神事は「糺の森(ただすのもり)」の馬場で、公家の装束を纏った射手が馬を走らせながら3カ所の的を射るという、非常に見応えのある神事。見学は自由なので、スケジュールが合えばぜひご覧になってくださいね。
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下鴨神社
- 住所 京都市左京区下鴨泉川町59
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最寄駅
市バス 下鴨神社前/糺の森前下車 すぐ
- 電話 075-781-0010
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上賀茂神社
- 住所 京都府京都市北区上賀茂本山339
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最寄駅
市バス 上賀茂神社下車 すぐ
- 電話 075-781-0011
動く美術館と勇壮な神輿「祇園祭」
<7月1日〜31日 ※山鉾巡行7月17、24日>
京都の夏のお祭りといえば「祇園祭」。祇園祭は八坂神社のお祭りで、例年7月1日の吉符入から31日の疫神社夏越祭(えきじんじゃなごしさい)までの1ヶ月間行われます。
祇園祭は京都に疫病が流行したときに、神泉苑に国の数である66本の矛を立て、祇園の神を奉って疫病退散を祈願したことが由来とされています。祭りの見所のひとつが、7月17日に行われる「山鉾巡行(やまほこじゅんこう)」。山鉾はタペストリーなどの豪華な懸装品(けそうひん)を使用していることから動く美術館ともいわれ、重要有形民俗文化財に指定されています。
17日の夕方には、神様をお乗せした神輿が市中を巡行する「神幸祭(しんこうさい)」も行われます。八坂神社の御祭神であるスサノヲノミコト、クシイナダヒメノミコト、ヤハシラノミコガミが、各々三基の神輿で市中を巡行し、四条寺町の御旅所を目指します。一基2トンもある神輿を担ぐには、交代も含め300人ほどの担ぎ手が必要なのだそう。ぜひ近くで祭りの熱気を間近で感じてみてください。
ちなみに、7月15日の宵々山と16日の宵山には四条通と烏丸通の一部が歩行者天国になり、屋台もたくさん出ます。日本のお祭りの風情が楽しめますよ。
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八坂神社
- 住所 京都府京都市東山区祇園町北側625
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最寄駅
京阪祇園四条駅より 徒歩約5分
- 電話 075-561-6155
絢爛豪華な動く時代絵巻「時代祭」
<10月22日(2019年は26日)>
都の秋を彩るのが「時代祭」。毎年「平安遷都の日」にあたる10月22日に開催されている(2019年のみ10月26日開催)、平安神宮のお祭りです。
平安神宮の創建と平安遷都1100年を祝う記念祭の行事として、明治28年に開催されたのが始まりです。見所は約2キロメートルにもおよぶ、長い時代行列。明治維新、江戸、安土桃山、室町、吉野、鎌倉、藤原、延暦の8つの時代を20の行列で再現する行列です。その中でも、平安時代婦人列には京都の花街の芸奴も参加し、時代絵巻に華を添えています。
時代行列は京都御所建礼門前を出発し、平安神宮までを練り歩きます。それぞれの時代装束を身にまとった約2,000名もの行列は、明治維新から平安京が造営された延暦時代にまでさかのぼり、まるで本物の日本の歴史の縮図を見ているよう。人々が身につける衣装や祭具、調度品は1万2000点にも及びます。それぞれ綿密な時代考証をもとに細部まで再現されているため、さながら生きた時代絵巻のような風景を楽しめます。
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平安神宮
- 住所 京都市左京区岡崎西天王町97
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最寄駅
市バス「岡崎公園 美術館・平安神宮前」または
「岡崎公園 美術館・平安神宮前」下車 徒歩約5分
- 電話 075-761-0221
梅花の下で芸舞妓のお手前を「梅花祭」
<2月25日>
三大祭り以外でもぜひ紹介したい祭りのひとつが、北野天満宮の「梅花祭」です。学問の神様・菅原道真公の祥月命日に行われる祭典で、毎年2月25日に行われています。境内では豊臣秀吉公ゆかりの茶湯にちなんだ「野点大茶湯」も行われ、近くにある京都五花街のひとつ「上七軒」の芸舞妓のお手前で、抹茶とお菓子をいただくことができます。
野点拝服券は、宝物殿の拝観券と撤饌(てっせん)引換券が付いて2,000円(税込)。梅花祭の神事に用いた玄米は、災難をよける「厄除玄米」として1袋100円(税込)で配られています。祭りと同時期に梅苑の公開も行われているので、お祭りを楽しんだ後は50種約1,500本あるという、色とりどりの梅の花を愛でてみてはいかがですか。
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北野天満宮
- 住所 京都市上京区馬喰町
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最寄駅
京福電車白梅町駅より 徒歩5分
- 電話 075-461-0005
冷たい池で身を清める「御手洗祭」
<7月の「土用の丑の日」前後>
最後に紹介する「御手洗祭り(みたらしまつり)」は、下鴨神社の末社のひとつである「御手洗社(みたらししゃ)」のお祭りです。この祭りは、平安時代に貴族が季節の変わり目に禊ぎ(みそぎ)を行ったことに由来し、別名「足つけ神事」とも呼ばれています。毎年7月の土用の丑の日前後に行われ、境内の御手洗池に入って火の付いたロウソクをそなえ、無病息災を祈ります。
御手洗池は、葵祭の斎王代が身を清める神事も行われる神聖な池で、その水は真夏でも20度以下ととても冷たいです。普段は立ち入り禁止となっており、一般公開されるのはこの祭りの期間だけ。ちなみに、御手洗池の水泡を模して作られたのが、和菓子としてよく知られるあの「みたらし団子」なのです。下鴨神社はみたらし団子発祥の地と言われ、境内の茶屋でも味わうことができます。
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下鴨神社
- 住所 京都市左京区下鴨泉川町59
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最寄駅
市バス 下鴨神社前/糺の森前下車 すぐ
- 電話 075-781-0010
Text by:二木繁美
関西を中心に旅行&イベント情報を発信しているライターでほんのりテツ。好きな電車のパーツはパンタグラフ。そして無類のパンダ好き。イラストレーターとしても活動しています。
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