2018年9月に北海道を襲った「北海道胆振東部地震」。最大震度7を記録し、北の大地に甚大な被害をもたらしましたが、人と人が手を取り合い協力し合うことで着実に復興が進んできています。確かに街には震災の爪あとがまだ残ってはいますが、そこで暮らす方々はもう前を向いています。そして、私たちが観光で訪れることでさらに街を元気にしていくことができるかもしれません。ということで、ここでは胆振東部と日高エリアの各市町村の見どころやグルメを紹介していきます。新千歳空港からもアクセスしやすいのでぜひ旅の計画に入れてみてください。
【むかわ町】ししゃもなど魚介類のほか、おいしい農産物もいっぱい
ししゃもの町として知られるむかわ町。ししゃもは晩秋になると産卵のために川に遡上し始めますが、資源保護の観点から毎年10月から12月の間の40日間だけししゃも漁が行われます。秋の冷たく乾いた風が吹く中、町のあちらこちらでししゃもをすだれ干しする昔ながらの風景を見ることができます。
ししゃも漁が行われている期間、町内の寿司店では名物のししゃも寿司が味わえます。ししゃもは非常に痛みやすいため、水揚げされる港町でしか味わえず、その身はクセがなく淡白ですが脂が程よく乗っており、口の中で上品な甘さを醸し出す逸品です。また、むかわ町は農業も盛んで、シイタケの収穫などを始めとした各種農業体験も企画しており、こちらも好評です。(お問い合せ:むかわ町観光協会 TEL:0145-47-2480)
【安平町】美しい花と農業の町。新たにSLをテーマにした道の駅も誕生!
安平町は乳牛とサラブレッドの生産が盛んな町です。また、花の町としても有名で、四季を通じてさまざまな花が目を楽しませてくれます。中でも圧巻なのは5月下旬から6月中旬にかけて咲き誇る菜の花畑。町内にはおよそ80万平方メートルの菜の花畑が点在しており、晴れた日は黄金の絨毯を敷き詰めたような美しい光景を楽しむことができます。
かつて日本の鉄道網を支えた蒸気機関車「D51」が、最後に走った町としても知られる安平町ですが、2019年4月に「道の駅あびら D51ステーション」がオープンします。敷地内には全国的にも保存状態の良い蒸気機関車「D51-320号」や2018年3月まで特急列車として活躍した鉄道ファンの間で人気の高い「キハ183」を展示。また、館内では地元や周辺地域のお土産品やグルメも豊富に取り揃えています。
【厚真町】田んぼオーナー制や芋掘り体験など充実の農業体験が楽しめる
美しい田園が広がる町・厚真町。地震では大きな被害を受けましたが少しずつ、そして力強く復興に向けて歩みだしています。農業が盛んなこちらでは、グリーンツーリズムのメニューが充実しています。中でも8月~9月下旬にかけて行われる「いも掘り観光」イベントは大人気。じゃがいもを自分の手で掘り出して収穫できます。
厚真町ではユニークな「田んぼのオーナー制」も設けています。100㎡25000円で田んぼのオーナーになり、収穫時期になるとその田んぼで穫れた米が貰えるというシステム。年に3回、稲刈りなど実際の農作業を体験することもできます。毎年3月頃にオーナーを募集するので参加してみてはいかがでしょうか(お問い合せ:厚真町観光協会 TEL:0145-29-7711)。その他の特産物としてはハスカップが有名で、ブルーベリーに似た酸味と甘みのある実を使ったジャムやジュースはお土産として非常に人気です。
【占冠村】大自然の息吹を体感できる広大な森林に包まれた村
東京23区とほぼ同じ広さの村内の約94%を深い森に包まれた占冠村には、豊かな自然を活かした観光資源が数多くあります。星野リゾート・トマム内にある「雲海テラス」は、早朝にゴンドラで登ると、眼下に美しい雲海が広がる荘厳な眺めを楽しむことができる、特に人気の高い観光スポットです。
占冠村は、冬季は最低気温が-30℃を記録する厳しい寒さと良質な雪でも有名で、スキーやスノーボードなど冬のアクテビティも盛んです。また、例年12月初旬から3月中旬にかけては「星野リゾート トマム」の敷地内に氷でできた街「アイスヴィレッジ」がオープン。氷のホテルや教会などが出現し、幻想的な雰囲気を味わえます。
森に囲まれた占冠村ならではの味といえば村内で穫れたエゾシカの料理です。エゾシカ肉を使ったハンバーグやエゾ鹿丼はまさに絶品。また村内に多く自生するイタヤカエデの樹液をじっくり煮詰めて作ったメープルシロップもお土産として人気です。
【平取町】大地と共に生きるアイヌ文化が今に息づく町
平取町は、自然とともに生きた北海道の先住民であるアイヌ独自の豊かな文化に触れられる町です。中でも貴重なアイヌ文化を正しく受け継ぎ、未来へと伝えていくことを願って建てられた「二風谷アイヌ文化博物館」では、美しい刺繍を施した衣装や民具など貴重な史料を多数展示。アイヌの伝統的な茅葺きの家屋「チセ」も復元されており、かつてのアイヌの暮らしを偲ぶことができます。土産品としてはアイヌの伝統的工芸品である「二風谷イタ」(お盆)や「二風谷アットゥシ」(反物)が人気。世界的にも有名な南部鉄器や江戸切子、西陣織などと並び、北海道では唯一国の伝統的工芸品に指定されている名品です。
もう一つ、平取町の名物として外せないのが「びらとり和牛」です。厳しい冬を乗り越えることでうま味が凝縮した牛肉は肉質も抜群。町に足を運んだ際にはぜひご賞味ください。
※ユカラの「ラ」、ウウエペケレの「レ」、二風谷アットゥシの「シ」はそれぞれ小書き文字です
【日高町】名物のナイトレースを楽しみながらジンギスカンに舌鼓
海と山、豊かな自然に恵まれた日高町。海沿いに広がる門別(もんべつ)地区には競走馬を育てる牧場が数多く広がり、北海道らしい雄大な景色を楽しむことができます。いくつかの牧場では見学も受け入れているので、そっと近くで馬の姿を眺めてみるのもいいでしょう。また新鮮な魚介類も日高町の自慢。夏はタコ、秋はししゃも、冬はホッケやカレイなどの新鮮な魚介を地元の飲食店で味わえます。
4月頃から11月頃までの門別競馬場で行われるホッカイドウ競馬も町の目玉。レースはナイターで行われ、ライトアップされたダートコースを馬たちが駆け抜ける姿は大迫力です。ここ門別競馬場のもう一つの楽しみが「とねっこジンギスカン」。火の入ったバケツの上に鍋を置き、その上でタレに漬けたラム肉を焼いて味わいます。臨場感あふれるレースを観戦しながら食べるジンギスカンは格別な味です。
【苫小牧市】胆振東部への玄関口「ウトナイ湖」で野鳥の姿に心を和ませる
苫小牧市は北海道を代表する工業都市として知られていますが、周辺には豊かな自然が広がっています。中でも「ウトナイ湖」とその周辺の湿地帯は、ハクチョウやマガンなど270種類以上の野鳥が生息する野生動物のサンクチュアリ。その価値は国際的にも認められ、1991年にラムサール条約にも登録されました。
湖の傍らには「道の駅 ウトナイ湖」も整備されており、ドライブの途中に立ち寄るのに便利です。フードコーナーも充実しており、苫小牧市の名物であるホッキ貝を使ったメニューは特におすすめ。また、地元のブランド豚「B1とんちゃん」を使った豚まんは、ドライブや観光、外国人観光客の間で大人気です。
胆振東部は訪日旅行者も満足できる魅力がいっぱい!
ここまで各地域の見どころなどをご紹介してきましたが、今回の取材を通じ、被災地域の復興が着実に進みつつあるのを実感しました。この胆振東部・日高エリアには、ご紹介できなかった見どころがまだいっぱいあります。ぜひ現地に足を運んで、その魅力を味わってみてください。
※価格やメニュー内容は変更になる場合があります。
※特記以外すべて税込み価格です。
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