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主食としてパンやじゃがいもを好み、日本とは異なる食習慣を持つ北欧。寒さが厳しい北欧に住む人たちは、一体どのような食事をしているのでしょうか?
今回は、世界幸福度ランキングで毎年、上位にランクインする幸せな国・デンマークに住む27歳のマチアスさんにインタビュー! 小学校に入学してから現在までを振り返り、デンマークのランチ事情について、語ってもらいました。(各コメントは回答者個人の意見です)
小・中学校では「給食」か「持参」かを選べる
デンマークの教育システムは、国民学校(通常10年間、卒業時の学力により11年間)、普通高校、または専門学校(共に3年間)、大学(学士号は3年間、修士号は2年間)などから、成り立っています。
日本の小・中学校にあたる国民学校では、各家庭の事情によって、ランチは「給食」か「持参(または近くで購入する)」かを選べるシステムになっているとのこと。マチアスさんが食べていたのは?
「僕の場合は、両親が作ったライ麦パンを使ったサンドイッチなどを持参していました。ライ麦パンは普通のパンに比べると栄養素が高いので、デンマークでは親しまれています。具材は、ハム、チーズ、ソーセージなどがメインです」
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「少し学年が上になると、昼休みに学校を出て買い物することができるので、時々学校の隣にあったビザ屋さんでピザを買うこともありました」
日本とは異なり、デンマークの小・中学校のランチは非常に自由な雰囲気で、給食を食べる人もいれば、自宅から持参する人、近くに買いに行く人もいる、といった感じ。学校や地域によって多少システムは異なると思いますが、給食は2〜3種類から選ぶこともできるのだとか。
日本では各地でオリジナルの給食のメニューがあるなど、「給食」は学生生活の楽しみの1つで思い出深いものという印象があります。デンマークではマチアスさんの話を聞く限りでは、日本ほどランチへの思い入れはなさそうでした。
高校・大学には食堂が。マチアスさんが肉を避ける理由は?

高校や大学では、学校内に「食堂」があるのが一般的のようです。
「僕は、高校時代もサンドイッチのようなランチを持参することが多かったですね。それが一番節約できる手段だったので。または、時々食堂でもトーストやサンドイッチなどを買って食べていました。
大学では夕食の残りのラザニアやパスタを持参したり、サラダやサンドイッチを作ったり。こちらのランチといえば、やっぱりサンドイッチが定番ですね」
生徒に人気のサンドイッチメニューを聞いてみると、チキンやトマト&ハム&チーズと日本でも人気の種類に加えて、意外な回答も。
「中東料理のフムスを使ったサンドイッチや野菜サンドも人気ですね。フムスは、ゆでたヒヨコマメにニンニク、練ごま、オリーブオイルなどを加えてすりつぶしたペースト状の料理で、体に良くてヘルシーなのが特徴です」
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「野菜サンドはベジタリアンの生徒や特に健康を意識する生徒から選ばれています。僕が通う大学はインターナショナルな環境ということもあり、ベジタリアンの生徒がたくさんいるんです。
デンマークでも環境保護などの理由からベジタリアンやビーガン食を選ぶ人が増えていて、これからもっと増加していくと思います。僕もランチでは肉を食べず、野菜と魚が中心です。肉を食べると消化に時間がかかって疲れるから。肉を食べるのは夜だけですね」
活動量が多い昼間は、体が重たくなる肉を食べない。もしかすると、これは賢い選択かも?
デンマークの留学生のランチはこんな感じ!
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ちなみに、現在デンマークのフォルケホイスコーレ(成人教育機関)に留学中の筆者のランチ事情にも、少しだけ触れさせてください。
フォルケホイスコーレとは、民主主義的思考を育てること、知の欲求を満たすことが目的の北欧独自の教育機関で、試験や成績は一切ありません。先生と生徒が学校に寝泊まりしながら、さまざまなジャンルの授業を通して人生に役立つ知識や価値観を学びます。
ここでは、朝・昼・晩と3食が提供され、デンマークらしい料理を中心に、さまざまな国の料理が登場します。
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こちらは、デンマークらしいじゃがいもが主食のランチ。日本人からすると、ご飯も麺もパンもないランチは、若干物足りなさが否めません(笑)。ただ、じゃがいもはすごくおいしくて、マッシュポテトとして出る日もあります。
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筆者が通うフォルケホイスコーレはインターナショナルな学校で、日本人をはじめとしたアジア人の生徒が多いこともあり、時々アジアの食事も振る舞われます。この日は、中国の旧正月の時期に合わせて餃子が登場。アジア人の生徒たちが大喜びだったのはもちろん、ヨーロッパ人やアメリカ人の生徒たちもおいしそうに食べていました。
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ハンバーガーやタコスなど、自分で具材を挟んで作るランチも。好きではない具材を避けたり、好みの調味料を組み合わせたり、自由にチョイスできるのはありがたいところ。
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こちらは生徒たちから大好評の週末限定ブランチ。週末は早起きしない生徒が多いことから、日中はブランチのみ提供されているのですが、これがすごく豪華! 普段の朝食には出てこないデニッシュやクロワッサンに、サーモン、野菜、フルーツ、数種類のハムやチーズなど、迷ってしまうほどのメニュー数があります。欲張りすぎて、ついついお皿が盛りだくさんに(笑)。
昼休みは30分のみ!社会人のランチ事情
フルタイムで働いた経験もあるというマチアスさんに、社会人のランチ事情について聞いてみると、デンマーク人のワークスタイルが垣間見えました。
「多くのデンマークの企業では、ランチ休憩は30分程度です。なぜこんなに短いのかと言うと、デンマークでは休憩中も企業から賃金が支払われているため、最低限の休憩時間しか与えてくれないんです。
外に食べに行くほどの時間はないので、持参するかケータリングを取るのが一般的です。大きな企業だと会社内に専用の食堂がある場合もあります。
持参するなら、前日の夕食の残りを持っていくか、何よりも簡単に作れるサンドイッチ。朝に凝った料理を作る時間はないし、ランチタイムも30分しかないから、結局手軽さを優先してしまうんですよね。日本のようにコンビニやレストランでお弁当を買ったり、安く外食したりできる文化があったらいいのに」
となると、日本のように気軽に“ランチミーティングをする”なんてことは多くないのかもしれませんね。
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ちなみに、デンマークでは北欧を中心に22カ国(2020年4月現在)で展開するデリバリーサービス「Walt」が大人気! 特に自宅で過ごす時間が増えている今の時期は、外を歩けば必ず遭遇するほど、Woltの水色のボックスを抱えた自転車が外を走っています。
外食するならディナー。その明確な目的とは?
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一般的に、デンマーク人はパッとランチ休憩を切り上げて仕事に戻り、17時を過ぎたら残業せずに帰る、というワークスタイルを好む人が多いようです。
もちろん、勢いよく成長しているスタートアップで働く人々や経営者などは事情が違いますが、筆者が訪れたコペンハーゲンのシェアオフィスでも17時を過ぎたら、ほとんどの人が帰宅していました。そして、夕食は自炊して自宅で食べる人が多いとのこと。
デンマークでは外食すると東京の1.5〜2倍のコストがかかるため、節約のためにも自炊を選ぶのかもしれませんね。加えてデンマーク人は、“ヒュッゲ”と呼ばれる親しい人たちと過ごす居心地のよい雰囲気を大事にしていることから、家族でゆっくり食べる夕食の時間がリフレッシュになっているのでしょう。
「外食する機会は多くないけど、行くなら夜がメインですね。僕は彼女とよく寿司を食べに行きます。コペンハーゲンにスティック寿司を提供しているレストランがあって、きっと伝統的な日本の寿司とは違うと思いますが、僕たちはすごく好きですね。特に、スパイシーな味付けのカニやマグロ、サーモンが好みです。外食する目的は『違う国の料理を食べに行くこと』がメインで、ベトナムやメキシコ料理など、新しい国の料理を試しています」
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「お酒を楽しむなら、まずレストランで食事をした後にカクテルバーなどに移動して、お酒を飲むのが一般的です」
コペンハーゲンにはたくさんのバーがあり、比較的手頃な価格でビールやワインを楽しめるところもあります。観光に訪れた際は、現地人と同じように食事はレストランで楽しみつつ、バーを巡ってデンマークやヨーロッパのお酒を飲み比べてみるのが良いかもしれません。
筆者ホームページ:https://love-trip-kaori.com/
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2014年ライターデビュー。WEB媒体の取材記事を中心に【働き方、ライフスタイル、旅、海外文化】等のジャンルで多数執筆。旅と仕事を両立する海外ノマドワーカー。2019年よりフリーランス広報/PRとしても活動をスタート。好きなものは、旅、テクノロジー、英語、アート、カフェ。
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