日本は四季の移り変わりを感じさせる国です。秋には紅葉の季節を迎え、野山が真っ赤に染まります。紅葉が鮮やかに発色するためには、昼夜の寒暖の差が大きく、紫外線が強いことが条件とされていおり、日本で最も北に位置する北海道は、本州よりも早く見ごろを迎えます。北海道在住のライターが、札幌市内の紅葉の名所「定山渓」、「中島公園」、「北海道大学」や、車窓からの眺めが美しい道東の路線など、一度は訪れてほしい紅葉風景4つを紹介します。
1.いで湯の香り漂う札幌の奥座敷「定山渓」の紅葉
札幌市の中心部から約30 kmの「定山渓」は、北海道有数の紅葉の名所です。1866年頃に、この地域に湯治場をつくり、定山渓地区の開拓に貢献した修験者宗呂「美泉定山(みいずみじょうざん)」に由来しています。定山渓温泉は「札幌の奥座敷」と呼ばれ、紅葉のシーズンは国内外からの観光客だけでなく、地元の人たちも行楽に訪れています。
野鳥のさえずりを耳にしながら紅葉を満喫 「二見定山の道」
ゆっくりと散策しながら紅葉を楽しみたいなら、「二見定山の道」がおすすめ。豊平川に沿うように続く自然散策路で、野鳥のさえずりを耳にしながら穏やかな時間が過ごせます。真っ赤な吊橋からは夫婦のように寄りそう「二見岩」や、かっぱ伝説が残る「かっぱ淵」が望め、10月には渓谷が赤や黄色に染まります。
自然と人が織りなすライティングパフォーマンス 「定山渓ネイチャールミナリエ」
毎年7月初旬から10月下旬の毎夜、二見公園から二見吊橋までの道のりで、「定山渓ネイチャールミナリエ」が開催されています。「WATER LIGHT VALLEY」をテーマに、ライティングパフォーマンスが行われ、定山渓の自然や、秘められた生命観が美しく光で彩られます。特に紅葉の時期は、人と自然が織りなす色彩美は言葉を失ってしまうほど感動的。入場は定山渓温泉宿泊者限定なので、夜の散策で冷えた体を温泉で温めてください。
川の流れに任せて水上から紅葉を眺める 「カナディアンカヌーツーリング」
カナディアンカヌーツーリングは、川面から定山渓の大自然を堪能できる人気のアクティビティです。カヌーで豊平川に繰り出すと、すぐに悠然とそびえる断崖に囲まれます。晩秋は渓谷の木々が色づき、まるでパレットのよう。赤や黄色の葉が水面に散らばり、あたりを美しく彩っています。陸地からでは出会えない絶景に、感動すること間違いありません。インストラクターが指導するので、初心者の方やお子様も安心ですよ。
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一般社団法人定山渓観光協会
- 住所 〒061-2302 札幌市南区定山渓温泉東3丁目
電話番号:011-598-2012(一般社団法人定山渓観光協会)
2.都心であることを忘れさせる紅葉の名所「中島公園」
中島公園は、札幌市中心部で紅葉を楽しめる憩いの場所です。水と緑に溢れ、日本の都市公園100選にも認定されています。236.295平方メートルの園内に、樹齢100年を超えるエゾヤナギなどの大木のほか、シダレザクラやソメイヨシノなどの桜や、紅葉が美しいイチョウの木など、43種類の樹木が植えられています。また、かつて豊平川の一部だった菖蒲(しょうぶ)池には、マガモやオオセグロカモメなどが飛来しています。
日本画のような落ち着いた雰囲気が魅力 「八窓庵」
園内には、庭園や国指定重要文化財が点在しています。日本庭園が美しい「八窓庵」は、滋賀県にあった茶室を実業家が買い取り、1919年に札幌に移築した建物です。移築された際に新たに三分庵などの茶室が付設され、現在の姿になっています。歴史的な和風建造物と紅葉が融合し、日本画のような雰囲気を漂わせていました。
白い外壁と紅葉のコントラストが美しい 「豊平館」
白い外壁と紅葉のコントラストが鮮やかな「豊平館(ほうへいかん)」は、1880年に明治政府によって建設された宿泊施設です。最初の宿泊客は明治天皇で、以降も要人の宿泊、祝賀会、各種大会に用いられました。1958年に大通公園から中島公園へ移築され、しばらくの間、市営結婚式場として使用されていました。現在は資料館として利用され、数々の展示品から当時の雰囲気を感じることができます。
中島公園は繁華街すすきのに近く、周囲にはホテルが立ち並んでいます。ちょっと早起きして、澄んだ空気と紅葉を楽しんでください。
3.北海道大学とともに歴史を歩む「北13条通りのイチョウ並木」
北海道大学(以下:北大)の構内の「イチョウ並木」も、都心に近い紅葉の名所です。北大は1876年に設置された札幌農学校を前身とする国立大学で、約177万平方メートルを擁する広大な札幌キャンパス構内には、北海道開拓の指導者を養成するためにアメリカから招かれたクラーク博士の胸像や、学問の功績を伝える「北海道大学 総合博物館」、開拓当時から残る貴重な建造物などが点在しています。
北13条通りのイチョウ並木は北大のランドマークの一つです。1939年に植栽され、北大の歴史とともにイチョウの木が成長し、並木を形成しました。見ごろとなる10月末から11月初めには、約380メートルの道路に約70本のイチョウが並び、黄金のトンネルを作ります。黄葉に合わせて10月最終土曜日・日曜日に北大金葉祭(ほくだいこんようさい)やライトアップ、イチョウ並木を巡る秋のキャンパスツアーなどのイベントが開催されます。
札幌駅北口から北大イチョウ並木まで徒歩15分ほどとアクセスがよいので、列車の待合時間などに立ち寄ることができます。また、手ごろな価格で海鮮丼やラーメン、ソフトクリームなどの北海道グルメを味わえる学食やレストランもありランチにも最適です。ただし、北大はあくまで教育研究の場。大学が提示するルールやマナーを守って散策してください。
※新型コロナウイルス拡散防止により、2021年度の北大金葉祭、ライトアップ、秋のキャンパスツアーは中止。次年度以降も状況により中止されることがあります。学外者の入構を禁止している場合がありますので、訪問前に北大ホームページをご確認ください。
4.日本最大の湿原を駆け抜ける道東のローカル線「釧網線」
日本のどこよりも早く冬に向かって季節が進んでいく北海道。なかでも10月の道東では、秋枯れの季節感が織りなす「ここでしか見られない風景」を車窓から楽しむことができます。列車は、東京の都心がすっぽりと入ってしまう日本最大の「釧路湿原」を横切る釧網(せんもう)線の間を駆けぬけます。沿線には多数の野生動物が生息し、エゾシカやキタキツネが姿を見せてくれます。釧網線(釧路~網走間)は列車の本数が少なく、移動に時間がかかりますので、気持ちをゆったり、時間もゆったり取ってお出かけください。
花咲線は、JR根室線(釧路~根室間)のうち、釧路と根室を結ぶ135.4kmの愛称名で、日本そしてアジア最東端の鉄路です。
釧路駅から約50分の地点に位置する厚岸~糸魚沢間は、、良質な牡蠣で有名な厚岸湖への流入域に広がる別寒辺牛湿原を走りぬけます。水をたたえた水面に、赤く色づいたヨシやスゲなどの水草が浮島のように点在する光景はとても神秘的。秋も深まる10月の小春日和に、湿原の水面と秋枯れの水草のコントラストは心に深く残る風景です。
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JR釧路駅
- 住所 〒085-0015 釧路市北大通14丁目1番地
北海道での紅葉観賞は状況確認と防寒着を忘れずに!
札幌市内の紅葉は10月中旬から11月上旬がベストシーズン。釧路や根室などの道東エリアや、標高が高いところでは秋の訪れが早く、早めに紅葉が散ってしまうことがあります。現地についてがっかりしないよう、インターネットや観光協会などで情報を確認してからお出かけください。また秋は寒暖の差が激しい季節です。しっかりと防寒対策をして、紅葉を楽しんでくださいね。
Text by:Masakazu
※本記事の情報は2021年9月時点のものです。最新の情報は公式サイト等でご確認ください。
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