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四季がはっきりした日本の、美しい秋の光景といえば紅葉。山や森林の紅葉スポットだけを探して満足していませんか? 北海道には、大地が真っ赤に染まる特別な秋の風景があるのです。その正体はサンゴ草。真っ青な秋空に映える一面の赤い野原は、「真紅のじゅうたん」とも例えられるような鮮やかな光景です。
道東の秋の風物詩・サンゴ草
サンゴ草は、高さ15〜30cmほどの一年草です。日本での正式な名前は「アッケシソウ」。道東の太平洋岸にある厚岸町の厚岸湖牡蠣島で発見されたため、そう名付けられました。多肉質の茎が節から枝分かれし、それが秋に紅葉するとサンゴに姿が似ているところからサンゴ草と呼ばれるようになったのです。
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サンゴ草は塩分の多い環境を好み、潮の満ち引きなどで海水に接する湿地に生えます。北海道のオホーツク沿岸には、海が分離されてできた海跡湖が多く、そこにサンゴ草の群生が多く見られます。見頃は場所や年によって変化するものの、8月下旬〜10月上旬ごろになっています。
日本一のサンゴ草の名所「能取湖」
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国内最大規模のサンゴ草の群生地として知られているのが、網走市にある能取湖です。網走駅から車またはバスで、国道39号・238号を経由して西へ20分ほど行くと、群落がある湖の南側の卯原内園地に到着します。
その生息域は、湿地の乾燥などによる縮小を懸命な保護の努力で乗り越え、現在は約3.8ヘクタールの広大な土地が、例年9月中旬には一面が真っ赤に染まり、大勢の観光客がその美しい姿を楽しみに訪れます。
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サンゴ草は保護されているので直接踏み入ることはできませんが、木製遊歩道が整備されているので、群落の中ほどまで歩いて近づくことが可能です。ところどころに覗く水面に空の色が映り、晴れた日には見事なコントラストが楽しめます。
北海道遺産「ワッカ原生花園」
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サロマ湖は、北見市・湧別町・佐呂間町にまたがる日本最大の汽水湖です。このサロマ湖北東岸の北見市常呂町、オホーツク海とサロマ湖に挟まれた砂州の上にワッカ原生花園があります。
約700ヘクタールにおよんで花畑が広がり、春〜秋にかけて北海道固有種を含む約300種類の花が次々と咲き誇ります。網走からは国道238号を車で約50分程度です。
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サンゴ草は、そんなワッカ原生花園の秋の名物。入り口にあるワッカネイチャーセンターから約10分歩くと、群生地が現れます。こちらも木道が整備されているので、間近でサンゴ草を眺めることができます。
夕日とサンゴ草の赤「キムアネップ岬」
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サロマ湖東南岸にテラスのように突き出しているのがキムアネップ岬です。佐呂間町に位置し、網走からは国道238号を車で約1時間程度ドライブすると着きます。やや規模は小さいものの、大地を真っ赤に染め上げるサンゴ草のじゅうたんを見ることができます。
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キムアネップ岬は、サロマ湖に沈む夕日を眺められる絶景ポイントとしても愛されています。10月中旬まではキャンプ場を利用でき、日暮れをアウトドアで楽しむキャンプ客も多く見られます。夕日でさらに茜色を強くするサンゴ草もまた、見ておきたい風景の一つです。
手付かずの自然「コムケ湖」
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網走から北西へ約100kmにある紋別市にもサンゴ草の群生地・コムケ湖があります。こちらはほとんど観光地化されておらず、自然のままの湿地の風景が広がっています。サンゴ草もひっそりとした規模ではあるものの、北海道らしい風景の中で見られる群生地です。
コムケ湖は野鳥の楽園としても地元では知られており、飛来する鳥は約200種類にもおよぶのだとか。こちらもオートキャンプ場が整備されており、10月末まで利用できるので、野鳥も含めた自然観察をしたい方はぜひ。
貴重な秋の風景を守るために
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サンゴ草は一年草なので毎年種をつけ、翌年新たな株が育ちます。かつての能取湖のように湿地の乾燥や土壌成分の変化、天候などによって生育地は縮小する恐れがあり、環境省からは絶滅危惧種にも指定されています。
同時に、地元の人からは馴染みの秋の光景として保護の努力も大きく、群生が見られなくなった地域でも生息地を復活させようという動きもあるほど愛されている植物です。観賞の際は決められた散策路などのルールを守り、また自由に立ち入れる場所だとしても決して踏み荒らさないようにしましょう。
Text by:みんなのことば舎
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