北海道には手つかずの自然が数多く残されています。四季折々の美しい景色は人々に感動を与え、厳しい冬の寒さも楽しさに変えてくれます。自然と人間の調和や、自然が身近にあることも北海道の人気の理由のひとつでしょう。北海道在住の外国人の方々に、北海道の自然に触れて驚いたことや、感動したことを伺いました。
※以下はインタビューに答えていただいた外国人の個人的な感想です。
TOP画像:PIXTA
十勝平野や釧路湿原のスケールは、まるで大陸のよう!
「帯広や釧路など道東の大陸的なスケールに驚きました。札幌から帯広に向かうと、広大な十勝平野が広がります。どこまでも続くまっすぐな道や白樺並木がとても美しい。特に釧路湿原は手つかずの自然が残されています。去年カヌーツアーに参加しましたが、あちこちから動物たちの鳴き声が聞こえて、とても興奮しました。」(アメリカ/男性)
十勝や釧路は北海道らしさを感じる人気スポットです。大きな空と大地が開放的な気分にさせてくれます。町から町への移動距離も長く、まるで大陸のよう。まっすぐに続く道が多いため、居眠りやスピードの出しすぎに注意が必要です。
登別・地獄谷の迫力と温泉の心地よさにウットリ
「登別の地獄谷は、あちこちから蒸気が噴出していたり、ボコボコと温泉が湧いていたりしているので、地球の躍動感が伝わります。日本人はこのような荒涼とした風景に地獄をイメージするのですね。ロシアにも温泉がありますが、雰囲気が違います。地獄が観光地と言うのもユニークな発想ですね。夜はライトアップされていて、とても幻想的。温泉は気持ちよく、食事も美味しい。私にとっては天国でしたよ。」(ロシア/男性)
火山地帯である日本には、たくさんの温泉があります。中でも登別温泉は1日1万トンもの湯量を誇り、多くの種類の温泉が湧出する日本屈指の温泉街です。日和山の噴火活動によりできた爆裂火口跡の直径は約450m、面積は約11haと巨大。谷に沿って数多くの湧出口や噴気孔があり、あぶくを立てて煮えたぎる風景が「鬼の棲む地獄」をイメージさせています。
知床は世界が注目する野生動物の楽園
「なんといっても北海道の自然は知床半島抜きには語れません。オジロワシが空を飛び、海にはイルカやクジラが泳ぐ。私が乗ったクルーズ船に運よくシャチが寄ってきて大興奮でした。海がないオーストリアでは絶対にできない体験です。エゾシカやキタキツネが街を闊歩していましたし、夜は空気が澄みきっていて星がとてもきれい。忘れられない一日でした。今度は流氷が来る季節に訪れてみたいです。」(オーストリア/男性)
北海道の中でも知床半島は手つかずの自然が残る希少なスポットです。2005年に世界自然遺産に登録が決定すると、空前の知床ブームが起こりました。知床半島の北西部のウトロと、北東部の羅臼からクルーズ船が発着しています。
ウトロ側は海に落ちる滝やヒグマなどが見られるのに対し、羅臼側はクジラやイルカ、海鳥などを見るネイチャークルーズです。冬は流氷の上でオオワシが羽根を休める姿を見ることができます。
うんざりするほど雪が多く寒いのに、それをレジャーに取り入れている
「北海道は毎年冬になるとたくさんの雪が降ります。除雪に手間がかかるし、交通障害や事故を引き起こす厄介な存在ですが、北海道の人たちは自然に逆らうことなく、雪や寒さを積極的にレジャーに取り込んでいることに驚きました。雪だるまや雪合戦、そり遊びなど、冬は楽しいことが一杯です。」(インドネシア/女性)
北海道は1年の大半が雪で閉ざされるため、雪や寒さを楽しむ傾向があります。世界的イベントに発展した「さっぽろ雪まつり」も、1950年に開始された当初は、地元の中高校生が高さ3~5mの雪像を6基作ったのが始まりでした。「暗く長い冬に楽しみをもたらしてくれた」と市民に大好評となり、第2回から札幌市の正式な年間行事に位置づけられています。
札幌の市街地の公園でエゾリスや野鳥を見ることができる
「札幌市は人口約195万人を誇る大都市なのに、円山公園ではエゾリスが現れるほか、キツツキ(アカゲラやクマゲラ)、ハヤブサなど数々の野鳥を見ることができます。世界中探してもこれほど大きな都市で、野生動物と人の生活圏が近い街は珍しいと思います。私が住んでいる近くの公園にもエゾリスが現れます。公園には餌を置く台が設置されていて、いつも誰かがクルミなどを置いています。」(韓国/女性)
都市と自然が調和しているのが北海道の魅力です。一方、近年では、キタキツネやヒグマも市街地に現れるなど、自然動物の生活環境が人間によって狭められている傾向も見られるなど、動物たちとの共存の難しさも課題となっています。動物たちと未来の子どもたちのために、豊かな自然を残していきたいですね。
北海道の自然は未来に残すべき宝
知床半島は世界自然遺産に登録されていますが、それに匹敵する豊かな自然が北海道のあちこちに溢れています。しかし一部では観光客によるゴミの放置や、野生動物への餌やり、立ち入り禁止区域への侵入などが問題視されています。美瑛町では、観光客が畑を踏み荒らすため、名所となっていた「哲学の木」を伐採した例もあります。
四季折々の景色が美しい北海道の大自然は、未来に残すべき宝です。しっかりとルールを守って自然保護に努めたいものですね。
Text by:Masakazu
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