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美味しいコーヒーの秘訣はブルーベリーの風味?デンマーク1位のバリスタに聞く北欧スタイルの「コーヒーの淹れ方」

美味しいコーヒーの秘訣はブルーベリーの風味?デンマーク1位のバリスタに聞く北欧スタイルの「コーヒーの淹れ方」

公開日: 2020/07/06

自宅で過ごす時間が増えている昨今、料理や映画など、おうち時間の楽しみ方を模索している人も多いはず。そこで今回はコーヒー文化が発展している北欧・デンマークから「北欧スタイルのコーヒーの楽しみ方」をお伝えします。

教えていただいたのは、世界的に有名な焙煎の大会「ワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ」でデンマーク1位(2018年)の実力を持つ松井宣明さん!

デンマーク・コペンハーゲンのカフェ「Democratic Coffee Bar」(デモクラティック・コーヒー・バー)で勤務しながら、日々最高の1杯を追い求める松井さんに、北欧で主流と言われる浅煎りコーヒーの極意と初心者向けのおいしいコーヒーの淹れ方を伺いました。

バリスタ世界チャンピオンが4人もいるデンマーク

バリスタ世界チャンピオンが4人もいるデンマーク
松井さんが勤務する「Democratic Coffee Bar」

ーーデンマークをはじめ、北欧にはそれぞれのスタイルを持ったカフェが多い印象があります。松井さんは、なぜ日本を離れてデンマークで働くことを選ばれたのですか?

以前は、日本にあるイタリアンやフレンチなど、いくつかのレストランでウェイター/バーテンダー/バリスタとして働いていたのですが、よりバリスタにフォーカスしたいなと思ったときに、日本の老舗店よりも「海外に出てチャレンジしてみたい」という気持ちが湧きました。

デンマークを選んだのは、バリスタ競技会の花形と言われる「ワールド・バリスタ・チャンピオンシップ」で世界チャンピオンになったバリスタが4人もいて、業界内で密かに注目されていたから。

実際にデンマークに渡って、現地で有名なカフェ「Coffee Collective」(コーヒーコレクティブ)で豆を買って淹れてみたら、いまだかつて飲んだことがない味がして。

「Coffee Collective」の店頭に並ぶコーヒー豆

ーーどんな味だったんですか? めちゃくちゃ気になります…!

花のような香りに、ブルーベリーのような風味がして、とにかく衝撃的でした。北欧のトップロースターたちが好む風味を生かした浅煎り(※)のコーヒーは、フルーティーな香りと砂糖に頼らないバランスの取れた甘みが特徴なのですが、当時の日本では、満足するような浅煎りのコーヒーには出会えなくて。(※)短めの時間で焙煎すること。あさいり

でも、デンマークに来たら「誰が飲んでもブルーベリーの味がするんじゃないか」と思える1杯に出会えた。こんなことができるのがスペシャルティコーヒーなんだって。

そこからワーキングホリデービザを使ってデンマークに本格移住し、運良く現在のカフェでの仕事が見つかり、今に至ります。

ーー松井さんも、バリスタの大会で入賞された経験があるんですよね。

「ワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ」という大会で、2018年にデンマーク1位、2019年にデンマーク3位という結果をいただきました。この大会は、まず国ごとに代表選手が選出され、その後、各国の代表者が世界チャンピオンを競うものです。

ーーデンマーク1位を獲得されたとは驚きました!

浅煎りコーヒーは失敗すると、酸っぱくなる

浅煎りコーヒーは失敗すると、酸っぱくなる

ーー先程、「スペシャルティコーヒー」という言葉が出ましたが、これはどのようなコーヒーを指すのでしょうか?

僕の好きな解釈は、「スペシャルティコーヒーとは、そのコーヒーの風味特性そのものによって、生産工程における高い品質管理、精製方法、品種、テロワール(産地特性、気候、土壌など)を消費者が感じることができるさまざまな濃度に抽出されたコーヒー(エスプレッソやフィルターコーヒー)であるべき」というものです。

ーーなるほど! デンマークで言う「スペシャルティコーヒー」は、浅煎りのものだと認識されているんですか?

必ずしもそうだとは言えないのですが、僕が知る限りは、デンマークのトップロースターたちは浅煎りに関心があるように見えますね。それも、極端な浅煎り。

なぜかというと、浅煎りがそのコーヒーの持ち味を生かすベストな方法だと思っているからです。コーヒーは深く焙煎することによって味を変化させることができるのですが、浅煎りはその豆が本来持っている風味をそのまま引き出せる焙煎法なんです。

ただ注意しないといけないのは、適切に焙煎し、適切に抽出しないと、酸っぱさが強調された味になってしまうこと。僕自身の課題もまさにそこで、超浅煎りのコーヒーをいかに適切に抽出するか。

適切に浅煎り・抽出できると、砂糖や牛乳が必要なく、ストレートで飲んでもフルーティーで甘みを感じる満足度の高い1杯ができるんですよ。

ーー確かに、時々カフェで酸っぱいコーヒーに出会うことがありますが、バリスタの技術不足が理由だったんですね……。

スペシャルティコーヒーの分野は、まだここ50年ぐらいの歴史しかなくて、ビールやワインなどに比べると歴史がかなり浅いんです。だから、トップロースターでさえもまだ知識や技術を勉強中といった具合で。

浅煎りやスペシャルティコーヒーとうたっているコーヒーを飲んだときに、「酸っぱくておいしくないから二度と飲まない」と嫌われてしまうのは悲しいので、本当においしい浅煎りコーヒーの味を知ってほしいですね。

デンマーク1位の松井さんが淹れたコーヒーの味は……?

デンマーク1位の松井さんが淹れたコーヒーの味は……?

せっかくなので、松井さんに淹れてもらったコーヒー(カプチーノ)をいただいてみることに。こちらは、「Democratic Coffee Bar」の店内にあるエスプレッソマシンです。

鮮やかすぎる手さばきで、カップにミルクを注ぐ松井さん。撮影しながら思わず見入ってしまいました。

カップに注いだだけで、あっという間にかわいらしいラテアートが完成! 気になる味はというと、聞いていた通り、本当にフルーティー! 不自然な苦味や酸っぱさが一切なく、砂糖を入れなくても十分に甘みを感じる、とってもバランスの良い味で「熟練の技術があってこそ、この味にたどりつけるのだろうな」と素人ながらに思いました。

松井さんは近々、「Democratic Coffee Bar」を離れ、新しい道に挑戦される予定とのこと。今後の活躍も楽しみですね!

初心者でも簡単!おいしい浅煎りコーヒーの淹れ方

初心者でも簡単!おいしい浅煎りコーヒーの淹れ方

松井さんに、初心者でも失敗しにくい浅煎りコーヒーの淹れ方を教えていただきました。ぜひ、自宅で「最高の1杯」にトライしてみてくださいね!

<手順1>浅煎りコーヒー豆を用意する
お気に入りのコーヒー店の豆はもちろん、せっかくなら北欧のロースターが販売する豆を通販などで探してみてもいいでしょう。

北欧つながりで言えば、東京・渋谷にあるカフェ「Fuglen Tokyo」(フグレン トウキョウ)は、ノルウェーの老舗カフェ「フグレン」の海外第一号店であり、ノルディックスタイルの豆を店頭で購入できます。また、「世界一のレストラン」とも言われるデンマークの有名レストランの創業者、レネ・レゼピ氏がお気に入りだという目黒の「SWITH COFFEE TOKYO」でも、こだわりの豆が購入できるとか。

松井さんのオススメは、華やかな香りと柑橘系のような果実味を持つ種類が多いアフリカ系の産地のコーヒーとのこと。

<手順2>軟水のミネラルウォーターを沸かす
おいしいノルディックコーヒーを淹れるために、ちょっと水にこだわってみましょう。水道水よりも、市販されている多少ミネラルの含有量のある軟水のミネラルウォーターを使うと良いそうです。適量を沸騰させます。

<手順3>コーヒーを淹れる

もっとも技術が求められるのがこの工程ですが、ドリップよりも写真のような「フレンチプレス」を使うと失敗が防げるそう。特に、ESPRO(エスプロ)というメーカーから出ている「エスプロプレス」はフィルターが金属性なので成分を余さず抽出できる、他社のものに比べて目が細かいのでコーヒーのザラザラ感がない、という2つの理由から松井さんの一押しなのだとか! 通販でも買えるので、気になる方は調べてみてくださいね。

抽出時間は4分ほどが適切と言われますが、良い浅煎りのコーヒーに関してはさらに延ばしたほうが良いかもしれません。松井さんいわく「少し温度が下がったくらいのほうが一番味わいが感じられておいしい」そうです。

もし、フレンチプレスが用意できない場合は、ボールなどの入れ物にロースターが推奨する適量のコーヒーの粉とお湯を注ぎ、好みの抽出時間を待って最後にフィルターでこす、という方法でも大丈夫です。

やや手間がかかる浅煎りコーヒーですが、いつもより少しこだわった原材料や機械を使い、工程を工夫してみると、出会ったことがない至福の1杯に出会えるかもしれません。ぜひ、お家時間の楽しみの1つに「北欧流の浅煎りコーヒー」を加えてみてはいかがですか?

<取材協力>
松井宣明さん
デンマーク・コペンハーゲンのカフェ「Democratic Coffee Bar」勤務のバリスタ
世界的に有名な焙煎の大会「ワールド・コーヒー・ロースティング・チャンピオンシップ」でデンマーク1位(2018年)の実力を持つ
Democratic Coffee Bar

Written by:

小林香織

小林香織

2014年ライターデビュー。WEB媒体の取材記事を中心に【働き方、ライフスタイル、旅、海外文化】等のジャンルで多数執筆。旅と仕事を両立する海外ノマドワーカー。2019年よりフリーランス広報/PRとしても活動をスタート。好きなものは、旅、テクノロジー、英語、アート、カフェ。

筆者ホームページ:https://love-trip-kaori.com/
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