
旅と酒とおいしいものをこよなく愛するライター松田きこです。私は長年、神戸と大阪の間に広がる「阪神間(はんしんかん)」と呼ばれる地域に住み、日本の美味しいお酒を追いかけてきました。特に、関西地方の二大日本酒産地である兵庫県の「灘」と京都府の「伏見」を皮切りに、日本全国の酒蔵を取材し、その土地ならではの風土や造り手の情熱を記事にしてきました。
今回は、日本酒のおいしさを知ったばかりという、 LIVE JAPAN編集部のヨハンナを私の地元の灘五郷に案内しました。
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神戸・灘五郷で日本酒の魅力に触れる旅へ

そもそも灘五郷ってどんなところ?
兵庫県の神戸市灘区から西宮市まで、東西約12 kmの沿岸に日本酒を造る酒蔵が数多くあります。西から順に西郷・御影郷・魚崎郷・西宮郷・今津郷、この五つの地域を総称して「灘五郷」と呼んでいます。この地域は17世紀後半から酒造りが盛んになり、大阪湾に面した利便性を生かして江戸(現在の東京)や大阪へ大量出荷して発展し、現在も日本一の日本酒出荷量を誇っています。
灘五郷で造られる日本酒の特徴
灘五郷の酒は、六甲山から吹き下ろす乾いた北風「六甲おろし」と、六甲山系の伏流水「宮水」の恵みで造られます。この伏流水はカルシウムやカリウム、リンなどを適度に含む硬水で、これが酵母の発酵を促し「男酒」と称される力強い辛口の味わいを生み出します。対照的に、ほどよい中硬水を使う伏見の酒は「女酒」と呼ばれるまろやかな口当たりが特徴です。ただし、酒造技術の発達した現在では、米の品種や酵母、仕込み方法の違いによって、酒蔵ごとに味わいは大きく異なり、同じ酒蔵でも多彩な味わいの酒を生み出しています。
蔵見学で灘五郷の酒文化を知ろう
日本酒は原料となる米の精米歩合(玄米をどれくらい削って酒造りに使うかという割合)や醸造方法などによって大吟醸、吟醸などに分類されます。
そこで今回は、日本酒の基礎知識と灘五郷ならではの酒造文化を同時に体験できるよう、蔵見学ができて試飲後にお土産の酒も選べる酒蔵を巡るコースを選びました。館内には多言語パンフレットや案内表示が整い、英語対応スタッフを配置する蔵も多いため、外国人旅行者でも安心して楽しめます。
一口に日本酒と言っても、味わいは千差万別。そして、旅のスタイルも人それぞれですよね。あなたはどんな日本酒の旅がお好みですか?
この後ご紹介する3つのプランから、あなたにぴったりの旅を見つけて、奥深い日本酒の世界を体験してください!
王道の有名酒蔵めぐり|定番&人気スポットを巡る【御影郷】

日本酒初心者のヨハンナをまず案内したのは、お酒の種類や造り方がわかる見学施設のある3つの酒蔵。御影郷から魚崎郷まで徒歩で訪ねました。
- 神戸酒心館
- ~(20分)~ 白鶴酒造資料館
- ~(10分)~ 菊正宗酒造記念館
【御影郷】神戸酒心館

1751年創業、「福寿」ブランドの酒を造る神戸酒心館。入口の長屋門(ながやもん)は、伝統的な酒蔵の門構えです。門をくぐると左右の軒先はギャラリーになっており、「和の暮らし」をテーマに伝統文化の展示や販売に使われています。

神戸酒心館では、実際に製造が行われている「福寿蔵」に見学コースがあります。「東明蔵」で受付を済ませたら「福寿蔵」に移動して、1階のシアターで、蔵の歴史と酒造りを紹介するビデオ(日本語・英語・中国語対応)を鑑賞。エレベーターで4階へ上がると、酒米や仕込み工程を解説する動画やパネルが並び、ガラス越しに実際の製造ラインを一望できます。セルフツアーなので、自身のペースでゆっくり見学できます。
酒造り用に精米された米に触れて「お米がこんなに丁寧に磨かれているのを見て、日本酒造りには本当に細やかなこだわりと情熱が込められているんだと感じました。一粒一粒に意味があるように思えて、感動しました。」と驚きを隠せないヨハンナでした。
- 開催時間: 毎日 11:00~16:30 ※12月中旬〜1月中旬は休止 ※2日前までに要予約
- QR解説言語: 日・英・中

見学を終えたら、蔵元ショップ「東明蔵」に移動して、日本酒「福寿」を試飲できます。酒の種類は時季によって変わります。「この日本酒は、スウェーデンのノーベル賞授賞式の晩餐会で振る舞われていたそうで、それを日本で味わえるのは私にとってとても特別な体験でした。母国と日本の文化がつながっているように感じて、嬉しかったです」(ヨハンナ)

併設されたショップには、世界初のカーボンゼロ日本酒「福寿 純米酒 エコゼロ」1,382円(720ml)、全国新酒鑑評会で金賞受賞の「福寿 超特撰 大吟醸」5,500円(720ml)、天然のゆず果汁をブレンドした「ゆず酒」1,210円(500ml)など数多くの福寿ブランドのお酒が並びます。
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神戸酒心館
- 住所 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17
- 電話 078-841-1121
営業時間
・蔵元ショップ「東明蔵」
10:00 - 18:30 年末年始を除き無休
・蔵の料亭「さかばやし」
昼 11:30 - 15:00(LO 14:30)
呑み部 14:30 - 17:00(LO 16:30)
夜 17:30- 21:00(LO 20:00)
【御影郷】白鶴酒造資料館

1743年創業の白鶴酒造。白鶴酒造資料館は、1969年3月まで実際に酒造りが行われていた建物をリニューアルしています。館内は無料で自由に見学でき、等身大の人形を用いて当時の酒造りや蔵人(くらびと)たちの生活を伝えています。この人形は実際の蔵人をモデルにしていて、一体一体顔や体つきが違うんです。

まず、2階に上がる階段手前のホールで白鶴の歴史や酒造りを動画で観た後、酒造りの工程順に展示を見学していきます。館内はWi-Fiが利用でき、展示ごとのQRを読み込めば日本酒に詳しくない人でも酒造りの工程や昔の蔵人の仕事が理解できます。15カ国の言語で説明があるので外国人にも安心です。
「酒造りの工程を等身大の人形でわかりやすく紹介していて、とても興味深かったです。特に、酒造りの季節になると酒蔵にやってくる蔵人たちが、寒暖差の激しい厳しい環境の中で高品質なお酒を作り上げていたことを知って、とても感心しました。音声ガイドも丁寧で、昔から続く酒造りの歴史や職人技について学ぶことができ、日本酒に対する思いがより深まりました」(ヨハンナ)

昔の日本人の履物は、わらで編んだ草鞋(わらじ)でした。草鞋置き場の一番上は、酒造りの責任者「杜氏(とうじ)」で、草鞋自体も他の蔵人に比べて立派に作ってあり、当時の様子を忠実に再現されていることがわかります。

2024年9月にオープンしたマイクロブルワリー「HAKUTSURU SAKE CRAFT」では、SAKEが造られています。洗米から瓶詰めまですべての工程がここで行われるため、タイミングが合えばガラス越しに実際の作業を見られます。
毎月レシピを変えてタンク1本(米90 kg前後/四合瓶で200~250本)造るため、同じ味には二度と出会えません。
「機械がなかった時代に、蔵人たちがどれほど大変な作業をしていたのか、またお米が発酵して日本酒になる仕組みについて学んだ後で、現代の酒造りの様子を見るのはとても興味深かったです。今は機械によって作業の負担は減っていますが、基本的な工程は昔と変わらない部分も多く、伝統と革新がうまく共存しているんだと改めて感じました」(ヨハンナ)

「HAKUTSURU SAKE CRAFT」は、NO.1から始まって、取材時はNO.9でシリアルナンバーも付いていました。資料館のショップでしか買えないので、訪れた記念におすすめです。

白鶴の代表銘柄「まる」を背に撮影できるフォトスポット。
「白鶴の法被を着て撮影できたのはいい思い出になります。実は『まる』には有名なCMがあって、みんなで決まったポーズをするんだそうです!近くのスタッフさんに聞いてみると、楽しい写真の撮り方を教えてくれるかもしれませんよ(笑)」(ヨハンナ)。

無料試飲は3種類。取材時は、純米原酒、直営店限定の本醸造辛口、ゆずをたっぷり加えたにごりゆず酒でした。ヨハンナはゆず酒がお気に入りのよう。他に有料試飲もあります。
「日本酒を飲み慣れていない人にとっては、いろいろな施設を巡ってたくさんの種類を試すのは戸惑いがあるかもしれません。そんな時は、私が気に入ったゆず酒のような、フルーティーで飲みやすいお酒を間に挟むと、伝統的な日本酒のしっかりした味わいとのバランスが取れて、より楽しめると思います。季節限定酒やフレーバー付きの和リキュールもぜひ試してみてください!」(ヨハンナ)
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白鶴酒造資料館
- 住所 兵庫県神戸市東灘区住吉南町4-5-5
- 電話 078-822-8907
営業時間 9:30~16:30(最終入館 16:00)
入館無料
【御影郷】菊正宗酒造記念館

1659年創業の菊正宗は、「キレの良い本格辛口」で知られています。昔ながらの生酛(きもと)造りで、時間をかけてじっくり発酵させることで雑味を抑え、芯のある味わいを引き出しています。菊正宗酒造記念館では、かつて使われていた酒造の道具がずらりと展示され、無料Wi-FiとQRコード解説で英・中・韓・ベトナム・フランス・タイの6言語に対応。伝統技術をわかりやすく学べます。

かつて酒造りを担っていたのは杜氏が率いる蔵人(くらびと)でした。秋に稲刈りを終えて、丹波や但馬から灘に来て冬のあいだに酒を仕込むのが伝統で、寒造りと呼ばれる冬季限定の仕込みが一般的でした。冷蔵設備の発達により、近年は一年を通じて仕込む四季醸造が増えていますが、菊正宗は、昔ながらの寒造りと最新設備による四季醸造を併用し、安定した品質と伝統の味わいを両立させています。
「いくつかの施設をまわっていると、道具や説明がだんだんわかるようになってきて、施設ごとの細かい違いにも気づけるようになります。この時点では、酒造りの道具の名前や使い方もかなり覚えていて、「これは○○に使うものだ」と自分で言えるくらいになっていました!」(ヨハンナ)

試飲コーナーでは、2種類の酒を一人1杯ずつ、無料で利き酒できます。取材時は非売品の生原酒とれもん冷酒。蔵でしか味わえない生原酒は、もろみを搾った後、一切加水や加熱殺菌を行わない、搾りたてのフレッシュな味わいです。

いろんな味を試してみたい人には有料試飲もあります。600円で専用のお猪口と専用コイン2枚を購入し、コインを入れて飲みたい銘柄のボタンを押すと適量が自動で注がれます。
「お猪口はそのまま持ち帰れるので、テイスティングの記念になりました」(ヨハンナ)。

ショップには菊正宗ブランドのお酒が並んでいますが、兵庫県でのみ販売されている「百黙 純米大吟醸 無濾過原酒」3,835円(720ml)や、菊正宗といえば樽酒というファンが多い、「菊正宗 上撰 純米樽酒」1,241円( 720ml)をぜひ。

もう一つの必見スポットが、予約制の「菊正宗 樽酒マイスターファクトリー」。ここでは熟練職人が、吉野杉と竹だけを使い、くぎも接着剤も用いずに酒樽を組み上げていきます。
ヨハンナは、「目視と手業で一滴の酒も漏らさない樽を作っていく姿に圧倒されました。昔からの伝統や方法が今も守られているのは本当に美しいことです。こうした技術を持つ職人は、今は少なくなっていると思います。それだけに、職人の技を間近で見ることができるこのような機会は、特別で貴重なものです。もし作業が見られる日に訪れたら、そのチャンスは絶対に逃せません!」と熱く語っていました。
この樽に貯蔵した「樽酒」は、杉の爽やかな香りが際立つ唯一無二の味わいです。実際の製造現場のため、見られる工程は日によって異なります。せっかく訪れるなら事前に予約を取り、職人技を間近で体感してみてください。
- 開催日
- 記念館休館日を除く毎日
(土・日・祝日等、製樽作業が休みの日はスクリーンで動画を鑑賞)
- 開始時間
- ①10:30 ②14:00 ③15:00(見学時間約30分)
- 定員
- 各回15名、中学生以上対象
- 料金
- 無料(2日前までにWEBで要予約)
https://www4.revn.jp/kikumasamune_reserve/
- 言語
- 英語表示あり
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菊正宗酒造記念館
- 住所 兵庫県神戸市東灘区魚崎西町 1-9-1
- 電話 078-854-1029
営業時間 9:30~16:30(最終入館 16:00)
入館無料
日本酒×グルメ体験 | 蔵元のレストランで楽しむ極上ペアリング

お酒は料理の味わいをより高めてくれるものです。なかでも“食中酒(しょくちゅうしゅ)”と呼ばれるお酒は、料理と互いに引き立て合うときにこそ真価を発揮します。とはいえ、初心者はどの料理にどのお酒を合わせればよいのか迷ってしまいますね。そんな人におすすめなのが、蔵元直営レストランでプロが提案するペアリング体験です。
神戸酒心館「さかばやし」で日本料理と日本酒のペアリングを堪能

阪神石屋川駅から徒歩約11分、神戸酒心館にある日本料理店「さかばやし」は、古い酒蔵を改装した趣のあるレストランです。前庭には六甲の里山をイメージした木々が植えられ、窓際の席からは四季折々の緑が眺められます。和風の素敵な空間で楽しむ、手打ちそば、自家製豆腐、そして新鮮な魚や神戸牛など、選りすぐりの料理に合う「福寿」の酒を選んでもらいました。
酒そば+福寿 純米酒 御影郷

店内で毎日打つ細めの自家製そばは、のど越しのよさとほどよいコシが特徴です。お猪口に入った純米酒をせいろそばにサッとかけて、香りがたったところでひと口味わいます。そのあと、特製つゆにつけるとより味わい深くなります。「昔は、提供されて時間が経ってかたまりになったそばを柔らかくするために、日本酒をかけていたという話もあるそうです」(ヨハンナ)
フロマージュフレ豆富 はちみつ添え+福寿 純米吟醸 山田錦 環(めぐる)

自家製のすくい豆腐に神戸・弓削牧場のフロマージュフレを合わせた、コクのある豆腐にはちみつをかけていただきます。バイオマスの廃棄物を肥料にしたサスティナブルな山田錦(酒米)から生まれた純米吟醸のフルーティな味わいがよく合います。
明石蛸の燻製+壱 生酛 純米酒

スモーキーな中に強い風味がある明石蛸。合わせる「壱」は、生酛造りらしい甘みを感じるふくよかなボディが特徴です。
「一皿ごとに旨味や甘み、酸味など様々な味わいがあり、それに合わせた日本酒を味わいながら、なぜその組み合わせが合うのかをじっくり考えるのも楽しみの一つです。食事は急がず、ゆっくり味わいながら調和を見つけてみてください」(ヨハンナ)
1階はテーブル席と個室が4室。古材を使った大きな梁が特徴的な2階は19~44名が利用できるグループ用の広間です。料理は単品を選んで、おすすめのお酒を出してもらう方法とあらかじめコースを予約する方法があります。英語対応スタッフがいるのも安心です。
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神戸酒心館
- 住所 兵庫県神戸市東灘区御影塚町1-8-17
- 電話 078-841-1121
営業時間
・蔵元ショップ「東明蔵」
10:00 - 18:30 年末年始を除き無休
・蔵の料亭「さかばやし」
昼 11:30 - 15:00(LO 14:30)
呑み部 14:30 - 17:00(LO 16:30)
夜 17:30- 21:00(LO 20:00)
※ ランチは要予約
※ 料理メニューは時季によって変わります
白鹿クラシックスで楽しむ、蔵元ならではの酒粕鍋と会席料理

白鹿クラシックスは、創業360年以上の辰馬本家酒造が運営する蔵元直営のショップ&レストランです。阪神西宮駅から徒歩約10分、ガラス張りのスタイリッシュな空間で、日本酒と食文化を体験できます。レストランでは、粕汁鍋、十割蕎麦、天ぷら、おつまみとしておすすめの逸品料理が味わえ、日本酒は純米から大吟醸、日本酒カクテルまで多数そろっています。

明るい店内はグループでゆったり座れるテーブル席、一人でも居心地のいいカウンター席、会席料理に適した個室もあります。

近江牛の粕汁鍋と十割蕎麦コース(5,800円)を紹介しましょう。まず供されるのは、季節の野菜をお浸しや白和え、酢の物などに仕立てた彩り旬和彩の盛り合わせ。続くメインは、日本三大和牛のひとつ、近江牛A4ランクの内もも肉を、白鹿の酒粕を溶かした特製のダシで煮込む鍋です。
酒粕が溶け込んだまろやかなスープが肉の旨みを引き立て、ほどよく入ったサシから上質な脂がにじみ出てコクが増幅。風味豊かな十割蕎麦のざる蕎麦も喉ごしよくいただけます。酒蔵直営ならではの粕汁鍋と、旬菜・蕎麦の組み合わせで、灘の酒文化を五感で味わえます。

料理に合わせて、どの酒を選べばいいかわからない人は、まずは白鹿クラシックス限定酒の利き酒セットはいかがでしょう。取材時は、西宮郷 大吟醸生貯蔵酒、白鹿クラシックス生酒、しぼりたて原酒 辛口(1,180円)の飲み比べができました。未成年やアルコールを控えるならノンアルコールの甘酒(650円)、あたたかいお茶は、香ばしい蕎麦の香りが特徴的な韃靼(だったん)そば茶が無料で提供されます。

ショップには蔵元直営ならではの、ここでしか味わえない日本酒や食品のほか、オリジナル雑貨も並んでいます。
「菰樽(こもだる)は海外にはないので、お土産にしたら喜ばれそう!皆さんも日本を訪れたときに見かけたことがありますか?これはお土産としてとても可愛くて、私も買わなかったことをちょっと後悔しています(笑)」とヨハンナ。

ヨハンナが歓声をあげたのは、レストランの入り口のすぐそばにある「灘ガチャ」です。1回500円で灘の酒蔵の日本酒のミニチュアボトルが出てきます。どの蔵のボトルが当たるか楽しみですね。小さいので訪問の記念やお土産にぴったりです。

ショップのテイスティングバーには、気軽に飲み比べできるおすすめ限定酒2種セット(300円)があります。取材時は、夏酒純米生貯蔵酒と西宮郷大吟醸でした。他にも銘柄ごとに100円~400円で試せる有料試飲が常時あります。また、蔵出し限定酒の量り売りも見逃せません。
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白鹿クラシックス
- 住所 兵庫県西宮市鞍掛町7-7
電話
ショップ 0798-35-0286
レストラン 0798-35-0001
営業時間
ショップ 10:00~18:00 火曜定休
レストラン 月・火曜定休(祝日の場合は営業)
ランチ
平日 11:00~15:00(LO14:30)
土日祝 11:00~15:30(LO14:30)
ディナー 17:00~22:00(LO21:00)
400年の歴史に触れる|日本酒文化を深く知る旅【西宮郷】

酒造りに使われる名水「宮水」が湧き出ているのが西宮郷です。阪神西宮駅から南へ徒歩10分ほどの場所が宮水発祥の地で、付近には灘五郷の酒蔵の井戸が点在しており、タンクローリーや専用のパイプラインでそれぞれの酒蔵に運ばれています。そこから南へ徒歩4分ほどで白鷹禄水苑、さらに5分ほど南へ歩くと白鹿記念酒造博物館があります。
白鷹禄水苑で造り酒屋の文化を体感

白鷹の創業は1862年、辰馬本家(白鹿)からの分家でした。以来、昔ながらの生酛造りと寒造り(一季醸造)に徹して品質管理が行き届く数量を堅実に造っています。1924年には伊勢神宮の御料酒に選定され、日本で唯一、伊勢神宮への奉納を続けています。酒蔵の南側にある「白鷹禄水苑」は、日本酒にまつわる様々な文化体験ができる施設です。

建物は戦前までの灘の蔵元の代表的な住まいを再現しています。住居と酒蔵が地続きになっているのが特徴で、白鷹禄水苑にはショップ「美禄市」、日本酒バー「蔵BAR」、酒造り資料館「白鷹集古館」、イベントが開催される「宮水ホール」、茶室「悦庵」、日本料理・鰻店「東京竹葉亭」があります。
蔵元五代目で白鷹禄水苑総合プロデューサー辰馬朱滿子(たつうますみこ)さんに案内していただきました。

暮らしの展示室は、古い見取り図などをもとに、かつてこの地にあった蔵元・辰馬家の住居をイメージして再現。「造り酒屋の自宅」というコンセプトで、辰馬家に伝わる四世代の生活用品を展示しています。

「決して華美なものではなく、実質本位で大切に何世代も使っていました。ものを大切にする日本の文化や暮らしを伝えたい」という辰馬さんに、ヨハンナは「明治から大正にかけての茶の間の風景を初めて見ました。その時代に生きた人々の息づかいが伝わってくるようです」と見入っていました。

2階には、実際に使われていた造り酒屋のハレの日のしつらえや日常使いの道具の展示、明治・大正・昭和の人物像、写真などがパネル展示されています。

1階にある「蔵BAR」のテイスティングバーは、禄水苑おすすめの蔵出し限定酒をワンショット200円で試飲できるコーナーです。土日祝の午後は、カウンター席で、禄水苑限定酒や白鷹の代表酒を蔵元価格で楽しめるバーとして営業しています。
- テイスティングバー(立ち呑み)
- 平日11:00~18:30、土日祝14:00~18:30
- 「蔵BAR」(カウンター席)
- 土日祝のみ営業。営業時間12:00~1700
・昼下がりの一杯セット(燗酒または冷酒一合に酒肴3品)1,000円
・季節の飲み比べセット(季節の唎酒3種に酒肴一品)1,000円

ショップ「美禄市」では、ここでしか買えない季節限定酒やこだわりの食材、酒器なども買えます。
「100年以上前の着物がきれいに残されていたり、節句の飾り物が代々受け継がれていたり、商家の暮らしぶりがよくわかりました」(ヨハンナ)
英語表記はありませんが、お店の人とコミュニケーションはとれるので、安心して声をかけてください。
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白鷹禄水苑
- 住所 兵庫県西宮市鞍掛町 5-1
- 電話 0798-39-0235
営業時間 11:00~19:00 第1・3水曜定休(展示室11:00~18:30)
白鹿記念酒造博物館 酒蔵館で伝統的な酒造りを知ろう

1982年に設立された酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)の「酒蔵館」は、1869年に建てられた辰馬本家酒造の旧本蔵を活用した体験型展示棟です。館内には昔ながらの酒造の工程順に設備や道具が並び、自身のスマホで音声ガイド(日本語、英語、中国語)を聞きながら見学できます。展示パネル類は、英語と中国語でも書かれています。

かつて米を蒸していた釜場の遺構が保存されています。薪で火を炊いて大釜で湯を沸かし、その蒸気で甑(こしき)に入れた米を蒸していました。

伝統的な酒造道具に触れる体験や、酒造り映像・酒造り唄の視聴などができます。
「これはキツネおけというそうです。わかりやすいように、イメージしやすい名前がついているんですって」(ヨハンナ)

ここも映え写真スポット。高さおよそ2 mの大桶の中に入れば、お酒になったような気分が味わえるかも。
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酒ミュージアム(白鹿記念酒造博物館)
- 住所 兵庫県西宮市鞍掛町 8-21
- 電話 0798-33-0008
営業時間 10:00~17:00(最終入館 16:30) 火曜定休
入場料300円、中・小学生200円
※入場料は時期によって変更あり。詳細は同館公式HPを確認
あなたにぴったりのプランはどれ?旅のタイプ別おすすめ
今回は3つのプランを紹介しました。
神戸を起点に観光する予定で、日本酒初心者なら「王道の有名酒蔵をめぐる」で、日本酒の知識を覚えながら試飲をしてお酒を選ぶのがおすすめ。
日本酒が好きで食事と相性の良いお酒を楽しみたい人なら、「日本酒×グルメ体験 蔵元のレストランで楽しむ極上ペアリング」で、蔵元ならではの料理と酒を満喫しましょう。
穴場的なのが、神戸と大阪のほぼ中間地点にある西宮郷。「400年の歴史に触れる。日本酒文化を深く知る旅」で、酒造りに加えてかつての蔵元の生活スタイルにもふれられます。

取材を終えて、ヨハンナは「日本酒は高いお酒というイメージがありましたが、蔵元では無料または手頃な価格で試飲でき、少量ずつ気軽に味わえるのが魅力です。気に入った銘柄をその場でお土産に選べるのも嬉しいポイントです」と、満足してくれた様子です。
「取材を通して、特に日本酒の歴史や酒造りの過程に触れることを楽しめました。そこには多くの人の努力や技術が詰まっていて、この地域の酒造りが日本の他の地域とどう違うのかも知ることができました。日本酒が好きで、その歴史や背景をある程度知っている人も、ぜひ実際に蔵元を訪れて、酒造りに使われる道具に触れたり、当時の作業についての説明を直接聞いたりする体験をおすすめします。私にとっては、この経験が日本酒の楽しみ方を変え、より深く味わうきっかけになりました」(ヨハンナ)
灘の酒といっても一括りにできないほど味わいは多彩です。各蔵元が独自の工夫を重ねて個性を磨いているので、ぜひ現地を訪ねて味の違いを体感してみてください。また、蔵元ごとに見学施設の内容も違うので、複数訪れると発見がたくさんありますよ。
灘五郷の旅をさらに満喫!おすすめ周遊パス&ツアー情報
もう迷わない!あなたに最適な周遊パスの選び方
日本一の酒どころ、灘五郷を巡る旅。その鍵を握るのが、便利な阪神電車です。多くの有名な酒蔵が駅から徒歩圏内にあるため、お酒を飲んだ後でも安心して効率的に酒蔵巡りができます。
あなたの旅行プランに合わせて、これらのお得な周遊パスを賢く利用しましょう!
【灘五郷に集中するなら】阪神ツーリストパス (Hanshin Tourist Pass)
もしあなたの旅の目的が灘五郷の酒蔵巡りに集中することであれば、この訪日外国人限定パスが最適です。非常にリーズナブルな価格で阪神電車が1日乗り放題になる、最もコストパフォーマンスに優れた一枚です。
【灘五郷+京都・神戸を楽しむなら】阪急・阪神1dayパス (Hankyu Hanshin 1day Pass)
灘五郷を巡った後、そのまま京都(河原町・嵐山)や大阪(梅田)へも足を延ばしたいなら、このパスが最適です。阪神電車と阪急電車が1日乗り放題になり、神戸と京都という二大人気都市をアクティブに楽しめます。
【関西の複数都市を巡るなら】KANSAI RAILWAY PASS
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【新幹線で遠くまで旅するなら】JR West Kansai WIDE Area Pass
このパスは、日本以外のパスポートを持つ旅行者のための特別なきっぷです。最大の魅力は、新幹線や特急列車を使って関西を飛び出し、岡山・倉敷、城崎温泉、鳥取といった遠方のデスティネーションまで足を延ばせること。ダイナミックな長距離旅行を計画しているなら、これ以上の選択肢はありません。
手軽に楽しめる!ガイド付きツアーで効率よく巡る
あなたはどのプランが気になりましたか? 日本酒造りという日本独自の文化を楽しんでくださいね。
松田きこ、木村桂子、都志リサほか、関西に精通した女性ライターチーム。食べること、飲むこと、旅することが大好き! 自ら体験した楽しい情報を発信しています
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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